際限のない話
一年程前に聞いた、ブロックチェーンの講演で、これからの世界において法律を決めるのは国家ではなくなるかもしれない、という話がありました。
今回グーグルが、プラットホーム上で大麻に係るアプリの販売を禁止するという規定を設けたという記事を読んで、ふとこの話を思い出しました。
深く考えいくと、話しの展開が際限なく広がっていきそうなので、とりあえず今日はこれだけ。
寺本名保美
(2019.05.30)
潮流に反る
実質的にはイタリアのフィアットによる米国のクライスラーの救済合併によって誕生したFCAが、フランスのルノーとの統合を計画していると報道されています。
EU内ではややお荷物扱いのイタリアですが、気づけば、フィアットもクライスラーもアルファロメオもジープもそしてルノーも自国傘下となる、自動車業界では日本やドイツに並び立つ存在となります。
自動車業界だけでなく国内外で大手企業の大規模統合が進んでいます。
国と国との障壁が高くなる一方で、企業の無国籍化が進む現状に、政治の混乱を賢く生き抜く企業家達の強かさを感じます。
日本はこの流れに乗るのか反るのか。とりあえずルノーとの統合議論が先延ばしとなった日産はホットしているのかもしれませんが。
寺本名保美
(2019.05.28)
金銭感覚の矯正
SNSとか、ネットフリマとか、スマホ宅配とか、キャッシュレスとか、とりあえず、危なくなさそうなものは一通り試してみてます。
ほとんど一回だけでアプリ削除になるものが多いですが、こうした最近のネットサービスは、試してみるだけなら1000円以内でできます。
若者層がターゲットなので、基本的には低金額で回数を稼ぐようなビジネスモデルになっています。
実際にこの世界に入ってみると、50円の課金がもったいないと思ったり、10円の当たりがうれしいと思ったりと、金銭感覚がどんどんデフレ化していきます。
塵も積もれば山となることを知らない若者たちには危険な存在である一方で、貯金ができないバブル世代の金銭感覚を矯正するにはよい素材、、、かもしれません。
寺本名保美
(2019.05.27)
時代の変化とコンビニ
スーパーやデパ地下では、夕方6時を過ぎたころから、生鮮食品やお弁当の値下げが始まります。
この値下げ札狙いの行列ができるところもあります。
一方で、コンビニではこの値下げがこれまで実質行われてきませんでした。今回一部解禁されたといってもごく一部の商品で且つポイント還元という複雑な方式が採用されるようです。
ひと昔前のコンビニは、商品は定価で高いけど24時間営業していていざという時便利なお店、という位置付けでした。
そのあと、おでんや肉まんや唐揚げのような温かい食品を提供するようになり、プライベートブランドを立ち上げ、新鮮なサラダやお弁当の種類が多いサラリーマンの味方というカテゴリーが加わり、各種お惣菜を取り揃えた食卓の一部となり、今はコーヒーショップの役割も果たすようになりました。
こうしてみると、コンビニ業界の進歩というのは凄まじいものがあり、一方でサービスが多角化したことで様々な歪みも出てきている時期なのでしょう。
日本のコンビニというビジネスモデルは世界中の小売業界の注目の的だともいわれています。
今回の食品ロス削減法は、ここまで走り続けてきたコンビニ業界が一旦立ち止まって、自らの有り様を考え直す良い機会になるのではないかと期待しています。
寺本名保美
(2019.05.24)
ポンドが安いが
英国での欧州議会選挙を前にポンドの下落が目立ちます。
2016年のブレグジットを巡る国民投票後につけた史上最安値(1.2割割れ)が視野に入ってきました。
ポンドの急落は過去3回。
1992年のポンド危機の際の2.0から1.45。
2008年のリーマン危機の際も2.0から1.45。
そして2016年のブレグジット投票での1.5から1.19。
過去のポンド危機と比べると今回のポンド安の値幅はまだ小さいです。
イギリスの置かれた状況は過去のいずれよりも厳しいとするならば、市場の反乱はまだこれからということなのでしょうか。
寺本名保美
(2019.05.23)
自前主義の終焉
ソニーがゲーム部門でマイクロソフトと提携すると発表しました。
3月にGoogleがクラウドゲームに参入するというニュースを受けて、ソニー株は急落し、今回マイクロソフトと提携するいうニュースで急騰しました。
株価の上下動はともかくとして、「あのソニーのゲーム」ですら、もはや単独で世界市場で戦うことはできないという現実に愕然とします。
逆の言い方をするなら、自前主義に固執しなければ、生きていく道を探すことができるということです。
日本の多くの大企業にとって、ある意味象徴的な提携発表だったのかもしれません。
寺本名保美
(2019.05.22)
在庫一掃
日本のワイドショーネタの政治家の話は論外として、どうも世界の一部の軍事大国が、実戦をしたくて仕方がないように見えるのは気のせいでしょうか。
民間技術と同様に、というよりそれ以上に、防衛産業の新鋭化は進んでいるでしょう。
そろそろ旧型の在庫一掃と、新型の実線実験をしたくなっても不思議ではありません。
1990年の湾岸戦争の時、そんな噂がパトリオットミサイルと共に、飛び回りました。
単なる噂ですが。
人類はあれから少しは賢くなって、いないだろうか。
寺本名保美
(2019.05.21)
近くて遠いエネルギー
ロシアが大陸横断のパイプライン経由で欧州に輸出した12億ドル相当の原油が汚染されていたという問題の第一報がファイナンシャルタイムズで報じられたのが4月末。
それから約1カ月が経過したものの、ロイターによれば事態は全く動いていないようです。
ロシアからベラルーシ経由でポーランドに入り精製され欧州の最終バイヤーに届くという工程には、幾つもの国の国土と法律と企業が入り乱れて存在しています。
ロシアに責任があるのは明らかであるにしても、その責任を明らかにするにはロシアの法律で争わなければならず、汚染された原油を再度精製する費用を誰が持つのかも決まらず、パイプラインは止まったままです。
エネルギー資源のない日本にとって、ロシアや中国大陸からの原油やガスのパイプライン施設は一つの現実的な選択肢ではあるものの、こうしたトラブルを見てしまうと、やはり依存するのは躊躇してしまいます。
遠く太平洋を渡ったオーストラリアから水素を運ぶとか、近いけれどリスクもある大陸から石化燃料を運ぶとか、現状の中東依存を打破する道筋が見えてくるのにはまだ時間が掛かりそうです。
寺本名保美
(2019.05.20)
いまでもバブルの後遺症?
バブルの頃、証券の先輩達は「借金ができて一人前」という趣旨のことをよく言っていました。
住宅ローンは当たり前、飲み代、ゴルフの会員権、流行り始めた高級スポーツクラブの会員権、借金前提の生活は普通でした。
投資は財テクと呼ばれ、不動産も株式も借金をして買うのが当たり前の時代。転落人生と背中合わせではあったものの、一方で誰しも人生の一発逆転を狙った勝負をすることができた時代でもあります。
そして現在、バブルが崩壊し日本全体が転落してから30年が経ち、個人も金融機関も経営者も、とても常識的で堅実な選択をするようになりました。
資金が潤沢な企業や個人は過度なリスクを取らず、資金が潤沢ではない企業や個人も借金をしてまで背伸びをしようとは思いません。
資金の偏在は固定し、フローは細り、金融機関の存在意義は薄れ、信用創造は縮小していきます。
成長しない社会を望むのであれば、これも一つの形ではありますが。
寺本名保美
(2019.05.17)
怒ってばかりの2週間
今回の四半期運用報告会、どういうわけか、あっちでもこっちでも私怒ってばかりです。
昨年12月期の最悪な運用結果の時は、ため息はつけども、あまり怒らなかったのですが、この1-3月期は運用結果が良かったにもかかわらず怒ってばかりいます。
年度前半の金利上昇と新興国市場を中心にしたリスクオフ。年度後半の政治リスクの高まりと株式市場を中心にしたリスクオフ。市場を牽引してきたネット関連企業の変調や、国内株式市場での上場基準問題と、書ききれないほど波乱万丈だった一年間について、締めてみたらなんとか辻褄があったのでと平穏無事に終わりました、みたいな説明をされると、文句の一つ、ではなくて、10個ぐらい、言いたくなるのです。
これだけの局面変化があれば、その戦略の得て不得手、想定内想定外が、色々と見えて来るはずです。修正すべきこと、評価すべきことを整理するには、ある意味格好の一年だったとも思うのですが、報告する側からそんな緊張感が微塵も伝わってこないケースが、頻発しました。
市場の荒れ模様は今年度も継続中です。次回の四半期はもう少し中身のある報告会になることを期待しています。
寺本名保美
(2019.05.16)
米中より酷い
この数日の為替市場からより透けてみえるのは、見た目は派手に見えるトランプ大統領と習近平国家主席による米中衝突への懸念ではなく、全く着地の見えない英国のBrexitの混乱の方への恐怖心の方かもしれません。
米中については、色々問題はあるものの、一応政治が政治として機能しているのに対し、英国の政治機能は完全に思考停止に陥っているようです。
相方の欧州議会は選挙を前にイタリアの財政問題が再燃し、内憂外患を絵に描いたような状況に陥っています。
米国株価が一息ついたとしても、安心するのはもうしばらく先になりそうです。
寺本名保美
(2019.05.15)
企業が変える社会
トヨタの社長が、終身雇用制度の維持が難しくなるとの見解を示しました。
一方で、定年年齢は各社とも65歳以上に引き上げられる傾向にあります。
そもそも、日本における定年という概念は、終身雇用という解雇のない雇用制度において人材の回転を促す手段の一つでもあったわけです。
終身雇用を無くすということは、定年も無くすということです。
雇用も離職も昇進からも、年齢が決定項にならなくなる状況では、年齢が高いからと言って給料が高いわけではなく、若いからといって優先的に仕事が配分されるわけでもなくなります。
人材の効率化という観点では正しい世界に見えますが、社会の緊張感は増加するでしょう。
企業経営か日本の社会構造を変えていく、かもしれません。
寺本名保美
(2019.05.14)
波乱注意
昨年の3月に始めてトランプ政権が対中経済制裁を表明した時、ターゲットは鉄鋼製品でした。
少し経つと、それが知的財産権の侵害の話になり、その後電子部品のスパイウェアの話に転じ、直近では中国政府の補助金が主題になりました。
貿易不均衡の是正のために、米国製品を沢山買えば良い、という次元であれば、短期的な解決も望めたかもしれませんが、国の経済政策そのものの話まで広がってしまうと、落し所を見出すのは、少々厄介です。
これが初めから米国の狙っていたところであるとするなら、互いの政府にとっては想定内の展開かもしれませんが、市場参加者からはややリスクが悪い方向に展開しつつあるように見えるでしょう。
波乱に注意が必要かもしれません。
寺本名保美
(2019.05.13)
ETFの功罪
米国を中心にしたETFの拡大は、従来長期の機関投資家中心だった各種金融商品に、個人を含めた短期資金を導入したという意味において、金融市場に大きな変革をもたらしました。
長期保有の代表的な資産であったバンクローン市場が、昨年末のような株式急落局面で大きく売られ、1ー3月に買い戻しが入ったように、金融資産のETF化は市場のボラティリティの撹乱要因にもなっています。
一方で、ETFが市場に流動性を与えていることで、こうした非流動性資産のバリエーションに定期的にガス抜きが入るため、息の長い安定した投資環境が維持されやすいという利点もあります。
政治的なイベントがなくなる気配もない中、投資環境の不安定さは継続そし、短期的なボラティリティは、上場、非上場問わず、拡大していくことにはなりますが、それも必要なクールダウンと思って、息長くみていくしかなさそうです。
寺本名保美
(2019.05.10)
政治離れのタイミング
3月末にあらゆるイベントを積み残した時、しわ寄せが5月に来ることは想定されていたことです。
そういう意味では、足元の環境について、それほど違和感はありません。
今年度の展開として、こうした政治イベントが無くなることと期待するのではなく、市場環境の政治離れがどのタイミングで起きるかに注目していた方がよいのではないかと思っています。
今の企業や経済は政治や金融政策の力を借りなくても自律的に軌道を修正できるだけの体力はまだ備えています。
あまりジタバタせずに水準調整に耐えられるリスクを継続的に維持していけばよいのではないかと考えます。
寺本名保美
(2019.05.09)
平和の代償としての円高
リスクオフの円高を論理的に説明することは困難です。
こうしたセンチメントが醸成されたきっかけは、2007年からの金融危機時に、急激な円買いが発生したという事実が、システム売買にトレンドとしてインプットされてしまったことにあります。
また、その後の安倍政権下でのジャパントレードと呼ばれた「円売り株買い」も、リスクオンの円安、リスクオフの円高、という投資家心理を確立させた要因の一つでもあります。
だた、この数年、金融市場が政治に振り回される環境が続き、トレンドフォロー型のシステム売買から撤退するファンドが増加するに従い、最近では以前程、リスクオフの円高が進まなくなってきてはいます。
そうはいっても、世界全体からみれば、低空ではあるものの極めて政治経済の環境が安定している日本円。リスク資産を売って待機させておく場所としては、居心地が良いのかもしれません。
これも平和の代償でしょうか。
寺本名保美
(2019.05.08)
雨霰
青空一転雨霰。
連休中の天気と金融市場が、シンクロしてます。
本当にトランプ大統領も、北朝鮮も、期待を裏切りません。
雇用統計で利下げ期待が消え、ミサイルで平和条約締結が消え、ツイッターで米中融和ムードが消えました。
この3つが消えて、一番ダメージが大きいのは、お隣韓国でしょうか。
日本は大型連休が終わったばかりですが、今年になって少し楽観論が先行し過ぎていた金融市場にとっては、少し早めの夏休みになるかもしれません。
寺本名保美
(2019.05.07)