2017年02月の思いつき


また、周回遅れ

今年のAI市場の中心テーマは、音声認識だそうです。

特にアマゾンの提供するアレクサをプラットホームとする開発が加速していて、それに対しGoogleが対抗するプラットホームの提供を強化しているとのこと。

AIでの音声認識は、日本のAI開発で最も遅れている分野の一つと言われており、そもそも出遅れていた日本のAI分野の周回遅れが、更に水を開けられたように感じます。

日本語がグローバルではないから、という次元ではなくて、日本の技術開発がどうしてもミクロな深堀りに集中をしていて、マスのインターフェースへの意識がどうも薄いことに原因があるようにもみえます。

勝ち目のないプラットホームビジネスに下手に首を突っ込む位なら、そこは諦めてディーテールで勝負するのも一つではあるのでしょうが。

寺本名保美

(2017.02.27)



お寒い世界一

なにやら国会が嫌なムードが漂っていてやや気掛かりです。

世界の株式投資家から「評価」されている、「世界一安定した政権」が、妙な方面から崩れなければよいのですが。

だからといって、次の首相候補が思い浮かぶわけでもなく、随分と懐の寒い世界一です。

寺本名保美

(2017.02.24)



サービスはサービスではない

この数年、私の頭を悩ませていたカラクリ毎のの一つは、ホテル代込の飛行機パック代金が片道の飛行機代より安いこと。
そして、大手ネット通販の送料がどうして無料なのか(今は一部有料になりましたが)。
という2点でした。

数百円の買い物をして、翌日には配送されて、立派な段ボールにはいって、送料無料。

宅配屋さんから受け取る時に、あなたのお給料はどこから出ているの?と聞きたくなる衝動に駆られていました。

無理なサービスのシワ寄せは大概において一番力の弱いところが負担するのが世の常であるわけで、ようやく宅配屋さんの人的資源が消耗されていることに世間の注目が集まってきたようで、ある意味ホットしています。

日本語の「サービス」という言葉はどういうわけか「ただ」という意味を持っています。
モノに対価があるように、サービスにも対価があります。
送料無料は嬉しいですが、やはり払うべきものは払わないといけないと、納得する今日この頃ですです。

寺本名保美

(2017.02.23)



行間を読む係の人

天下りとか斡旋とかの手段の是非は別の問題として、民間企業が官庁出身者を採用したいと思うのは別に特別な縁故に期待しているというよりも、もう少し現実的な事情がありそうです。

民間が官庁出身者に期待するのは、
難解な行政文書を「日常語」に翻訳すること、だったり、行政指導の「行間を読む」こと、だったり、言葉ではない「阿吽」を交わすことだったり、するわけです。

民間事業者と監督官庁との間には大なり小なりの許認可関係があるわけで、OBを雇って手心を加えてもらいたいとかいう話ではなくて、実務レベルにおいて官庁出身者の経験が必要なこともあります。

とはいえ、結局のところ行間を読まなければいけないようなファジーな行政のありかたそのもののが、海外企業からみれば参入障壁に見えるのは事実なわけで、そこのところはやはり行政も変わっていかなければならないのでしょうが。

寺本名保美

(2017.02.22)



緩やかな、あぁ、緩やかな、

今回の四半期報告は「緩やかな…」という単語だらけの四半期でした。

例えば。

緩やかな景気回復を前提とし…
中央銀行の統制の効いた緩やかな金利上昇が続き…
為替は緩やかにドル高傾向を辿り…
株式市場は上下動を繰り返しつつ緩やかに上昇し…

あまりにも沢山の「緩やか」を聞いていると、単なる枕詞なのか、希望的観測なのか、本気なのか、さっぱりわからなくなってきます。

結論として、全ての変化が「緩やか」である限りにおいては対応できるが、そうではない局面については「ごめんなさい」と言いたいのだろうと理解しました。

そして、「緩やかな変化ならプロに頼まなくても委託者側で対応できるので、緩やかでない時にどう対応できるのかを教えてください。」
という極々当たりまえの感想を持ち続け、フラストレーションのたまった四半期シーズンがようやく終わります。

寺本名保美

(2017.02.21)



全然わからないのに始まる金曜日

今週末の金曜日から「プレミアムフライディー」が始まる、、、らしいです。

実感のないことこの上なし、というのは経営者としての自覚の無さでしょうか。

ちなみに来月の該当日は3月31日の年度末、というのはあまり洒落になりません。

そもそも、これは法的にはどういった扱いになるのか、誰か教えてくれましたっけ?

会社の休業時間扱い?
有休をとるように推奨すること?
社員が3時以降に帰っても労働時間にいれるということ?

全然わからないのですが。

寺本名保美

(2017.02.20)



原油と株式の交換

ノルウェイの原油を財源とした国家ファンドが株式の投資上限を70%に引き上げる法案が提出されたとファイナンシャルタイムズが報じています。

100年単位での長期投資を行うファンドにとって現在の債券利回りは投資に値しない、からだそうです。

産油国にとっての株式投資は、言わば、原油という終わりのある国富を世界株式という終わりのない国富を交換している作業なので、一定の投資収益率の確保をを目指す「投資」の概念とは、少し意味合いが異なります。

毎年の利回り獲得に汲々としている普通の年金基金などにとっては、羨ましい限りです。

寺本名保美

(2017.02.17)



金融機関の再編

金融庁ではなく、日銀総裁自らが金融機関の合併統合について具体的に発言することは、あまり記憶にありません。

心の中では思っていたのかもしれませんが、口には出していなかったような気がしています。

この1年、金融行政において、「ビジネスモデルの見直しや明確化」という言葉が使われる頻度が高まっています。

日本経済の成長のためには、血流である金融機関もまた変わらなければいけないという期待感の表れなのでしょうか。
それとも。人口構造の変化の中で今変わらなければ生き残れないという危機感の表れなのでしょうか。

今年は企業の合併統合が一つのテーマになると思っているのですが、金融業界もまた例外ではないということのようです。

寺本名保美

(2017.02.16)



正しい情報漏えい?

米国で国家安全保障担当のフリン補佐官の問題は、ワシントンの誰かが盗聴していた通話記録の漏えいだと書かれています。
スクープをしたのはワシントンポスト。
トランプ大統領と報道官は、「ワシントンからの情報漏えいについて懸念を表明」するものの、メディア側は「情報漏えいはいつの政権にもあるもので健全な民主主義にとって必要なものである」と言い返しているようで、政権とメディアと内部リーク者との三つ巴が泥沼化しそうな気配もあります。

国家情報の漏洩が、正しい民主主義に繋がると言われても、今一つ納得しがたい部分もあり、これ以上大統領府と大手メディアとの関係性が悪化することは、米国のみならず世界全体にとっての潜在リスクとなるかもしれません。

それにしても政治が荒れている割には抜群の安定性を維持する米国の株式市場。なんとも心強いことです。

寺本名保美

(2017.02.15)



孫子の代までの投資対象

お客様に日本にはどうして株式の長期投資という概念がないのか?と聞かれて答えたこと。

一つ「成功体験がない」
二つ「投資の核になる100年続くような超優良企業がない」

成功体験がないというのは、90年バブル後の長期低迷の影響であることは自明として、100年続くような超優良企業がない、というのには戦後の財閥解体が大なり小なり影響しているのかもしれない、と思ったりしています。

一つの企業グループが細分化されすぎた弊害もあり、個々の企業の業歴が浅く、企業間で重複する分野も多い。

この企業の株を持っておけば、配当だけで孫子の代まで安心だ、と思える企業がほとんど思い浮かばない。

未上場企業の伝統的な経営者の方と話していて「家訓として株式投資だけはしてはいけないと言われているので電力株しか持ってない」という会話、本当に多いのですが、その電力株ですら雲行きが怪しい昨今。

個々の企業のガバナンス強化も大切ですが、本質的には強靭な資本とブランド力を持つグローバル企業を目指した本格的な再編を進め、「日本の100年安心企業」というカテゴリーを作り上げていくことが、日本に投資文化を根付かせるための絶対条件であるように思うのです。

寺本名保美

(2017.02.14)



狡猾

喧嘩を売られた相手に笑顔で返す。

これ、いじめっ子にいじめられないコツ。

握手を求められたら、ハグしてしまう。

これ、精神的な主導権をとるコツ。

安倍さんとトランプさんの週末映像は、色々な意味でとても面白かったです。

賛否あるようですが、戦い相手と笑顔で握手する関係を築けることは悪いことではありません。

日本の外交もようやく少し狡猾になった、のでしょうか。

寺本名保美

(2017.02.13)



日本が評価されている理由?

海外投資家が今日本株を買っているのは、日本の政治の安定感が評価されているから、らしい。

無関心なのか、諦めているのか、大人しいのか、現実主義なのか。

そういえば、今のトランプ政権に対する、日本の政財界の対応も極めて大人しく、現実主義的に見えます。

政治経済国民性。
全てにおける主体性のなさが、今はプラスに評価されているようで、喜んでいいのかどうかは微妙です。

優柔不断な主体性のなさ、ではなく、臨機応変な柔軟性、と言い換えれば、多少の慰めになるでしょうか。

寺本名保美

(2017.02.10)



情報の良貨

世の中を騒がせている偽物ニュースの問題。

そもそも、匿名のネット情報を鵜呑みにすること自体が理解し難いのですが、それを法的に規制したり、SNS側に取り締まりを義務化したりすることは、筋が違うようなきもしています。

ネット情報の質について人々が認識できなくなっていることは、裏返せば従来のメディアの質とネットの質に大差がないと思われているということです。

原因の半分以上は、既存メディア側の質の低下によるものなのかもしれません。

良貨が悪貨を駆逐できるなら、つまらない規制を増やすことなく情報の質は維持できるはずなのですが。

寺本名保美

(2017.02.09)



お金を回せる改革はないものか

社会保障費用の効率的な見直し議論が高まるほどに、高齢者の将来不安が高まって、お金を使わず溜め込むようになる、という悪循環が発生します。

世代間不公平による現役世代の将来不安の解消と、高齢世代の将来不安、双方のバランスの取れた議論をしないと、経済の萎縮は進みます。

負担の再配分の議論だけだは、何も解決しません。

どこかに知恵は落ちていないものでしょうか?

寺本名保美

(2017.02.08)



企業再編の一年

今年は良くも悪くも、日本の企業再編が進む一年になりそうな気がします。

グローバルなブロック経済下での予定調和的な市場割りが崩れ、弱肉強食的な市場獲得競争が加速するなら、中途半端な企業がグローバルに生き残ることはできなくなるでしょう。

よほどエッジの効いた企業以外は、規模と資金力のあるものの勝ちとなります。

だからといって資金力にまかせた無駄な買収をしていけば、将来に多大な禍根を残すでしょう。

不良債権を抱え込むリスクをどう抑えながら、グローバルに勝負できる規模と業容の拡大を追求できるのか。

今年の企業経営の大きな課題となりそうです。

寺本名保美

(2017.02.07)



どこに本音があるのかわからない

日本の報道を見ていると、世界中でトランプ大統領への批判が高まり、反トランプデモが起きているように見えます。

一方で、フランスでは次期大統領選挙で有力候補と言われるルペン氏が移民を否定する公約を公表しました。

トランプ大統領を否定しつつ、自国においては反移民政策を支持する、といった捻じれがあちらこちらに垣間見えます。

本当に全米で反トランプ運動が起きているのか?
本当にロシアの除く全世界でトランプ批判が続出しているのか?

現実の熱量が正確に伝わってこないのがなんとも気持ちが悪いのです。

トランプ大統領の政策に脈絡がないという批判は最もなのですが、それを迎えうっている側にも脈絡がない。

もちろんトランプさんに懲りて今後の欧州での選挙が、穏当な結果になってくれるのなら、今の騒動にも一定の意義があるのですが。

寺本名保美

(2017.02.06)



メキシコよりギリシャ

政治の混乱は弱い国の市場を叩きます。

例えばギリシャ。

2年金利が1週間前の5%台から9%台に跳ね上がりました。

トリガーとなる国債償還は7月なのでまだ間がありますが、IMF総会を前に「トランプリスク」を織り込んでいます。

トランプ政権が、国際金融システムの安定とどうかかわっていくつもりなのか。

ギリシャ問題がまず初めの大きな試金石となるかもしれません。

寺本名保美

(2017.02.03)



怒れ!

「公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ 政府、雇用創出へ包括策 」日経新聞

久々に目が点になりました。

別にGPIFが米国のインフラ投資をすることの是非ではありません。

首脳会談という公式の場において、GPIFの投資方針が約束されてしまうことへの強烈な違和感です。

仮に政府が約束をする前からGPIFが独自に投資方針を決定していたとしても、それを国家間の公約としてしまうことは、GPIFの運用の独自性を完全に奪うことになります。

GPIFが本当に「ガバナンス」という言葉を大切にするのなら、GPIFはこの報道内容に対し明確に「怒り」をみせるべきです。

ここでGPIFが怒らなければ、GPIF主導のわが国における資産運用改革への信頼性は地に落ちます。

怒れ!

寺本名保美

(2017.02.02)



経営者の判断

バフェット氏がトランプ氏勝利後に急ピッチで株式投資を積み上げたとロイターが報じています。バフェット氏はクリントン氏を支持者であり、選挙中にはトランプ氏の言動を明確に批判してきた人です。

バフェット氏の変節を指摘したいのではなく、一流の経営者がトランプ政権下の世界経済への可能性をどのように評価しているのかを知るには良い材料であるように思えます。

トヨタにしろ他の大企業にしろ、単にトランプ氏が怖いだけで、数千億や兆円単位の投資計画を作るわけではないでしょう。

経営者達がそこにどのような勝算と可能性を計算したのかに思いを巡らせる必要を感じます。

ウォールストリートジャーナルを始め、経済紙を名乗るメディアは、そろそろ感情的な主義主張から離れて、実需の生の声を広い始めて欲しいものです。

寺本名保美

(2017.02.01)


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