今年は波乱なし?
比較的静かなゴールデンウィークです。
毎年大きくトレンドが変わるのですが、今年はトレンドがないままだったので、おおきな変化はないのかもしれません。
まぁ、あと半分、終わってみないとわかりませんが…
寺本名保美
(2014.04.30)
休日の過ごし方…
ゴールデンウィークです。
Facebookでの友人達の書き込みも、すっかり華やいでいます。
人からの質問で何が困るかというと、「趣味は何?と休日は何を?」の二つである情けない現実が身にしみます。
聞かれる前に、答えておきますが、掃除と洗車と惰眠です。
まぁそれも良しと…
寺本名保美
(2014.04.28)
実需の撤退
NTTdocomoがタタと共同で行っていたインドでの通信事業から撤退を検討していると報道されています。
報道によれば、2008年末からの累積投資金額2800億円については、既に50%の減損が済んでいる上に、さらに800億円程度の償却を見込んでいるそうです。
金融市場と実需が互いにシンクロしながら膨らませてきたインドへの期待が幻想と散ったこの5年を象徴するようなニュースです。
足下で金融市場はやや戻り基調にありますが、この数年大規模な選挙の後は政情が混乱するケースが多いことを加味すれば、仕方のない決断なのかもしれないともおもいます。
NTTdocomoのの決断が大底を叩いて、総選挙後のインドが投資家の期待に応える国に生まれ変われるのであれば、世の中全体とすれば好ましいことではあるのですが。
寺本名保美
(2014.04.25)
この文書が全てとは思いませんが…
今日の日経の経済教室「公的年金運用を考える(上)」
資産運用や年金の中の者からみれば、一言で言って「酷い文書」です。
ただし、余りにも酷すぎるので別の見方をするならば、細かい部分を削除し、思い切りデフォルメして、評論家や一般世論を誘導する、という意図で作られた文書だと読むべきなのかもしれません。
今のGPIFのの議論が納得性に乏しくみえるのは、GPIF積立金が果たす役割そのものの議論が欠けているからだと思っています。
純粋に国民年金、厚生年金、という枠組みの中で完結していたはずの役割が、いつの間にか国庫の資産勘定としての役割に変わりつつあります。
公的年金のお金を財投という形で自由に引き出せた時代が懐かしくなってしまったのかもしれません。
問題だらけといわれてきた厚生年金基金の運用のほうが、もう少しシッカリしていたような気がするのは、いかがなものでしょう…
寺本名保美
(2014.04.24)
被害報告会?
国内株式の四半期報告会は、さながら、3月末の大口年金により「入替え被害報告会」となっています。
言い訳半分であることはご本人達も承知の上ですが、今回の件については、当該関係者がきちんと検証し、結果を報告すべきことなのではないかと思います。
債券のクレジット投資では、未だに続いている日銀による事業債の買オペの弊害も指摘されるようになり、債券も株式も国の関与の悪影響が表面化しつつあります。
歪んだ需給による反動を受けるのは常に一番後から追随した、小さい投資家であり、最終的には個人です。
市場と公的機関との正しい対話を望みます。
寺本名保美
(2014.04.23)
土ぼ女が日本を救う?
オリンピックだけでなく、老朽化した公共施設の建て替えを含め、ここから数年は建築土木中心の景気循環にならざるを得ません。
エコノミストや市場参加者の多くは労働者不足や資材高騰などを理由に、この傾向が頓挫すると見ている人が多いようです。
その一方で、大学で建築土木系学科の志願者は増えている、とのお話をうかがいます。
女性の学生も増加しているらしく、「理け女」の次は「土ぼ女」というらしいです。
この20年の不況で頭が固くなってしまっている大人達より、元気な女子のほうが時代を見る目かあるのかもしれません。
がんばれ、土ぼ女!
寺本名保美
(2014.04.22)
グローバリゼーション後のリスク
中国が商船三井の船舶を差し押さえたというニュースが気になっています。
これからの国際情勢が、米欧日露中の五竦みになっていくと想定した場合、こうしたある種の接収リスクというのは、間違いなく高くなっていくのだと思います。
金融グローバリゼーションというものは、見方を変えれば平和の産物であって、銀行口座も不動産の所有権も証券保管も、その権利が平等に維持されているからこそ成り立つのです。
今後急激に、グローバリゼーションの巻き戻しがあると思っていません。
ただし、何らかのリスクプレミアムを織り込んでいかなければならなくなると考えます。
これから日本でも拡大するらしい、海外インフラ投資を含め、この新しくも古典的なリスクへの対処を怠らないようにする必要がありそうです。
寺本名保美
(2014.04.21)
一線は守りましょうね
一昨日に麻生大臣のGPIF関連の一言で株式市場が400円も上昇したのは、大臣にとって「迷惑」な話だったとおっしゃったとロイターが書いています。
という端から、GPIFに関わる「所与の積極的対応」が「閣議決定」されるとの発言、さらには6月の「成長戦略改訂版」にGPIFの有り方が盛り込まれる、との発言もされています。
GPIFの運用について「閣議決定」という言葉が使われたり、国の成長戦略にGPIFが組み込まれてしまうことがどうやら規制事実になっていることに、とんでもなく違和感があります。
米国のQeにも共通する部分がありますが、リーマン後のような緊急時「金融システムを維持する」という大義名分で国の公金が市場価格の形成に介入することは正当化させるでしょうし、流動性供給の一手段として市場からの資産買取も一応理解の範囲内ですが、今のGPIFに対する政府の対応は、やや一線を踏み越えてきているように思えます。
純粋な投資効率性の向上を目指して行っている前向きな改革も沢山あるのかもしれませんが、政治家が口を開けば開くほどその努力さえも如何わしく取られてしまいます。
市場価格の形成には政治家は決して口を挟まない、という大原則を、今の政府の皆様には再度肝に銘じて欲しいと思います。
寺本名保美
(2014.04.18)
観光立国のテイクオフ
新幹線で移動をしていると、本当に海外旅行者の方の増加が実感されます。
東海道新幹線の指定席は、綺麗に富士山側からうまります。
会社のある赤羽橋駅は東京タワーの最寄り駅です。
地下鉄では、新宿でのった外国人の方々か、六本木でおりたり、赤羽橋でおりたりしています。
富士山の世界遺産登録やオリンピック報道で、観光地としての知名度が上昇したのでしょう。
円安傾向も定着しつつある昨今、観光立国へのテイクオフもエンジン全開でいきたいものです。
寺本名保美
(2014.04.17)
これもフォワードガイダンス!?
麻生財務相が6月頃にGPIFに動きが出ると予言したそうです(苦笑)
首相と日銀総裁のわざとらしい会談も含め、どうも政府の他力本願口先介入が目立ち始めました。
単なる時間稼ぎなのか、本当に手駒がないのか?
まぁ、それに反応する市場もどうかと思いますが…
これも一つのフォワードガイダンスと言えないことはないですが…
寺本名保美
(2014.04.16)
リスクのたらい回し
米国のサンフランシスコ連銀が、2008-2009年の金融危機の震源地はヘッジファンドだった、というレポートを今更出すそうです。
それと関係があるかないかは別として、私もヘッジファンドと実需金融との関わりにおいて一つ気になることがあります。
ボルカールールやバーゼル規制で、一般金融機関がリスクをとれなくなっているのは周知のことですが、その代役を期待されているのが、ヘッジファンドやプライベートエクイティのようです。
つまりはその後ろに居るファンド投資家たる年金や財団や個人、ということです。
金融機関のリスク資産の保有には、過剰と思えるほどの損失引当を科す一方で、損失引当準備を全くしていないファンドがリスク資産の受け手となることへの懸念を金融当局は持たないのでしょうか。
システミックリスクのある金融機関は損をしてはいけなくて、年金や個人は損をしてもよい、というわけではないでしょうが、本来のリスクマネーの提供者であるべき金融機関を過度に規制することが、むしろリスクのたらい回しを招き、社会全体としての脆弱性を高めているように思えてなりません。
こういった政府の手前勝手なロジックに巻き込まれないよう、投資家はより賢明に立ち回る必要があるのでしょう。
寺本名保美
(2014.04.15)
政府売り出し と 市場 と バブル
前回のセミナーではお話しましたが、「80年代後半の日本の株式バブルがJTとNTTの上場を目的とした政府の誘導だった」かもしれない、と私は密かに思っているわけですが。
それを前提にして昨日のNHKニュースを聞くと、日本株のピークは数年先かもしれない、と思うわけです。
『来年春以降の日本郵政の株式上場に向けて、財務省は、政府が保有する株式を売却するための議論を14日から審議会で始めることになり…(NHK)』
まぁこの理屈が正しければ、逆に外部環境に恵まれて来年度中に公募売却が完了してしまえば、日本株式市場も来年で終わってしまうかもしれない、ということになるのですけど。
いつも通り全く理論的ではないように思われるでしょうが。
本人は至って理論的に考えているつもりです。
寺本名保美
(2014.04.14)
銘柄選好が意味すること
市場環境が大きく変わる時、株式市場における銘柄選好も大きく変わります。
ちょうど一年前、モメンタムが上がってきた米国と日本の株式市場において、ディフェンシブセクターが歴史的な劣後となったように、今度はこの数年市場を牽引してきた米国のテクノロジーやIPO銘柄が急落しています。
割安なものと割高なものとの間の単なるバリエーション調整ということもできますが、その切っ掛けはやはり「米国の利上げ」と見るべきではないかと感じています。
2013年の初頭には、日本の運用機関の殆どが想定していなかったQEの縮小も一年終わってみれば淡々と実行されていました。
今は全く織り込まれていないようにみえる米国の利上げ。
株式市場が何を先取りしているのが、目を凝らしていたほうが良さそうです。
寺本名保美
(2014.04.11)
すっとんきょう を支える 組織
話題の小保方さん。
その道のプロとしていかがなものか、と思う反面、どこかこの業界における自分の位置と重なる部分があるやもしれないと、やや複雑な心境です。
同じ金融業であっても同床異夢の異業種からこの資産運用業界に参入した私は、資産運用業としての訓練や基礎課程を経験していません。
それが、マイナスになることも当然ありますが、だからこそ生み出せたこと、業界に一石を投じることができたことも沢山あります。
ただ私の場合、私が拾ってきた石を、きちんと分析し検証し磨きをかけてくれる人達が私の周りにはいつも居てくれました。
私の訓練が足りない分を、組織として補ってくれるメンバーがいるから、私が大きく道を外さずにこれたのです。
小保方さんのこと。真相はよくわかりませんが、発想の原点まで否定することのない、組織であって欲しいとおもっています。
寺本名保美
(2014.04.10)
流動性相場の終わりとその後の知恵
今週になってからの株式の下落要因がはっきりしないのですが、大きく言うなら「過剰流動性からの卒業」を意識した展開ということでしょうか。
米国では、連銀理事達が「政策金利」という言葉を使うことを躊躇しなくなりました。一部には「利下げ」という単語を使っている方もまだいらっしゃるようですが、基本的にはQE後の「利上げ」に向かっての地ならしが始まったと見たほうがよいでしょう。
欧州や日本の政策決定会合において、追加緩和が決定されなかったことも失望されていますが、欧州のデフレ対策にしても日本の消費税対策にしても「予防的緩和」をするほどの緊急性があるとも思えません。
流動性だけに期待する相場は、あとしばらくの間は激しい上下動を繰り返しながらも徐々に収束に向かっていくでしょう。
さて問題はその次の展開です。
金の蛇口からの水量は徐々に細くなり、今あるお金はより効率性を求めて移動を始めます。
日本という泉から湧き出たお金を、どうやって日本に歩留まらせることができるか。
そこの知恵今一つまだ見えてこないところに、日本株のひ弱さがあるのですが。
寺本名保美
(2014.04.09)
インフラの変化とリスク
米国のボルカールールによって、米国銀行のCLOの保有が厳しく制限されることについて、銀行と当局とのせめぎ合いが行われているようです。
ローンの受け手であり、組成業者である銀行が現在保有していると思われるCLO残はBloombergによれは約7兆円。これが一機に市場に出回ると大変なので、2017年までは激変緩和措置が取られると報道されています。
この例に代表されるように、今回のボルカールールが金融資産に与える影響は巨大であると、当のインベストメントバンカー達は認識しているようですが、どういうわけかそれが運用会社サイドからは殆ど伝わってきません。
インベストメントバンカーの自己ポジションがなくなる分、市場はより投資家にとって有利になる、というようなポジティブな話が殆どですが、本当でしょうか。
市場のインフラが大きく変化する時は、投資家にとって予想外のリスクが高まる時であるということは、忘れないようにしたいと思っています。
寺本名保美
(2014.04.08)
GPIFの功罪
GPIFが国内株式の運用委託先を大幅に変更しました。
個々の配分比率が不明なので、正確なところはわかりませんが、全体として、中小型の成長系に傾斜が掛かったようにみえます。
今後の日本経済の方向性を先取りしたというべきか、現政権の目指す方針を後押ししたというべきか、は微妙ですが、いすれにしてもアベノミクスに乗っかった解りやすいポートフォリオとなったようです。
GPIFの規模でアクティブ運用を拡大することの是非について、まだ十分な議論が尽くされたとは思っていません。スマートベータという名前をつけようが、インデックスの分散と言おうが、それが従来の時価加重比率での均等輪切り運用に対し、メリハリをもった運用になるという意味では、アクティブと同義です。
GPIFのポートフォリオが、日本の上場企業の本質的な価値の向上に寄与していくのか、短期的なアクティブバブルを招いて市場を混乱させるだけに終わってしまうのか、前者に期待しつつも、当面は後者のリスクを意識した対応が必要になりそうです。
寺本名保美
(2014.04.07)
銀・証の垣根
銀行と証券との一体営業の強化、という記事が出ています。
銀行窓口では投資信託等しか販売できないので、窓口に来た顧客に提携先の証券会社の窓口を紹介する、というようなビジネスモデルのようです。
そもそも「銀行の窓口には行くけれど、自ら進んで証券会社の窓口には行かない」という人に対して、銀行員が証券会社を紹介する、というのは、どうも反則気味な気がしてなりません。
一方で、中途半端な知識の銀行員が、銀行の窓口で、投信などのリスク性商品を売るぐらいなら、証券会社への仲介に徹してくれたほうが安心だということもできそうです。
アベノミクスから1年。
そろそろ個人の投資資金に金融機関の触手が伸び始めるころです。
健全な投資市場拡大は重要ですが、日本の大切な個人資産を無駄に潰すようなことだけは避けて欲しいと思っています。
寺本名保美
(2014.04.04)
しばらくは雇用統計相場
4月に入り出てきた米国の経済指標が、ようやく寒波の影響から脱し始めたのを受け、株式市場は堅調な展開となっています。
中国の理財商品のデフォルトは引き続き起きていますが初回ほどのインパクトを与えることはなく、ウクライナ・クリミア問題は長期戦の様相を呈してきたので当面の材料にはなっていません。
半島から何か数発落ちてきたり、数百発の飛ばしあいがあったようですが、この材料への感応度も落ちてきています。
新興国市場からの資金流出は、急激な価格下落からの割安感から小康状態となり、同様の理由で資源価格と資源国の金融市場にもお金が少し戻りつつあります。
というように、米国がQe3の縮小を決定した12月からここまで種々様々あったものの、縮小スケージュールは微動だにせず、結果として米国株式市場が高値を更新している、という現実は、お見事というべきでしょう。
さて次はいよいよ「金利水準」の話となります。
失業率6.5%というハードルを前にして、市場の思惑をどうコントロールしていくのか。
当面は月に一度の雇用統計に振らされる展開となりそうです。
寺本名保美
(2014.04.03)
資産運用業界における女性
先日、金融業界で活躍する女性達の懇親会がありました。
ほぼ最年長に位置するため、ほとんど「母」の目線で皆さんをみていましたが(苦笑)、本当に姦しくも頼もしい人達の集まりでした。
さて、資産運用業界を見渡すと、営業系での人材は増えてきていますが、運用系ではまたまだ女性の方とお目にかかる機会が少ないのが現状です。
女性が運用に向いていない、とか、運用会社が特別保守的な業界であるというわけではなく、恐らく運用という仕事に求められる経験年数が他の金融業よりも相対的に長い、というところに原因がありそうな気がしています。
そもそも日本で本格的に資産運用業が始まったのは1990年代に入ってからです。業界全体が黎明期であったため、当初は女性の活用というところまで気が回らなかっったということもあるでしょう。
海外の運用機関とのミーティングでは、女性のファンドマネージャーやCIO、更にはヘッジファンドの創業者とお目にかかることは珍しくありません。
あまり感心はしませんが、米国では経営者やCIOが女性の運用会社を一定比率採用しなけばならない、というルールを持っている団体もあるようです。
ファンドマネージャーなどのプロフェッショナルは、政府から言われたからといってすぐに女性の比率が増えるというものではありません。日本の資産運用業界全体として、男女問わず潜在能力のありそうな人材を長期的な視点で育てる不断の努力によって、資産運用業界が女性にとっても魅力的で働きやすい職場になればよいと思っています。
寺本名保美
(2014.04.02)
物価支援
新年度となりました、というよりは、消費税が8%になりました、といいう話題が主体となってしまった今年の4月1日。
高額品は基本的に外税なので問題はありませんが、日用品などの内税表示のものは、良くも悪くも消費税の負担分が明確にならずに、判りにくいです。
消費者は便乗値上げをされているような気分になり、販社は完全転嫁できずに損をしている気分になり、どちらにも不満が残ります。
8%から10%と二段階引き上げとしてしまったことで、便乗値上げのチャンスも二度与えてしまったような気もします。
「物価を上げる」という目的を意図しているとするならば、この「内税方式での消費税段階引上げ」は、非常によくできた戦術といえるのかもしれません。
寺本名保美
(2014.04.01)