3年連続の二桁
平成26年度の運用も本日が最終日です。
4年度連続で主要4資産がプラスの収益率となり、3年度連続で国内債券を除く3資産が二桁のプラスで終わりそうです。
これを過剰流動性の賜物と思うなら、早晩大きな反動を覚悟せねばならず、米国のエネルギー革命に端を発したパラダイムシフトだとするならば、今しばらく続くのかもしれません。
過去を振り返ると、市場のあちらこちらで「パラダイムシフト」という言葉が囁かれるようになると、大概その市場のトレンドは終わります。
今のところ、私の耳にその囁き声はまだ聞こえてこない、のですが…
寺本名保美
(2015.03.31)
理論と経験
ロイターがイエレン議長の声明として報じている下記の言葉。
「金融状況や経済全体にとって重要なのは、短期金利がたどると予想される軌道の全体像であり、最初の利上げの具体的なタイミングではない」
言っていることは100%正しいのですが、それを今の市場参加者が適切に投資行動に反応できるかどうか、極めて怪しい、と私は思います。
そもそも、債券市場においてコントロール役を担っていた債券売買の専門家がボルカールールによって市場から激減し、更に直近の米国の利上げ局面から既に10年近くが過ぎていることでファンドマネージャーと呼ばれる人々の多くは金利の低下局面しか知りません。
通常の金融経済政策下での「政策金利の変更」を体感できている人が居ない上に、今は世界中で「異次元で特殊な」金融政策が行われている最中です。
冒頭の発言とは裏腹に、最初の利上げでの市場の動揺をどれだけコントロールできるかが、これからのイエレン議長達の正念場になりような気がしています。
寺本名保美
(2015.03.30)
昼の桜 夜の桜
千鳥ヶ淵にいます。
抜けるような青空と、二分咲きの桜。寒くも暑くもない気候。
365日、今日のような日柄であったらと思いつつ、そうではないからこその今日のありがたさを感じるのだなぁ、なとど思って歩いています。
それにしても、どこらか集まるのかと思うほどの海外の皆様、シニアな方々。
桜の昼間は、こうした元気な方に譲って、我々は夜桜で我慢という感じですね。
寺本名保美
(2015.03.27)
荒れ模様の期末
昨晩から今日に掛けて、材料となった地政学的リスクも、それに対する市場の反応も、少し唐突な印象を受けます。
特に市場の反応については、高値警戒感が強かったといえばそれまでですが、経済ではない、何か他の材料を警戒しているような気持ちの悪さを感じます。
もちろん昨晩の米国市場を受け、今日も引けに掛けで日本株が上昇に転じる、などというシナリオはもっと気色が悪いので、悪材料にはきちんと反応してくれた方がよいとは思います。
眼が中東に向かっている中において、ロイター等はギリシャ問題が来週30日にも正念場を迎えると報じています。
期末の数日、平穏には終わりそうもありません。
寺本名保美
(2015.03.26)
一人勝ちの修正
米国では相変わらず強い経済指標が続いています。
一方で、さすがに米国一人勝ちへの警戒感が、市場だけでなく、政治の綱引きの中でもでてきているようにも見えます。
欧州の大金融緩和の恩恵から、ドイツ経済にも持ち直しの気配が出てきており、とりあえず株式が堅調な日本もあり、シェール開発損失のように米国の弱点も話題になるようになったことで、米国に振りきれていた振り子が多少戻りつつありますが、バランスが悪いことには変わりありません。
とうに落っこちてしまったロシアは置いておいて、中国を巻き込んだパワーポリティックスが、これからしばらく加熱しそうなきがしています。
寺本名保美
(2015.03.25)
1ユーザーとして
今、議決権の争奪戦をしている家具会社。
25年位前、日本の不動産バブルが崩壊した頃、横浜の外れにある巨大倉庫を案内してもらったことがあります。
在庫になっている大量の外国製家具や彫像の群れに遭遇し、大丈夫か?と思ったものの、その時に格安で購入した家具はその後の引越に伴う解体メンテナンスを経て今でも大切に使っています。
16年前、弊社を作った時に購入した、会議テーブルと奮発した革張りの椅子は、数年前に椅子の皮を張り替えて、今でも社長室の真ん中に収まっています。
この会社、登録した電話番号を伝えると、20年以上前の購入履歴から、メンテナンスの手配だけでなく、とっくに転勤してしまっている当時の営業担当者の呼び出しまでしてくれていました。
今回の議決権騒動。広告宣伝費が多いだの少ないだの、配当が15%だの30%だの、経営側も株主側も、議論の方向性がどんどんずれていってしまっているような気がします。
時代の流れの中で、何を変え、何を変えないとしているのか。どういう会社になりたいのか。全く見えてこない中での騒動に、1ユーザーとして非常な寂しさを感じています。
寺本名保美
(2015.03.24)
制約条件の緩和とルール作り
運用において、投資先や資産配分に対する制限や制約条件は、多いより少ない方が、運用効率はよくなります。
運用効率が良いということは、高利回りを狙える、という意味ではなく、結果として「リスク」を小さくすることが期待できるという意味です。
今、年金基金でトレンド化している「高分散ポートフォリオ」までいくと、少し行き過ぎ感もありますが、「債券のみ」「国内資産のみ」といった特定資産に偏ったポートフォリオよりは、リスク管理は容易です。
大切なことは「投資先の拡大」=「何でもあり」のポートフォリオにならないための、基本ルールとリスク感を組織として事前に共有しておくことで、そのための事前準備には十分に時間を掛ける必要があります。
どこの市場にいっても高所恐怖症が走るこの環境。
あらためてリスク管理を見つめ直す時期が来ているように感じます。
寺本名保美
(2015.03.23)
こんな会話
2004-5年の日本のミニバブル期に、バブルだなぁと意識したことは、
食べ物やさんや電車の隣の席から、株や不動産のうんちく話が聞こえてくる。
同窓会とかで友人達に会って、私の仕事内容にいつもに増して興味をもたれる。
電車の釣り広告に「儲かる」という単語が頻発する。
学生さん達が、カッコよさそうに見える仕事に憧れる。
よくわからないが「楽勝だな」という類いの会話が多くなる。
昨日、久しぶりにこの手の会話に遭遇しました。
たまたま、でしょうか?…
寺本名保美
(2015.03.20)
百人十色
今回のFOMCの結果を受けた「識者のコメント」のバラつきの大きさが気になります。
「中央銀行と市場との対話」というものが以前ほど機能していないことは周知ですし、イエレン議長は就任当初から対話は苦手だと言われてきた方なのでしかたがないとは思いますが、このタイミングで右とも左ともとれるコメントを出し続けることは、そろそろリスクがあるのではないかと思うのです。
為替市場と株式市場とで判断が分かれるのは、それぞれの市場が金融政策に期待していることが異なるので当然であるとしても、今回については、百人十色の評価になってしまいました。
とりあえず今日のところは、「利上げは遠のいた」というシナリオが優勢のようではあるものの、一晩寝ると景色が変わっている、ということにならなければよいのですが。
寺本名保美
(2015.03.19)
特効薬か一時しのぎの頓服か
日本株のアクティブ運用の状況が芳しくない状況が継続しているように見えます。
ヘッジファンドによる先物主導相場であるとか、根強い公的年金の需給期待であるとか、理由は各種あるなかで、足元のファナックショックに典型される海外投資家行動には、郵政解散後の小泉相場を彷彿します。
当時の株式、特に海外の株式投資家にとって、「規制緩和」とう言葉が、低迷する日本経済に対する特効薬に見えたのと同様に、昨今の「企業ガバナンス」という言葉は低迷してきた「日本の株式価値」への特効薬に見えるのかもしれません。
小泉改革による規制緩和については、評価が出る前にリーマンショックが起きたことで有耶無耶になってしまいました。
今回の企業ガバナンスについての評価が本当に出てくるのは、まだ1年2年先です。
先導する国も企業経営者も、単なる株価上昇期待の「頓服」で終わらせてしまうなら、その後の失望と反動は覚悟しなければなりません。
今のアクティブマネージャーの苦悩を見る限りにおいては、薬効の持続力についてはまだまだ検証が必要なようにも見えます。
寺本名保美
(2015.03.18)
新興国のざわつき
一時期落ち着いてきたように見えた新興国市場が、再び不安定になっているように思えます。
市場ごとの跛行性が強いので、良いくにもあるのですが、政治も含めざわつきを感じます。
原油価格の下落もトリガーになりつつあります。
暫し注意です。
寺本名保美
(2015.03.17)
兆し?だといいのですが
東京の世田谷区とか港区とかを歩いていると、コインパーキングが更地になったり、古いマンションが取り壊されたりしている現場に、最近遭遇することが多くなりました。
この2-3年、大規模開発以外は微動だにしなかった東京の住宅地に、少し動きが出始めたということなのでしょうか。
もちろん、その跡地に立った新設住宅が飛ぶように売れた!という話を聞くまでは、信用はできませんが…
やや出来合レース臭い自動車のベアのニュースも、経済にとっては好材料であることは間違いなく、今の株価を正当化するような景気の兆しが、春の訪れと共に見えてきた、のであればいいなぁと、思ってはいます。
寺本名保美
(2015.03.16)
昔話
私が年金に関わる仕事を始めたころお世話になっていた企業年金の事務長から次のようなお話を伺いました。
「平成になってからのこと。戦時中出征した社員に対し会社の同僚が寄せ書きをした日章旗がみつかり関係者に還してほしいと会社に送られてきた。戦前戦後の社員名簿など会社の人事にはもうなく、唯一あったのが当時の年金記録。古い年金記録の紙を倉庫で引っ繰り返し、無事にご遺族に日章旗を渡すことができた。退職後の従業員の生活に責任を持つ、というのが企業年金の精神であるとするなら、これこそ年金基金事務所らしい仕事だったよね」と。
企業年金というものが何時の時代からか、税制・会計上の利益だけで論じられるようになり、掛金を掛ける側も年金を貰う側も、金銭的な損得だけしか興味がなくなった今の時代。
今あちらこちらの総合型年金基金で、代行返上後の新たな年金制度構築への模索が始まっています。時代の変化を受け止めつつ、でも、総合型基金・企業年金というものを立ち上げた先人の方々の意志も受け止めつつ、「効率的であっても血の通った」持続可能な制度が立ち上がっていくことを願い、微力ながらお手伝いを続けていきたいと思っています。
寺本名保美
(2015.03.13)
節目にむけてまっしぐら?
軸のない通貨が、軸を探しに、ドルとのパリティ(1:1)に向かっています(→ 過去の思いつき
一般的な年金等が使用しているインデックスにおいて、外国債券のドルとユーロとその他通貨の比率は、おおよそ40:40:20。外国株式では63:13:24 というところです。
外国債券についいえば、ドル高円安とユーロ安円高の影響は振れ幅が同等であれば打消します。
一方、外国株式については、ユーロ安より対円でのドル高の効果の方が高いという計算になります。
ドル円が二桁だったころの100円のように、ドルユーロもここまで来るとパリティのような節目を付けにいくまで、止まらないかもしれません。
国内株式が堅調であることには救われていますが、期末に掛けて市場のボラティリティ、徐々に低下していってくれるとありがたいのですが。
寺本名保美
(2015.03.12)
今の堅調さに思うこと
米国株式が大きく調整している中で、プラス圏を維持している日本の株式市場に違和感がないと言えば嘘になります。
昨年から始まっている季節行事としてのJPX400指数の採用を意識したものとは別に、企業の内部留保を吐き出させたい政府の意図を組んだかのような、配当還元策等が企業側から頻出していることも、市場を下支えしている一因でしょう。
それはそれとして悪い事ではないので、ぜひ「継続」していただきたいと思います。
一点気になるとすれば、ドル建てで日本株指数を計算し直した場合の、いわゆるチャートの悪さでしょうか。
為替の変化幅が大きいので、少しぐらい株式が上がっても、ドル建て指数は下落したままです。
現状、円調達で円株を買っている投資家が多いとするなら、あまり気にする必要はないかもしれませんが。
寺本名保美
(2015.03.11)
反応のトレンド
当面の金融市場で、日々何を注目すればよいかを判断するとき、大切なのは、材料そのものではなく、材料に対する市場の反応のトレンドを把握すること、だと思っています。
米国の利上げが何時か?ではなく、「米国の利上げが近い」という判断に対し、どの市場が買われ、どの市場が売られるのか、を見極めることです。
失業率が良い、つまり景気がよい、だから、株式は買われる。
のか
失業率が良い、つまり景気がよい、だから利上げは近く、株式は売られる。
のか、は正しい結論があるわけではなく、その時々の市場の織り込みやリスク感覚の置き場によって変わります。
この数日の株式と為替の動きが何を示唆するのか。
一か月前とは、トレンドが異なってきているようにも見えます。
寺本名保美
(2015.03.10)
リスク管理の心がけ
昨日のテレビで防災の先生がおっしゃっていたこと。
古地図をみる。地名の由来を知る。昔から住んでいる人の話を聞く。
リスク管理の基本として、とても応用力の高いコメントだと思います。
金融商品についても、土台となる経済の歴史を知り、商品の由来を調べ、経験者の話を聞く。
不動産を買うときに、こうした情報を売り手の不動産屋さん以外で調べようとするのと同じように、金融商品を買う際には売り手の証券会社以外から情報を取るようにすれば良い。
とはいっても、この単純そうに見える行動をとることが、意外に難しいのが、証券金融市場の悪いところで、例えば保護預りや総合口座という制度のために、どうしても単独の証券とだけの付き合いになってしまい、広く情報を集めにくいのが、現実です。
日本の金融市場も、久々に高所恐怖症を意識しなければいけない環境が近づきつつあります。
一般の投資家のリスク管理意識をどう高めていくか、大切な国民の財産を塩漬けにしないように、そろそろ準備を始めたほうがよいかもしれません。
寺本名保美
(2015.03.09)
これも個人消費
大阪にいます。
駅前デパートのレストラン街。
平均単価2000円の和食ランチ。
1500円のパスタランチ。
3000円の牛丼。
ウィンドウを見ながら、ボーとしていたら、あれよあれよという間に、どこのお店も順番待ち状態に。
ついていかれない私は、ドトールを探す旅にでます…
コアなおばちゃん達の個人消費、最強です!
寺本名保美
(2015.03.06)
単純に
おこがましい事を承知で書かせていただくなら、金融政策の方向性を予想しなければいけない時、私は政策決定担当者の心の動きを読もうとします。
政権における、その人(達)の立場に自分を置き換えた時、自分であったら何を重視するかを考えます。
例えば、米国の今年の金融政策を考えた時、自分がイエレン議長だとして、思いを巡らします。
米国の景気と、インフレ目標。
米国の利上げのキーワードとしてどちらを重視するのか?
あるいは、どちらに言い訳の余地があるのか?
私であれば、足元のインフレターゲットは原油とドル高を言い訳にして、中央銀行としての金融政策の正常化を優先するでしょう。
どんなに高度な政策決断であっても、所詮人間が決めること。
幼稚な論理に聞こえるかもしれませんが、世の中意外に単純なものです。
寺本名保美
(2015.03.05)
注意力散漫
携帯電話に電話帳を登録するようになってから、電話番号を覚えなくなりました
という話と同じではないのですが…
いわゆる大病院に検診に行って、「電子カルテ」に向かってキーボードを敲いているいる先生を見た瞬間、「私の過去情報は全て登録済」という先入観が私の中に芽生えた結果、説明不足から使用してはいけない種類の薬が処方される、という経験を2度ほど繰り返しています。
街のお医者様にはくどい程自分のアレルギーを説明するのですが、電子登録を前にすると「機械が覚えていてくれるはず」と思ってしまうのは、どうしたものでしょう。
IT技術の進展で、人間の記憶や注意力の散漫が加速している現実を実感しています。
寺本名保美
(2015.03.04)
国が潤うだけ
ピケティさんの格差論ブームで、一番得をするのは、各国政府財政なのではないかと思ってしまいます。
民から官への資金の吸収を強化することは簡単ですが、それを民に幅広く還元することは意外と難しいのではないでしょうか。
富裕層や企業への課税強化で、民間から国庫に資金を移動させたところで、その先の分配と成長の見取り図がなければ、そこでおしまいです。
著者の方はもちろんそこは意識して書かれているのでしょうが、それを囃したり、利用しようとしている側に、きちんとした理解が伴っているのか、かなり疑問です。
実は、財政の苦しい各国が富裕層増税を狙って意図的にブームを起こしているわけでもないでしょうが…
寺本名保美
(2015.03.03)
目標に向かって淡々と
先週末発表されたGPIFの12月末の資産配分は、ほぼ想定通りの内容となっていました。
ファンドの入れ替えでのノイズは作っているかもしれませんが、資産配分の進捗状況は急ぎもせず、滞りもせず、淡々とというところでしょうか。
市場に必要以上の期待も、失望もさせていない、という点においては、問題のない展開であるといえそうです。
所詮、公表された数値に対し、淡々とオペレーションをしていくだけであることを、市場が織り込めば、そろそろGPIFの投資行動から離れた通常の投資環境に戻れるのではないかと期待しています。
GPIFに追随しなければならない総合型基金にとっても、とりあえず、無難な結果に一安心というところでしょうか。
寺本名保美
(2015.03.02)