2005年08月の思いつき


夏休み

夏はやっぱり休まないと、身体にも頭にもよくないと昨年実感したので、今年は思い切ってオヤスミします。来週一杯「おもいつき」もお休みです。
最近なんだか怒ってばかりいる頭をいったんリセットしてきます…では。

(2005.08.26)



これでは年金は争点になれない

自民、民主、両党のマニフェスト(政権公約)の年金のところを読んでみました。
突然の選挙で準備不足だったのかもしれませんが、ひどく情緒的で公約にはなりそうもない文章の羅列に、失望しました。

民主党さん、抜本的見直しの第一項目が、「議員年金の廃止」はないでしょう。議員年金はあなた方国会議員の内輪の話であって、国民の年金制度議論とは全く関係ありません。国民受けが良いからと言って確信犯的に話を摩り替えるのはやめましょう。
自民も民主も無駄使いの根源である社会保険庁をなくすといっていますが、社会保険庁の無駄使いをなくしただけで、基礎年金の財源が出るような表現は子供だましです。
結局両党とも、票に直結する現在の受給者や過去に発生した受益権には手を触れないことを前提にしているため、根本的にはなんの解決策も見出せていません。
過去の受給権を維持して、厚生年金と共済を合併させて損をするのは誰なのかを説明することなく、統合ありきで話を進めているのも両党共通です。
そもそもあまり期待はしていなかったとはいえ、これでは年金は選挙の争点にはなれません。

(2005.08.25)



株価からみたバブルの清算

TOPIXの1280ptというのは、2000年12月末の値とほぼ同じです。
4年8ヶ月ぶりの高値になります。
この間、最もパフォーマンスの良かった業種は海運・鉄鋼・ゴム・石油、悪かったのはサービス・情報通信・空運・電機。
バリュー色の強い5年だったということがよくわかります。

当時の水準に未だ到達していない業種は東証33業種中12業種です。内、銀行などはこの1日2日で急騰しているので、ほぼTOPIX並みまで追いつきました。
不動産株もTOPIXを大きく上回っており、80年台後半のバブル崩壊と金融不安の後遺症は株価からみても完治したといえそうです。
残るは、電機や通信に見られるITバブルのトラウマですが、この解消にはまだしばらく時間が必要かもしれません。

(2005.08.24)



CSRは消費者の責任

イギリスのエコノミスト調査によると、日本の企業の6割が日本は欧米にくらべCSR(用語集)への取り組みが遅れていると意識しているそうです。その理由は「CSRと企業利益との関係が立証されていない」からだそうですが、これは企業だけの責任でも株主の責任でもなく、日本の消費者の責任です。
以前にも書きましたが( 過去の思いつき2004年6月16日)、社会的問題を起こしたところで、売上が減らなければ株価は下がりません。損害賠償などのコストは一時的なものです。
事故続発の航空会社のこの夏の売上は落ちたといっても1%程度、自動車メーカーに新たな欠陥が出ても最近は株価が反応すらしなくなりました。
消費者の意識が変わらないと、CSRは掛け声倒れに終わります。

(2005.08.23)



マスタートラスト会社の能力

年金資産が外国籍投信や債券型運用商品に投資するケースが増えている背景には、日本のマスタートラスト会社の事務能力の限界が影響しています。

エマージング通貨の含まれるファンドや、SWAPなどのデリバティブを含む運用など、通常の売買契約や事務処理に乗らない運用手法について、マスタートラスト会社の当事者能力には首をかしげるとの声を、色々な方面の方からお聞きします。
投資家としての年金資金は、信託銀行や投資顧問の運用指示の元、最終的にはマスタートラスト会社の名義で運用されます。従って、デリバティブや海外送金などでの契約当事者は年金でも信託でもなく、マスタートラストになります。この契約当事者に事務処理能力がないために起きる運用のボトルネックを解消するための手段として、基本的な事務処理を海外の信託などで済ますことのできる投信や債券型を活用せざるを得なくなっています。
当然のことながら、こうした別立てのスキームには、大変高額なコストが掛かるだけでなく、投資内容をブラックボックス化させるという悪影響が伴います。
マスタートラスト会社のプロフェッショナル化を強く望みます。

(2005.08.22)



収穫の終わり

米国での調査で、投資家が企業経営者に求める項目において、「配当」という回答が減り、「設備投資」が増えてきたそうです。

2004年から投資家の注目を集めていた「企業の内部留保金」ですが、借入金返済、増配、M&A原資、など、どちらかというと短期的な戦略において使われる傾向が強く出ていました。
それは、経営者が中長期の景況感に自信を持ちきれないでいることの現れでもあり、また非常に短期的視点を持った株主の声が大きくなりすぎた結果でもあります。

単純な在庫循環でみた場合、米国経済はそろそろピークアウトの局面を迎えます。果実の刈り取りが終わり、そろそろ次の種を蒔かなけれいけない時期が来ていることを感じ始めている投資家がでてきているということではないでしょうか。

(2005.08.19)



天下りの何がいけないのか?

天下りというものは、それが役所からであろうと、親会社からであろうと、融資元の金融機関からであろうと、来ること自体の問題より、来た人の視点に問題があるのだと思います。

下ってきた人の多くが、今自分が所属する会社の利益や将来ではなく、以前自分が所属していた組織の利益のために働いていることに、天下りの元凶が存在します。

もちろん、上から人間が降ってくることによるプロパー社員の士気の低下や給与水準や癒着など、現実的な問題も多々あるのでしょう。それでも来た人がその会社の従業員と株主の方向を向いて仕事をしてさえいれば、大きな問題にはならないと思うのです。

業績の悪化した企業の残余財産を剥ぎとるために出向者を天下らせてきた金融機関の方が、今問題になっている官庁からの天下りよりよっぽど悪質だと私は思います。

(2005.08.18)



節操なき政治

節操=〔主義主張を守ること〕〔高潔さ〕〔道義にかなった主義信条〕(yahoo辞書より)

今の選挙報道、面白おかしいを通り越して、腹が立ってきませんか?
各政党とも、節操がなさすぎです。
擁立するほうも、立候補するほうも、何を考えてるんでしょう。

現職官僚・大学教授・上場企業の社長・現職参議院議員。
唐突に決まった選挙にすぐに応じられるほど、現職は軽いものなのでしょうか?
現職をそのまま続けられるほど、政治家というのは軽いものなのでしょうか?
国民を馬鹿にしていませんか?馬鹿にされる国民が悪いのですか?

郵政民営化という筋を通したいのなら、筋の通る勝負の仕方をしましょうよ。

(2005.08.17)



航空会社の悪循環

ギリシアで大変痛ましい航空事故がおきました。
航空会社の乗員は、事故原因が特定されなければ安全が確認できないとして乗務を拒否したため、同社は全ての便の運行をとりやめたとのことです。
事故の悲惨さとは別として、乗員と航空会社のこうした対応は、命と隣あわせの業界において極当然の反応なのではないかと思います。

一方、日本の航空会社の対応を省みると、空恐ろしくなるほど緊張感が感じられません。
人命に関わる事故さえなければ良いというものではないでしょう。
これは会社だけの問題ではなく、従業員やまたその航空会社を懲りもせず使い続ける消費者、そしてその企業の株を持ち続ける投資家の問題でもあるのです。
安全確認ができなくても運行は続き、顧客は減らず、株価も下がらず、経営危機にもならない、という悪循環は絶対に断ち切らなければいけないと強く思います。

(2005.08.16)



二極化のこわさ

バリュー対グロース、大型対小型といった二極化相場というのは、言い換えればトレンド相場であることを意味していて、ムードや需給に左右されやすいという特性を持っています。このような環境において、個別企業の特性や業績よりも、投資資金の嗜好にあっているかいないかで株価が決定されていくことは、一時的にはしかたのないことではあるものの、やはり株式市場の本質とは遊離したものであると認識されます。

昨今の、マスコミの論調をみていると、政治にしろ経済にしろ社会にしろ、全てを二極化させている傾向が非常に強くなっています。右か左か、白か黒か、のような整理のしかたは、大変わかり易いようで実は物事の本質から目をそらさせる危険な手段です。

行き過ぎた二極化が、正常な思考判断をどんどん除外していく様は、この数年の株式市場がよい見本でしょう。
実態経済の数歩前を走る株式市場は、ようやく二極化から抜け出し始めています。

(2005.08.15)



実は長期金利上がってます

8月に入って、日本の10年国債金利は0.2%上昇しています。収益率にして2%程度のマイナスです。
今年の3月から6月にかけてじわじわと低下してきた部分が一気に反転しました。

これまでであれば、市場金利がこれだけのスピードで上昇すると、株式市場で住宅投資への悪影響を懸念したり、銀行収益に対する懸念がでたりと、多少は話題になったものですが、今回は気持ち悪いほど静かに上がり続けています。

株式の好調さに隠れて誰も気づいていないのか、単なる相場のあやだと思っているのか。米国や欧州の金利環境が落ち着いているのであまり心配していないのか。どうなんでしょう?

お盆明けに突然大騒ぎをはじめるような予感もします。

(2005.08.12)



メガバンクと企業統治

国内株式のアクティブ運用において、メガバンクの評価が非常に高いようです。その根拠として主に上げられているのが、店頭での投信販売額が大手証券を上回る勢いで伸びていることだそうです。

一方、最近の新聞などに、メガバンクが融資先に対し、銀行としての地位を乱用してデリバティブ商品を売っていることに、公正取引委員会が調査を始めたとの、記事が見られるようになっています。
これが、デリバティブに限ったことなのか、投信など他の金融商品にも当てはまることなのかは、定かではありません。

JR西日本という会社は、そのリストラ進捗度や経営効率の良さ利益率の高さなどによって、アナリスト評価の大変高い企業でした。
収益構造にフォーカスしがちなアナリスト評価が、企業経営の方向性を見誤らせることもあります。

株主による企業統治とは何なのか、考えさせられる材料でもあります。

(2005.08.11)



還暦と踊り場

踊り場で踊りすぎたら筋肉痛

私のことではありません。

政府・日銀共に、タイミングを合わせて踊り場脱却宣言となりました。
共通しているのは、個人消費と労働環境の変化でしょうか。2002年から2004年まで続いた企業中心の景気回復がようやく個人消費に転化し始めた感触を掴んだのかもしれません。
ただ、今の個人消費が企業利益に循環するほどの力を持っているのかはまだ不透明です。循環を待てずに企業サイクルが下降を始めてしまうリスクは残ります。

ただでさえ、戦後60年、還暦を迎えて基礎体力の落ちている日本企業にとって次の坂を自力で登るのは容易なことではないのです。

(2005.08.10)



金余りが呼ぶ金余り

石油価格が日々高値を更新していく中、株式市場は原油動向にあまり反応しなくなってきました。
むしろ最近は、原油の上昇によって潤ったオイルマネーが株式市場を底上げしている傾向が強くなってきています。

このようなオイルマネーの影響は一般の上場株式の世界に留まらず、半年で数兆円単位の資金を集めているプライベートエクイティファンドや企業合併再生ファンドなどでも、巨大勢力になりつつあるとみられます。

昨年までは現在のオイルマネーには反米感情が強く、米国に大量投資した1970年代とは様相が異なる言われていたものの、膨張し続ける資金の受け皿をイスラム圏内で見つけることにもう限界が来ているということなのでしょう。

金余りが次の金余りを生んでいます。

(2005.08.09)



海外投資家は小泉さんが好き?

この2-3日の株式相場の流れをみていると、国内ではすっかり下火になった小泉人気が海外では不思議と継続しているのがよくわかります。

これだけ税金と時間をかければ、小泉政権でなくても不良債権処理は進んだと思うし、景気が安定してきたのも国の政策効果とはあまり思えないし、政治が透明になったかといえば逆行してそうだし、小泉発言はいつも宇宙人みたいでわからない。

ひょっとして、小泉さんって、日本語を話す時と、英語を話す時とで、人格が変わるのではないだろうか?
でなければ、日本人にはどうせ話しても無駄だと、頭から決め付けている?

株式相場が海外投資家に主導権をとられているから、首相も外の顔色ばかりを伺うようになるのかもしれません、よ。

(2005.08.08)



郵政・妖怪・夏の陣

よく解らないと言い続けて早2年。郵政論議もいよいよ佳境に入ってきました。
都市対地方、財務省対総務省、小泉さん対橋本派。経済界対個人。
あまりに多くの利害が絡まりすぎて、複雑さと混迷はただ増すばかりです。
今の日本に漂う「カネ」と「欲」との総決戦。
妖怪大戦争、は映画の題名だけにしてください…

(2005.08.05)



投資詐欺の話

免許のない銀行にお金を預ける人はめったにいないでしょうが、免許のない運用会社にお金を預ける人は不思議といなくならないものです。

資産運用には免許が必要であるということが、世の中一般にはあまり浸透していないのかもしれません。
ここにきて、東証や金融庁のHPに投資詐欺に関する警告が掲載されるようになっています。http://www.fsa.go.jp/ordinary/fund/index.html

「ハイリスク‐ハイリターン」 のハイリスクというのは、予定した収益が得られる確率の話をしているのであって、決して「怪しげな話はおいしい話」ということを言っているのではありません。
もちろん「貴方だけの儲け話」などというものは世の中には存在しません。
騙される可能性があるのは、決して個人に限ったことではありません。人事だと思わずに、用心するに越したことはないということです。

(2005.08.04)



なにがあってもなんでもあがる?

今年度初めての四半期報告がほぼ終わり、4-6月を振り返って、不思議な印象を持っています。

この四半期、事象面だけでみるとかなり色々なことがありました。
が、結果だけをみると非常に平穏な四半期となっており、7月は更に好調度合いを増しています。

GMショック・ヘッジファンド懸念・中国の対日暴動・EU憲法の批准拒否・ロンドンテロ・元の切り上げ。
市場はどれも一時的に大きく反応した後に、何事もなかったかのように元の軌道にもどっています。上がっているのは株だけではありません。債券も商品も上がっているのです。

今の市場に過熱感がないという人は多いです。上記のイベントが結果的にはよいガス抜きになっているとの意見もあります。

今の強さの基本は個別の企業業績。だから株価は上がる。
グローバルなマクロ経済には政治と共に暗雲漂う。だから債券は上がる。
むりやり整理するとこんなところなのでしょうか?

(2005.08.03)



子供を生まない?結婚しない?

FinanceAsiaというニュースワイヤーが分析した、日本の少子化の実態、によると、日本の出生率が落ちている原因は、20才台での結婚率が1970年台以降急速に下落し、30才台以上での結婚率の増加を加味しても結婚率の低下が補えないからだそうです。
さらに1970年には1%以下だった離婚率が20才から24才では5%へ、それ以下の年齢では6%まで上がっていること、また一旦離婚した女性の再婚率が低下していることで、20才台から34才の女性の離婚経験率(結婚経験がある人の中での離婚経験者数)が8%に跳ね上がってしまったこと、などが考えられると同紙は分析しています。

子供を生まなくなったのではなく、結婚をしなくなった、らしいです。このような分析をされると、最近の国の少子化政策がなぜ全く期待されていないのかが、少しわかった気もします。
では、なぜ結婚しなくなったのか?と問われると、ちょっと困るのですけどね。

(2005.08.02)



大企業病

国内外を問わず、株式の運用報告を聞いていると、運用会社やファンドマネージャー自身の大企業病を感じることが最近増えてきました。

IT産業に関わらず、経済を動かす主体がどんどん細分化されていく中で、中小企業の経済市場において起きていることの理解が、大企業の業績の理解と切り離せないものとなっているように思います。

多くのファンドマネージャーは大手金融機関の出身か、運用会社でしか業務経験がありません。そもそも金融しか知らないというのもかなり偏った思考になりやすいものなのですが、それに大企業的思考しかもてないとなると、現実を理解することが段々難しくなっていきます。
株式市場でのアクティブ運用で結果がでなくなっている原因は、この辺にもあるのではないでしょうか。

(2005.08.01)


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