利下げは買い?
もし市場で言われているように、9月のFOMCで利下げが決定されるなら、それが株式市場にとって目先の転機のきっかけとなるかもしれません。
金利上昇に伴う株価調整は、利上げ開始時に始まり、その後の利上げ継続局面では収束し、今度は利下げ開始時から復活する傾向があります。
政策金利の引き下げが決定するということは、引締めによる景気後退が数値としてはっきりと確認できたことを意味しているからです。
利下げ効果を囃して株高となるのは、利下げが決定するまでで、利下げが始まると今度は景気後退の深さと亀裂が気になり始めます。
本当に9月に利下げが行われるほど、雇用とインフレの鎮静化が進むかどうかは、まだわかりません。
いずれにしても、利下げを囃しての株高は、そうそう長続きはしないとみておいた方がよさそうです。
寺本名保美
(2024.07.11)
フランスのバランス感覚
マクロン大統領が無謀な賭けにでたフランスの下院選挙は、6月末の第1回投票の勢いそのままに、7月7日の決選投票で極右雪崩が起きる可能性が懸念されていました。
更なるポピュリズム的な政策が拡大することで、財政が悪化し、フランスの長期金利が上昇し、更なるフランス国債の格下げがユーロの信認に悪影響を及ぼす負のスパイラルが懸念されていました。
漸く、昨日当たりから、与党連合がフランス世論のバランス感覚を取り戻すことに成功しつつあると報じられるようになり、フランス発の欧州危機への懸念は大分薄らいできています。
思い返せば、2016年の英国ブレグジット・米国のトランプ政権誕生と続いた右派ポピュリズム的政治の大きな流れを一旦断ち切ったのが2017年のフランスにおけるマクロン大統領の選出でした。
あの時、世界の濁流に一石を投じたフランス国民のバランス感覚に、今回も大いに期待しています。
寺本名保美
(2024.07.04)