どこまで戻る?
2月末の日経平均が2003年4月末につけた安値を越えてしまうことがほぼ確実となり、水準感を失ってしまいました。
こういう時はチャートで確認、というのが常套手段です。それも長~いチャートで。
1982年9月末の6911円というのが直近(?)の月末安値となります。
株式市場というものが、その国の経済活動の総和であるとするならば、幾らなんでも1982年まで戻る必要はないのではないかと思うのです。
せめて日本の真正バブルの始まる直前の1985年11月のプラザ合意直後の円高不況あたりの経済力あたりで妥協してもらえないものかと思います。
個人的には、7000割れから13000円ぐらいまでの大きなボックスが今後数年の水準感なのかなぁ?というのがぼんやりとしたイメージです。
(2009.02.27)
気迷い
最近、海外メディアの市場コメントを見ていると、その混乱ぶりに思わず笑ってしまいます。
「米国の金融機関が国有化されるとの観測から株式市場は上昇し…」と言って始まった市場の終りは、「国有化観測が否定されたことで上昇し…」となり。
「国有化観測により金融システム不安が遠のいたため 金 は下落した」というコメントと、「金融危機が再発するという懸念から安全資産としてのドルは買われ…」というコメントが同時に出たり。
メディアが混乱しているのではなく、市場参加者そのものが混乱しているだけでもあります。
国有化という選択枝は一切ないと言い切った数時間後に、シティ株の40%を政府保有で合意の見通し、という記事が出てみたりと、混乱するなというほうが無理でしょう。40%政府保有は民営で50%を越すと国有、ということ?そうですか…
(2009.02.26)
次はうち?
日本が欧米の金融危機の被害者だった時期は終り、これからは日本が立ち直りかけた世界の金融市場の足を引張る側に回るのではないかと思うのは、杞憂でしょうか?
決算時期がずれているという不幸もあるのですが、日本の足元の金回りの悪さがここにきて急激にクローズアップされてきているように思います。
各国とも、国内市場をよくみれば似たり寄ったりなのかしれませんが、少なくても日本が資金フローの要となっていた1年前とは様変わりです。
2円の円安にも、株価対策という言葉にも反応しない国内株式市場が、ひどく不気味に見えるこの数日です。
(2009.02.25)
日本の金融機関
みずほファイナンシャルグループが、5年で14.95%($)の固定配当の優先出資証券を発行したり、野村ホールディングスが時価総額の3分の1に達する規模の公募増資を発表したり、という現象が、2007年に金融危機が始まった当初の米国の状況に近似してきたように見えるのは、どうした訳でしょうか。
それなりに痛んでいるとは思っていたものの、実体が見えてきていなかっただけに、今回の日本の金融機関の資本増強政策には得体の知れない気持ち悪さがつきまといます。
落ちるところまで落ちて国有化が現実味を帯びてきた米国金融機関より、今頃落ち始めた日本金融機関のほうがよほど心配になってきました。
こういう時こそ、機動的で透明なディスクローズが求められるのはいうまでもありません。
(2009.02.24)
ファンド規制と税金
欧通貨当局がヘッジファンドを規制したがっているのは、ヘッジファンドの投資行動を規制したい、というよりは、ヘッジファンドの税制を規制した、という方が強いのではないかと感じています。
オフショアの租税回避地域に法人格を持ち、基本的にどこの国にも税金を納めないファンドが、国内投資家に損害を与える可能性があるからといって、最悪の場合「国内投資家保護」の名目で、税金で救済しなければいけない状況になるのは、国として不本意であることこの上なし、です。
直接ファンドそのものを救済しなくても、ファンドビジネスのもたらした各種の問題が金融システム全体を揺るがし金融システムに税金が投入されるのであれば、同じことです。
会社型投信のように、形態は企業であっても実質的な投資目的会社であれば、法人税とは別の税体系を設ける等の工夫は必要ですが、ファンドは無税、という現在の仕組みにやや問題があるのは、事実なのではないかとも思います。
(2009.02.23)
がんばれ~
東京は大雨です。
当社の社長は久しぶりの雪だるまです。
東京の電車は大雨でも遅れます。
新幹線は大雪でも大丈夫!
だとよいですが…
(2009.02.20)
貯蓄から消費
以前からここでも書いているように、2004年までの景気回復を2005年に個人消費に転嫁できなかったことが、日本のこの5年の最大の失策でしょう。
経済サイクルは必ず循環するもので、外需に依存しすぎる経済は裾野が狭くショックに弱いということは、判りきったことです。
だから外国人投資家は2006年日本株に早々に見切りをつけました。
業績の回復を賃金に反映させるタイミングが明らかに遅かったこと、年金不信にこだわりすぎて国民のセーフティーネットへの信頼感を失わせたこと、あたりが主犯になりそうです。
次の景気回復過程では、「貯蓄から投資」ではなく「貯蓄から消費」に向わせるための処方箋が必須です。
(2009.02.19)
不機嫌な他人、そして自分へ
景気が悪くなってくると、不機嫌な人が増えてきます。
ある意味しかたのないことですが、それでもファーストフードなどで投げやりな応対にあうとムカつきます。
そういう応対をされたことに対してではなく、この深刻な経済環境で働く場を与えられていることへの感謝や喜びを感じていないことにです。
そんなにやりたくないのなら、人生かけて仕事を探している人に譲ってあげれば良いのに、と言いたくなります。
仕事が有ることに感謝。生きていることに感謝です。
(2009.02.18)
変化率と変化幅
3ヶ月ごとに3%ずつ年間で12%下落するのと、3ヶ月で12%近く下落してその後水面上を行きつ戻りずするのと、どちらがインパクトが大きいか?
GDPに限らず、このところの経済指標の下振れ幅のあまりの大きさに、世間が凍結してしまっています。
2003年から5年掛かりで積上げてきた生産水準を、わずか3ヶ月で吐き出そうとしているわけですから、変化率は劇的なものにならざるを得ません。
一方で2003年、悪くみても2001年の、生産活動の水準に世界経済が戻ろうとしているだけなのであれば、底は自ずと見えてきます。
ファンドがレバレッジを解消する過程で、本来価値以下の水準まで資産価格を売り叩いてしまったように、実体経済の水脹れも吐き出す過程ではやや下押しをする可能性はあるでしょう。
それでも底はたかだか数年前の水準にあるはずです。短期的な変化幅の大きさに反応して経営者も消費者も萎縮してしまうことで、却って谷を深くしてしまうのではないかと懸念しています。
(2009.02.17)
お~い
「大丈夫か?ニッポン?」
と、おそらく世界中に配信されてしまったG7となりました。
この政治の壊れ方はタダモノではありません。
自民党に限らず、ヒラリーとは別に会いたくて会うわけではない、と言ってしまう、野党党首も含めてです。
景気や株価や政党支持率が、想像も経験もはるかに超えたスピードと変化率で急降下したので、思考回路が停止してしまったように見えます。というか頭が本能的に判断を放棄してしまったのかもしれません。
使う頭なんてないだろう、とかいう類の嫌味や文句を言うという次元を超えて、本当に心から心配をしています。
(2009.02.16)
誰が一番弱気か?
2002年や2003年、実体経済が回復しつつあるにもかかわらず、金融機関の体力が戻らず、かつ代行返上などの需給で株式市場が下落を続けていた頃。世の中で金融機関関係者が一番弱気だったことがありました。
自分達の身に降りかかっている災難が、世の中全てでで起きているという錯覚を金融機関関係者全員が持っていた時期です。
今から当分の間、世界的に金融機関に勤める人々の話を聞くときは、話半分に聞いておいた方がよいような気がします。
特にこれまで我が世の春を謳歌してきた金融エリート達がこれから感じる不幸感は、2002年2003年に日本の金融エリート達が感じた不幸感の何十倍もあるでしょう。そういう人達のセンチメントに一般の人々がお付き合いをする必要は全くありません。
自分達の足元だけを見ながら、冷静に判断していきたいと思っています。
(2009.02.13)
国内に需要を!
国内・海外問わず、株式ファンドがこの10-12月で行った「内需依存型企業」へのポートフォリオシフトは、まるで雪崩のようです。
業績の下方修正と株価とどちらが先かわからない程、世界中で外需依存度の高い銘柄が切り捨てられました。
動きがあまりに極端であったため、1月にはやや揺り戻しが起きています。
日本の外需関連企業の低迷は為替要因が大きいと言われていますが、為替要因の影響を受けないはずの欧州でも内需シフトが起きていることに注意が必要でしょう。
金融危機後の経済を動かすのは「内需」です。国内の需要が極限まで低迷している中、残り少ない生産や労働のパイをできるだけ国内で分配していこうとするのは、当然のことです。
国も企業経営者も、他国の経済頼みからの脱却を考えなければ、日本は大変なことになります。
(2009.02.12)
ロシアのデジャビュ
ロシア、民間債務繰り延べ要請へ (日経)
欧米日本の金融機関さん達はこれに応じるのですか?
資本不足への増資要請であれば、最終的にロシアの銀行の経営権を握れるかもしれません。(欲しくないかもしれませんが…)
債務免除では、損失を確定させるだけで、何一つ恩恵がありません。
前回のデフォルトから10年。自分の首を差し出すことなく、単に困ったから助けてくれる?みたいなことをこの国はまた繰り返すのでしょうか?
頼む方も頼む方なら、応じる方もどうかしてる、と私は思います。
(2009.02.10)
J-REITの再構築
J-REITの抱える問題点は、J-REITという構造のどこに問題が潜んでいるのかが非常に判りにくい点にあります。
そもそもJ-REITが証券化商品と同じ層階構造をしており、レバレッジ構造のうち回収順位が最も後回しにされる部分への投資である、という説明を商品設立時点で、国も東証も業者もほとんどしてこなかったことに最大の問題があります。
また、REITの母体企業が破綻した場合、REITの運営会社が破綻した場合、REITの資金調達先が破綻した場合、REITの投資物件の入居社が破綻した場合、etc... それぞれ、REITの投資家にどのような悪影響があるのか、といったイベントに対する感応度が、結局のところ何か起きてみないことには判らない、というところも、投資家の警戒心を高めている原因です。
J-REITという複雑怪奇なシステムは、一度壊して再構築させた方がよいのではないかと思っています。
(2009.02.09)
人脈の崩壊
2000年代初頭、大手コンサルティングファームと大手会計事務所によって組み上げられた株主資本主義と呼ばれる仕組みは、資本効率を最大限に追求した結果レバレッジ会計の暴走を招き、会計不信問題での株式大暴落を引き起こしました。
あの頃、コンサルティングファームや会計事務所で働く人々やその出身者に感じていた、「異常な自信とおごり」をこの数年、一部のウォールストリート関係者に感じ続けてきました。
今回のバブル崩壊はウォールストリート人脈の崩壊でもあります。
人脈の崩壊は、それに依存していた、意思決定の構造も揺るがせます。
郵政民営化もまたしかりかと??
(2009.02.06)
金融業界の下方修正
米国で公的資金注入を受けた金融機関の役員報酬が年間50万ドル(4500万円)に制限されることになりそうです。必然的にこれまで億円プレイヤーだった一般社員の報酬も制限されることになるでしょう。
年収が8掛け9掛けとなった彼らはどうするのか?半年前までであればヘッジファンドがある程度の受け皿になったでしょうが、今となってはこの数年で雨後の筍のようにできたヘッジファンドは淘汰の最中にあり、生き残っているヘッジファンドも当面成功報酬は期待できず、インベスメントバンカーを高額で受け入れる余地などありません。
結局のところ金融業界の報酬水準が、業界全体として下方修正されることになるだけです。
製造業と金融業との報酬格差が縮むのは、世の中全体として悪いことではありません。
(2009.02.05)
日本だって大変なんです
日本の政治を外から見ると、とても呑気で優雅に見えるのではないかと思ったり。
国家公務員の人事も、郵政の後片付けも、次の政権も、みーんなとっても重要な事柄ではあるものの、今の経済金融危機とはぜーんぜん関係なし。
傍からみてあまりに呑気で優雅に見えるから、
「それほど危機感がない程度にしか経済が痛んでいないのなら、その余った力を世界に貸してください♪」と言われるわけです。
クリントンさんの外交先第一号に選ばれたといって喜んで、「貴方だけが頼りよ」と囁かれて大判振る舞いとする、という結果だけはお願いですからやめてください。
嘘でもいいから緊張感を出してくださいませ。
(2009.02.04)
GPIF
過去の思いつき
公的年金運用を巡る世間の議論の不毛さに辟易してきました。
一年前に宣言したように↑、100兆円を越す資産を市場運用すれば数兆円の損失が出る年があるのは当たり前のことです。環境がよい時期に憬れた、各国のSWFはこの一年で数10%の損失となっています。日本の規模に当てはめると30兆円とか40兆円とかいう規模の損失です。投資金額が大きいということは実額の振れも大きいということです。
そもそも公的年金を「国家に対する貸付金=財投」運用、から市場運用に舵を切ったのは、この150兆円が国の借金を引き受け続けることによって国家の財政規律に悪影響を与える、という意見が強かったからです。米国のように国債100%の運用に戻ろうとすると、必ずこの手の議論が蒸し返されます。
個人的には、今の公的年金(GPIF)の運用は、現在の国債保有部分である65%程度を「時価評価をしない国債の持ち切りとし」、残りの35%部分で3年から5年を意識した中期の市場型ポートフォリオを構成するというのが理想だと思っています。
いずれにせよ150兆円全てを単年度の時価評価に晒して一喜一憂するような仕組みは見直すべきでしょう。
(2009.02.03)
ベタ凪経済と株式市場
「各国の主要金融機関が皆国有化されたら、金融危機は終わるのか?」
「主要金融機関が国有化された経済というのは、正常な成長軌道に戻ることができるのか?」
今の私の頭の中をグルグル回っている問いです。四半期報告でも個別ミーティングでも相手構わずこの質問をしています。
今のところの結論としては、ひどく上下動の小さいベタ凪の経済に向ってランディングしていく、というのがメインシナリオ、でしょうか。
過去の高成長を忘れられない株式市場は、それでも乱高下はするでしょうが、気が付くと低成長の経済に引張られて元の水準に戻ってしまう、というまさにバブル崩壊後の日本の株式市場を全世界が繰り返すような気がしています。
これから数年は、やや逆張り気味の資産配分に徹した方がよいのだろうと思っています。
(2009.02.02)