2020年09月の思いつき


政治の正常化

米国大統領選挙の第1回テレビ討論が、WSJ 曰く「気が滅入るような」内容で、討論後の評価は「どっちもどっち」という結果を見聞きするにつれ、こちらの気も滅入ってきます。

どちらかが圧倒的多数で勝利しない限り、大統領選の決着は下手をすると年を越してしまいます。

米国において実質的な政治的空白期間が長引くことのリスクを、金融市場は徐々に織り込みにいっています。

彼方、英国は英国で、ハードブレグジットへの道を着実に歩み続けているようにもみえ、これもまた、気が滅入ります。

今のところは、各中銀が張り巡らせた強靭なセイフティネットが緊張感の欠如した政治を支えていますが、このセイフティネットは時間の経過と共に効果も低減していきます。

セイフティネットに穴があく前に、政治が正常化できるとよいのですか。

寺本名保美

(2020.09.30)



社内ベンチャーから巨大インフラへ

昨日ここで、通信料下げるお金があるなら設備投資をして欲しい。

と書いて一夜明けたら、

設備投資しながら値下げをするためにはお金が必要なので、親と同居します、宣言が出ました。

タイミングが良すぎて笑ってます。

docomoは日本における社内ベンチャーの最大の成功事例でした。

時が経ち、日本を代表する企業に成長したdocomoにもはやベンチャー精神を感じることはありません。

そして通信キャリアというものが既に莫大な設備投資資金を要する巨大なインフラ産業の一角を成している現状において、docomoはもはやdocomoである必要はないのかもしれません。

世界の通信技術において、日本が先頭を走ることができていた唯一の時代を牽引していたiモードが終わりを告げる中で発表されたdocomoの上場廃止。

時代の流れとはいえ一抹の寂しさも感じています。

寺本名保美

(2020.09.29)



利益を減らす方法

ビジネスユーザーとして、今の通信行政に望むことは、通信料の引き下げより、設備投資の充実です。

WEBでの会議や交流に世の中が適応してくるにつれ、通信回線の脆弱さが実務上の障害になるようになりました。

WEB会議中に、画像が落ちるこ頻度は、ソフトの種類に関わらず増加しています。

画像が落ちる度に会議が止まるので、初めの挨拶が済んだら画像を落としてWEB会議をするというのが、足元での現実的な対応です。

通信回線の使用量が単純に増えているのに加え、セキュリティ対策を強化したことで、会議ソフトの必要容量が増加しているような印象もあり、リモートワーク全体の快適さは、日増しに悪化しています。

社会システムや、デバイス側が幾らデジタル化しても、インフラが伴わなければ、社会の効率は却って低下します。

儲け過ぎの通信キャリア会社の利益を減らす方法は、収入を減らすのではなくて、設備投資費用を増やさせる方向で考えるべきだと思うのですが。

寺本名保美

(2020.09.28)



米国の威信

トランプ大統領が言うように、次の大統領選挙の結果は投票所ではなく、最高裁判所で決定することになるとして、その最高裁判事に自ら都合の良い候補者を指名してしまう。

こんなことがまかり通る米国社会は、西部開拓時代からあまり変化していないのかもしれません。

欧州や、日本のように、君主など何らかの支配層が存在し、その支配から脱して勝ち取った民主主義と、そもそも民衆しかいなかった米国の民主主義とは似て非なるものです。

民衆同士が戦い、勝ち残った者が支配者となる、という開拓時代のプロセスが、未だに生きているようにもみえます。

プロの政治家ではなく、政治的な訓練を受けてこなかったトランプ大統領だからこそ、米国的民主主義の負の部分が、外からも透けて見えるようになったともいえます。

あと1ヶ月の大統領選挙期間が、これ以上泥沼化すれば、政治的な米国の威信に大きな傷を残すことになり、結局はそれが対立する中国を利することにもなるでしょう。

プロセスに則った、清正とした、大統領選挙となることを、願わずにはいられません。

寺本名保美

(2020.09.27)



ちょっと心配な笑い話

足下の米国株式市場の不調の要因の一つが、EVトラックメーカーであるニコラ社の詐欺疑惑にあります。

6月に彗星のように上場市場に参入し、第二のテスラと持て囃され、GMとの業務提携で頂点に達し、一気にフォードの時価総額を抜いたニコラ株は、空売り専門のヘッジファンドの出した不正を示唆するレポートで、三分の1の水準まで急落しました。

今は、ニコラもレポートを出したヘッジファンドも、SECの調査を受けている最中のようで、実際に不正があったのかどうかはまだ定かではありません。

ただ、この事件が、新世代技術銘柄に熱くなっていた個人を含めた投資家の頭を冷やすきっかけになったことは間違いなく、コロナショック後に加速していた新興市場バブルにとって一つの転換点となる可能性も否定できないでしょう。

ニコラ社のプロモーションビデオに登場する水素トラックが、実は丘の上から転がしていただけだった?というような笑えない話もでてきています。

バブルの最中の投資判断というものは、後から振り返れば赤面モノ、という経験は、誰しもあるものです。

今回のニコラ騒動が、後々の教科書で語り継がれる逸話にならないといいのですが。

寺本名保美

(2020.09.24)



マクロ観はリスク管理

株式運用において、市場の大局観から銘柄を構成するトップダウンと、個別企業評価の積み上げで銘柄を構成するボトムアップとには、一長一短があります。

平時においてはボトムアップの方が堅実でリスクが小さいことが多いですが、一旦市場に強い風が吹くと、それまでの成果が根こそぎ吹き飛ばされてしまうこともあります。

逆にトップダウンは、風の読みが当たれば大きな収益になりますが、読みを外したり、読みや理念に拘り過ぎて逆風に立ち向かおうとすると、酷い損失を招くことにもなります。

基本的には、運用哲学やリスク管理としてのマクロトップダウンを意識しつつ、堅実なボトムアップに軸足をおいた運用が、王道です。

さて、菅ボトムアップ政権。
今のところ堅実性で国民の支持を得ていますが、大きな台風になりそうな予兆は、国内外の彼方此方にみられます。

マクロ観でのリスク管理は、誰が担当しているのか、少々不安を感じてます。

寺本名保美

(2020.09.23)



誰が得をするのか?

フィンセン文書の流出問題が、四連休中の海外市場を揺さぶりました。

これは米国財務省の金融犯罪に関するデータで、大手のグローバルバンクがマネーロンダリングや金融政策先の口座取引きを黙認していた可能性を示唆していると報じられています。

市場では金融機関のモラルやコンプライアンスを材料視していますが、私はむしろこのことが昨年の香港人権法や今後米国が別の理由で中国資金の移動制限を強化した際の抜け道を封じ込めたという意味の方に注目しています。

4年前、パナマ文書が流出した際、何人かの政治家や著名人が非難されることにはなったものの、結局一番得をしたのは大手ネット関連企業等の過度な租税回避地利用を抑制し、税収を取り戻すことに成功した米国政府でした。

今回、このタイミングで金融制裁対象口座に関わる資金移動の詳細が流出したことで、誰が一番得をするのかと考えずにはいられません。

小説の読み過ぎなのかもしれませんが。

寺本名保美

(2020.09.22)



職を作る政策を

新たな内閣が発足し、一通りの大臣のコメントが出揃い、結局誰も雇用問題についての見解を示してはくれませんでした。

規制緩和したら雇用は増えますか?
携帯電話の料金を下げたら雇用は増えますか?
ワクチンを待っていればインバウンドがかつての規模に戻りますか?
ソーシャルディスタンスのなかった時代の雇用に戻れますか?

行政サービスをはじめとする各種手続きのデジタル化を進めれば、悪名高い日本のサービスセクターの労働生産性は向上する裏側で、多くの職が失われるでしょう。

それでもデジタル化は必要で、だからこそ雇用問題はどこの国に於いても喫緊の課題なのです。足下の失業率が高いか低いかは関係ありません。

今のうちに問題意識を持った対応をしていかないと、この国の労働環境、本当に手遅れになりそうで、怖いです。

寺本名保美

(2020.09.17)



自作自演

トランプ大統領がノーベル平和賞候補にノミネートされたらしいと、ネットで話題になっています。ただノミネートする権利のある人は世界に万人単位でいるので、ノミネート自体は大した意味は無いと、解説されています。

平和賞の理由は、イスラエルと中東諸国との国交正常化をトランプ大統領が仲介した功績とのことですが、当のトランプ大統領はこの国交正常化の機を捉えた、武器ビジネスの方に興味があるようです。

ロイターによれば、トランプ大統領はイスラエルに売却した武器と同様のシステムを中東各国に売却することに意欲を燃やしているそうで、裕福な中東各国への武器売却は米国の雇用にとっても良いことだと発言しています。

イスラエルと中東が対立したままであれば、流石のトランプ大統領でも、両サイドに兵器を提供することは出来なかったでしょうが、自ら仲介した和平によって、兵器ビジネスの顧客リストに中東諸国が戻り、且つ念願のノーベル平和賞に一歩近づくという、願っても無い展開になっています。

それにしても、兵器ビジネスは雇用を好転させると、言葉に出して言ってしまう人が、あと4年米国大統領であり続けるのは、やはり余り見たくない光景ではあります。

寺本名保美

(2020.09.16)



有言実行

菅新総裁の印象は、有言実行の人という感じでしょうか。

実現できないことは口にしないし、口にしたことの障害になるものは人であろうと規制であろうと、徹底して排除する。

恐らく政治家としてのビジョンがないわけではなくて、実現可能性の高いことしか言わないし、手をつけない。

よく言えば大風呂敷を広げない。悪く言えばブラフが効かない。

国内的には政治の信頼を取り戻すきっかけになれるかもしれないと思いつつ、外交の場としてはやはりかなり厳しそうな予感がします。

とはいえ、これまでの日本のトップには余り見られなかった質実剛健型の総裁の門出を祝しましょうか。

寺本名保美

(2020.09.15)



水流を作る政治

自民党総裁選挙が終わりました。

新総裁となった菅現官房長官は、大胆な規制緩和と構造改革を推進することを表明しました。

規制緩和と構造改革という文言は、2003年の小泉政権の時から、民主党政権を経て今に至るまで、延々と言われ続けてきた呪文のようなフレーズです。

前から思っているのですが、この魔法のフレーズが効果がある環境というのは、規制というボトルネックが解消さえすれば、経済を動かす水流が勢いよく流れ出す状態であって、ボトルネックが外れても流れる水流がそもそもなければ、何の意味もありません。

この数十年の日本において本当に必要であったのは、規制緩和以前の水流そのものだったのかもしれないとも思います。

日本社会は、目標さえ有れば、ひたすらそこに向かって突進する社会です。多少の障害があっても目標さえ有れば突き破ります。

一方で、自ら目標を定めて、自分のペースで進むのは苦手です。さぁご自由にどうぞ、と言われると却って行動範囲が狭くなります。

であるのなら、今の日本の政治に必要なことは、経済や社会の進むべき方向について明確な目標を示すことであって、規制緩和や構造改革は物事が進み始める中に置いて取り払うべき障害物なのではないかと思うのです。

経済の停滞を役所や社会構造に責任転嫁ばかりするのはそろそろ終わりにして、未来の日本の生きる道を指し示す政治に変わっていって欲しいと、強く願わずにはいられません。

寺本名保美

(2020.09.14)



草刈り場?

docomo系列で起きた不正使用事件。

2段階認証をしていなかったこと。していなかった理由は顧客の利便性を重視したこと。

一年少し前のセブンイレブン系列で起きた不正使用事件と、寸分変わらない説明に、この国の大企業におけるネットリテラシーのレベルに恐ろしさを感じます。

我が国の情報通信の要であるdocomoのサービスが狙われたことで、世界に対し日本の情報セキュリティの脆弱性を公開してしまったようでもあり、今回の問題は日本の情報産業、金融システム、双方に被害金額以上のダメージを与えることになりそうです。

これが振興の通信アプリであったり、新規参入のネット銀行で起きたことであるならまだしも、何故にネット銀行の先駆けであるゼブンや通信アプリの先駆者であるdocomoでの事件なのかと思います。

大手ですらなのか、それとも大手だからなのでしょうか。

いずれにしても、日本のネットセキュリティは早急に立て直さないと、世界中の詐欺師の草刈り場にされそうです。

寺本名保美

(2020.09.13)



ただ祈るのみ

ロイターによれば、「米CFTC米国商品先物取引協会が、気候変動は金融システム上のリスクと指摘した」そうです。

気候変動リスクが明らかに大きくなっていることが、米国のエネルギー政策の移行を通して金融システムに既に影響を与えており、また自然災害の発生はコロナ禍により既に財政余力が失われている米国にとって金融システム上の大きな潜在リスクとして認識すべきとしています。

これは米国に限った事ではなく、また自然災害に限った事でもありません。

コロナ禍対策で、どこの国の財政も急激に悪化している中、これ以上の財政出動が必要なイベントが発生したら、持ち堪えることができなくなるでしょう。

そんな中で、ハードブレグジットに向かって着実に舵を切っているように見える英国辺りが、真っ先に地雷を踏みそうな予感がします。

とにかく、あと一年。コロナ禍から脱出できるまでは、何事も起きず、何事も起こさず、これ以上の災いがないことを、ひたすら祈るしかないのかもしれません。

寺本名保美

(2020.09.10)



課題ごとに新たな省庁?

総裁選候補者の方々は、みなさん新たな省庁を作りたいようです。

デジタル庁、データ庁、防災省

どれも今後の日本社会にとって、最重要課題であることは認めますが、省庁を立ち上げなければ国として本気になれないというは、なんとも情けないことです。

所轄官庁ができるれば、予算もつきます。
デジタル化もデータ整備も防災も、本気で取り組むとすれば、かなりの予算規模が必要になることが想定されます。担当大臣としてはかなり魅力的なポストとなり、政治の世界での優先度も自ずと上がります。

東日本大震災以降、国土強靭化政策という言葉が予算編成の度に使われてきましたが、具体的に何が進んできるのかはよくわかりません。

経済産業省が前のめりになってまとめた、スマートソサエティー構想も遅々として進んでいません。

省庁を作る事で予算が付き、物事が前に進むなら、それも一つの方法なのかもしれません。

それにしても、観光立国を目指して観光庁、オリンピックが決まってスポーツ庁。
この調子で、課題ができる度に省庁を作っていたら、行政の縦割りが益々細分化するだけのような気がするのですが。

寺本名保美

(2020.09.09)



趣味じゃない

菅さんは、時々見せる執念深そうな表情が好きではない。

石破さんは、話す時に視線だけを動かして様子を伺う様子が好きではない。

岸田さんは、答案の正解を探しながら話す様子が好きではない。

3人まとめて、愛嬌がなくで好きではない。

まぁ、単なる趣味の問題ですが。

寺本名保美

(2020.09.08)



政府保証

政策投資銀行による日産向けの緊急融資に1300億円分の政府保証が付いていたと、日経新聞が報じています。

例えば米国では、国家安全保障政策上重要な企業に対し資本を提供する、というように、政府が上場企業に資金提供を行う際の基準が示されているが、日本においては、そのあたりが開示されることはまずありません。

フランス政府に買収されてしまう前に日本政府が手を打ったようにも見えますが、真相のところはわかりません。

最近テレビをつける度に、高そうなタレントを使ったちょっとばかり鼻につくCMが大量に流されていますが、そのコストも政府保証の借入の中から支払われているのかと、つまらないことが気になってしまいます。

少なくても上場企業向けの資金援助については、その金額と理由を全て公開すべきだと思うのですが。

寺本名保美

(2020.09.07)



天国地獄

米国でのネット関連銘柄の変調を世界の株式全体全体が緊張感を持って注目しています。

これがグロース銘柄やハイテク銘柄の単純なバリエーション調整に過ぎなければ、ネット関連銘柄の売却資金は割安に放置されたバリュー銘柄に向かう健全な循環物色となります。

一方で、ネット関連銘柄しか上昇していない株式市場そのものへの警戒感に繋がれば、売却はネット関連銘柄に留まらず、株式市場全体からの資金流出が加速するでしょう。

好調なネット関連企業の業績がコロナ禍から抜けきれないその他多くの業種を引き上げることができると思えば循環物色というバラ色の展開が待っていて、そうでなければネットバブルの崩壊という暗黒シナリオが待っています。

さて、扉の向こうは。

寺本名保美

(2020.09.06)



ファンドの火種

今年1-3月のコロナショックは、歴史的な深さの急落後に歴史的スピードでの回復となりました。

株式市場の水準だけを見れば、この半年をなかったことにできそうな気もしますが、実際の金融市場は無傷とはいかないような気配があります。

運用会社や海外ファンドの動向を見ていると、ファンドの精算や解約制限と言ったイベントが散見されるようになっています。

株式市場に於いても、市場全体のボラティリティというより個別銘柄の跛行性が高いため、一つの銘柄の失敗がファンド全体の存続に関わることにもなりかねなくなっています。

火種はまだまだ小さいですが、余り甘く見ない方が良いかもしれません。

寺本名保美

(2020.09.03)



国難とトップダウン

次期首相候補者の記者会見などを見ていて気になったことは、3人が一様に国民に寄り添う政策、国民の声に応える政策、という言い方をすることです。

今が本当に国難であると思うなら、国のトップは国民に対し進むべき道筋を示さなければなりません。

国民が望むことを汲み上げるのではなくで、国民の生活が改善する為になすべき事を組み立て、提示し、実行して、結果を残さなければならないのです。

かつての民主党政権が頓挫した理由の一つは、東日本大震災と原発事故という未曾有の危機において、国民感情に迎合しすぎた結果の迷走だったように思います。

今、コロナショックによる深刻な国民経済の危機を前にして、政治が再び国民感情を優先しようとすれば、この危機からの立ち直りはどんどん遠くなっていくような気がしています。

大切なのは、国民の気持ちではなくて、国民の生活です。

例えそれで一時的に反発を買おうとも、政治生命短くなってしまおうとも、今の国難に立ち向かう政策を打ち出せる首相であって欲しいと強く願わずにはいられません。

寺本名保美

(2020.09.02)



アベノミクスの逆回し

2012年にアベノミクスが始まった時の金融経済環境は、2011年の東日本大震災以降のセンチメントの悪化から抜け出せずにいた株式市場に対し、リーマンショックからの力強い回復過程にいた米国景気に支えられ、企業業績そのものは総じて好調に推移していました。

だからこそ、アベノミクスでは日銀や金融庁や経産省総出で、株式市場に国内外の資金を呼び込み、割安に放置されていた株式市場を実体経済並みに引き上げようとしたのです。

一方で、安倍政権が終わろうとしている今の環境は、アベノミクス開始当初とは反対に、グローバルな過剰流動性を受け株式市場は高値を維持しているものの、実体経済はコロナ禍からの回復過程というにはまだ程遠く、企業業績の先行きは全く予断を許さない状況にいます。

であるなら、アベノミクス後の次期政権の政策は、金融市場から如何に実需に資金フローを流していくかが主要命題となるはずで、配当や自社株買いによるROEよりも、設備投資を優先するような税制や補助金の検討が必要になるでしょう。

また個人に対しても、金融資産形成への優遇措置より、明日の職を得るための自己啓発や職能訓練への補助金を厚くすることを優先すべきかもしれません。

金融市場と実体経済の乖離を金融市場の下落で埋めるのではなく、実需の底上げで埋めるには、一旦資金の流れを金融市場ではない外に向けさせる必要があるのです。

アベノミクスを一度リセットして、現実に向き合った次の方法論への展開ができる首相がいればいいのですが。

寺本名保美

(2020.09.01)


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