群集行動
ロイターに掲載されていた、ドイツ連銀理事のコメントに、納得感があります。
ビジネスモデルの画一化や低金利環境での利回り追求において、金融セクターでの群集行動が目立ってきていることに懸念を表明しています。
投資戦略やビジネスモデルの多様性がそこなわれることは、何かあった時の市場の変動を増幅させ、金融システムの潜在的なリスク拡大要因になるという意見は、今の日本を顧みても、心から同感します。
これは銀行のみに当てはまることではなく、資産運用業界でも同様だからです。
一部の投資家に資金が集中し、且つ、運用機関が特定の投資家の行動に一糸乱れず追随するような状況は、市場リスクを悪戯に増幅させるだけです。
投資家の問題ではなく、それをとりまく業界関係者全員が、この問題を真剣にとらえる必要があるのではないでしょうか。
寺本名保美
(2015.02.27)
目覚め?
冬眠から覚めた熊のように、したいことが次々と湧いてきて、あぁ春だなぁと思う今日この頃…
でも、言われる前に言っておきますが、全部お仕事のお話で、身体は一つしかなくて、したいことの前にしなければならないことが沢山あります。
はい。判ってます。判ってますとも!
少しずつ実現していきます。
乞う御期待(笑)
寺本名保美
(2015.02.26)
落ち着きどころ
中央銀行の一挙一動で、乱高下をする為替市場。
落ち着きのないこと甚だしい。
米国の利上げも、日本と欧州の大量緩和も、方向性は既に確定しているのなら、そろそろ居心地のよい水準に向かって、収束を始めてもよいころです。
ドル円という意味では、ユーロが大きく振れていても、結局110円台後半で値固めをしている最中とみることもできそうです。
イエレン議長の言うように、6月以降、どのタイミングで利上げが始まってもおかしくはありません。
楽観論にも悲観論にも偏ることなく、FRBも市場も来る利上げにむけて淡々と落ち着きどころをを探していく半年になりそうです。
寺本名保美
(2015.02.25)
子育てと介護
日経新聞の「働く女性アンケート」で、最も重要度が高かったのは「介護を必要とする家族等を支えている女性の負担軽減」だったそうです。
政権が言っている「子育て支援の充実」は、少子化を解消するに当たっては、絶対に必要な政策ではありますが、現実に潜在労働力としての女性の活用を意識するのであれば、介護問題を避けて通ることはできません。
大昔に読んだドラッカー本の中に、「一世帯が子供を養うコストと親を養うコストとは二者択一になる」というような表現がありました。
親の介護負担をしている家計には子育てをする余裕がなくなる。だからこそ、高齢化社会において「年金」という制度の重要性が今後増してくるであろう、というのがその章の趣旨だったように記憶しています。
高齢者に対し厚いか、子供世代に対し厚いか、ではなく、子供世代に十分に安心してコストを掛けることができるために、安定した老後システムが必要だということが、どうもまだ政策として認識されていないように思うのです。
物事、どこかで何かが繋がっています。
誰かの得が誰かの損、ではありません。
寺本名保美
(2015.02.24)
まだ足元はグラグラと
今月末に期限がくるギリシャへの金融支援について、当面4か月延長することが決定したとされ、為替も株式も反発しています。
ただ、報道をよく読むと、
4か月合意の条件としてギリシャは今後行う経済措置のリストを23日までに欧州委員会に提出しなければならず、欧州委員会が内容に納得しなければ再度ユーロ圏財務省等による再協議が行われる、
ことになっています。
ギリシャ政府が、国民に対し、財政削減撤回の旗を降ろすことなく、欧州委員会が納得するような経済措置をどのように描こうとしているのかは、まだ見えてきていません。
とりあえず、安定している金融市場ですが、突然梯子を外される危険を認識しながらの前進となりそうです。
寺本名保美
(2015.02.23)
黒田さんだけでは…
本日の日銀黒田総裁の発言。
「(金融政策には)さまざまな手段があるので、必要に応じて適切に導入することで2%の物価安定目標を達成すべきだし、達成できると考えている」
この方の発言からはいつも「強烈な意志」が伝わってきます。
政策の方向性が良いか悪いか以前の問題として、この姿勢の振れなささは、秀逸だと思います。
一方で、金融政策以外の政策について、焦点がどんどんボヤけていってしまっていることに、そろそろ一抹の不安を感じ始めました。
期待していたカジノにしても、横浜と大阪では、地方創生には程遠い気がします。
黒田さんが頑張れば頑張るほど、金融政策以外の無策が目に付く今の状況は、そろそろ危険です。
寺本名保美
(2015.02.20)
鉄則
日経平均が、15年ぶりの高値を更新。
TOPIXベースでは、まだ100ポイント下。
2月に入ってからの国内株式市場の上昇には、違和感。
但し、判らない相場は追いかけないが、決して逆らわない。脱力して様子見。
これ鉄則。
寺本名保美
(2015.02.19)
選挙権…
選挙権が18歳からに引き下げられるそうですか、私の感覚はどうも逆行していて、むしろ25歳とかに引き上げた方がよいのではないかとさえ思います。
親との距離感、社会性、精神の成熟度、等々を考えるにつき、成人年齢は成人になった後の人生の長さに引っ張られるように、江戸時代から現代まで、少しずつ後ズレしていると感じるのです。
現代において、18歳とか20歳とかいう年令は、とにかく自己の確立をする時期で、社会に対して向かい合う準備が全然間に合っていないようにみえます。
今回の改正、何を意図しているのかもよく判らず、釈然としないのは私だけでしょうか?
寺本名保美
(2015.02.18)
質の悪い問題
ギリシャで、世界が崩壊するとは思いませんが、ギリシャの破綻の影響は軽微ですと言い切れる根拠も見当たりません。
あえていうなら、何か衝撃があったとしても
影響はおそらく一時的なもので、逆に何か合意がされたとしても平穏もまた一時的なものだということです。
厄介なことは、例え今、ギリシャの債権を全額放棄したところで、あまり事態は進展しなさそうに思えることで、その辺りが単純な財政破綻問題より質が悪い。
あまり楽観せず、あまり悲観せず、様子を伺うしかなさそうです。
寺本名保美
(2015.02.17)
先高感なき、景気回復
仕事柄、様々な業界の経営者の方々とお話をさせていただきます。どこの業界の方も厳しいお話をしながらも、この1年で随分とご機嫌が良くなった、というのが実感です。
とはいうものの、それが全ての業種というわけではなく、個人住宅・個人消費関連の業態については、アナリストの分析を待つまでもなく、景色があまり改善していません。
表の新規住宅着工件数ですが、消費税の増税を挟んでいるので、対前年比の統計ではなく、2011年~2012年の数値と2014年とを比較してみてください。
「悪い」というより「伸び悩んでいる」というところでしょうか。現場の経営者や設計者の方々と話していても、この統計と似たような感触を受けます。
需要人口が足りない、資材と人件費が高騰している、等の理由はありますが、本質的には不動産市況に先高感がなく、購買意欲が刺激されない、ということなのではないかとも思います。
インフレを伴わない景気回復。
この先にあるのは、過度なインフレか、それとも急激な失速か。
長く緩やかな景気の回復か、長く緩やかな景気の失速か。
どこに転んでもおかしくないようにも思え、頭が混乱しています。
寺本名保美
(2015.02.16)
何か起きてる?
2月に入り、あちらこちらの国内株式マネージャーから耳をつんざくような悲鳴が…聞こえてくるような気がします。
国内株式市場の需給になにやらおかしなことが起きているのですが、何が起きているのか、まだ誰もよく判っていなさそうです。
昨年同様、公的年金が悪さをしている、というだけでは、少々説明のつきにくいほどの歪みが、一時的に市場を揺るがしている、ようにみえます。
高値波乱の切っ掛けにならなければよいのですが…
(2015.02.13)
リスクシナリオ
投資方針の方向性を考える際、リスクを厳しめに算定するか、甘目に算定するかは、投資環境の水準にも依存します。
例えば、株式市場全体が明らかに割安であると判断した時、目先のリスクより中長期での割安感の修正をより意識したシナリオを立てますし、逆に割高であると判断した時は目先のリスクでの反落を意識したシナリオを立てます。
そうした観点から来年度の投資方針を考えた場合、中長期の方向性が上向きであるという前提は変わりませんが、一つ一つのリスクについてはやや厳しめに判断せざるとえないと思っています。
端的な例をあげるなら、米国の利上げのタイミングは、市場コンセンサスである「6月~9月」を前提とし、「あわよくば来年」という楽観論は採用しません。
ギリシャ問題にしても、合意が取れることを前提とするのではなく、決裂した場合のダメージの大きさを視界にいれながら、考えます。
市場全体としての方向性に不安は持っていませんが、伸びすぎた市場、脆弱な市場についてのモニタリングは、強化しなければいけない一年になりそうです。
寺本名保美
(2015.02.12)
絡み合う対立
ギリシャを巡る各国の反応をみていると、単なるユーロ圏の問題ではなく、経済が傷ついている国とそうでない国、という構図が見えてきます。
ギリシャのユーロ離脱を阻止しようとする意見は、ユーロという体制からの視点ではなく、むしろ弱い国を切り捨てるな、というようなニュアンスを感じるのです。
逆にいうなら、年初来ドイツやフランスなどのユーロ大国側からは、切り捨てる覚悟のようなものが伝わってきて、不気味さが増します。
あちらこちらで、対立構造が複雑に絡み合っていくことに、懸念を覚えます。
寺本名保美
(2015.02.10)
病んでいる市場
12月の中旬からの1ヶ月で、半分になった日本の国債10年の金利が、その後の3週間で倍になりました。
と書くと、何やら、恐ろしいことが起きているように、聞こえますが、単に0.4%が0.2%となり、再び0.4%に戻りつつあるだけです。
それで、これが仮にあと倍になって0.8%になったところで、債券利回りとしては、全く不思議ではありません。
不思議ではありませんが、日々時価管理で収益率を計算する債券の投資家からすれば、とんでもない時価変動にさらされているのも事実なわけで、迷惑なことこの上ありません。
10年金利が0.2であっても、0.4であっても、0.8であっても、異常な低金利であることには変わりなく、0.幾つの世界で売り買いすることにどれ程の意味があるのか。
債券市場は病んでいる、と心底思います。
寺本名保美
(2015.02.09)
次々と利下げ
デンマーク中銀が、今年4回目の利下げを行い、政策金利はマイナス0.75%となりました。
目的は、対ユーロでの為替レートを一定化させるベッグ制を死守するため、とされています。
通貨ユーロには参加していないものの、EU加盟国ではあるデンマークにとって、一方的なユーロ安になることは、絶対に認められないのでしょう。
同じく通貨が独立しているEU加盟国であるノルウェイも、12月に緊急利下げをしています。
結局、あきらめてバンドを放棄したスイスも含め、モノも人も比較的自由に移動ができる欧州大陸において、ECBのユーロ安誘導は、想像以上の弊害を生み始めていそうです。
この通貨安競争。来週のG20で、どういった議論がでてくるか注目しています。
寺本名保美
(2015.02.06)
火種再び
ギリシャの新政権と欧州首脳とが大人げない戦いを始めた、ように見えます。
ECBの格付け基準を満たしていないギリシャ国債を、銀行が担保にいれる特例措置を撤廃したことで、ギリシャの国内銀行はECBからの直接借入が難しくなりました。
更にこの決定が、先日発表された欧州の量的緩和で各国が買取りを行う債券の対象からギリシャが外れるのではないかとも思惑も働きます。
年初から燻っていたものの、一旦鎮火したと思われた、ユーロからのギリシャ離脱の可能性に、再び火の粉がチラつきます。
お互いに、どこまでが想定通りの予定調和なのか、どこまでが波乱なのか、見ている側にはよく判らない怖さがあります。
先の読めない心理状態の中で、有り余った投資資金はいったいどこに向かうのでしょうか
寺本名保美
(2015.02.05)
トレンドの変化?
昨日、日本の国債入札を受けて債券市場が急落すると、何故か株式市場がつられて下落しました。
ギリシャ問題や原油の下落に一服感が出たことで、ドルがほぼ全通貨に対して売られたにも関わらず、ドル円に動きはありませんでした。
今日になれば、何事もなかったかのように、日本の株式も上昇に転じているので、あまり気にする必要はないかもしれませんが、何かトレンドに変化がおき始めているように思います。
暫し、注意です。
寺本名保美
(2015.02.04)
歓迎 円安?
相変わらず「着くのか?、帰れるか?」の北海道出張から戻りました。
やはり冬の北海道は、海外の方が多いです、空港でもホテルでも、久しぶりに日本語以外の声に囲まれた出張となりました。
数年前までは、雪まつりの最中であっても、札幌市内のホテルのホテルの値段は、通常通りだったのですが、今年はちゃんと?雪まつり値段になっているそうです。
出張族にはやや厳しいコストアップではありますが、これも景気回復と円安効果、ということで、純粋に歓迎することとしましょうか。
寺本名保美
(2015.02.03)
気分はリスクオフ
悲しみは悲しみとして、怒りは怒りとして、それが大きいものであるならあるほど、自らの心の内の問題として、個々として受け止めたいと私は思います。
それを社会化させ、一般化させる行為は、例え出発点が正しかったとしても、どこかで捻れ、予期せぬ災いを招くきっかけを作ってしまう可能性があるからです。
フランスでの反テロ行進で感じた居心地の悪さを、今度は日本で感じることになるのでしょうか。
なんとなくではありますが、リスクオフの気分、です。
寺本名保美
(2015.02.02)