24日の弊社セミナーにご参加いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
最近よく耳にはするものの、全く実感のわかないデジタル通貨のお話は、岩下先生の非常に具体的な実例をもとにした解説をいただき、ほんの少し理解できた、ような気が個人的にはしています。
既に33兆円もの規模まで膨らんだステーブルコイン市場ではあるものの、まだまだ問題は山積みで、ドルや円といったリアル通貨の覇権を脅かす存在にはなっていないようです。
一方のリアル通貨をみてみると、ドルが高いのは米国市場が投資先として有望であり、円が安いのは日本市場が調達市場として安定しているからであることが検証できます。この関係性が大きく変わらない限り、今の通貨市場の傾向もまた大きく変わることはないのだと思います。
円高トラウマとなっているプラザ合意から40年。通貨の持つ短期的なボラティリティは管理する必要があるものの、通貨もまたリターンの源泉の一つとして戦略的に取り組む必要があるのではないでしょうか。
次回はまた3月に企画したいと思います。次のテーマを考えるのが楽しみです。
寺本名保美
(2025.09.25)
本日は、弊社第37回目の資産運用セミナーとなります。
今回のテーマは 『通貨を巡る構造変化』と題し、前半は京都大学の 岩下直行先生より 「ステーブルコインは統治できるのか ―きれいな制度とグレーな実態のはざま」 という演題でお話いただきます。
後半は私より「資本の流れから考える通貨戦略」と題し、長期投資家のポートフォリオ戦略における通貨戦略についてお話しさせていただきます。
特に意識していたわけではないのですが、1985年9月22日のプラザ合意から40年の節目のタイミングでの開催となりました。
デジタルプラットフォームの躍進で通貨という概念そのものが変化しつつある中、デジタルからリアルまで、幅広く通貨について考える一日になりそうです。
詳細はまた明日ご報告いたします。
寺本名保美
(2025.09.24)
2024年から続いていた主要国の「選挙イヤー」の終盤の山場だった日本の参議院選挙が終わりました。
インフレと分断の時代において、政権与党に勝ち目はなく、どの国においても政権交代のきっかけとなる選挙となりました。
そういう意味では、今回の選挙結果に違和感はなく、日本もまた国際政治の中の一部であることを、改めて確認する週末だったのかもしれません。
それにしても、日本だけでなくもちろん米国を始めとする他国においても同様の傾向があるとは思いつつ、「子供に聞かせたくない選挙演説」というものが主流となるのはいかがなものかと、つくづく思うこの2週間でした。
他者を否定することでしか自己主張できない大人。
他者を排除することでしか自己防衛ができないとする大人。
幸福よりも不幸の数を数えることが得意な大人。
選挙というものはこういうもので、与野党逆転を目指す以上、現状の否定がスタートラインだということは承知の上で、それでもなお「政治」がこんなカッコ悪い大人のするものだと子供に刷り込まれることが、将来の政治にとって良い影響を与えるとはどうしても思えないのです。
選挙が罵詈雑言無礼講の大人の喧嘩祭りではなく、文字通り「未来を担う子供達」に聞いて欲しいと思える真の戦の場に戻ることを心から望んでいます。
寺本名保美
(2025.07.22)
2025年度がスタートしました。満開宣言をした東京の桜は、季節外れの氷雨で蕾みに戻り、週末の再開花に備えています。
金融市場も桜と同様、強い偏西風に煽られて、一斉に身を縮めてしまった期末となりました。毎度のことながら日本の決算期末が3月末であることが恨めしい気持ちになります。
前回のセミナーでもお話したように、これからの金融市場は良くも悪くも短期的な価格変動の影響を受けやすくなります。3月31日ピンポイントで評価される決算リスクを避けることはできないものの、だからこそ、運用目的やポートフォリオの構成意図、そして潜在リスクなどをステークホルダーと如何に事前に共有していくか、という日々のプロセスの重要度が増すことになります。
アセットオーナープリンシプルで大きなテーマとなった情報公開ですが、過去の運用結果の開示といった後ろ向きの目的ではなく、アセットオーナーとステークホルダーとの信頼関係の醸成や対話の一環として前向きに捉えていくことができればよいと思っています。
週末の再開花に備える桜のように、我々も少し身を縮めエネルギーを蓄えつつ次の開花に向けての準備をしていきたいと思っています。
寺本名保美
(2025.04.01)
昨日の資産運用セミナーでは、ちばぎん総合研究所代表取締役社長前田栄治様をお招きし、「日本経済の実情ー日本は温まっているのか?」という演題で基調講演をいただきました。
千葉県の実情も踏まえつつ、徐々にではありますが日本経済の温度が上がりつつあることが確認できると共に、国内のインフレと金利環境が失われた30年とは大きく変化していることを強く意識する内容となりました。
国内外共に、イノベーション伴う経済成長という長期トレンドはまだ始まったばかりです。イノベーションの主役も適時テーマは変化し陳腐化することなく変革を続けています。政治や地政学といった短期的なノイズはあるものの、投資環境はこの数十年経験したことのないような魅力的な時代に入っているともいえます。
成長があり、インフレがあり、金利があり、ボラティリティがある。という当たり前の投資環境への回帰を前提とした運用戦略を考えるのは、とても楽しいことである一方で、短期的なノイズに一喜一憂しないようなリスク管理体制の構築が従来以上に重要となってくることでしょう。
セミナー内容にご関心をいただけた方には、講演資料をご提供いたします。弊社宛にメールにてご連絡いただければ幸いです。
寺本名保美
(2025.03.13)
荒れた環境ではありますが、明日12日は弊社の資産運用セミナーの開催日となります。
今回のメインテーマは『高温経済への処方箋』です。
ボラティリティの小さい、従前の適温相場が懐かしく思える今日この頃ではありますが、温度が上がるとブラウン運動が活発化するように、政治も経済も民意も良くも悪くも温度が上がり、活動が活発化しています。
資産運用にとって、ファンダメンタルズ環境が活発化することは、決して悪いことではありません。プラスマイナスの振れ幅が大きくなることを厳しく感じるかもしれませんが、上下動を繰り返しながらも中長期の成長ラインがしっかりと右肩上がりを形成していくことこそが、本来の経済と金融市場のあるべき姿のはずです。
今回のセミナーでは、デフレ経済からもゴルディロックスからも卒業し、新たな世界に踏み出した金融経済環境についての整理と、運用の処方箋についてお話する予定です。
寺本名保美
(2025.03.11)