2023年09月の思いつき


セミナーお礼

昨日は弊社セミナーに沢山の皆様にご参集いただき、心より御礼申し上げます。

今回、講師にはICU(国際基督教大学)の基金担当理事である新井亮一様にご登壇いただき、日本株の魅力について、詳細に解りやすく「力説」していだたきました。資産運用に長く携わっていらっしゃる方達にはJPモルガンの日本株CIOだった方、と言った方が親しみがあるかもしれません。

また、第二部では、環境激変時のリスク管理について、定量管理と定性管理の使い分けを含めてお話をさせていただきました。お伝えしたいことが少し多すぎたようで、バタバタしてしまったことお詫び申し上げます。

今回は講師の方からWEB配信のご許可をいただいております。
後日HPにて、配信方法についてはご案内させていただきますので少々待ちください。

寺本名保美

(2023.09.27)



違和感のお話

明日26日は弊社の資産運用セミナーが開催されます。

今回、私はストレステストのリスクシナリオについて、少し話をするため、足元で何が一番怖いかを、色々考えていました。

中国景気も台湾海峡も心配ではありますが、やはりそれよりは欧州大陸のリスクの方が気になっています。

不安の原因は「違和感」です。

今のドイツの景況感指数を見るがぎり、ソフトランディングを心配しなければならないのは、米国ではなくて明らかに欧州なはずなのに、中銀はひたすら利上げを続け、市場は市場で米国の話ばかりをしている。

円安の進行よりも私はユーロロングの通貨ポジションの方がよほど怖いのですが、これもほとんど話題にならない。

私が単にわかっていないだけ、なのだろうか???

というような、違和感の話を、明日はしたいと思います。

ご参加予定の皆様、お目に掛かれるのを楽しみにしています。

寺本名保美

(2023.09.25)



下がらない

昨日のFOMCで利上げが停止されたことは想定の範囲内として、問題は2024年や2025年の予想値の切り上がりが止まらないところにあります。

2024年の予想値の下限は4.25%となり、3%台への低下を予想する理事は一人もいなくなりました。また4.25%から4.50%にあった中心値も、4.50%から5.25%の間に幅を広げながら大きく切り上がっています。

また長期の均衡点について、2%台のコンセンサスから離脱している理事の数は前回の3人から5人となり、FOMCの度に長期コンセンサスからの離脱者がポツポツと増えるという傾向も続いています。

今年来年の話をするならば、短期金利が4%台までしか下がらないことを前提とした戦略の見直しが必要で、もう少し長期の話をするならば、短期金利が3%までしか下がらないかもしれない、ということを意識した戦略の見直しが必要です。

短期金利が高止まることで、金融資産内格差は広がります。生き残る資産、淘汰される戦略、色々でてくるでしょう。金利の復活による市場経済の健全化はこれから始まります。

寺本名保美

(2023.09.21)



現金も仕事をする時代

今朝の日経新聞の一面見出しに次のようなものがありました。
「三井住友銀、ドル定期預金の金利上げ 年0.01→5.3%に」

ドルの「定期預金」金利が未だに0.01%だったことにはかなり驚きますがが、米国銀行においても、預金金利は政策金利に全て連動しているわけではありません。

出し入れ自由な流動性預金の金利の多くは0.1%程度に抑えられていますし、定期預金については政策金利並に5%以上の設定がされているようですが各行の資金需要によってバラバラです。

ヘッジファンド等の資金が滞留しているプライムブローカーの付利は2%台という話もあり、ゴールドマンと組んで金融業に進出したアップル銀行の付利が4%台だったことが話題になりました。

これまで運用における待機資金の付利については、世界中がゼロ金利環境の中、特段意識してモニタリングをしてこなかったかもしれませんが、米欧ともに短期金利が復活している中において、ファンド内のキャシュマネジメントにも、投資家の意識を向けていく必要があります。

インフレの時代。現金もまた、しっかりと仕事をしてもらわないといけません。

寺本名保美

(2023.09.19)



天災と人災

モロッコやリビアでの甚大な災害に対し、被害地域の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

今はまだ、人命への思いが優先であることは承知の上ではありますが、この天災が地中海沿岸地域の地政学に今後非常に大きな影響を与える可能性についても考えざるを得ません。

中国の一帯一路に対し、地中海に面するイタリアが離脱を表明しています。中国の目指す、アジアから欧州大陸を経てアフリカ大陸に続く一貫した輸送ライン構想において、モロッコやリビアの面する地中海は最重要な起点となる要所となります。

リビアの内乱は、この地中海へのアクセスを巡る大国間の思惑によって複雑化し、旧宗主国であるフランスと移民問題で揉めているモロッコに中国が足元で急接近しているともいわれています。

嫌な表現ではありますが、救援復興外交名目で様々な国が内政への関与を強めていけば、復興後のこの地域の政治的な安定は、ますます遠のいてしまうでしょう。

天災が次の人災の火種とならないことを祈ります。

寺本名保美

(2023.09.13)



クレーンの多さ

週末に皇居周辺のビルから、周囲を眺め、立ち上がるクレーンの多さに、改めて驚愕しました。

クレーンの多さはその都市の景況感を表す指標となると言われています。

2003年頃に東京であった海外のヘッジファンドマネージャーが、窓の外のクレーンの多さを見ながら、あなたの国のどこが景気が悪いのか?と不思議そうに尋ねてきたことを思い出しました。

実際、金融危機の余韻は残っていたものの、2005年問題と称された商業ビルの新築ラッシュが始まっていた日本経済は確かにそのころ大底打っていたことになります。

植田日銀総裁が、マイナス金利の修正に初めて前向きな発言をしています。就任後2年は動かさないとしていた政策金利の修正を検討しなければいけないほど、日本の物価も景気も動いているということなのかもしれません。

日本に金利が戻ることは、中長期的にみれば悪いことではありません。できるだけ過剰反応することなく金融政策の自由度を高めておくことが、日本の将来にとっては重要なことなのではないかと思っています。

寺本名保美

(2023.09.11)



AIを使う意義

最近、会合での冒頭挨拶のトレンドは、ひとフレーズ話してから「ここまではAIが作った原稿なんですが笑」という枕で始まること、と、ある会社の社長が苦笑いされていました。

ここまでは、笑い話で済みますが、ある自治体が許可した業務における生成AIの使用事例に挨拶文の作成というものがありました。

そもそも、お役所関連の会合で、冒頭の上席者挨拶の文面を、必ず事務局が原稿を用意する、あの慣習が、私にはどうも理解できません。

確かに、挨拶をするような方々は、幾つも役職を兼務していて、今自分が挨拶をしている会合の中身を知らずにいらっしゃるケースも多いのでしょうが、だったら、一言よろしく!でいいんじゃないかと、いつも思います。

挨拶文面の作成をAIに手伝わせて、事務方が楽になる事を実感できるほど、この作業に役所の労働時間が消費されているという事自体に、問題意識を持った方がいいのではないかと、思ってしまいます。

AIに業務を代行させる事で、本当にそれが必要な作業であったのかを見直す一つのきっかけにするのも、AI導入の一つの意義なのかもしれません。

寺本名保美

(2023.09.06)



大臣の登用は政策の鏡

問題を起こす大臣に農林水産大臣が多いように感じるのは、各内閣において農林水産政策を軽んじているからなのでしょうか。

輸出産業としても、食料安保の観点から見ても、農林水産行政が果たす役割は、以前に比べて遥かに戦略的で且つ重要になってきていることは明らかです。

一時代前の補助金行政の時代とは、全く異なる役割を担っているはずです。

農協の組織票を意識したような大臣人事をしている限り、この国の農林水産行政は世界からどんどん取り残されていきます。

戦略的農林水産行政、という御旗を掲げ、世界に打ってでられる大臣の登用を望みます。

寺本名保美

(2023.09.01)


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