何かがおきそうな、というセミナー
ポカポカ快晴の東京です。
まさにセミナー日和?
今日のテーマは、いつもと少し違って、景気のいい話!
昨晩の米国GDP。本日の日本の鉱工業生産。何かがおきています。
で、その先にある、かもしれないバブル。
そして、今足元でおきている崩壊。
大真面目に、大風呂敷を広げて、お話をします。
では、風呂敷抱えて、これから会場に向かいましょう。
寺本名保美
(2014.01.31)
新興国は下がるけど…
FRBが新興国からの悲鳴をものともせず、これまでのテーパリングスケージュールを変えなかったことについて、アナリスト達は比較的好意的に反応しているようです。
もちろん市場は売られているわけですが、これはFEDのせい、というよりは、トルコや南アフリカが利上げに転じたことを含め、新興国経済全体に対する懸念の高まりが原因です。
通貨防衛を目的とした利上げ⇒景気悪化⇒通貨安⇒利上げ という新興国市場特有の負のスパイラルが、とうとう始まってしまったかもしれない、という不安が市場センチメントを悪化させています。
今回、FEDがスタンスを変えなったことで、「米国経済がこうした新興国の混乱とは切り離されている」というメッセージを市場に出したことにもなり、金融市場全体からみればむしろ安心感に繋がるかもしれません。
新興国とそれに傾斜したファンドだけが損失となり、米国株式にはほとんど影響を受けなかった90年代後半のアジア・ロシア危機の時のことを少し思い出してみたいと思っています。
寺本名保美
(2014.01.30)
記憶をさかのぼる
今週の金曜日に行う、弊社のスポンサー様向けセミナーの原稿を作るために、過去のバブルと呼ばれる事象を集めています。
社会に出たころのことをツラツラと思い出しているのですが、バブルと呼ばれたあの時代に、あまりよい記憶はありません。
ただ忙しく、ただ眠かった。
会社に入ってすぐに転換社債市場が吹きあがって壊れ、債券市場が吹き上がって壊れ、株式市場でブラックマンデーが起き、不動産に流れて天井?と思ったらお金が株式に戻ってきた…
螺旋階段を回り続けていると自分がどこにいるか分からなくなる感覚。
これを楽しめる人はよいのですが、私は耐えられずに日本の市場から少し距離を置きました。
まぁ、眠かったのも、目が回ったのも、夜遊びのせい、といえないこともなく、それもバブルの一部です。
などと記憶を紐解いていると、脱線してなかなか作業が進みません。
締切はとっくに過ぎており…
寺本名保美
(2014.01.29)
第三の矢としての教育
少し前から米国の論文などでは目にするようになったことですが、今回のダボス会議においても「教育」による「人的資本の質の向上」が一つのテーマになったようです。
人口動態での成長戦略が行き詰ったから、というわけではないでしょうが、生産性向上に寄与するファクターの中では、従来戦略的位置づけとしてあまり意識されてこなかった分野です。
この場合の教育とは、いわゆる知的エリート層の創出、という意味ではなく、労働ピラミッドの最も面積の広い部分を支え得る人材の質の向上のことを指します。
先進国において、設備投資や、技術革新による、生産性の向上に、限界が見えてきたことが、昨今の長期デフレ経済論の根拠の一つであるわけですが、これを払拭するための、まさに「第三の矢」といったところでしょうか。
少数先鋭、だったはずの日本。
単なる少数、に転落しないように、気を引き締めなければなりません。
寺本名保美
(2014.01.28)
健全性の理解
先週末のアルゼンチン発の混乱。
金融市場に与える影響も心配ではありますが、もっと本質的な部分において、気分を重くします。
アルゼンチンは日本の個人を含む世界の投資家から債務を棒引きしてもらい、奇跡の回復を成し遂げたと称賛されていたはずの国です。にもかかわらず、経済のエンジンだった穀物価格の下落が国際収支を悪化させ、さらに経済統計の虚偽が噂されるようになり、ほんの1年で行き詰りました。
ついこの間まで、というよりも、おそらく今でも、多くのソブリンアナリストは、新興国の財政問題は先進国より健全です、という論調を広げています。
断面図としての健全性と、持続可能性を含めた健全性。
ストックとしての健全性とフローに依存しての健全性。
「人口増と成長性」という魔法の言葉に隠れたリスクを、もう一度洗いなおす必要があるのかもしれません。
いずれにしても、アルゼンチンのこの10年が、そして新興国全てにおけるこの5年が、泡沫と帰してしまわないことを、心から祈ります。
寺本名保美
(2014.01.27)
火が飛んだ
ユーラシア大陸とその南側に気をとられていたら、火種がアメリカ大陸に飛びました。
アルゼンチンのデフォルトが起きたのが2002年。12年が経過し奇跡の回復と言われた時期があったものの、また足元では深刻な外貨準備の不足とインフレが再燃してしまったようです。
こうなるとどうしても連動していまう他の南米地域通貨。通貨も債券もややパニック的な値動きをしています。
折しもダボス会議の開催中を狙ったかのような、このところの新興国中銀等の反乱が、駄々をこねる子供のようにも見えないでもありません。
しばらくはやや荒れ模様な市場展開となりそうです。
寺本名保美
(2014.01.24)
ダボス会議は何を語る?
ダボス会議が始まりました。
昨年の会議要旨をみてみると、この数年危機やバブルの警告に終始していたダボス会議にしては珍しく、とても楽観的な内容となっていました。
現実には、「欧州危機は最悪期を脱し、米国の財政問題は政府によって上手くコントロールされ、先進国のお荷物だった日本はデフレ不況から脱出しようとしている」と、レポート通りの2013年となりました。
推論とやや異なったのは、新興国もまた上手くマネジメントされるだろう、という部分でしょか。
さて今年。
先進国と新興国の経済のバランス。
米国の金利上昇が世界経済に与える悪影響。
インフレを真剣に考える時が来たのか否か。
そして地政学的リスクの高まり。
知恵者達の意見を聞きたい課題は山ほどあるなか、どのあたりが主要課題となっていくのか、楽しみでもあり不安でもあります。
寺本名保美
(2014.01.23)
新興国のシナリオ
とうとうバンコクに非常事態宣言が出されました。
トルコでは、通貨防衛のための利上げが政治判断?で阻止されたことで、リラが急落しています。
ブラジルのワールドカップ会場の準備不足は危機的だとFIFAは激怒し、ソチ五輪の最大の懸念はテロだと言われています。
昨年から目に見えて亀裂が入り始めた新興国のあちこちがそろそろ持ちこたえられなくなってきたような、嫌な感触があります。
グローバル企業の業績のうち、新興国に依存していた部分の下方修正は、ある程度市場には織り込み済みとは思いますが、金融市場も実需も、まだ過去のトレンドから抜けきれてはいません。
新興国のハードランディングのシナリオを、どこかで意識しなければいけないかどうが、見極めの難しい展開になりつつあります。
寺本名保美
(2014.01.22)
微かな光
近くの洋装店(表現が古い?)で「今シーズンから10年ぶりぐらいでスカートが売れるようになったの」と言われました。
茶髪から黒髪に染め直すのが流行りとか、バレンタインデーが本命重視に回帰(?)とか、若者が少し原点回帰してきているような感触があります。
若者だけでなく、服飾・飲食全般に、値段の安さだけを強調するようなモノから、質を意識させるような戦略に転回してきているように感じることも多くなりました。
テレビでもおバカを売り物にするだけのドタバタ番組が減り、それなりに作り込んだドラマやドキュメンタリーが視聴率をとれるようになっています。
これを社会の保守化という人もいるかもしれませんが、私としては、社会全体が落ち着きを取り戻し、少しだけ地に足が着いた生活に戻りつつある兆しではないかと好意的にとらえてみたいと思います。
この傾向がもう少し続いてくれれば、最終的には出生率の上昇にも繋がるでしょう。
日本の将来を微かに照らす灯が、どうぞ消えませんように。
寺本名保美
(2014.01.21)
ようやく投資対象に…
日本にインフラファンドの話が本格的に持ち込まれたのは、おそらく2006年ごろだったと記憶しています。
その際、インフラファンドの成功事例としてよく取り上げられたのが、ロンドンのヒースロー空港の商業施設化の話です。
同じころ、日本では関西国際空港の財政問題が深刻化しており、基礎地盤の回収費用が賄えるかどうか、という噂すら出ている状況でした。
私が幾つかのインフラファンドに「日本の関空も投資案件の対象になるのか?もし関空も再生できるというなら信用する」と言ってみたところ、異口同音に「無理」と…
あれから7-8年が経過し、ここにきて伊丹と関空の運営権獲得に著名インフラファンドが名乗りを挙げる、かもしれない、との報道が出てきました。
幾らの値段がつくかは別として、羽田と成田以外の日本の空港がファンドの投資対象になるレベル程度にまでは活性化してきたということは、それなりに明るい材料なのかもしれません。
寺本名保美
(2014.01.20)
金融業の受難
昨晩の米国市場で、インベストメントバンク系の決算が悪かったことが、大きな話題となりました。
国内外問わず、金融・証券系の企業グループにとっては、この1-2年は当局の規制強化と戦い続ける日々となっています。
「このままでは正常な金融市場の仲介機能にすら支障がでる。」
「市場からリスクテイカ-がいなくなる。」
「コンプライアンス等の周辺コストが天文学的に上昇している。」
等々、様々な懸念や不満が金融業界に渦巻いています。
私もウォールストリートの極東の端っこに、長らく身を置いていた者なので、金融業界の皆さんの言っていることは判らないでもありません。
でも、多分、客観的にみて、金融の市場機能のオーバースペックを解消しようという流れは、まだ当分続くと思っています。
金融の市場機能が縮んで困るのは実需の人だという声もありますが、それもニワトリとタマゴの話で、実需の人達は金融の市場機能が巨大に存在するからそれを利用しようとするだけ、とみることもできるでしょう。
しばらくは金融業界の受難は続きそうです。
寺本名保美
(2014.01.17)
インカムからキャピタルと潜在リスク
世の中の個人も団体も含めた世界の投資家において、過去5年近く続いた「インカム重視」の投資から「キャピタル重視」の投資への頭の切り替えは、まだ道半ばのような気がします。
日本の個人でいうならば、高配当定期分配系の投信ではなくて、シンプルな株式投信。
年金型で言えば、クレジットやローン系のインカム投資ではなくて、エクイティ投資。
この市場環境がもうしばらく継続し、こうした頭の切り替えがもっと加速してくるときに、インカム系の市場での流動性がどのように担保されるのか、少し心配になってきました。
一時期流行ったように見える、貸出債権系の商品、保険商品などの時価ブレのないインカム戦略。
大きな雪崩の起きる前の対処が必要かもしれません。
寺本名保美
(2014.01.16)
世界が注目、都民の声?
昨日、軽~く、「細川ー小泉ショック」に襲われた東京株式市場ですが、今日のところはひとまず安定しているようです。
今の株式市場は、「安倍-黒田」ラインの描いた既定路線に乗って走っているので、急な路線変更の可能性にはそれなりに反応します。
細川さんの出馬で、舛添さんがとてもまともに見えてしまうというのも、一都民としてはやや忸怩たる思いもありますが、選択の問題なのでしかたありません。
年末にあるお客様と、来年の爆弾は「政権掌握能力が失われているようにみえるオバマさんと、行動が全く読めない小泉さん」という話をしていました。
小泉爆弾の炸裂を阻止できるかどうか、当面の株式市場は「都民の手」に握られている、ということでしょうか(汗)
寺本名保美
(2014.01.15)
意外と健全な市場
市場に歪みがある時は、良い材料か悪い材料、どちらかにしか反応しません。
歪んだ環境においては、よい材料の欠点を探して悪材料とし、悪い材料を拡大解釈して好材料とするような現象が発生します。
米国の雇用統計の数値が予想外に悪かったといって売られる今の市場は、そういった意味においては健全です。
上昇相場が継続しているにも関わらず、市場が一定の健全性を維持できているのは、おそらくアナリストや評論家を含めた市場関係者全体が、この先の世界経済について「本心ではまだ弱気」だからなのかもしれません。
市場のトレンドが一番長続きするのは、売っては上がる「弱気の上昇相場」と、買っては下がる「強気の下落相場」です。
参加者の弱気が残っている限りにおいては、まだあまり心配する必要はないのかもしれません。
寺本名保美
(2014.01.14)
国としての為替感応度
円高だといっては嘆き、円安だといっては文句を言う経済界。
米国がエネルギーの純輸出国になる世界を想像したとき、円がどこまで売られるのか、ということをそろそろ計算し始めたほうがよいと思っています。
それを前提とし、日本のエネルギー自給力を、どこまで高めるのか。
エネルギー依存先との関係をどう築いていくのか。
国としての為替感応度をどう下げていくことができるのか。
ここから10年を考えた時、日本にとってはとてつもなく大きな課題です。
寺本名保美
(2014.01.10)
東京の未来
東京都知事候補に細川さん、1938年生まれ。
東京五輪組織委員長に森さん、1937年生まれ。
お二方とも2020年には御年85歳に手が届きそうで、まさに東京の高齢化を象徴するような人選というべきでしょうか。
都知事については、まだもう一回選挙があるものの、できれば今から通しで陣頭指揮を振るえる人材であって欲しいと思います。
前の知事選でも書きましたが、国を動かすための東京都知事ではなくて、東京都民の生活や防災を真剣に考える都知事であって欲しいと思うのです。
自分が東京都民だからではなく、「東京」という「機能」をどう高め、災害からどう守っていくのかは、日本全体にとって極めて重要な課題であるはずだと考えるからです。
東京を愛し、東京の未来を考える都知事候補は、どこかにいないものでしょうか…
寺本名保美
(2014.01.09)
金利のマネージメント
今年が本格的な金利上昇の年になるとは思いませんが、来年以降に向けて少しずつ準備をしていかなければならないのは確かかもしれません。
ここで言う、金利上昇というのは、長期国債の利回りのことではなくて、短期金利、つまり政策金利の話をしています。
今年だけのことをいうのであれば、日米ともにゼロベースの短期金利がアンカー(碇)となって、中長期の利回りが尻尾のように上下に振れるだけです。この状態は過去15年の日本でも何度も経験していますので怖くありません。
問題は、アンカーそのものが上がる状況です。
米国で言えば2004年からの3年間、日本では実質的にはなんと1989年まで遡ることになります。
債券市場だけでなく、銀行の日々の資金繰りを担う短資市場、事業法人の資金調達、住宅ローンの変動金利。銀行にも証券にも事法にも「金利」をマネージメントするノウハウがほとんどなくなっているのが現状でしょう。
本格的な金利上昇局面に直面するまであまり時間がない、ということを頭の片隅に置きながら、今年は各々しっかり準備をしていかなければならない一年となりそうです。
寺本名保美
(2014.01.08)
新年の願い
新春恒例、富士山を拝みながら、関西に向かっています。
それにしても、つくづくと、リニア新幹線は要らないと思う道中です。
米国に5000億円の借款つきで、ワシントンーニューヨーク間導入を提案するとの報道もありました。
鉄砲玉のような直進路線は、アメリカのように平地に真っ直ぐ定規で線を引くことができる場所に敷くべきで、日本のように狭くて起伏のある国土に無理やり穴を掘って作るものではないような気がするのです。
未体験の新技術を、目視の効かない地下空間に建設することのリスク、数百キロに渡って地下径を分断するリスク、それを一民間事業者に負わせるリスク。
どうしても原発を連想してしまうのです。
モノが出来てしまったあと、コトが起きてしまったあとに、大騒ぎするのは、ナンセンスです。
この技術は海外輸出用と割り切って、国内は諦めてもらえないものかと、心から願う新年です。
寺本名保美
(2014.01.07)
市場を御する。
新年あけましておめでとうございます。
波乱なく、穏やかな年末年始となりました。
この状態が今年一年続くことを願う新年です。
昨年までのような、目に見えるリスクイベントがない中での運用は、むしろ難しさを伴います。
障害物を避けるのではなくて、落とし穴に落ちないように、走り続けるためのリスク管理には、より慎重で俊敏な判断力が必要となるでしょう。
リスクへの感度を上げながらも、守りに入りすぎないで、うま年の一年を御していきたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
株式会社エー・エム・シー一同
(寺本名保美)
(2014.01.06)