重宝される羅針盤を目指します。
弊社の本年の営業は本日までとさせていただきます。
波乱万丈な2020年がようやく終わります。本当はオリ・パラの話題一色の一年だったはずが、コロナに追われ振り返る話題すら見つけることが困難な寂しい年末となりました。
英国のハードブレグジットがギリギリで回避されたことは、両国にとっても金融経済にとっても、絶好のクリスマスプレゼンととなりました。
一方で、コロナ禍で振り落とされた、また振り落とされかかっている、業態や雇用にとっては、本当に厳しい年の瀬となっています。
さて2021年。コロナ禍は一巡するとして、景気の先行きは不透明。金融市場の先行きは波乱万丈といったところでしょうか。
好天と荒天が行ったり来たりする中で、何より大切なのは役に立つ羅針盤です。
来年もまた、皆さまに重宝される羅針盤となるべく、社員一同精進してまいります。
2021年も変わらぬご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
寺本名保美
(2020.12.25)
WEBセミナー
本日第一回のWEBセミナー動画の配信を行いました。
昨年3月から開催できずにいる資産運用セミナーですが、年明けも暫くは難しい環境が続きそうです。
皆様と直接お目に掛かれないのは残念なのですが、当面は動画配信形式でミニセミナーを続けていかれればと思っています。
第一回の今回は、京都大学公共政策大学院の岩下直行先生より中央銀行デジタル通貨についてのお話をいただいています。
その後私から、足元で加速しているように見える、巨大プラットフォーマーへの規制強化の背景と今後想定する潜在リスクについてお話をしています。
始めての動画配信のため、色々と行き届かないものとなってしまいましたが、今後回を重ねながら、少しずつ改善していきたいと思っています。
今回の動画配信は、過去弊社セミナーにご参加いただいた皆様を中心にご案内しております。
その他の皆様で動画配信をご希望される方は、seminar@ttassetdesign.co.jp
まで、所属法人名・ご連絡先を明記の上、メールをいただければ、ご返信させていただきます。
よろしくお願いいたします。
寺本名保美
(2020.12.24)
周回遅れもそれはそれで良し
オバマ政権時代のデジタル政策をまとめた論文を読んでいて、妙に近視眼的な印象を持ったのは、今日本で進められているデジタル庁関連の話題に重なる部分が多いからだという事に気づきました。
オバマ大統領が就任直後にまず行ったことは、政府内にCIO(チーフインフォメーションオフィサー)と、CTO(チーフテクノロジーオフィサー)の職を作った事だそうです。
その上で、GoogleやFacebookなどから、人材を提供してもらい、政府部門のデジタル化を一気に進めたとされています。
このオバマ政権時代のIT戦略が、その後のトランプ政権時代に結実したのが、今のGAFA相場といえます。
さて、それから12年の月日が経ちました。先行組の米国や中国では成長し過ぎたデジタル産業をどう制御するか、という新たな課題も生まれつつあります。
さて、日本。先行組の社会で起きている様々なプラスマイナスを吟味することができるという意味においては、周回遅れも悪くありません。
日本にとって最適な社会の絵地図を描きながら、デジタル庁がスタートすることを期待しています。
寺本名保美
(2020.12.22)
エネルギー政策の失敗と国難
トヨタの豊田社長が、ガソリン燃料車を全廃しても火力発電依存度の高い日本では意味がないと発言されています。
だから、政府の完全EV化、脱ガソリン車政策は間違っていると主張しています。
事実は正しいと思います。でも間違っているの脱ガソリン車政策ではなくて、我が国のエネルギー政策そのものです。
車問題はエネルギー問題です。エネルギー政策の本質的な解決なくして車などのデバイスだけを変えても意味はありません。
だから今回の豊田社長の苦言は脱ガソリン車政策への苦言ではなくて、遅々として方向性の見えないエネルギー政策に対しての苦言とみるべきでしょう。
たまたま今年オリンピックはなくなりましたが、本当であれば今年は世界に日本の水素エネルギー技術をお披露目する年であったはずです。
せっかく世界のフロントランナーとなれるはずの水素技術も、気が付けば欧州や中国に先を越される展開となりつつあるのは、本当に残念です。
エネルギー政策の失敗は国難に繋がる、というのは近代産業革命以来の国家の歴史が物語っています。
寺本名保美
(2020.12.18)
季節は変わる
来年の7月の日程を決めようとして、そういえばオリンピックだと今更ながら思いました。
コロナ禍のこの冬をどう乗り切るのかばかりに気持ちが向かっていて、炎天下のオリンピックシーズンのことなど、すっかり頭から消え去っていました。
冬が過ぎれは、夏が来る。そんな当たり前の事が新鮮に思える自分に驚いています。
只今、灼熱の金融市場としては、夏が過ぎれば冬が来る。そんな当たり前の事を少しは思い出してみるのもいいかもしれませんが。
寺本名保美
(2020.12.17)
日本の明けた風穴
先進国の中で最も保守的であると思っていた日本の金融行政が、実は世界を揺るがすほど先進的であった、のかもしれません。
Bloombergは、楽天が取り組みを始めている米国での銀行業務開始がもし認可されることになれば、今後AMAZONのような事業会社が巨大銀行となることへの風穴を開けるきっかけになるかもしれないと書いています。
日本のネット銀行は楽天やソニーやセブンイレブンと、非金融の事業法人を母体とし、且つ自社商業サービスの延長線にある小口決済だけではなく、住宅ローン融資といった銀行本体業務にも積極的に進出しています。
日本では既に金融機関として認知されている「楽天銀行」ですが、もし米国に進出すればそれが米国でのアマゾン銀行やウォールマート銀行に繋がる一大事であるといわれると、改めて不思議な感じがします。
日本の金融行政が明けた風穴が、米国の金融行政に影響を与えるなどという滅多にないことの行方を、興味をもって見ています。
寺本名保美
(2020.12.16)
篩いの上と下
多くの市場が3月のコロナショック前の水準まで価格が戻っている中で、全く届いていない市場もあります。
例えば、欧州や英国の株式指数。原油や商品指数。そしてREIT指数。
また、指数全体としては戻っているものの、中身を見るとかなり痛みが出ている市場もあります。
日本株の個別銘柄ごとに見ても、戻るものと戻らないものの落差は依然として深く、またバンクローン市場におけるデフォルト率も上昇も気になります。
コロナショックという篩いが仕掛けた、壮大な二極化が、時間の経過とともに修正されるものなのか、それとも一度開いた落差が埋まることなく常態化するのでしょうか。
日本の株式市場が篩いの上にいるのか下にいるのか、現状かなり微妙な感じです。
寺本名保美
(2020.12.15)
笑えない一年
今年の漢字は「密」だそうです。
とにかく今年は何をとってみても笑えなくて、洒落にならない、一年でした。
政治家が国民に寄り添っているふりをする笑顔も、若者に媚びるようなキャッチフレーズも、心を寒くするだけです。
トランプ大統領の茶目っ気も、結局は人心を掴むことができなかったことが、今年の笑えないコロナ社会を端的に表しています。
メルケル首相のこれまでの政策の是非は別として、国民に向かって本気で怒りを見せるような政治家が今の日本には必要な気がしています。
笑えない一年が終わり、次の一年が怒りや嘆きの一年にならないことを祈ります。
今年より来年の方が良い一年になることが、どうにも信じられない年の瀬です。
寺本名保美
(2020.12.14)
あと3週間
英国のEU離脱に関わる移行猶予期間が終わる年末まであと3週間となりました。
漁業権等で揉めているFTAとは別の議論として、金融規制に関わる「同等性」についての合意が取れていないことが、年末越えの金融市場にとって予測不能な潜在リスクとなりつつあります。
金融市場にとってBREXITが大きな不安材料となっていた理由の一つが、単一パスポートと呼ばれるEU参加国がEU域内のいずれの国においても自国の金融免許で業務ができるという仕組みから英国が抜けることでした。
1年前のBREXITの議論の中において、この単一パスポートから英国が外れたとしても、それに代わる「規制の同等性」を双方が認めることで、実質的には大きな混乱は避けられると、説明されていたはずです。
結果として未だこの規制の同等性は担保されず、今更、金融界から市場の混乱を警告するに至っています。
この1年、一体何をしてきたのか、とため息が出る年末です。
寺本名保美
(2020.12.11)
タイミング
後期高齢者の自己負担割合の引き上げ方針が決定されたそうです。
方向性としては仕方がないことだと思いますし、時間を掛けても結論は変わらなかったとも思います。
でも、それにしても、今でなければいけなかったのかと思わずにはいられません。
医療や健康にこれだけ国民の意識が向いているコロナ禍で、医療現場がかつてない疲弊をしている現状において、今回の決定が酷く無神経なものに感じます。
結局のところ、政治的視点からみれば、コロナ禍は単なる一時的な災いに過ぎず、時が経てば解決する短期的なイベントであり、長期的な国家戦略的視点においては、些細なことだと思われているかもしれません。
今回の災いが、本当に一過性のもので何事もなかった時代に戻ったとしても、この災いの渦中において国民に寄り添うことができなかった政治への記憶は、人々の心に残ることになるでしょう。
本当に今だったのでしょうか。
寺本名保美
(2020.12.10)
ワーストシナリオ
国民生活ではなく、企業利益だけしか見ずに、高値を追う株式市場参加者はおかしいと思うのと同時に、中央銀行の財政ファイナンスに何の疑問も持たずに債券を買い続ける債券市場参加者もおかしいと思う。
つまりのところ、コロナ禍における未曾有の金融経済環境に対し、金融市場全体が冷静な判断力を失っていると言うことなのかもしれないとも思う。
冷静な判断力を失った参加者によって価格形成がなされている金融市場というものは、極めて危うく、それが株式、債券の両極で同時に発生していることの深刻さを考えずにはいられません。
最悪の結末は、どこかで債券市場が冷静さを取り戻すことで、急激な金利上昇に転じ、金融市場全体がクラッシュすることです。
あくまでも最悪の結末ですが。
寺本名保美
(2020.12.09)
危機の時の巡り合わせ
日本経済の重大局面において、時の内閣が機能しない、というのは日本の不幸な巡り合わせなのでしょうか。
90年代後半のバブル崩壊の最中は、細川→羽田→村山内閣。
1999年のITバブルの崩壊は小渕首相の急逝→森内閣。
2007年からの金融危機では、安倍→福田→麻生→鳩山内閣。。
2011年の東日本大震災では、菅内閣。
このうち内閣支持率の高低さが最も大きかったのは鳩山内閣。
今回の補正予算の記事をを見ていたら、なんとなくこんな歴史を振り返ってみたくなったので。
寺本名保美
(2020.12.08)
政治的関与の拡大
ロイターによれば、FTSEラッセルが「FTSEグローバル株式指数シリーズ」から中国企業8社の株式を除外することを発表したそうです。除外は12月21日に実行されるとのこと。
先月トランプ大統領が署名した、中国軍需関連銘柄への投資制限措置を受けた資産運用業界としての具体的な行動が始まりました。
制限対象となった企業は30数社ある中で、今回は8社に限定されていることや、他のインデックス会社の方針がまだ見えてこない中、業界全体としてはまだ反応しきれていませんが、今後の金融市場の展開においては少なからず重要な局面展開と言えます。
今回の事例に留まらず、金融・資本市場に対する政治的関与が高まりつつあります。
過剰流動性下において拡大を続ける金融市場の水面下で起きている、本質的な潜在リスクが今後どのような展開を見せるのか。2021年の資産運用上の大きなテーマとなりそうな気がしています。
寺本名保美
(2020.12.07)
株高の先にあるもの
今の株高が経済実態と乖離していると認識される大きな要因は、今の株高を牽引するビジネスモデルの多くが雇用を生まないからです。
ここでも何度も書いていますし、今日のWSJのコラム「世界景気のV字回復、雇用を伴わず」でも解説されています。
企業業績を投資判断とする株式市場において、雇用は経営手段の一つであり、業況の結果です。
一方、景況感の判断において、雇用は出発点であり、ゴールでもあります。
現在の世界経済が雇用にかつてないほどの問題を抱えていることは否定のしようのない事実ではあるものの、その事実が意味することの重要性が企業側に位置する株式市場と、消費者側に位置する実態経済とでは大きく異なるのです。
ここまで、各国の財政政策や金融政策が行ってきたことは、消費者側にとっては一時的なセイフティネットに過ぎず、企業側にとっては直接的な燃料投下になっています。
バイデン政権を始め、ここから先の経済対策には、一時的なセイフティネットを超えたものが要求されます。問題はそれが何なのかが、まだどの国においても見えてきていない。
雇用を置き去りにした株高の先に何が待っているのかを考えることが、2021年の市場環境を考える上での大きなポイントになってくるのだと思っています。
寺本名保美
(2020.12.04)
経済界って
家でテレワークをしていると、インターフォンが鳴り、証券会社の地元支店の担当者が会いたいと言ってきました。
そういえば、経団連の大手証券出身の幹部の方が、昨日ビジネスでの必要以上の制限を緩和して欲しい旨の発言をしていましたが。
宅急便の受け取りですら、玄関を開けることなく対応する人が多くなっている今のご時世に、「ピンポーン初めまして~」と個別訪問営業をさせている証券会社というものの常識を疑います。
メディアでは、政府の決断が遅いの、小池さんが頑固だの、と色々な評価がありますが、一番質が悪いのは経団連クラスの経営者ではないのかと思ったりしています。
経済界として、政府に求めてばかりではなく、自らが何某かの範を示すことができる経済団体であって欲しいと切に思います。
寺本名保美
(2020.12.02)
とりあえずはモノを動かす
コロナ関連の支援金の使われ方の中で、私が最も利用しているのは
「#元気いただきますプロジェクト」です。
指定された農産物を買うと送料を農水省が負担してくれるというプログラムですが、冷凍や冷蔵の送料も無料になるので、回数を重ねると結構なお得感があります。
また野菜など元値が安く、本体よりも送料の方が高くなってしまうようなものでも注文し易いというメリットもあります。
Gotoに行くことはできませんが、デリバリの配達費用を一回500円とか1000円とかポイント還元してくれたら、ガンガン活用するのにと思ったりしています。
とりあえずは、人ではなくて如何にモノを動かすかにフォーカスした支援策が必要です。
寺本名保美
(2020.12.01)