2012年05月の思いつき


甘くみてはいけません

ウォール街からヘッジファンドに転じた多くの新興マネージャーが、パフォーマンスをあげられず苦戦しているとの話をよく見聞きします。

国内では、伝統的なアクティブ運用で実績を上げたマネージャーが、ヘッジファンド的運用を手掛けてトラブルを抱えるケースも見られます。

トレーダーやアクティブファンドのマネージャーとヘッジファンドのマネージャーと何が違うのかを
一言で説明するのは難しいのですが、少なくとも、何かの延長線上でできるような仕事ではないことは確かです。

ヘッジファンド業を甘くみてはいけません。
ファンドマネージャー然り、組織然り、スポンサー然りです。
寺本名保美

(2012.05.31)



社会保障の公平って何?

五月雨式に出てくる国内株式市場でのインサイダー取引問題が、文字どおり「五月蠅く」頭の中を浮遊しています。なにかもう少し大事になっていくような気がしてなりません。

ところで、最近話題の「生活保護」問題。

2005年当時、年金未納問題が盛んに取り上げられていた頃、いざとなれば生活保護を受ければいいから、年金なんて払わない、という人達が沢山いたことを思い出しました。

公的年金という世代間扶養のシステムは不公平で、税金というシステムで支払われる生活保護なら公平なのか?

掛金を支払わない人にも税金を払わない人にも支払われる、最低保障年金というシステムと生活保護とはどう違うのか?

あの時、年金制度を叩くことだけを目的としたかのような、乱暴な報道や政治家による歪んだの議論が、今度は生活保護問題としてまたおかしな暴走をはじめているようにみえます。
寺本名保美

(2012.05.30)



この仕事の立ち位置

最近の基金の理事会等で話題になる基金解散の是非ですが、その際理事の方々から、総幹事やコンサルタント会社の者は、基金が継続しないと自分達が困るから、基金存続を前提とした議論ばかりする、と言われることがよくあります。

これは二重の意味で正しくて、もちろん基金がなくなれば商売がなくなる、という部分だけでなく、むしろ私自身基金制度というものが存続すべきものだと信じているからこそ、今この仕事をしている、という意味において正しいのです。

私達の仕事は、基金制度の安定的な継続に寄与するために存在しているのであって、この制度が社会的に不必要であるなら、この仕事も存在しません。

もちろん制度を継続するための変化を否定するものではありませんが、立ち位置は制度存続にあることは間違いないものです。

この立ち位置が変わる時は、私がこの仕事を止める時でしょう。
私にとって仕事とはそういうものです。
寺本名保美

(2012.05.29)



為替市場が主張している無策

英中銀イングランド銀行が世界の金融危機に関する非公開で非公式会合を主催する予定(WSJ)。
スイス、ユーロ圏危機悪化時の対策を検討する作業部会を設置(ロイター)。

どうも世の中ざわついてきたようです。

ギリシャ離脱のXデーに備えているのか、地すべりを始めたスペインの金融システムに備えているのか。

そうこうしている間に、ユーロは対ドルで2年半ぶり安値に戻ってしまいました。

ギリシャ危機が表面化して2年半。何一つ解決してこなかったと、為替市場が主張しているように見えます。
寺本名保美

(2012.05.28)



定期点検

これから人間ドッグにて、思いつきはおやすみです。

人間ドッグだと思うだけで、体調が悪くなるのは何故なのか?

行ってきます…
寺本名保美

(2012.05.25)



組み合わせてもダメ

足元で下落しているのは、株式だけではありません。

リスクが高まった際のヘッジ資産と考えらていた「金」も、金融資産とのデカップリングが期待された「原油」も、株式市場と同様に下落しています。

ヘッジファンド戦略の中で、通常の株式や債券戦略との相関が低いと謳われてきた、CTAもグローバルマクロも沈没し、さらに最後の救世主であったはずのボラティリティトレーディングと呼ばれる戦略も、冴えません。

過剰流動性の資金の流れは濁流のように早く、それぞれの資産ごとの特性など吹っ飛ばして、往来しています。

何かを複雑に組み合わせておけば安心ということはなく、一つ一つの戦略をこまめに管理していくしかない環境がしばらく続きそうです。
寺本名保美

(2012.05.24)



本当に祭りが終わってしまった?

米国株式市場はfacebook上場が失敗に終わったことで、かなり混乱しています。

テクニカルなミスのあったナスダックの責任を問う声、売り出し株数を直前になった増加させた主幹事の責任を問う声など色々です。

この半年、facebookの上場に寄せられた期待が過度であった分、その反動も大きく出ています。

昨日あたりから、単なるテクニカルな問題ではなく、facebookの将来価値そのものへの疑問が出始めているのは、やや嫌な兆候です。

今のところ、株価の下落はfacebook関連のみに限定されていますが、これが米国株式全体のセンチメントに波及しないかどうか、しばらくは注意が必要かもしれません。
過去の思いつき
寺本名保美

(2012.05.23)



強者離脱のシナリオ

再度「欧州共同債券」の話がぶり返しています。

ドイツは相変わらず拒否反応を示していますが、否定のトーンが心なしか弱くなっているようにもみえます。

追い詰められているのは、ギリシャではなく、むしろドイツで、かつ、この議論にを拒否している限りにおいて欧州の協調を揺るがしているのは政権が
変わったフランスではなくドイツに見えてしまうのは、とても皮肉な事です。

ドイツをあまりに追い詰めることで、強者がユーロを離脱するという別のシナリオが浮上してこなければよいのですが。
寺本名保美

(2012.05.22)



陰の極?

先週末から急激に悪化したかのように見える欧州問題。

きっかけは、ギリシャ国内で起きている金融機関からの取り付け騒ぎと、スペインの銀行の大量格下げ、です。

ギリシャが本当にユーロを離脱すると、その後のギリシャに起きることは通貨価値の暴落によるハイパーインフレです。
その可能性を意識し始めた一般ギリシャ市民が、ギリシャの銀行からユーロを引出し初めたと報道されています。

当初山場と考えられていた6月中旬の再選挙まで、ギリシャの金融システムは持たないのではないかという懸念が、金融市場のセンチメントを悪化させています。

スペインの銀行の格下げはギリシャとは次元は異なりますが、欧州の金融機関全体の信用力が再度注目されている最中において、非常に悪いタイミングでのニュースフローではあります。

ある意味再び陰の極に入ったかのような欧州情勢です。
陰の極は買い、と昔の人は言ったものですが、さて…
寺本名保美

(2012.05.21)



緊張感のある信頼関係構築のために

昨日、東京の基金の皆様に「プロの運用管理者になるための逆張り思考」という題材でお話をさせていただきました。

毎回のことながら、勢いで話でしまったので、かなり乱暴な脈絡もあり、失言もありで、少々反省しています。

プロの運用管理者であるために、運用機関との信頼関係において、適度な緊張感を維持することはとても重要なことです。

敵対関係ではなく信頼関係であるものの、馴れ合いではなく緊張関係を持続する。

言葉でいうほど、簡単なことではありません。

当日のレジメをリンクいたします。
ご参考まで…
寺本名保美

(2012.05.18)



少し緊張?

今日は東京の基金の皆様に、ちょっとお呼ばれされてお話をさせていただきます。

いつも、弊社のセミナーとかでおめにかからない方々が対象なので、いつもどうりの調子で話して、ひんしゅくをかわないか、かなり心配です。

どうか寛大な皆様でありますように。
寺本名保美

(2012.05.17)



その内、首が傾いたまま、戻らなくなりそうな日々

京都にいます。
今日は葵祭らしい。
どうりでホテルが混んでいました。

頭の中、季節感ゼロです。

お天気も良く、華やいでいるであろう下界とは無縁に、今日もまた首が傾いてしまいそうな気分での四半期報告三昧です。

寺本名保美

(2012.05.16)



規制緩和と監督強化

このところの痛ましい事件の度にコメントされる、監督官庁の検査不備。

検査対象が多すぎて検査の手が回らなかった、という言い訳。

政治家は無責任に行政の怠慢だというかもしれませんが、それだけとも思えない部分もあります。

規制緩和が全ていけないとはいいませんが、検査体制や罰則規定などのインフラ強化を伴わない緩和は、災いを招きます。

規制緩和は民間に活力を生むための施策であって、政府の財務リストラをするための施策ではありません。
許認可業務が減る分、行政負担が減ると思うのは大間違いです。

今足元で進行している電力事業の自由化問題を考えるについても、
過去の自由化で起きた問題点を十分に検証してから進んで欲しいと強く思います。
寺本名保美

(2012.05.15)



巨額損失とボルカールール

米国等のクレジットを使った戦略についての投資にコミットすることを躊躇し続けています。

クレジットが割安か割高か、とか、伝統的資産との相関が、とかいった現実的な問題以前に、ボルカールールに代表される金融取引規制の成り行きが固まらないことが最大の懸念として残るからです。

ボルカールールについては、厳格な対応がグローバルな金融取引を過度に萎縮させ、実態経済への血流を滞らせる、という懸念が表明されていることもあり、当初に比べ緩和される方向に舵が切られ始めたと思っていた矢先、今回のJPモルガンチェースの巨額損失事件が起きました。

世界最大の金融グループによるCDS取引を用いた巨額損失は、ボルカールール推進派に絶好の切り札を与えたことになるのではないかと、市場は懸念しています。

基本的には大手金融機関が最大のプレーヤーだった、クレジット市場が、参加者も規制も含めどのように変化していくのか。
この市場の長期的な安定性とバリエーションにはまだ不安が残ります。
寺本名保美

(2012.05.14)



短期的な安堵+長期的な懸念=鬱陶しい乱高下

スペインが国内大手銀行の一部国有化を決定しました。

市場としては、これでスペイン発の金融危機が遠ざかったとする安堵感と、これまで封じこめてきたスペイン金融機関の不良債権問題が白日の下に曝されるきっかけとなるのではないかという懸念、とが入り混じった、どっちつかずの反応となっています。

ギリシャはデフォルトをしてユーロ圏外に。スペインなどの不良債権を抱える金融機関は一旦国有化。という1年以上前から言われているシナリオに、着実に近づいてきているような気がしないでもありません。

但し、相変わらず処理のスピードは緩慢なままであることにも変化はなく、しばらくは緩やかな崩壊の中で一喜一憂する市場環境が継続されるとみておくしかありません。
鬱陶しいことこの上なし、です。
寺本名保美

(2012.05.11)



優しすぎます

様々な不祥事があった後初めての四半期報告会ですが、喉元過ぎてしまったのか、運用機関から緊張感はほとんど感じられません。

特に信託銀行にとっては基金周りで吹き荒れる暴風雨などどこ吹く風、
メガ信託誕生に端を発したシェア合戦にしか興味がないようです。

問題の中心になった投資顧問業界だけでなく、信託銀行を含めた運用機関全体に対して、基金事務局や理事会が感じている強い不信感など、全く理解していないとしか思えません。

事務局の皆様、相変わらず運用機関に優しすぎます!
寺本名保美

と書いている端から激怒した午後でした。(溜息)

(2012.05.10)



電池がない

スマートフォンの電池の持ちの悪さにイラつきながら、補充の充電池を買いにドコモショップへ駆け込みました。

最近電池の消耗が早いと言うと、「はい、スマートフォンまは1日持ちませんので」と笑顔でいわれ。1日持たない携帯電話など作るな~とまたイラつき。

ということで、電池がないので今日はこれだけ。
寺本名保美

(2012.05.09)



祭の後は要注意?

昨日SNSゲーム関連の株価が急落しました。
年末からくすぶっていた規制強化の噂が再燃したためです。

この件とは無関係ですが、米国株式市場に大きな変調が起きるとすると、きっかけは欧州危機ではなく、SNSバブルの崩壊であるような気がして仕方ありません。

Facebookが世の中を変えるというフレーズを聞く度に、Amazonが世界を変えると唱えていたドットコムバブルを思い出してしまいます。

実際にAmazonのビジネスモデルが日の目を見たのは、バブル崩壊から5年以上経ってからです。

Facebook上場のお祭りが終わった後の株式市場には注意が必要なのかもしれません。
寺本名保美

(2012.05.08)



失われた10年の始まり?

お約束通り、景気指標の悪化し始め、商品価格が急落し、株価が抜けて、金利は市場最低水準に逆戻り。

この3年間全く同じパターンのゴールデンウィークとなりました。

この3日間での原油先物市場の下落幅は7%を超え、欧米株式の下落は2.5%を超えています。

新興国では昨年までの懸念先であった中国から、今年はインドに矛先が移っています。

フランスは政権交代が決定し、ギリシャの連立与党が過半数を獲得できるかどうかが微妙な情勢となりました。

値段だけではなく、昨年1年間の不安も期待も、全て振り出しに戻ってしまうような感触です。

失われた10年になるかどうかはわかりませんが、間違いなく1年は失われています。

(2012.05.07)



治安の改善とコンビニ

メーデーとゴールデンウィークが重なると、さすがに国内外とも静かです。

今日の日経新聞に、コンビニの出店件数が国内を海外が上回る、という記事が出ていました。

日本のビジネスモデルが世界で受け入れられた成功例として、嬉しい事例です。

また、一時代前までは、商品を陳列した夜間営業は、安全な日本だからこそ成り立つものだと言われていたことを思い出すと、各国特に新興国での治安が景気拡大とともに大幅に改善したのだと実感する事例でもあります。

反対に日本での犯罪の方が多くならないように、祈るばかりです。
寺本名保美

(2012.05.02)



ゴールデンウイークなので…

札幌にいます。
雪のない風景に目が慣れず、通い慣れた道を間違えました。。。

一泊付のパック料金が、「片道」の飛行機代と同じ、というかなり不可思議な価格設定につられ、日帰り出張のはずが、泊まりに変更です。

大概の価格設定のカラクリは見当がつくものなのですが、旅行・飛行機
関連の価格設定だけは、本当にわかりません。

なんだかホテルにただで泊めさせてもらうようで気が引けるのですが,今
晩は一人ゴールデンウイーク気分に浸ってみたいと思います。
寺本名保美

(2012.05.01)


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