基本に帰る
本年の営業は本日までとさせていただきます。
年初の怒濤の下落相場から、ばねが弾けたような反発相場、そしてドバイショックと、相変わらず気の抜けない一年がようやく終わります。
来年は今年のような、ボラティリティに助けられる反発相場は望めず、よりファンダメンタルズやイベントに注意を傾けたポートフォリオ運営が必要な一年になるでしょう。
分散投資や代替投資、アクティブ運用やパッシブ運用、資産配分やリバランス。年金運用に関わる部品一つ一つの役割の本質を改めて見直していく一年にしていきたいと思っています。
個人的には少し頭を休めた一年を過ごされていただきました。サボり癖が着かない内に、来年からは回転率を上げて頑張りますので、株式会社エー・エム・シー共々どうぞよろしくお願いいたします。
よい新年をお迎えくださいませ。
(2009.12.28)
外需と内需
今年の日本の金融市場での最大のBIGニュースは、私にとってはサントリーと麒麟です。
外需とか内需という言葉の使い方は難しいのですが、世界で戦える巨大内需産業の登場は、日本の将来に一つの指針を与えてくれたように思うからです。
外需というのは、何も電機や機械や自動車産業だけを指すのではなく、これまでは内需産業と位置されやすかった食品や小売リや鉄道やもしかすると電力なども含め、市場競争力と規模さえあれば、外需産業となりうるのです。
ユニクロも、ベトナムで採用の決まった新幹線も、原子力発電も、水資源技術も、外需の核となりうる産業でしょう。
不況下での企業統合圧力は、むしろ日本の国際競争力を高めるよい機会になるかもしれません。
(2009.12.25)
お気に入り
最近「和風総本家」というテレビ東京系の番組がお気に入りです。
日本の食材や工芸品などを紹介するバラエティですが、堅苦しくなく、でも素材の良さがきちんと伝わる番組です。
海外に行って、NHKの国際放送にチャンネルを合わせると、日本の地方や文化を紹介する番組が放映されています。ややエキゾチックさを強調しすぎている部分もありますが、よくできた番組で、何故こうした番組を日本国内向けに放映しないのか、少し不思議に思います。
話は飛びますが、大手酒造メーカーが共同で海外輸出向けの日本酒の開発に乗り出したというニュースが出ていました。
何かを売るときは、まず売り手がその商品の良さを心から理解することが大切です。メイドインジャパンを売り込むためには、まず我々一人一人が、その良さを知ることが大切です。
今日はクリスマス。ドタバタのバラエティは少し横に置いて、ほのぼの「和風総本家」でも見て過ごしませんか?
(2009.12.24)
どっこいしょっと、国内株式
4営業日ぶりに会社で思いつきを書いています。
信託銀行さんのALMの話を聞いても、企業さんの国際会計基準への対応のお話を聞いても、来年度は株式、それも日本株の配分比率が劇的に低下しそうな嫌な予感がします。
嫌な予感というのは、それによって国内株式の需給が悪化するという意味ともう一つ、また底値近くで配分を減らすのか、という二つの意味を込めてです。
2003年の代行返上において、年金基金は国内株式市場の底値を自分達の現金化によって演出しました。外国人投資家が日本株式投資に本格参入したのはまさにそのタイミングからです。
お客さまからブツブツ言われつつ(笑)、国内株式配分を10%前半しか推奨していなかった弊社としては、そろそろ配分増を検討しましょうか…
(2009.12.22)
政治離れ
内閣支持率が二桁の急落となったことと、未だ50%を維持してしることと、どちらも不思議ではあるものの意外感もありません。
今の鳩山政権に失望しつつも、なら自民党のままなら良かったとも思えず、政治や政党というものへの期待値がどんどん低下していきます。
政治家が来年の参議院選のことばかり気にしている中で、街の景況感はかつて経験したことがないほど劇的に悪化しています。
政治に頼らない国作りを、本気で考えていかなければいけない岐路に私達はいるのかもしれません。
(2009.12.21)
イベント色々
とうとう昨日ギリシャが格下げとなりました。
スペイン、イギリス、アイルランドだけでなく、旧東欧圏の懸念もあります。
地理的に近い中東地域の財務リスクもあり、欧州からの資金逃避が起きつつあります。
一方、アブダビがシティに出した優先出資7500億円の損失補填を要求し、米国政府がシティ株の売却を一時停止せざるをえなくなったという不気味なニュースも流れてます。
すでにクリスマス休暇入りしている海外市場の休暇明けが、少し心配です。
(2009.12.18)
COP15暖かい…
クリスマスが近いということも、今年も後二週間しかないということも、ほとんど認識することなく、まさに「師走」な日々を駆けています…
実感がないのは単に忙しいからなのか、街に華やぎがないからなのか、歳のせいか、よく判りませんが、やはり一番大きいのは気温のような気がします。
さすがに今日初めて手袋をしましたが、毎年毎年確実に東京の12月は暖かくなっています。
南半球ではサーフボードに乗ってくるサンタクロースが、北半球では雪が降らずに自転車で、などという風情のない話になりかねません。
(2009.12.17)
全損決定
デフォルトした不動産ファンドが保有し担保権を行使された東京駅の大型テナントビルの売却が決まりました。
当初取得原価2000億円に対し売却価格1400億円です。
1400億円で売れた、ということはすなわち600億円の損失が確定したということを意味します。
つまり、証券化ファンドの投資家(エクイティ投資家)の「全損」の確定です。
ノンリコースローンを出していたシニアの貸し手分(1120億円)はセーフ。劣後ローン(メザニン)の貸し手650億円の50%以上が毀損。250億円のエクイティ全損、となります。
価格の下落幅は約30%です。投資物件3割下落でエクイティ全損、という典型パターンです。
これを材料に急騰している不動産株って、理解に苦しむのですが…
(2009.12.16)
中途半端だ…
ドバイ、とりあえず最初の償還日。中途半端な結論にどう反応したらよいものか?
アブダビの100億ドルというコミット金額も中途半端なら、銀行との債務返済延期交渉が決着したら出す、という条件も中途半端。お陰で株式市場も多少は戻したものの、債券も何故か買われ、ユーロは戻したものの円高は変わらず、と市場の反応も中途半端。
銀行団との交渉決裂に備え、国際基準の破産法を緊急に整備し今日にも公布?とかいう不思議の国のドタバタにまだ当面振り回されそうな情勢です。
(2009.12.15)
借金は返すものです
大阪府知事が昨晩のテレビで関空について一言。「事業をやめるとは言っていません。債務を圧縮するということはありえますが…」
お金を借りている側が、「債務を圧縮する」という表現はおかしくありませんか?
借りている側が公の場で、堂々と、借金の減額を要求するなどという非常識な話が通るのは、日本特有の「銀行債務の減免とか債権放棄」という非公式なデフォルト文化があったところに、私的ADRというそれを追認するような仕組みができたところにあります。
特に関空のように、公募債券を発行している機関については、株式の上場会社と同様に「公器」としての責任があります。一方的に潰すだの借金返さないだのと、言える立場ではありません。
借金は返すものです。
(2009.12.14)
久々に、、、これはダメでしょう
「高格付」で「高金利」。組入れ債券は国債か政府機関債のAAA。
取扱いは銀行の店頭。
という新聞両開きカラー広告。
本当の中身についての表示はほとんどなく、一番小さい活字で「先進国国債と新興国債(国際機関債)の比率は1:2程度」と書いてあるだけ。
運用会社さん、販売銀行さん、どうしましたか?従来の外債ファンドの残高が伸びなくなってきたので、なにか焦ってますか?
金融商品全般の販売が個人向け、金融法人向け、共に苦しくなっているなかで、またぞろ「売らんかな」型の話が増えてきているのは、年金市場も同じです。くれぐれも巻き込まれないようご注意くださいませ。
(2009.12.11)
新興国なみ?
日本のGDP数値発表に続けて3回のミスがありました。最後の大幅下方修正はミスとはいえないかもしれませんが、政府の出す統計数値に大きな不信感を持たせたことは事実でしょう。
決算や財務などの公開情報に信頼性がない企業の株式が嫌われるのと同じように、国の出す公開情報の信頼性は金融取引においてとても大切です。多少情報に不備があってもそれを上回るだけの伸びしろががある新興国であればともあれ、ただでさえ成熟した経済を抱える日本の国民経済統計が新興国並みでは、救いようがありません。
グローバルマクロなどのヘッジファンド戦略では、GDPなどの各種統計数値を変数として、為替や金利や株式市場でのポジションを決めるものもあります。不用意なフライングやミスがそうした戦略にとって非常に大きな損失となることもあるのです。
日本という国を投資対象から外す材料ばかりが目に付くのは、本当に心配です。
(2009.12.10)
底
「底」という漢字が今年ほど頻繁に使われた年はないのではないでしょうか。
株式市場の底、景気の大底、ドルの底抜け、そういえば内閣支持率の大底というのもありましたっけ…
ここにきて、各国の財政が底をついてきたというあらたな波乱材料も出て来ました。
今年が良くも悪くも底を認識する年であったとするなら、来年は底のひび割れを修復して安心感を確立する一年にしたいものです。
まだしばらく底固めの日々は続きます。
(2009.12.09)
800万人のため息
今年の6月に500万人と書いた米国の労働力ギャップが、直近では800万人まで拡大しています。
失業率という意味
ちなみに今年始めの数字は300万人でした。オバマさんが就任した際公共投資で300万人の雇用を創出すると言った数字は、確かに正しかったのですが、今となってはその2.5倍の労働力が余っていることになります。
この水準は1982年から1983年、日本車の輸出で自動車産業が崩壊した米国が、1985年のドルの実質切り下げと1988年のスーパー301条に繋がる急激な保守化のきっかけとなった、大量失業時代に匹敵します。
バーナンキ議長の言う「米国経済の恐ろしいまでの向かい風」とは、金融政策ではどうすることもできないこの800万人のつくる巨大なため息なのかもしれません。
(2009.12.08)
日本の運用機関の今後
外国株式の運用において、社内のアクティブ運用部隊を縮小し海外運用機関の提携商品に切り替える動きが加速しています。
パフォーマンスが芳しくなく顧客受けが悪いにも関わらず、組織維持のコストばかりが嵩むインハウスより、組織維持にコストは掛からず、ブランド名で高いフィーが見込め、過去の結果はインハウスよりはよく、万が一悪くなってもレピュテーションリスクの半分は提携先にある、という点で経営的には効率的な選択でしょう。
それで、日本の運用機関は何をする会社になるのか?という大命題が残ります。結局グローバルな運用機関に成り得ず、日本株特化いう資産カテゴリーもグローバルには風前の灯火となりつつあり、資産配分リスクをとることもない。
繊細なメンテナンスの必要なクオンツ運用系は、もしかすると日本人向きなのではないかとか思っているのですが、日本の運用能力の何が世界に通用するのか真剣にかつ早急に考える時期が来ているようです。
でなければ、日本の運用機関の淘汰が加速度的に進むことは火を見るより明らかです。
(2009.12.07)
静ちゃん恐るべし?
亀井さんが「日銀の努力が足りん」と騒いだから、日銀が動いたわけではないと信じますが。
日銀が動いた直後、円高逆戻りしそうな雰囲気のなか、「皆で仲良く為替介入♪」とおっしゃり。
仕分けブームで補正規模に暗雲が漂い始めると、「11兆円の真水を地方に直接撒く!」とおっしゃり。
もちろんその前の、ミニモラトリアム政策が結局実現したことも含め、なんとなく「有言実行」のイメージが形成されつつあるのは否めないところであります。
従来の官僚より、むしろ役人っぽく見える現在の民主党の政治家の中で、亀井さんのこの超伝統的な政治家スタイルが妙に国民や市場の心を揺さぶる効果があるのでしょう。
まぁこの神通力、そう長続きしないかもしれませんが。
(2009.12.04)
ドバイはどちら?
市場的には落ち着いてきたように見えるドバイ関連で気になることが一つ。
ドバイ政府や、サウジの王子様とかが、「ドバイワールドは一民間企業であり、ドバイ政府とは無関係で、ドバイワールドに貸し付けた民間企業は自己責任です!」と言っていらっしゃること…
古くは日本の長信銀の金融債から始まり、近くでは米国のファニメイなどまで、暗黙の政府保証といわれた債券に問題が生じたことは何度かあります。一応日本や米国やドイツなどは株主は毀損させても、暗黙の政府保証が認識された債券については、元本を守ってきました。
例外は、中国の地方投資団体で、これは思いっきり踏み倒されました。
で、ドバイはどちら側なのか?という疑問になるわけですが、果たして???
(2009.12.03)
デフレは気から?
ここ数ヶ月で急激に高まった、この異様なデフレ感と停滞感はどこから来るのでしょう?
大企業の人と話している限り、ボーナスこそ厳しいものの、まだ人員カットが本格化している様子はありません。それでも行列の出来ていた千円以上のランチは閑古鳥が鳴き、350円の値段なりのお弁当に行列ができ、コーヒーを買わずに水筒持参の「水筒男子」が増殖中?
本格的な冬が到来する前に精神がいち早く厳冬状態に入ってしまったようにも見えます。
エコの逆ですが、一人一人の百円千円という節約が経済全般に与えるインパクトというものは意外と大きいものです。
精神先行のデフレに中央銀行ができることなどたかがしれています。
(2009.12.02)
スポーツ振興
この週末はテレビでスポーツ観戦三昧という方が多かったようです。
この一年、どちらかというと重苦しい世相の中、スポーツの話題だけは豊富だった気がします。
にも関わらず、来年度以降企業業績が苦しいなか、プロスポーツもまた支出削減の大きなターゲットと成りそうな嫌な雰囲気が漂っています。
ここは選手も企業も頑張って、将来の松井や石川や横峰などの若い芽を摘まないように、支援が続くよう願うしかありません。
間違っても社内仕分けの対象にはしないでいただきたいと、心から思います。
(2009.12.01)