2017年07月の思いつき


ハイテク決算

この四半期のリスクは、欧米の長期金利と、米国のネット関連銘柄の決算。

昨晩のアマゾン。

あの程度の反応であるなら、想定内ではあるものの、暫く要注意です。

寺本名保美

(2017.07.28)



ネット難民

最近のサービスのネット化は、現役から若者にとっての利便性を向上させているものの、高齢者にとっての利便性の改善にはなかなか繋がっていないように感じます。

ネットで繋がっていることが前提にされたサービスの拡大は、裏側で非ネット系のサービスの切り捨てを招きます。

日本でのネット普及率が、都市部と地方とで格差があるのは、高齢者比率の違いによるものだと専門家の方に説明されました。

ネット通販が主流となり、実店舗の撤退が加速すると、高齢のネット難民=買い物難民という構図が加速します。

高齢者比率の相対的に高い我が国において、サービスのネット化の展開には、独自の工夫が必要なのではないかと思っています。

寺本名保美

(2017.07.27)



大切なことは全てルンバのなかにある

掃除ロボットの代表格であるルンバに関するロイターの記事には、足元の産業界を象徴することの多くが網羅されています。

部屋の中をゴミを探しながらくまなく動き回るルンバの最新機種が、カメラを搭載し、Googleの音声認識ソフトに繋がったことで、ルンバが認識した部屋の形状や配置が全てデータとしてメーカーに蓄積することが可能となりました。

メーカーはこのデータを匿名化して、家電メーカーに転売することで、巨大な利益を得る可能性があります。

一方、こうした匿名化されたデータの権利や転売については、法整備が完了しておらず、ルンバのメーカーもエンドユーザーの了解なしに転売することはないと言っています。

一方こうした最新テクノロジーを搭載したルンバに対し、廉価なお掃除ロボットがシェアを拡大しており、メーカーの業績が安泰であるわけではありません。

ちなみにルンバを作っている会社は、元々は軍需産業に属していました。

と、いうような内容です。

車、産業用設備、家電、農業、あちらこちらで起きていることのエッセンスが、あの丸い物体に凝縮しています。

世界は足下から変わっている、ということでしょうか。

寺本名保美

(2017.07.26)



自立心ないので

アメリカの株が政治離れしているのは、政治に期待していないからで、日本の株が政治離れしているようにみえるのは、政治に期待しているから。

安倍政権の支持率が下がれば、国民受けの良い経済対策がでる可能性が高く、国民受けの悪い憲法議論で国会が空転するリスクも下がる。

万が一安倍首相が交代したとしても、政権交代には絶対にならないので、より経済フォーカスな首相がでてくるなら、それでもいい。

なんて声が聞こえてくる日本の株式市場、自立心のないことこの上なし。

寺本名保美

(2017.07.25)



3極の相対順位

ドル円だけを見ると、今月に入って3円以上の円高になっているものの、ユーロ円がその裏側でユーロ高となっているため、7月の外貨投資全体での為替差損は今のところほぼ±ゼロです。

米国や日本での政局が荒れていることが、足元の株式市場にとって不安定材料の一つになってはいるものの、このところの金融市場の不安定化の要因はむしろ、ドルとユーロと円との間の相対感が変動しているところに主因があるように見えます。

米国の足元の経済指標が若干減速気味であることや、日本のアベノミクスの先行き不安が、相対的にユーロの金利や通貨ユーロに対する見方の強さを際立たせています。

3極のバランスの崩れが、今後の市場環境さらにはパワーバランスにどのような影響を与えていくのか、しばらくは注意深く見ておいた方がよいかもしれません。

寺本名保美

(2017.07.24)



政府は政府、企業は企業

トランプ政権が混迷し、欧州が相対的に優位になっていく中で、「脱米戦略」とか「米国抜き経済」という表現が見えてくるようになりました。

一方で、株式市場から世界を見ると、FAMNGに代表される米国企業の一人勝ち状態は、加速するばかりで、衰退している様子は微塵もありません。

政治がどれほど沈滞しようが、世界のネットビジネスの根幹が米国企業にある限り、これから先の経済を「米国抜き」で考えることなどできないのです。

伝統的な交易交渉だけであれば日欧だけでも意味がありますが、ネットビジネスが絡む世界において米国抜きの交渉は全く意味がありません。

誰が大統領であろうと、大統領の信任がなくなろうと、強い企業は強い。それが今のアメリカです。

首相の信任が無くなると、一緒に市場の信認もなくなるような、わが国と一緒に考えていると、方向性を誤ります。

寺本名保美

(2017.07.21)



憧れられる存在に

一昔前、「ファンドマネージャー」という職業は、なにやらカッコいいイメージを醸し出していました。

よくわからないけど、憧れの職業だった時代もありました。

ファンドマネージャーがヘッジファンドに置き換えられても、そのカッコ良さは残っていました。

実際のファンドマネージャーが如何に地道な職業であるかは別として、ファンドマネージャーに対する華やいだイメージは、資産運用業界全体のイメージアップにとっても有効ではありました。

いつの間にか、ファンドマネージャーという言葉が世間から消えました。仕事は変わらずあるのですが、人々の興味の対象ではなくなったのです。

株式市場の活性化、企業統治の重要性を問うのであれば、その担い手であるファンドマネージャーやアナリストが活性化しなければなりません。若者が憧れをもって目指すようなプロフェッショナル集団でなければなりません。

市場が疲弊し担い手が覇気を失うような改革になっていないかと、このところ少々心配です。

寺本名保美

(2017.07.20)



結局こういうことに

2020年プライマリーバランスの正常化

これが放棄されたとき、私の中でアベノミクスの失敗が確定されます。

プライマリーバランスと経済成長の二者択一でいいなら、少し度胸のある政権なら誰でもできたかもしれません。

国際公約であるプライマリーバランスの正常化と経済成長を同時に達成してこその、アベノミクスであり、黒田緩和であると、思ってきました。

いまさら、そもそも無理だったのです、みたいな話は聞きたくありません。

始めからわかっていたことだ、という醒めた声があちらこちらから聞こえてきそうですが、やはりとても残念です。

寺本名保美

(2017.07.19)



ドラマほどうまくはいかないけど

休暇中テレビで、
空気を読まずに正論を言うエリート刑事の役柄を「俳優小泉孝太郎」が演じているのを視ていて、「政治家小泉進次郎」がどこか重なって見えたのは、演出の妙でしょうか。

そう思ってしまうほど、今の政治にどこか行き詰まりを感じています。

確かに、安倍政権登場前の酷い閉塞感から比べれば、比べようもなく改善はしているのでしょうが、その間日本が動いた以上に世界経済のダイナミズムは動いているので、どうも足元での停滞感が目につくようになっています。

メディアと政治というものは意外とシンクロするもので、6日間家にいて、冒頭のような再放送ドラマ以外、テレビは本当に本当につまらなかった。

だからと言って都政のように政治全体がチルドレン化してしまうことを望んでいるわけではないのですが。

寺本名保美

(2017.07.18)



睡眠負債の返済

昨今流行りの「睡眠負債」を返済すべく、今週一杯夏休みをいただきます。

睡眠貯蓄はできないと言われているようですが、出来得る限り貯め込んでみたいと思っております。

では、来週火曜日まで、おやすみなさいzzzz

寺本名保美

(2017.07.12)



ネット社会におけるユーザーフレンドリー

社会生活全てがネットと繋がる社会、というものに、そろそろアレルギーをなくしていかなければいけないとは思いつつ、ネット予約したフライトスケジュールが、自分のカレンダーに自動リンクされたりすることに遭遇すると、やはりドキリとします。

問題は、繋がることそのものではなくて、繋がるという機能が、私の関知しないところでランダムに発生するから驚いてしまう。

ユーザーにとっては便利な機能へのアップデートは事前告知が必要ないと思っているのは理解できますし、嫌なら後から切ればいい、というものわかっているのですが、どうも土足で侵入された感がぬぐえません。

ネット社会というものにおける「ユーザーフレンドリー」という言葉の定義もまた再考が必要なのかもしれません。

寺本名保美

(2017.07.11)



久しぶりにアートで考える

株式には企業成長と配当があり、債券には利回りがあります。

一方で通貨は単なる交換レートなのでそれそのものはリターンの源泉にはならず、且つ、リスク=値動きは年率で二桁あります。

つまり期待リターンはゼロでリスクは高い金融商品である通貨というものを、なぜポートフォリオ上の構成要素にしなければならないのか?と聞かれることがよくあります。

そういう時に私は相関係数といった理屈の話をする前に、様々な金融市場環境において、為替でしかリターンが上がらない局面というものが必ずあるから、と答えるようにしています。

例えば今のようなグローバルな金融政策の転換期はその一例でしょう。

個別リスクを排除しすぎると、かえって資産全体のリスクを引き上げることになります。

リスク管理はアートである、という文言、最近あまり聞かなくなりましたが、改めてその意味を考えてみる時期なのかもしれません。

寺本名保美

(2017.07.10)



行き過ぎればいずれも面倒

フランスが2040年までに、ガソリン車とディーゼル車の国内販売を停止すると、エコロジー相が記者会見をしたそうです。

日本とのEPAの基本合意についても、今日からのG20を意識したと報じられていますし、このタイミングでのエコロジー相の記者会見もパリ協定から離脱した米国のトランプ政権を意識しているのでしょう。

いずれにしても、このところ元気なフランス。
得意とするエコロジー分野でのグローバルなイニシアティブをとりに来ているようにも見えます。

実利先行すぎて世界からの信頼を失っている米国の対極として、理念先行のフランスが存在感を増すのは、世界的に見ればバランスの取れた構造ではあるのですが、フランスの理念先行型の外交通商政策が力を持ちすぎると、それはそれで面倒な世界になりそうです。

アメリカと欧州に挟まれて右往左往日本、というのはできることなら見たくないので、両者ともほどほどにお願いできればと思います。

寺本名保美

(2017.07.07)



BREXIT特需と英国危機

ところで欧州のセンチメントがこれほど強くなったのか、ということですが、やはりBREXIT特需と言ってしまってよいのではないかと思います。

6月の総選挙の大敗によってメイ政権は、英国国内でのみならず、関係各国における指導力も失いました。

英国主導でBREXIT後の絵を描くことができなくなった結果、時間軸が読めなくなった企業や人材の英国脱出計画が現実化しています。

一方で、ドイツ経済は製造業を中心に確実に成長をしています。従来は欧州経済金融の中心としてこの恩恵を享受してきた英国の地位はフランスやベルギーや当のドイツに取って代わられようとしています。

今の英国に必要なことは、どうしたらこれまでと同じような経済構造を維持できるか、ではなく、どうしたら従来とは全く異なる経済構造で生きていけるのかというビジョンです。

世界経済の堅調さがこのまま続き、物価が反転した時、このままだと英国を待っているのはスタグフレーションです。

株式市場ではまだ織り込んではいませんが、欧州のBREXIT特需の裏に潜む英国危機について、そろそろ考え始めた方がよいのかもしれません。

寺本名保美

(2017.07.06)



自動車とチーズ

日欧のEPT交渉が進捗しているようです。

米国抜きで、日本と欧州との間で、自動車関税等について、合意が形成されていくことは、基本的にはよいことなのでしょう。

今後変化していく自動車産業において、重要な基幹部分となるプラットフォームが、現状で米国企業に抑えられています。

今回のEPAによって、既存の自動車産業の中心的な存在である、日本とドイツとが市場を互いに開放することになれば、米国企業の提供するプラットフォームに対し完成車メーカー側からの牽制機能が強化されることに繋がるかもしれません。

それにしても…
自動車とチーズの戦い。
欧州にとってのチーズ重要性は理解しますが、日本は何ゆえにチーズで戦っているのか???

寺本名保美

(2017.07.05)



愚痴…

最近生活の中でストレスを感じます。

仕事とか家庭とかという意味ではなくて、社会全般へのストレスです。

私は、情報を収集する際、メディアの種類や発信元の特定をあまりしません。玉石混交を承知の上でブルトーザーで砂利をすくうように情報に接し、その中から自分の琴線に触れるものを取捨選択していきます。

ですが、このところ収集する情報にノイズが多くなりすぎて、取捨選択するのに、いつもの何倍もの神経を費やさざるを得なくなっているように思うのです。

枯渇しかかったダイヤモンド鉱山を探索している、というよりは、海藻に覆われ視界が悪くなった海底でアワビを探している、という感じでしょうか。

なんだかとても疲れます…

寺本名保美

(2017.07.04)



政治は崩壊。市場は無関心

今回の都議選。結果は想定通り。

驚愕したのは今流れてきた、「小池都知事都民ファーストの会の代表辞任」

知事の職務に専念するため。

えっ!

選挙が終わった瞬間に、代表が辞任?

色々な意味で、日本の政治の崩壊が止まらないことが、よくわかった都議選でした。

寺本名保美

(2017.07.03)


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