子供に聞かせる選挙

2024年から続いていた主要国の「選挙イヤー」の終盤の山場だった日本の参議院選挙が終わりました。

インフレと分断の時代において、政権与党に勝ち目はなく、どの国においても政権交代のきっかけとなる選挙となりました。

そういう意味では、今回の選挙結果に違和感はなく、日本もまた国際政治の中の一部であることを、改めて確認する週末だったのかもしれません。

それにしても、日本だけでなくもちろん米国を始めとする他国においても同様の傾向があるとは思いつつ、「子供に聞かせたくない選挙演説」というものが主流となるのはいかがなものかと、つくづく思うこの2週間でした。

他者を否定することでしか自己主張できない大人。
他者を排除することでしか自己防衛ができないとする大人。
幸福よりも不幸の数を数えることが得意な大人。

選挙というものはこういうもので、与野党逆転を目指す以上、現状の否定がスタートラインだということは承知の上で、それでもなお「政治」がこんなカッコ悪い大人のするものだと子供に刷り込まれることが、将来の政治にとって良い影響を与えるとはどうしても思えないのです。

選挙が罵詈雑言無礼講の大人の喧嘩祭りではなく、文字通り「未来を担う子供達」に聞いて欲しいと思える真の戦の場に戻ることを心から望んでいます。

寺本名保美

(2025.07.22)



新年度に向けて

2025年度がスタートしました。満開宣言をした東京の桜は、季節外れの氷雨で蕾みに戻り、週末の再開花に備えています。

金融市場も桜と同様、強い偏西風に煽られて、一斉に身を縮めてしまった期末となりました。毎度のことながら日本の決算期末が3月末であることが恨めしい気持ちになります。

前回のセミナーでもお話したように、これからの金融市場は良くも悪くも短期的な価格変動の影響を受けやすくなります。3月31日ピンポイントで評価される決算リスクを避けることはできないものの、だからこそ、運用目的やポートフォリオの構成意図、そして潜在リスクなどをステークホルダーと如何に事前に共有していくか、という日々のプロセスの重要度が増すことになります。

アセットオーナープリンシプルで大きなテーマとなった情報公開ですが、過去の運用結果の開示といった後ろ向きの目的ではなく、アセットオーナーとステークホルダーとの信頼関係の醸成や対話の一環として前向きに捉えていくことができればよいと思っています。

週末の再開花に備える桜のように、我々も少し身を縮めエネルギーを蓄えつつ次の開花に向けての準備をしていきたいと思っています。

寺本名保美

(2025.04.01)



セミナー御礼

昨日の資産運用セミナーでは、ちばぎん総合研究所代表取締役社長前田栄治様をお招きし、「日本経済の実情ー日本は温まっているのか?」という演題で基調講演をいただきました。
千葉県の実情も踏まえつつ、徐々にではありますが日本経済の温度が上がりつつあることが確認できると共に、国内のインフレと金利環境が失われた30年とは大きく変化していることを強く意識する内容となりました。

国内外共に、イノベーション伴う経済成長という長期トレンドはまだ始まったばかりです。イノベーションの主役も適時テーマは変化し陳腐化することなく変革を続けています。政治や地政学といった短期的なノイズはあるものの、投資環境はこの数十年経験したことのないような魅力的な時代に入っているともいえます。

成長があり、インフレがあり、金利があり、ボラティリティがある。という当たり前の投資環境への回帰を前提とした運用戦略を考えるのは、とても楽しいことである一方で、短期的なノイズに一喜一憂しないようなリスク管理体制の構築が従来以上に重要となってくることでしょう。

セミナー内容にご関心をいただけた方には、講演資料をご提供いたします。弊社宛にメールにてご連絡いただければ幸いです。

寺本名保美

(2025.03.13)



明日12日は弊社のセミナーです

荒れた環境ではありますが、明日12日は弊社の資産運用セミナーの開催日となります。

今回のメインテーマは『高温経済への処方箋』です。
ボラティリティの小さい、従前の適温相場が懐かしく思える今日この頃ではありますが、温度が上がるとブラウン運動が活発化するように、政治も経済も民意も良くも悪くも温度が上がり、活動が活発化しています。

資産運用にとって、ファンダメンタルズ環境が活発化することは、決して悪いことではありません。プラスマイナスの振れ幅が大きくなることを厳しく感じるかもしれませんが、上下動を繰り返しながらも中長期の成長ラインがしっかりと右肩上がりを形成していくことこそが、本来の経済と金融市場のあるべき姿のはずです。

今回のセミナーでは、デフレ経済からもゴルディロックスからも卒業し、新たな世界に踏み出した金融経済環境についての整理と、運用の処方箋についてお話する予定です。

寺本名保美

(2025.03.11)



炎上

米国とウクライナの首脳会談について、NHKの全文サイトを読む限り、両首脳を挑発して火をつけにいったのは質問している記者であり、そのボヤに油を注いだのは米国側の側近達であるようにしか見えません。

トランプ大統領は記者の挑発に対し、中盤までは比較的抑えた対応をしていたし、ゼレンスキー大統領にしてもトランプ大統領に対し直接的な反論はしていませんでした。

ゼレンスキー大統領に対しその言動を失礼だと非難し、会見を中止に追い込んだ側近達にどのような思惑があったのかは知りませんが、「大統領執務室」において他国からの来賓を前に、過去の「自国の大統領達」を無能者呼ばわりすること以上に、「大統領執務室」を汚す言動はないのではないかと思ったします。

炎上させることで存在意義を示したい記者はどこの国にもいるとして、米国大統領側近までが同じ感覚でいるとは考えたくはないものの、ここは米国の側近を一旦排除した上で、大人を自認する英欧首脳が立ち会いの元でのTOP会談の再設定が期待されるところでしょう。

今回の件で、船頭の多い今のトランプ政権の実態が垣間見られたような気がして、少々暗澹とします。

寺本名保美

(2025.03.03)



岩盤の保守層

今の世界のイノベーションを妨げているのは、国による規制ではなく、岩盤の保守層である自動車産業なのではないかと、思ってしまいます。

20世紀最大最強の産業であった自動車業界は、米国・欧州・日本を問わず、各国における製造業の頂点に長く君臨した成功体験から抜け出せず、どこの国においても時代の変化への対応が酷く緩慢であるように見えます。

これまで1世紀以上基本コンセプトは何一つ変わることなく、化石燃料と共に「化石化」してきた自動車産業が、漸く変革期に入ることで技術も社会もインフラも大きく変わることを期待していたのですが、変化は遅々として進んでいません。

アメリカは再び燃費を無視したアメ車志向に戻り、欧州は中国市場に振り回されて方向性が出せず、日本はせっかく到来した業界大再編の機運がわずか数か月で頓挫しそうです。

業界の技術革新が緩慢なのではなく、過去の栄光を手放せない経営感覚に問題があるようにしか見えないのです。

社会的影響力の高い産業であるからこそ、自動車産業の経営者には、自動車村の常識から一線を画した決断をしていって欲しいと切に願っています。

寺本名保美

(2025.02.06)



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