ガラパゴスでもいいかもしれない
当社の居るビルでは、ビル内のコンビニで、顔認証の実証実験をしています。
小売店の顔認識というと、入口にゲートで認証して、出口から出ると自動的に課金される、という流れが米国や中国で進んでいると聞いていたのですが、このビルのコンビニでは、顔認証でもレジに並ばなくてはいけないようです。
スマホをかざす代わりに、顔をかざすって感じでしょうか。
かなりイメージが違います。
その内また進化するのかもしれませんが、今のところ何とも日本っぽい顔認証です。
ただ、この方法、スマホを使えない日本の高齢者の買い物など、いわゆる我が国のスマホ難民対策としては、使い方次第で、有効なのかもしれないとも思います。
デジタル社会の展開の仕方は、その国の社会構造に合わせた展開が必要になるでしょう。
ここでもまた、ガラパゴスという揶揄が聞こえてきそうではありますが、世界標準より、そこに住んでいる人々にとっての利便性の方が大切なこともあるような気がしてます。
寺本名保美
(2019.06.24)
情けないのか冷静なのか
せっかく、米国FOMC後の設定になっていた日銀の政策決定会合だったのですが、黒田総裁の会見が従来のトーンを維持したために、「日銀の無策」という印象を市場に残してしまったようです。
実際のところ、日銀にとって政策変更が喫緊の課題ではないことは事実なので仕方がないのですが、市場と対話することに腐心しているように見えるパウエル議長と比較してしまうと、黒田総裁の頑固さが少しマイナスに作用し始めたように見えます。
107円というドル円の水準自体は、特に危機的な水準ではないのですが、これまで奇妙な沈黙を保ってきた為替市場が動き始めたという点においては、少し注意が必要かもしれません。
それにしても米国株式が高値を更新した日に下がる日本株。情けないというべきか。冷静というべきか。
寺本名保美
(2019.06.21)
変な高値
今の米国市場に対し特に弱気であるわけではないものの、利下げで市場最高値を更新するという現象が極めて異常な状況であるということは、認識しておいた方がよいと思います。
株式市場が高値を追うような金融政策は基本的には失策です。
そんなことはFRBが行うわけはありません。
つまりここから先に待っているのは、FRBが本当に利下げを行わなければならないような株式市場の下落局面か、でなければ堅調な株式市場と経済による利下げの見送り、です。
少なくても、利上げという論調が完全に消えた点を好感して、一時的に株式市場に買い戻しが入っている、という程度に思って少しリスクを落としていったほうが安全でしょう。
寺本名保美
(2019.06.20)
再びのまさか
2016年にトランプ大統領が就任した時、トランプ候補に投票した米国国民以外の誰もが、これは何かの間違いに違いないと思っていました。
その後、市場で「トランプリスク」という単語が飛び交うようになっても、「良識」を重んじる金融市場参加者の多くが、あと3年少しの我慢だ、と思っていました。
それから時が過ぎ、トランプ発言に市場があまり動揺しなくなったのも、慣れが惰性を呼んでいるだけで、トランプ大統領への信任が深まったからではないと、思っていました。
しかし、
それから色々あり、にもかかわらず、トランプ大統領の国内での支持率が微動だにしないのを見て、市場は久々の「まさか」の気配を感じ始めています。
トランプ大統領の次期大統領選への出馬宣言。
また、まさかが、再び現実になりそうな気配です。
寺本名保美
(2019.06.19)
歴史的な異次元
今回の日米中央銀行による政策決定会合の順序は、先に米国、明けて翌日が日銀となり、日銀にとっては政策判断に少し余裕を持つことができるスケジュールとなっています。
FRBが利下げに対して踏み込んだ発言をした場合、日銀も再緩和のニュアンスを出さないと、ここまでほとんど変動のなかった「ドル円」が再び動きだす可能性があります。
ただでさえ、ドイツの長期金利が日本の長期金利を下回る水準まで低下している状況が発生し、株価は先進国中最も出遅れて、且つ消費税というハードルが待ち構えている現状に、日銀だけが無策という印象を市場に与えることは避けたいところです。
経済環境だけをみれば、米国も日本も金融緩和に転じる局面ではなく、財政拡大をする局面でもありません。
政治の混迷が原因なのか、何か構造的な問題なのか。
この数年の金融財政政策日常生活ついて、後世がどのように分析するのか、是非見てみたいものです。
寺本名保美
(2019.06.18)
リアルなフェイク
先週米国で「Deep Fake」と呼ばれる、「合成人物画像動画」についての公聴会が開かれました。
きっかけは、ザーカーバーグCEOの偽動画がFacebookに掲載され、それをFacebookが削除しなかったことにあるそうですが、こうした問題はFacebookのようなSNSの世界だけではなく、あらゆる情報源における共通の問題となり、あと数年で専門家ですら真偽の区別ができない動画が世界に流れるようになると公聴会で指摘されています。
小さな話であれば、オレオレ詐欺の動画版が簡単にできるようになり、大きな話であれば米国大統領の談話を偽造することができるようになる、ということになります。
一発触発の関係にある国家間においては、まさに戦火の引鉄を作りだすかもしれず、企業の新製品発表を偽装すれば株価操縦も可能になるかもしれません。
フェイクニュースという単語がトランプ大統領の専売特許だった時代は終わり、世界全体が真偽のあやふやな情報社会で右往左往することになるのでしょうか。
それにしてもこういう話を、きちんと議論に乗せることができる米国議会。
日本の国会は、何をしているのやら。
寺本名保美
(2019.06.17)
言われたくない、聞きたくない
細かいことは省きますが、
ワーキンググループの報告書や有識者会議の報告書を無かったことにするとか、年金制度の必要性とか、について、旧民主党の議員方がとやかく言うのをテレビで見てると、無性に腹が立つ。
ので、テレビを消して、ネットでホルムズ海峡情勢をチェックすることにします。
寺本名保美
(2019.06.14)
1990年当時との違い
1990年の湾岸戦争の時、グローバルに株式市場が急落したのは、産油国が戦場となったショックから原油価格が急騰し、それにつられて金利も急上昇したからです。
この時の四半期は、サブプライムショックが起きるまで、金融市場にとって、最も損失が大きい四半期でした。
もし今同じようなことが起きたとしても、世界のエネルギー需要における中東依存度は90年当時と比べるとかなり低下しており、同じような反応が起きることはないと考えています。
同じようなことが起きないことを祈ってはいますが。
寺本名保美
(2019.06.13)
香港問題の怖さ
香港での逃亡犯条例を巡る大規模デモについて、混乱が拡大した場合のリスクは大きく整理しめ次の3点でしょうか。
一つは、これが武力制圧に発展する可能性。天安門事件から30年という節目に起きたことで、イメージはリンクしますが、このシナリオは今のところまだ想定されていません。
二つ目は、アジア金融の中心都市である香港の治安悪化が長引くことで、アジア地域全域での金融システム不安が起きること。現状金融取引に支障が出ているような様子はなく、これもまだ先の話。
最後に、このデモの原因である条例が通った場合、香港が米国に中国本土と同様の貿易障壁の対象とされるリスク。現実に市場で最も憂慮されているのはこの部分です。
香港の一国二制度が有名無実化していると米国が判断した場合、トランプ政権が何を言い出すかは、予想がつきません。
米中問題、広がるばかりです。
寺本名保美
(2019.06.12)
政府の役割と発信
国と国民との関係が、運命共同体における司令塔と構成員なのか、究極のサービス業における運営体と顧客なのか、日本だけでなく、段々と後者の色彩が色濃くなってきたように思います。
年金などの社会保障関連については、この視点の違いを意識しないと、全く議論が噛み合わなくなります。
未だに司令塔意識か強い霞ヶ関が発するメッセージは、それが如何に正しいものであったとしても、「税金という費用に見合うサービス対価」を求める国民にとっては、全く顧客目線の欠如した、言い訳がましい言葉にしか聞こえません。
ドイツのメルケル首相のような家父長的な指導者が支持を失いつつある時代、霞ヶ関の発信の仕方ももう少し工夫が必要なのかもしれません。
寺本名保美
(2019.06.11)
出口が却って遠くなる
G20よりもトランプ大統領がメキシコ関税を取り下げたことの方が市場インパクトがあった週末でした。
メキシコへの制裁関税については、出してみたものの国内受けがあまりに悪かったので、すぐに撤回。
一方の中国への制裁関税については、出してみたらそれほど株価は下がらず、国内受けも悪くないので、エスカレート。
ある意味とても分かり易い。
トランプ大統領にとっての世論はメディアではなく、支持率か株式市場です。
今後市場が対中摩擦による景気減速を織り込みにいって急落するようなことがあれば、対中交渉にも出口が見えてくるのですが、FRBによる金融緩和モードが株式市場を支えれば、却って出口を遠くしてしまうかもしれません。
米中問題、やはり長引きそうな気配がします。
寺本名保美
(2019.06.10)
損得になってしまうと続かない
老後の生活費用として2000万円が必要、という話は今更出てきた話ではありません。同じ話でも国から言われると腹が立つ、というのはこれも何時の時代でも共通した国民感情ではありますが。
ところでひと昔前、小泉内閣において年金未納問題が浮上して、世間の風が「年金制度」に一様に批判的だったころ、
「年金制度に掛金を払うぐらいなら、その分給料を上げてくれ。自分の老後は自分で責任を持つ。」
という主張があちらこちらから聞こえてきました。世代間格差の議論が出てきたものこのころです。
その後数年で風向きは「当てになる年金制度を作れ」と180度変わり( [2007.09.05,年金行政のダッチロール])、それに応えるべく?GPIFや各種共済、簡保や郵貯が積極果敢な資産運用改革に邁進し、リスクを取らない国民の変わりに、公的資金がリスクを取って皆さんの老後の財源を増やしましょう、となり。
で、次の展開として、やはり公的資金だけでなく、個々人でもリスクをとった運用を少ししませんか、という話を持ち出したところで、座礁。。。
国のスタンスも一貫性がないですが国民の望みもコロコロ変わる。
結局のところ年金や社会保障という概念を、損得の議論にしてしまった小泉内閣の罪は大きいと今更ながら思っています。
寺本名保美
(2019.06.06)
アップデート?
4月にここでボヤいたスマホの不具合か、5月末のアップデートでようやく解消しました。
結局、ほぼ2ヶ月、スマホの電話機能が一部眠っている状態が続いていました。
普通の家電で1ヶ月も不具合が続いたら、大クレームになるところ、それがスマホやパソコンだと、そんなものかと思ってしまうのは、不思議です。
これがスマホだから、そんなものですみますが、ここから先あらゆるものがソフトウェアで管理されていく社会を考えると、いまのスマホやパソコンの不安定に慣れてしまわけにはいきません。
不具合があることが当たり前のソフトウェアに制御される社会。笑い話では済まなくなります。
寺本名保美
(2019.06.05)
このままでは本当にダメになる
株価は上がらず、金利はなくなり、為替の変動率は縮小する。
絵に描いたような3重苦にある日本の金融市場からお金も人材も逃げていきます。
資金フローは、何かのきっかけさえあれば、比較的簡単に戻りますが、一旦崩壊した人材と組織を復活させるのには、10年単位での時間が掛かります。
資金の受け皿になる金融市場が機能不全を起こしている真っ最中に、国が国民に資産運用の重要性を説けば説くほど、投資に対する不信感は増すばかり。
この国の資産運用業界、本当にどうしたらよいのか。
真剣に真剣に考えてしまいます。
寺本名保美
(2019.06.04)
政府主導案件は、、、
新興国へのインフラ整備に対し、日本政府主導での資金導入パッケージが検討されていると報じられています。
ものすごく端的に言ってしまえば、中国の一路一帯構想の日本版を年金資産でしたい、と言っているように見えないこともありません。
年金資産の資産性格を考えると同じインフラ投資なら国内の水道管の張替えではないですが、もっと国内での投資先はないものかとも思います。
詳細が見えないので早計な判断はできませんが、年金資産の運用収益という視点からみれば保険付きの開発投資は面白そうではあるものの、政府主導での大型案件に成功事例が思い当たらないのも気がかりです。
寺本名保美
(2019.06.03)