2014年07月の思いつき


デフレとESGと食品偽装

食品の偽装や安全基準の問題が起きる度に、私はどうしても売る側ではなく買う側の姿勢のほうが気になってしまいます。

「安い」には「安い」理由がある。という当たり前の理屈を棚に上げるのは良くないと思ってしまうからです。

景気が良い時は、確かに利益率を適正化することで、競争力のある価格を提示することができる企業があったでしょう。

しかし、20年近くも経済が低迷する中において、価格競争をしようと思えば、「効率化」「コスト削減」というお題目においてできることは徐々に限定されていくのは当然のことです。

食品だけでなく、衣料品にしても、現地での「環境保護」「労働者の健康管理」を先進国並みにした場合、生産コストは原料を現地調達していない限りそれほど変わらないはずです。

企業投資において「E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)」への意識が本当に高まるのであれば、それは即ち製造業がこれまで享受してきた「心地よいデフレ」の終わりを意味します。

モノの値段には意味がある、ということを、消費者ももう一度認識すべきだと思います。

寺本名保美

(2014.07.31)



あまり書けないのですが…

あまり多くは書きませんが、気になるのは「ペトロチャイナ」。

世界の株式時価総額ランキング15位。

数年前には一位になったこともある企業。

中国の国内問題が、グローバルな資本市場のリスクへと波及する可能性がある、かもしれないということ。

そういえば、ロシアの「ユーコス」を巡るって5兆円の損害賠償をロシア政府に命じる国際裁判所の判決がでたそうです。

詳細は省きますが…

寺本名保美

(2014.07.30)



カラカラ

ドル円の取引量が19年ぶりの低水準となった、というニュースに象徴されるように、日本の金融市場は文字どおり夏枯れ状態となっています。

それにあわせて、私の頭も夏枯れで、ここに書く言葉がでてきません…

不思議なもので、文字のインプットが不足すると、アウトプットする文字も渇れてきて、ただの推理小説であっても文字に触れてさえいれば、自然と言葉が湧いてきます。

市場が安定しているからと安心していないで、頭の在庫が枯渇する前に、そろそろ文字を仕入れにいかないと、頭を振るとカラカラと音がしそうです。

寺本名保美

(2014.07.29)



強すぎる

国内株式、強いです…

最近の日差しのようです。

強すぎる日差しは、生き物の体力を奪います。

長持ちさせるには、太陽も少し雲に隠れてくれたほうが有難いてす。

でないと、また突然の雷雨で右往左往されられることになりますので…

寺本名保美

(2014.07.28)



需要曲線の典型

特急列車に乗るために新宿駅のホームに行くと、リュックサックと水筒を背負ったチビッ子集団に囲まれました。

そういえば、夏休みですね…

日本はサービス価格が硬直的だとよく言われますが、航空運賃とホテル代は、腹が立つほど変動します。

さて、これからしぱらくは、いつもの倍近い値段を払い、いつもの倍近い混雑の中、いつもと変わらぬ四半期報告のシーズンが始まります。

寺本名保美

(2014.07.25)



貿易収支が意味するところ

貿易収支が24ヶ月連続で赤字となりました。

円安環境で、且つ、景気回復局面での赤字というものが、何を示唆しているのかを考えると日本経済全体が置かれている環境を理解するのに有益かもしれません。

最大の要因は、中国やアジア地域での現地生産化の影響であることは間違いなく、これは趨勢としては今後も大きな変化はないでしょう。

一方、気になるのは、エネルギー資源の輸入の方で、基本的に円安、というよりドル高が継続する、というシナリオをメインに置いた場合に、今後の日本経済のアキレス腱になる可能性があります。

米国へのエネルギー依存度を高めつつ、ドル高に対処するには、どうしたらよいのか。
1ドル=130円とかになる前に、企業も国も真剣に考えておいた方がよさそうな気がしています。

寺本名保美

(2014.07.24)



先人の努力

全日空が国際線に進出したのは、確か我々が社会人になったのと同じ時期でした。
もう30年近くも前のことです。

それでも、未だに、日本航空と全日空との、機内アナウンスでは、英語の綺麗さに大人と子ども程の違いを感じます。

30年の月日では埋まらない程の企業カルチャーとは何なのかと、ふと考えます。

ある意味、我々世代が社会人に出る何十年も前から、女性のプロフェッショナルとして頑張ってこられた創成期の「スチュワーデス」の方たちの努力やプライドの結晶なのかもそれないとも思います。

均等法世代が50歳を超え、社会的な責任も地位も与えられるようになったものの、果たして30年後に息づくような何かを残してきたといえるのか。

時代の流れでプロモーションされたあと、これからが、我々世代の女性が、本当に頑張らなくてはいけないのだと思っています。

寺本名保美

(2014.07.23)



プロの後追い

国内株式市場での個人投資家の影響力が高まってきているように思います、

例えば、今日の市場にしても外部材料だけをみるならば、ここまで上昇するような日ではありません。

個人投資家と機関投資家の投資行動に以前程の違いはなくなってきたとはいえ、それでも回転率などには歴然とした違いがあります。

今はまだ、機関投資家サイドは落ちついていますが、個人投資家の行動に機関投資家が後追いさせられるような場面になると、相場の変わり目が近いともいえます。

ご参考まで。

寺本名保美

(2014.07.22)



嫌な事件ではあるものの

マレーシアの民間航空機がウクライナ東部で撃墜されたとの不幸なニュースを受け、冷や水を浴びせられた金融市場ですが、とりあえずは落ち着きを取り戻しているようです。

但し、今回の件をきっかけに、やや過熱感のあった金融市場全体が一旦方向性を失う展開になる可能性は、否定しません。

日本の10年国債金利は、昨年4月の黒田ショック以来の0.4%台を窺う展開となっていますが、日本のインフレ率がプラスになっている局面でこれ以上買い進むのは困難です。

為替についても、リスクオフでの円買いと、早ければ今年の年末に掛けて想定される米国の利上げスケージュールとの綱引きで、一方方向には動きにくいのが実情です。

そもそもやや高値圏という意識の強かった株式市場では、むしろ「調整」を望んでいる、潜在的な買い需要があるため、「期待」よりは下がらない、かもしれません。

嫌な環境ではあるものの、反応しきれず、夏休み入り、というのが今のところのシナリオでしょうか。

寺本名保美

(2014.07.18)



半年おき

「品川の再開発報道で建設株急騰」とか「カジノ誘致でレジャー関連堅調」とか、1年ぐらい前に話題先行で材料になったテーマがぶり返してきているようです。

株式市場が半年先を先取りする、というのは最近では少しズレてきているようで、「1年先を先取りし、半年前に出尽くして、現在進行形になって再び反応」という感じのサイクルでしょうか。

市場がテーマを織り込むスピードが速くなっているために、1テーマの消化で3回転してしまいます。

この回転に乗れればよいですが、一歩ずれると、とんでもない結果になりそうなのは想像に難くありません。

プロのアクティブマネージャーの方々は、当然上手く立ち回っているとは思いますが…

寺本名保美

(2014.07.17)



BRICSってなに?

BRICS首脳会議、というものがあるそうです。

たかが一証券会社が勝手にグルーピングした「BRICS」という金融カテゴリーに過ぎない呼称を、当の国々が外交政策の核として使っていることが、どこか気恥ずかしく、ある種のブラックユーモアにさえ思えます。

ブラジル・ロシア・中国・インド・南アフリカ
どこに共通項があるのかと考えてみても、「国土が広い」こと以外は思い浮かばないのです。
ちなみに、国土面積ランキングでは、南アフリカの25位を除くと、上位10カ国以内の入賞国です。
国土が広いので人口も多い、ということで人口ランキングでも南ア以外は10位以内です。

土地が広く、資源もあり、人的資源も豊富、であるにも関わらず、どうして自分達が何時までたっても「新興国の代表者」であり続けているのか、ということを真剣に考える場であるなら、意義のあるお集まりであるとは思うのですが、そういう話でもなさそうです。

世の中に無駄にさざ波を立てるだけの存在にならなければよいのですが。

寺本名保美

(2014.07.16)



リスクの警告

緊急地震速報の精度を従来の60%程度から、90%程度に上げる見通しがたったと、発表されています。

改善されるのは、良いことではありますが、こういったリスクに関わる数値の発表は、慎重にするべきだと思っています。

先週末の明け方に、微動だにしなかった緊急地震速報で叩き起こされた東京の者とすれば、また外れか…という不満がなかったと言えば嘘になります。

ただ、こういったものは、今回がたまたま外れだったからといって、次回も外れとは限らない、位の、漠然とした信頼感を維持しておくことが大切であって、その精度を数値化することは、むしろ逆効果だと思うのです。

6割という数値をきいて、10回に6回当たると思うか、4回外れると思うかは、人それぞれです。

我々のような仕事をしていると、1標準偏差の精度は、結構頑張っていると思うのですが、殆どの人は警報ご鳴っても「半分位しか当たらない」と理解するでしょう。

リスクの警告は、10回に1度の精度であっても、出し続けることに意味があると思うのは、私の当たらない相場感の言い訳でしょうか。

寺本名保美

(2014.07.15)



圧力団体

弊社がこの1年主張している、米国経済を核とした景気回復シナリオが頓挫するとするなら、その原因は利上げでも、中国でもなく、先週から何回か報道されている、「この種の話」かもしれません。

『米オクラホマで地震が多発、シェールガス採掘に関連か(CNN)』

日本のメタンハイドレートでも同じ議論が繰り返されていますが、採掘が試掘ではなく、本格稼働する過程においては、こうした懸念はいくらでも話題になります。

特に米国や英国のように、環境団体等の圧力団体が一定の力を持っている国においては、政権の調整能力次第では、深刻な障害となりうると思われます。

米国においては、国の命運をかけた国家プロジェクトである以上、ここから後退することはないはずですが、少し気になる話題ではあります。

寺本名保美

(2014.07.14)



逆説的にいうならば

ポルトガル最大の金融機関の信用問題に、金融市場全体が少し反応しています。

日本のバブル崩壊以降に見られたように、欧州では今後しばらくの間、こうした話題が出たり入ったりします。

日本の金融危機が、世界経済の重荷にならなかったのは、当時の米欧経済が日本を気にしなくても良いぐらいに、強かったから、ということができます。

逆に、現在の欧州金融機関のリストラクチャリングが遅々としているのは、それを支えるグローバル経済全体の力強さに不安があったからかもしれません。

しばらく、凍結状態にあった、欧州の金融問題が再浮上してきたのは、それだけ、経済環境に安定感が出てきた証なのかもしれません。

寺本名保美

(2014.07.11)



ブレーキをかける必要はありませんが

最近、色々な場面で、市場関係者の感覚が、サブプライム前に戻りつつあるのではないかという危惧を耳にするようになりました。

株式と債券とが同時に上がる矛盾。
中央銀行が金利の上昇を示唆しているにも関わらず、全く反応しない長期金利。
行き場のないお金が、リート等のニッチな市場を押し上げ。
新興市場のボラティリティが上がる。

2007年のサブプライム前、というよりは、もう少し前、2005年あたりの感覚に近いかもしれません。

こういった警鐘がならされてから、実際に何かが起きるには、かなりの時間が掛かるものです。

巡航速度を維持して、安全運転を心がけておけばよい程度と考えておいてください。

寺本名保美

(2014.07.10)



後で…

携帯が通じないので、後ほど更新します。
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荒れ模様のお天気だけではなく、何となく雲行きが怪しい市場環境を考えると、本当は、今株式比率を少し下げておきたくなります。

一方で、GPIFに追随を使命としている厚生年金基金としては、国がリスクを上げるとちらつかせているなかににおいて、それに逆らうことはてきません。

正直、標準偏差で9%近いポートフォリオリスクを、お客様に維持していただくことは、弊社のポリシーに反します。

物凄く、フラストレーションがたまる、制約環境です。

寺本名保美

(2014.07.09)



非日常のなかの有り難み

バタバタしつつも運用機関さんと、ファンドのお話をしたりしてると、やはり楽しいなぁとおもいます。

私はやはりこのお仕事がすきです。

非日常のなかでこそ、日常の有り難みがわかる、今日この頃…
寺本名保美

(2014.07.08)



切り替え時の苦労

年初からお願いしていた家の修繕に、半年待ちでようやく来てくれた工務店の所長さん曰く、
消費税前の駆け込みで大混乱した異常な人手不足はようやく収まったものの、
今度は資材価格の高騰で受注がピタリと止まった…

仕事がある時には、人が足りず、
人が落ち着けば、仕事が切れる。

消費税の引き上げ分を、単純に工賃×1.08で乗せたつもりが、仕入れ価格の消費税分の引上げを忘れて、ひどいめにあったとか、いう話もおまけにつき、結構苦しそうな話をしています。

景気と物価の踊り場。
こういう時こそ、国と金融機関とで、中小零細をを支えて欲しいものですが。

寺本名保美

(2014.07.07)



ジグザグ

お客様には度々お伝えしているように、今年の金融市場は、米国の雇用と景気の指標で買われ、利上げの時間軸で売られ、の繰返しです。

センチメントの良いときは景気に反応して買いが先行しますし、センチメントが悪い時は利上げに反応して売りが先行します。

ジグザグしながら切り上げていくとは思っていますが、あまり片方に反応が集中した時は反動が大きくなるのが心配です。

米国株式だけてなく、新興国市場も、債券市場も、基本はみな同じです。

ご確認まで。

寺本名保美

(2014.07.04)



ほのぼの

地方都市に行って、タクシーの運転手さんに、この街は豊かですね~、と話しかけると、山も海もあるからね…という返事が返ってくるという経験が何度もあります。

私としては、何か大きな地場産業があるとか、どこかの企業の城下町だとかいう答を期待しての質問なのですが、何故か山と海…

この噛み合わない会話から、妙に日本を感じて、ほのぼのしてしまう私です。

寺本名保美

(2014.07.03)



外債復活

弊社のモデル配分で、久々に外国債券比率が大幅復活しました。

2008年の3月に組み入れが0になって以来、ほとんど見かけることのなかった資産です。

逆にいえは、2008年から割安な状態が続いてきた外国株式が、7年がかりでようやく割高な領域まで、上ってきたということです。

弊社の資産配分モデルは、金利環境に依存しています。
今の先進国のイールドカーブを前提とするならば、ここから上の株価水準は危険水域となります。

一方で、ここから上の株価水準を正当化するならば、現状の金利環境が修正されなければなりません。

株式と債券、どちらのの水準訂正が、先に始まるのでしょう。

寺本名保美

(2014.07.02)



キックオフの予感

今日発表された日銀短観で、最も注目されたのは、業況判断ではなく、設備投資計画の数値だったようです。

株式市場参加者が昨年度強気になりきれなかったのは、株価や企業業績が上向いているにも関わらず、企業の設備投資意欲が経営から伝わってこなかったことにあります。

自社株買や増配が「現在の」株式価値を底上げすることはできたとしても、「将来の」株式価値を上げることはできません。

企業の内部留保が、内向きで短期的な視野だけに使われるのではなく、将来を見据えた投資に向かう流れが何時来るのか、アナリストやファンドマネージャーは待ち続けてきました。

骨太の方針も決まり、重点的な成長項目の発表も終わり、あとはそれを受けた企業行動で全てが決まります。
ボールが政府から企業の手に渡ったこの時期に出てきたものとして、今回の日銀短観は時機を得たものと言えるのかもしれません。

寺本名保美

(2014.07.01)


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