2015年11月の思いつき


卒業後のシナリオ

そろそろ来年~来年度の市場環境のことを考え始めています。

「読み辛い」と言ってしまえば身も蓋もないのですが、「事前シナリオの効かないごく普通の市場環境」というイメージです。

金融危機後の金融市場は、日本の震災と原発事故を除けば、欧州危機を含めて考えても、かつてないほど単純で判り易い環境が継続してきました。

それは、世界的な金融・経済危機を体験した市場経済が、この7年間政府中銀により強制的に敷かれたレールの上を走ってきただけだったからです。

一方で、昨年来議論になってきた米国のテーパリングや利上げは、金融経済が政府によって描かれたシナリオから卒業する、という意味も含まれています。

この7年間、単純に政府の思惑や中銀の次の一手を読んでいれば大きく外すことはなかった運用環境も、ここから先はファンダメンタルズやバリエーションへの依存度が格段に高まっていくことになります。

軸を振らすことなく、環境変化に機敏に対応する運用能力が問われる一年になりそうです。

寺本名保美

(2015.11.24)


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