インサイダー取引に関わるメモ
最高裁で出たインサイダー取引についての判決から確認できたこと。
①内部から入手した確実な情報がある。
②同じ内容の情報がマスコミ等で噂や観測記事として流れる。
③この観測記事が流れたことにより情報が公開されたとみなして株式取引を行う。
④噂や観測記事については情報発信源が明記されていない限り公開情報とはみなされない。
⑤従って③の行為はインサイダー取引違反となる。
広範な噂になっていようがなかろうが、インサイダーに情報を入手してしまった時点で売買は不可能。
よく使われる「周知の事実なので」という文言はとても危険、ということです。
気になったのでメモとして。
寺本名保美
(2016.11.30)
問題点は多々あるとしても
カジノ法案が動き出す気配があります。
ロボットやAIに代表されるようなオバマ政権下でのイノベーションの波が、トランプ政権下でやや怪しくなってきているなか、アメリカに頼らない経済の起爆剤を探す必要に迫られてきているようにも思えます。
全体のグランドデザインが見えてこないなかで法案成立が先走ることにやや不安もかんじますが、やるべきことは淡々と進めるしかないと思っています。
足元で経済を止まらせることだけは、避けて欲しいと、思っています。
寺本名保美
(2016.11.29)
節操なし
この間まで「トランプリスク」と言っていた市場が、一転して「クリントンリスク」と言い始める節操のなさに苦笑するばかりです。
節操がないといえば、サウジアラビア。
減産合意をするはずの30日のOPEC総会を前に、言動が再びブレてきました。
40ドル代さえ維持できるなら減産しなくても大丈夫、みたいな発言からは、35ドル以下を避けつつもシェールオイルが息を吹き返してしまう50ドル乗せも回避したいという、都合のよいロジックが見え隠れします。
世の中が市場の思う様にはいかないのと同時に、市場は世の中の思う様には動きません。
もうすぐ12月。少々楽観的になりすぎたポジションについては、そろそろ一旦お休みになるかもしれません。
寺本名保美
(2016.11.28)
農業立国への道は遠い
専門外なので、詳しいことはよくわからないですが。
小泉進次郎氏が中心になって進めていた、全農の抜本的改革が先送りになったという報道は、期待していただけに少々残念に思います。
日本の保守の本家本元への切り込みは、一朝一夕にはいかないということでしょう。
年明けに総選挙という噂もあるなかでの政治的判断も働いたのかもしれず、しかたがなかったのかもしれません。
TPPが暗礁に乗り上げ、全農改革も頓挫し、日本の農業改革のスピードは、一旦減速しそうです。
もう10年前から呟き続けている、私勝手の「観光立国と農業立国」構想。観光は立ち上がりましたが、農業立国への道はまだまだ遠そうです。
寺本名保美
(2016.11.25)
もしラリ
ここにきて、クリントン氏の獲得投票数がトランプ氏を200万票近く上回っているとか、機械投票所にハッキングをされた可能性があるとかといった、まだゲームセットではない、という論調が、米国のメディアで取り上げられています。
今回の選挙については「12月の第2水曜日の後の最初の月曜日」に各州において選挙人が投票し、来年1月月初の両院議会でその結果を開票し、決定することになりますが、万が一ここでトランプ氏が270票以上を得らなかったとすると、両院議員による選挙となるそうです。
現実的には、両院議員の選挙まで縺れたとしても、上下院共に共和党が過半数を獲得したことを踏まえると、クリントン氏の逆転ホームランの可能性は、ほとんどないと言えそうです。
それにしても、トランプさんで想定外に上昇した金融市場。もしクリントン氏にひっくり返ったら今度は急落するのでしょうか?
寺本名保美
(2016.11.24)
内向きな強さ
トランプ次期政権と類似されるレーガン政権のスローガンの一つに「強いアメリカ」というものがありました。
トランプ氏も選挙中にこの「強いアメリカ」という言葉をよく使っていました。国民の漠然とした不満を纏め上げる単語として、この「強いアメリカ」という単語は魔法の言葉でもあります。
1980年代の冷戦下においてソ連という明確な仮想敵国が存在する中での「強い」は、イコール「軍事的な強さ」を意味していました。だからレーガン政権での財政支出の多くは軍事費に注込まれ、結果的にソ連崩壊を勝ち取ったことによりレーガン大統領の「強いアメリカ」は実現したと評価されています。
一方、現代における国際情勢には明確な仮想敵国は存在せず、且つ経済人でケチなトランプ氏が、最も再生産性に欠ける軍事費などというものに湯水のように税金を投入することは考えられません。
では経済的な強国を目指すのかといえば、中国のように他国の市場や企業を経済的に制覇しようという意図も感じられません。
軍事的にも経済的にも足元で明確な対立軸がないなか、「強いアメリカ」を実現するのは、トランプ氏にとっては想定外に厄介な仕事になるような気がしています。
軍事や覇権といった「外向きな強さ」ではなく、老朽化した道路や橋を修繕して頑強にするような「内向きな強さ」に終始してくれるなら、それはそれで平和でよいのですが。
寺本名保美
(2016.11.22)
対極のリーダー
ドイツのメルケル首相が、来年秋の総選挙での首相再選を目指すことを表明したそうです。
教示的で道徳的なメルケル首相のイメージは、迎合的で背徳的なトランプ次期大統領の対極にあります。
トランプ大統領を生み出した世界的なポピュリズムや排他的な国民感情にドイツとて決して無縁ではありません。
一時期は勝算がないと立候補をしないという噂もあったメルケル首相が、米国大統領選の直後のこのタイミングで再選を目指すと言ったことには、大きな重みがあります。
世界の平和と正義をメルケル首相一人に背負わせるのは、酷なことではありますが、メルケルさんとドイツ国民の良識に、ここは一つ頑張っていただくしかありません。
寺本名保美
(2016.11.21)
低ボラ・高配当バブルの崩壊
2015年後半のグローバルな株式調整局面以降、株式市場で醸成されていた「低ボラティリティ」バブルが、今回のトランプ相場で一気に崩壊しました。
今年の夏場以降に金利のトレンドが反転を始めたことが一つのきっかけではあったのでしょうが、その割には金利の感応度の高い「高配当」ファクターは米・日ともそれほど売り込まれることなく、「低ベータ」だけが急落しました。
さすがに足元の米国金利の急騰で、米国の高配当ファクターも大きく調整し、米国だけをみれば、低ボラ高配当バブルの修正は、ほぼ完了したとみることができそうです。
市場が強いころに、喜んでばかりはいられない、トランプ相場となっています。
寺本名保美
(2016.11.18)
鉄壁が動くか?
11月8日以降の金融市場の変化に対し、最初に対応したのは、黒田日銀でした。
9月に発表した新金融調節での指値オペが、今日初めて実行されました。
世界的なインフレマインドの復活で、欧米の市場金利は上昇に転じています。日銀が抑制姿勢を明確にしていた日本の金利は他国に比べれば数分の1程度の金利上昇ですが、それでも金利が「傾向として」反転することを認めない、という強い意思表示をしたオペレーションとなりました。
世界がインフレの時は日本はディスインフレ(インフレではない状態)で、世の中がディスインフレだと日本はデフレと、日本のインフレセンチメントは一段階ずつ下に振れるので、今回のように「インフレ期待」だけでは、鉄壁な日本のデフレマインドには変化がないのかもしれません。
日銀が金利をコントロールできるかどうかというテクニカルな問題は別として、日銀のオペレーションに効果が無くなるほど、国内のインフレマインドに火が付けば、それはそれで黒田総裁の花道になるのでしょうが。
寺本名保美
(2016.11.17)
インフレ大好き
これほど「インフレ」という単語が世の中から好かれているとは思っていませんでした。
きっと「バブル」という単語も実はそれほど嫌われてはいないのかもしれません。
リーマンショックの後、あまりの傷の深さに、もう10年単位で「バブル」などこないだろうと思ったのは、大間違いだったのかもしれません。
インフレやバブルとは、金融経済にとって何度失敗してもまた嵌る。ある種の麻薬のようなものということでしょうか。
寺本名保美
(2016.11.16)
公共投資
あの選挙から1週間が経ち、ふと、そういえば日本でも田中角栄がブームになっていたことを思い出しました。
政策の狭間に落ちた中間層に、幅広く満足感を与えるには、地元密着型の土木工事というのが最も手っ取り早い手段の一つです。
今風にスマートに言おうとするなら「インフラ」ですが、要は道路や橋を作る、日本の伝統的な「公共投資」です。
正しいかどうかはさておき、わかりやすさから言えば、極めて政策効果が高いのが公共投資であるのは、いずこの国も同じです。
もし、今日本に、田中角栄のような政治家がいたとするならば、日本にも今の米国と同じような政治の風が吹いてしまっていたのでしょうか。
もちろん人種問題とかは論外として、純粋に経済政策だけをみた場合の話ではありますが。
寺本名保美
(2016.11.15)
歪み
逆トランプショックの熱で膨張する市場のあちらこちらで、少なからず亀裂が生じ始めています。
積極財政インフレ期待からの長期金利の急上昇は、米国だけでなく日本以外の主要国の長期金利を急上昇させています。
金利が上がったので、金利感応度の高い、低ベータや高配当指数は通常指数に対しての負け幅を急拡大し、リスク資産が上昇している中でリート指数は逆行安となっています。
新興国の通貨安は急落し、新興国の株式市場も下落が目立つ展開となりました。
政府の方針には逆らわないのが金融市場の原則なので、素直にトランプ相場に乗るのは否定できないのですが、この歪みがこれ以上大きくなると、大統領就任前に一波乱起きてしまいそうです。
いずれにしても、お祭り一巡後は、強制リセットされる前に、少し自立調整が必要かもしれません。
寺本名保美
(2016.11.14)
復活
トランプ大統領が決まってから後、異様な盛り上がりをみせている金融市場をみていると、私が嫌いだった時期のアメリカを思い出します。
オバマ政権下のアメリカは、リーマンショック直後であったこともあり、傲慢不遜さや拝金主義的な色彩が薄れていた時代でした。
過去の良き時代のアメリカへの郷愁ではなく、次の時代を見据える意志を感じることができました。
短期的には成果が出にくいこともあり、派手さもないなか、世間からの評価は決して高くはありませんでしたが、中長期的な方向性は間違っていないと思っていました。
トランプ氏の具体的な政策がまだ判らない
にも関わらず、市場では金融や軍需や公共投資といった、時代を10年15年遡らせたような銘柄を囃しています。
インフレ期待が盛上り、金利は上り、ドルは強く、裏側では、エマージング市場が急落しています。
米国が自分さえよければいいと思っていた時代の匂いを感じざるをえず、逆にいうなら、ある意味理知的で理性的であることを強いられてきたこの10年から脱することのできる喜びのようなものも感じます。
この10年でアメリカは自前でエネルギーを調達できるようになりました。国債やドルを買ってくれている諸外国に対し気を使う必要はありません。金融機関は健全で、不良債権に頭を悩ます必要もありません。
ある意味過去にないほどのフリーハンドを与えられたなかで、強いアメリカを標榜する大統領が登場することになります。
今の市場の強さの陰に潜む歪みに、少し意識を向けておいたほうがよいとおもっています。
寺本名保美
(2016.11.11)
リセット
「一時的なショックと揺り戻し、そして緩やかな停滞」
6月のEU離脱ショックの際にはこの前半部分に2-3日を費やし、後半部分のリスクが認識されるのに2-3か月かかりました。
今回のトランプショックでは、前半部分は12時間で終わりましたが、後半部分のリスクの織り込みが始まるまでにどのぐらいの時間がかかるのでしょうか。
英国の場合は、後半部分のリスクが織り込まれていく中において、議会主導で、ソフトランディングの道を模索し始めています。
米国の場合は、後半部分のリスクを織り込む前に、市場が上向きにすっぽ抜けた後にハードランディングをしてしまう、という可能性もありそうです。
いずれにしても、米国でも日本でも、大手マスコミと専門家の意見が全く役に立っていないこの24時間。
自戒を込めて、頭をリセットして、先入観なく、一から物事見直した方がよさそうです。
寺本名保美
(2016.11.10)
そして、再びの、鉄火場
今年の選挙は本当に終わってみないと判らないので、今の段階であまり悲観的になっても仕方がないのですが、大手メディアの世論調査のなんとあてにならないことか。
そして、あまりに想定通りの、日本市場のボラティリティに、目眩がします。
投げるなら買うな!
踏むなら売るな!
以上!
寺本名保美
(2016.11.09)
また、東京時間
世界の投資家の皆さま、どうぞ明日の夜はゆっくりとお眠りください。
大統領選の結果はご自宅のリビングでご家族と一緒に喜びも悲しみも分かち合いましょう。
地球の裏側で開いている市場があるかもしれませんが、そのたまたま開いている市場で、とりあえず買ってみたり投げてみたりするのは止めてください。
その市場に対して選挙結果への怒りや不安をぶつけるなど、もってのほかです。
少なくても、東京市場は、世界の皆さまの、津波のような喜怒哀楽を受け止めきれるほど、大きくもなく、頑強でもありません。
できることなら、我々自身、マーケットを閉めて、寝てしまいたいぐらいです。
では、明後日の夜まで、皆さまごゆるりとお過ごしくださいませ。
寺本名保美
(2016.11.08)
複雑な時代の単純な思考
世の中が複雑化し情報が多様化している一方で、人間の反応がどんどん単純化し行動が単一化しているように見えます。
市場で起きているイベントは毎日毎日猫の目のように動きますが、イベントに対する人々の反応は、極めて一方方向でわかりやすい。
市場は最大の多数決であり、結果は多数決に逆らうことはできないものの、多数決は正義ではなく、多数決の結果は正解ではない。
複雑系からデジタルな解を求めることを得意とするのが人工知能であるとするならば、今の人間はどんどん人工知能に近づいているのかもしれません。
もし人工知能が米国大統領選を予想したら、どういう結果になるのでしょう?
寺本名保美
(2016.11.07)
めくじら
女性の私が書くのなら問題はないと思うので。
クリントン候補がもし男性であれば、これほど嫌われていなかっただろう、という論説がある一方で、ある意味カリスマ性のないクリントン候補がここまで戦えてきたのは社会的マイノリティである女性だったからだろう、という論説もあります。
ことさら左様に、社会における女性という冠は、プラスにもマイナスにもなるもので、目くじらを立てるようなものではなかろう、と思い続けて数十年。
今日は朝から頭痛が酷く、センチメントも株価も急降下。
雑文ご容赦くださいませ。
寺本名保美
(2016.11.04)
クリントン後のこと
出所がFBIであったことは想定外として、選挙直前までクリントン氏のスキャンダル暴露が止まらず、クリントン氏勝利を確信してやや楽観的になりすぎていた金融市場が一旦ポジション調整に走る。
ここまでは、大方の想定の範囲内です。
足元で少々厄介な雰囲気になってきたのは、無事にクリントン大統領となった後、今回のメール問題でクリントン大統領の信任問題に発展するのではないかという懸念が出てきたことでしょうか。
とはいうものの、今回もしクリントン氏が選ばれるとするなら、そこにある国民の意思は「現状維持」です。
クリントン氏に「change!」を望んでいる人は恐らくいません。
新大統領になったとしても、米国の非常に優秀な政府高官達が、オバマ政権から積み残した課題について同じ路線上で淡々と実行していく体制さえ維持できれば十分です。
とするならば、クリントン氏が仮にレームダックになったとしても、大きな影響はないかもしれません。
いずれにしても、全ては一週間後。
寺本名保美
(2016.11.02)
金利のトレンド
政治イベントは騒々しかったものの、金融市場そのものは寝てしまいそうに静かだったと思っていた10月。〆てみると、先進国の債券市場の様子がおかしい。
例えば米国の10年国債利回りは10月一か月で0.2%以上の上昇となり、先進国債券インデックスの円ヘッジリターンは▲1.9%弱。これは単月でみると2013年のバーナンキショック時を超えるマイナスに匹敵します。
バーナンキショックの際はまさに「ショック」で、市場が米国の金融政策の転換を織り込んでいなかったのに対し、今回はある程度は想定内の金利上昇であったという違いはあるにせよ、市場全体としてのリスク認識が薄すぎるような気がしています。
通貨安による欧州のインフレ懸念に加え、米国でもインフレという単語を目にするようになってきました。
米国の大統領選が終わり、市場が冷静になった時、金利のトレンドが変わってしまっていることに改めて反応をする可能性に留意したほうがよさそうです。
寺本名保美
(2016.11.01)