英国のこの先
英国のメイ首相が突如発表した英国の総選挙が来月6日に行われます。
当初争点が良く見えない中で、保守党が絶対多数を確保して終わりかと思われていた選挙ですが、少し状況が変化してきたようです。
今回の選挙でBREXITがどのような争点となり得るのかが、一番よくわからない部分だったのですが、メイ首相がここにきてEUとの合意のない離脱の可能性を示唆したことで、いわゆるハードBREXITと労働党が主張するEUとの合意形成を前提とした緩やかな離脱とで、意見対立が明確化してきました。
そもそも、合意の無い離脱などというものがあり得るのかどうかイメージすら浮かばないのですが、メイ首相が就任以来英国がどのような国を目指しているのか、というイメージも湧きません。
今は、好調な世界経済の恩恵もあり、どうにかなりそうに思えている英国経済ですが、このままでは英国病の再発を心配しなければいけなくなります。
総選挙の結果がどちらに転んでも、英国にとってはあまり良いことはなさそうです。
寺本名保美
(2017.05.30)
満を持しての「?」
安倍政権が長年温めてきた「新産業構造ビジョン」案が本日公表されました。
ビジョンが見えません。
IOTによって何が便利になるのか、は少しわかりますが、どういう社会にしたいのか、というビジョンが見えません。
『スマートに移動する スマートに暮らす スマートに手に入れる
スマートに生み出す』
『第4次産業革命の第一幕では海外にプラットフォームを握られ我が国産業は「小作人化」』
と、導入部分はかなりユニークで且つ唐突な表現で始まり、
個別提案では各省庁がそれぞれの立場で推進したいことがバラバラにパッケージ化されており、
全体として何がしたいのかよくわからない。
先週末のコラムではないですが、やっぱり見切ろうかと。
寺本名保美
(2017.05.29)
嫌気がさした
どこもかしこも泥仕合の様相が日々濃くなっていくなか、気分も相場も気怠さが増していきます。
正しいとか正しくないとか言う以前の問題として、私欲ではなく私怨が見え隠れするあらゆる言動に嫌気がさします。
こうした気分に煽られたというわけではないのですが、市場を動かすファクターとしての政治というものを、そろそろ捨てようかと思っています。
これからしばらくの世界経済は政治の助けがなくても、米国やドイツの産業界を中心に自律的に拡大していくでしょう。経済も金融システムもかつてなく健全で且つ産業の進むべき新な道筋は既に示されています。
日本については、米国とドイツの描いたシナリオの上を、取り残されないようにくっついていけばいいだけなので、たいして成長はしないでしょうが、墜落することもないでしょう。
政財界がタッグを組んで日本主導で世界に打って出るチャンスがあるかと思っていたこの数年ですが、今の政治を見る限り単なる幻だったようです。
G7においての安倍首相の存在感も微妙に薄くなってきている中、日本株の影も微妙に薄くなってきています。バリエーションは割安だと言われているものの、日本株が欧米株に取り残されないで頑張れるかどうかは、少々怪しくなってきたかもしれないと感じています。
寺本名保美
(2017.05.26)
米国大陸鉄道計画の頓挫?
昨日発表された米国の2018年予算案に関わるコメントの中に、米国長距離鉄道-アムトラック‐の大規模リストラが書かれてありました。
オバマ政権初期の原油価格高騰時には盛り上がった、米国大陸鉄道化計画は、その後の原油価格の下落に伴い何やら雲行きが怪しくなり、自動車の電気化やトランプ政権による地球温暖化問題の否定も重なり、とうとう風前の灯となってしまったのでしょうか。
そもそも、日本のように車窓から、山谷を眺め、渓谷を渡り、里山と田園を愛でながらの列車での移動が、移動そのものが観光となり得るのに対し、広大で単調な土地をひたすら真直ぐ走るだけの米国の列車には、移動手段以外の付加価値を求めるのは難しそうです。
飛行機が嫌いな私には、それでもアムトラックは貴重な移動手段だったのですが、これで米国に行きたくない理由がまた一つ増えそうです。
寺本名保美
(2017.05.25)
高等教育改革
専門大学校というものができるらしい。
社会での即戦力を育てる職能校みたいな位置付けなのでしょうか?
既存の専門学校との違いは「学士」を授与されること、だそうです。
学問を究める人、技術を究める人、を同じように「学士」で括り、且つ授業料を無償化することで、世の中職業問わず「大卒」だらけにするプロジェクト、という感じでしょうか。
学歴が底上げされると、基礎学力や知識も同じように底上げされるなら、国家的プロジェクトとして意味はあるのかもしれませんが、単なる学士のインフレになるだけのような気もしています。
日本だけでなく、どこの国でも、ロボットに職を奪われない人材を育成するための高等教育制度の立て直しが急務となっているのは事実です。
制度だけは動いていますが、日本の高等教育改革がどこに向かっているのかの全体像がまだ見えてこないのが気掛かりです。
寺本名保美
(2017.05.24)
仮想通貨でインフレ?
ビットコインなどの仮想通貨でのリアル決済が最近話題になっています。
全くよくわからないので素朴な疑問として。
中央銀行の裏付けのない仮想通貨が、リアル決済で流通を始め、かつ自己増殖を始めるとするなら、それは一種のヘリコプターマネー的なインフレ手段になり得るのでしょうか???
中央銀行の裏付けがない、つまり中央銀行のバランスシートを使わない貨幣というのは、そういうことですよね???
それでも、中央銀行はこう言った仮想通貨の流通を認めようとしているようにも見えるのですが、何故ですか???
ひょっとして、これでインフレ目標達成、なんてこと考えているわけではないでしょうが。
うーん。本当によくわからないです。
寺本名保美
(2017.05.23)
緊張感
出先でストレスチェックというものをしてみました。
「リラックスしすぎています。仕事中ならもう少し緊張しましょう。」
だそうです。
なんとなく、市場も資産運用業界もスポンサーも、最近弛緩気味なので、きをつけましょう、と書くつもりだったのですが、一番弛緩しているのが、私自身のようなので、とりあえず反省しておきます‥
そろそろ緊張する準備位は初めておきましょうか。
寺本名保美
(2017.05.22)
結局だれでもいい?
ここにきて、突然注目の人となっている「マイク・ペンス副大統領」
米国の株式市場が昨晩戻ったのは、トランプ氏の弾劾による短期的な混乱より、ペンス氏昇格による長期的な安定への可能性を市場が好感したから、だそうです。
金融市場というのは、ことさら左様に現金なモノ。
というよりも環境が良い時はどんな材料でもプラスとし、環境が悪い時はどんなに良い材料にも反応しない、という典型事例なのかもしれません。
規制緩和と減税への実行力があり、ここ数年の産業イノベーションの方向性を促進してくれる大統領であるなら、誰でもよい、という本音が見え隠れします。
国のTOPが誰であっても自ら前に進む推進力を持つ米国企業をみて、日本の大企業経営者達は何を思うのでしょう。
寺本名保美
(2017.05.19)
エンジンが増えているので
久々に市場が大きく振れました。
といってもフランス大統領選挙後の上昇が消えただけなので、今のところはスピード調整の範囲内です。
フランス大統領選挙以降、経済のエンジンが少しずつ米国一辺倒から欧州へとシフトし始めています。
足元で万が一米国政権に激震が走ったとしても、米国の単気筒だった頃と比べれば、ショックはかなり緩和されるでしょう。
米国は米国として、欧州も日本もそれぞれ、自国でやるべきことを淡々と進めていくことに集中です。
寺本名保美
(2017.05.18)
働き方改革世代?
働き方改革は重要。
残業減らすのはよいこと。
パワハラはダメ。
社会保険や健康保険に加入させないなどもっての他。
それはそれとして。
今の社会の風潮が、今の若者の将来に、本当に有益であるのかどうか、大人はちゃんと考えているのでしょうか。
残業時間を減らし、パワハラリスクのある研修は自粛し、資格取得の強要はせず、社内の上下関係はフラットで服装は自由。
こうした変化は、従業員の為にみえて、実は経営者や管理者側の恩恵のほうが短期的には大きいということに、早く若手は気づいた方がいいと思うのです。
万が一、これで将来、労働契約がもっと自由化されるようになったらば、切り捨てられるのは特別なスキルもなく、社会的な訓練を受けず、自己主張だけが強い、中途半端な若者でしょう。
「ゆとり世代」のように「働き方改革世代」と括弧書きにされるような世代を生み出さない責任を大人達はきちんと負うべきだと思います。
寺本名保美
(2017.05.17)
信頼性の欠如
足元において、トランプ大統領のスキャンダルも安倍政権のスキャンダルも火の粉があちらこちらに撒き散らされているように見えるものの、少なくても金融市場は全く反応していません。
スキャンダルに慣れてしまったのか、政治への期待が剥げたのか、それを上回るほど企業業績が強いのか、単に鈍いだけなのか…
そもそもこの半年、あまりにもスキャンダラスになってしまったメディアに対する懐疑心もあり、報道内容が素直に頭に入ってこない、ということも一因としてありそうです。
政治も官僚も企業もマスコミも揃って信頼性を失いつつあるこの現状。金融市場は「信用の市場」です。社会における信用の欠如は投資家の売買意欲を失わせ、長期的に金融市場を崩壊させます。
誰一人得をしないスキャンダル合戦、いずこの国もそろそろ収束させてほしいものです。
寺本名保美
(2017.05.16)
長期調達モデルの終わり
まだよく分からないながらも、日本の信託銀行が大きく変化を初めているようです。
日本の金融機関の構造変化で思い起こすのが、1990年代後半の長期信用銀行制度の終焉でしょうか。
90年代初頭に長期信用銀行制度の要だった金融債の発行が、各銀行の信用リスクによって円滑に消化されなくなったあたりから、長期信用銀行制度の行き詰まりが始まっていました。
信託銀行が行う長期資金融資の原資とされていた貸付信託が募集を停止し初めてから10年以上が経過しています。
そういう意味において、信託銀行の融資業務というものに見直しが入ることは遅すぎる位のことなのかもしれないとも思います。
何れにしても、信託銀行が、何をする会社なのかがもう少し明確になることは、資産運用業界にとっては歓迎すべきことです。
日本の資産運用が大きく前に進むきっかけになる変化となることを強く希望しています。
寺本名保美
(2017.05.15)
「公」
最近通勤電車に乗っていて思うこと。
「公」という言葉の消失。
お化粧女子が減ってきたように思うのは、単にスマホを見るのが忙しくてお化粧する時間もないからなのかと思うほど、皆さんスマホと自分の世界に浸っています。
自分の世界に入り込んでいる人はとにかく無防備で、且つ他人の存在が意識の中で認識されておらず行動における理性の歯止めが小さい。
結果、些細なトラブルは多発し、些細なトラブルへの反応が荒っぽくなり、電車は遅れ、ストレスは増える。
ここはあなたの家の部屋ではない。
そういえば、このビルの一階のエレベーターホールで歯ブラシ加えて歩いている女子社員もいましたっけ。
公道とか公共とかいう言葉が死語になりつつある今日このごろ。
通勤するだけでも一苦労です。
寺本名保美
(2017.05.12)
日本への興味
この数日、淡々と円安が進んでいるにも関わらず、日本の株式市場の頭がどうも重いようです。
フランスの大統領選挙直後に上がりすぎたこと。
米国の利上げスピードが気になっていること。
昨日のトヨタに代表されるような大企業決算がいま一つであること。
等々色々ありますが、対外的には安倍政権へのクエスチョンマークが再び点灯しかけていることの影響が少なくないように思えます。
アベノミクスを手本としていると言われているマクロン大統領への市場の期待と、なにやら賞味期限が切れかけてきたようにも見える安倍政権。
ちょっとこの辺で頑張らないと、日本がスルーされていくアベノミクス以前の太刀打ちに戻ってしまうかもしれません。
寺本名保美
(2017.05.11)
ブランドの形成
アップルの時価総額が米国企業として初めて8000億ドルを越えました。
1990年代後半、iシリーズが出る前にMacブランド一本で存続の瀬戸際にあったことを思い起こすと、隔世の感があります。
iシリーズになって以降についても、伝統的な株式投資家内での評価は必ずしも高かったわけではなく、いつまで持つか、と言われ続けたiPhoneもとうとう7世代目まで来ました。
この会社をみていると思うのは、「愛されてる」ことの強さでしょうか。
どんな製品にも付き物の市場サイクルの谷間を、コアなファンの購買力が次のサイクルまで上手く繋いでいるようにみえるのです。
アップルはブランドの形成というものが、こうして出来上がっていくものなのだという格好のお手本を提供してくれているのかもしれません。
寺本名保美
(2017.05.10)
いつまてもあると思うなゼロ金利
フランスの大統領選挙に気をとられていますが、連休中に発表されている米国の雇用統計の強さに、そろそろ意識を戻した方がよさそうです。
米国の利上げが主要テーマになるかと思った昨年は政治イベント中心に一年が終わり、政治イベントへの警戒で始まった今年は以外に金融政策に振り回される一年になるかもしれません。
いつまでもあると思うなゼロ金利。
資金調達も含め、金利の変化に対するリスクシナリオを作り始める時期が近づいています。
寺本名保美
(2017.05.09)
吾輩の辞書
吾輩の辞書には不可能という文字はない、と言ったナポレオンの国の現代の辞書には長い間「成長」という文字がありませんでした。
今回のマクロン新大統領には、とにもかくにもフランス人に「成長」という単語を思い出させることを期待します。
私の頭の中に、「役立たずの大国」というレッテルを張っている国が3つあります。その内の一つのインドは2014年のモディ首相の就任以来、どうやら長い眠りから覚めつつあるようにみえます。もう一つのブラジルは何時までたっても焼き畑経済から脱皮する気配がなくそろそろ期待することも止めました。
そしてフランス。
ドルに対抗できる基軸通貨となりうるユーロをドイツと共に支えるべきフランス。イギリスのEU離脱後の欧州の金融センターの要となり得るフランス。
やればできる子なんだけどねぇ。と言われ続けて数十年。
そろそろ本来の役割を取り戻す時期でしょう。
役立たずの大国のうち2つが動きだせば、世界経済の歯車は大きく回り始めます。
マクロン大統領と共にフランスに「成長」という文字が根付くことを期待しています。
寺本名保美
(2017.05.08)
子供から聞こえるバブルの足音
ニュースで話題になっている、中高生のなりたい職業アンケート。
中高生の男子TOP3に「IT系のエンジニア」と「ゲームクリエーター」。中学生男子の「ユーチューバ―」っていうのが職業なのか、もはやおばさんにはわかりません。
2004・5年のホリエンモンバブルの頃、大学生になりたい職業を尋ねると「企業家」とか「ファンド」とかいう、謎の答えが返ってきたことを思い出しました。
IT系のエンジニアって言われると、「3日家に帰ってないぜ~」と呟く妙に労働ブラックなお兄さん達の顔が思い浮かぶのですが、子供達のイメージはどんな感じなのでしょう…
大きくはないものの、微かにバブルの足音が聞え始めるニュースフローではあります。
寺本名保美
(2017.05.02)
リセット
トランプ政権が出来て100日。
相変わらずメディアの評価は厳しいですが、市場の評価としては良くも悪くも、想定していたより「普通」の政権になりつつある、というところでしょうか。
この100日間、トランプ政権が何をしてくれるかという期待と、余計な事をして景気の足を引っ張るのではないかという懸念とが拮抗してきました。
今のところ期待も多少縮小する一方で、懸念も同様に縮小し、全体的に温度が下がりつつあります。
イメージ先行だったトランプ政権の本音が見えてくるのはこれからです。
少し先入観を外して冷静に政権運営の方向性を見ていきたいと思っています。。
寺本名保美
(2017.05.01)