崖だか壁だか坂だかしらないが、飽きた…
米国の債務上限問題ですが、もう飽きました。
飽きたというか、飽きれた、というかは微妙なところですが、3年間・半年毎に同じ内容を材料にされるのは、国民も市場参加者も辟易とします。
今回は、株式市場も経済環境も外部環境も、この3年の中においては、最も安定していることもあり、共和・民主両党とも強気に出ているようにみえます。
数日間のガバメントシャットダウンがあったところで、金融システムにも国民生活にも大きな支障はないとタカをくくっているのでしょう。
先日のFRBによる緩和縮小の先延ばしも、これを見越してのことかと、勘ぐりたくもなります。
いい加減、政治ショーの繰り返しは止めて、根本的な解決への道筋を示すような合意のめどを立てないと、最近妙に静かな「格付け機関」などが、また姦しくなりますよ。
寺本名保美
(2013.09.30)
ブランドを買う
リクシルと政策投資銀行が共同で欧州の「グローエ」という住宅設備大手メーカーを買収しました。
政策投資銀行の名前が出てきて、良い仕事をした、と思うことはこれまであまりなかったのですが、これは評価されるのではないでしょうか。
リクシル(LIXIL)が「INAX+新日軽+サンウェーブ+東京エクステリア」であることを知っていましたか?という質問はさて置き。
「グローエ(GROHE)」というのは、高級システムキッチンのショールームとか、高級マンションのショールームとかでもれなく目にする、高級水栓機器の世界TOPブランドです。
機能は十分でも、今一つ垢抜けず、知名度も上がらない日本の水回り技術と、世界TOPクラスのブランド力、という組み合わせは、日本のメーカーの生きる道としては、正しいような気がします。
先ほど、東レが米国の大手炭素繊維会社を買収するとのニュースも流れていました。
どうして、為替が70円台の時に動かなかったの?などという意地悪な質問はせず、ようやく動きだした日本企業の今後に期待しましょう。
寺本名保美
(2013.09.27)
でも恥ずかしい…
BUY MY ABENOMICS!
アベノミクスは応援していますが、でもさすがにこれは恥ずかしい…
女子レスリングのお父さんが、「気合ダ!気合ダ!気合だ~~!」というのに近いぐらい恥ずかしい…
オリンピック招致以来、何か変なスイッチが入ってしまったようにも見え…
究極のTOP外交だと言われれば、確かにそうです。
頑張ってくださっていることはよくわかります。
米国のNY証券取引所という場所においては、あまり違和感のないパフォーマンスだったのかもしれないとも思います。
でも、ごめんなさい。やっぱり恥ずかしい…
寺本名保美
(2013.09.26)
凍結された線路と民営化
この写真は去年の冬に札幌駅で撮った線路の写真です。
判りにくいかもしれませんが、線路が氷でガチガチに覆われています。
この線路の上を列車が普通に走っているのをみて、怖い、というよりも、凄い、と思い写真を撮りました。
JR北海道の不祥事。
とんでもない、と言ってしまえばそれまでですが、一年の内2~3か月がこの状態の路線です。写真は札幌ですから、場所によってはこんなものではないでしょう。
走行全長2499キロ。従業員数6952人。売上1650億(連結)。
ちなみにJR九州は2273キロ。9510人。3428億(連結)。
もちろん単純比較はできないですし、不祥事の言い訳にもなりません。
ただ、政治家の人やマスコミの人が、「酷いですね」「言語道断です」と、言ってしまえば済む問題でもないように感じます。
インフラと地域経済と中央政府。
電力問題も含め、インフラの民営化というものの是非は、本当に難しいと思うのです。
寺本名保美
(2013.09.25)
市場のバイオリズム
メルケルさんが、大勝しました。
市場の懸念がまたひとつ解消されました。
今年は、市場を動かすサイコロが不思議とよい目を出す年です。
昨年までは、世界中で誰が振っても、外れ目しか出なかったのと比べると様変わりです。
経済指標にしても、強すぎず弱すぎず、米日の息切れタイミングで、欧中の数値が作られたかのように上向いてきます。
根っこの環境には変化なく、今の好循環にやや気持ちの悪さを感じなくもないですが、市場にも人間と同じようにバイオリズムのようなものがあるのかもしれません。
価格的な調整はあるでしょうが、トレンドにはあまり逆らわずに付いていきたいと思っています。
寺本名保美
(2013.09.24)
本当にリニア作るの?…
盛り上がっていることに水を差すのはあまり本意ではないのですが、リニア新幹線だけは、どうしても好きになれません。
南アルプスをくり貫くという行為が、どうしても感情的に許せない、というのが一番の理由ですが、経済的にみてそもそも必要なのか?という疑問もあります。
東京-名古屋-大阪を1時間ちょっとで結びたいなら、羽田へのアクセスを強化してくれれば飛行機で十分です。実際オリンピック決定後から羽田-成田の輸送ルートの強化の話は出ています。
これが通れば、東海道新幹線の老朽化対策をしなくてよい、というものでもありません。
むしろ、頻繁に東海道新幹線に乗っている身からすれば、リニアに掛ける巨大な開発費の何分の1でもいいから、東海道新幹線の線路と架橋とトンネルの抜本的な整備に投入してもらえることのほうが、どれほどうれしいことか…
オリンピックまでに部分開通を、などという声が出ているようですが、できることなら今からでもいいから、あきらめてもらえないものかと思っています。
寺本名保美
(2013.09.20)
一旦撤収…
注目されていたFOMC。
緩和継続の発表に、米国10年金利は一機に0.2%低下しました。
債券マネージャーやマクロ戦略にとっては受難な日々が続きます。
この数日の市場の注目は、「QEの停止開始と金利水準の変更とは切り話された問題である」というFRBの主張を、バーナンキ氏がどのように説明するか、ということに集中していました。
ただ、関係者の発言の多くは、「市場参加者はそれを理解することは難しく、QEの縮小はイコール長期金利のさらなる上昇を呼ぶであろう」という意見が多かったように思います。
10月の米国の財政の崖問題が迫っている状況において、今は長期金利を制御可能な状態に保つことの方を、バーナンキ議長は優先したのかもしれません。
今回の決定が、QEと金利を切り離すという試みを放棄したことを意味するのであれば、今後決定されるQEの停止には、金利上昇に耐えられるだけの経済の回復が前提となります。
金融緩和の期間が想定よりも長くなったことを好感しつつも、その後に来るであろう、金利の上昇を伴うQEの停止への警戒感は従来以上に高まることも想定されます。
米国金利に対する過度な楽観は禁物、ということです。
寺本名保美
(2013.09.19)
女性の社会進出と介護
女性の社会進出と育児とがパッケージで語られることは多いですが、介護との関係を議論されることが少なすぎるように感じます。
私ぐらいの年齢以上になると、友人達と顔を合わせては、自分や嫁ぎ先の両親の介護の話題ばかりです。
今の介護保険制度は、老人世帯や一人暮らしの方、また施設に入居する際には比較的手厚い恩恵があるものの、同居者がいる在宅介護世帯には、極めて厳しいものになっています。
同居者の内誰がしかは仕事をせねばならず、結果として別の誰かが「働かずに」家に居なければならない状況に追い込まれます。
身近にも、まだ働ける年齢であるにも関わらず60歳そこそこで介護のために引退をした男性も何人もいらっしゃいます。
でも大多数においては「娘」や「嫁」がその役割を担わなければならないのが現実です。
「娘」や「嫁」が、両親と同居しつつ、仕事を継続することができるような介護保険、という意識が、おそらく今の行政には完全に欠如しています。
安心して働くことのできる子育て支援、安心して働くことのできる介護支援。どちらも同じぐらい重要なのですが。
寺本名保美
(2013.09.18)
経営者心理の好転とオリンピック
基金様の理事会・代議員会に出席する機会の多い9月です。
制度の問題を含め、議題そのものは頭を抱える内容ではありますが、参加されている理事の皆様の顔色が、一様に明るいことに心が和みます。
オリンピックの心理的効果というものが、手に取るように判る、とはこのことでしょうか。
東京への一極集中。震災が後回しになる懸念。需要の先取り。等々、心配、批判、懸念は山ほどあっても、それでもお金と人とモノが動く気配を経営者の方々は敏感に感じているようです。
幾ら現政権が景気刺激策の継続を主張しても、所詮「政治家の口約束」でしかなかったものが、オリンピックというゴールが定まったことでアベノミクスがようやく現実感を持ったものとして受け止められるようになったのかもしれません。
経営者心理の好転は、賃金や雇用にも好循環を与えます。
オリンピックが決まって本当によかったと、心から思います。
寺本名保美
(2013.09.17)
お金がないので収束?
シリアへの軍事行動が、とりあえず回避される方向になりそうです。
米露間の話し合い決着、というのは、どこか冷戦時代への回帰を彷彿させます。
米国にしても、10月半ばには、再び債務上限を超えるX-Day が近づいているタイミングでもあり、他国への軍事行動が米国国民にとって無駄な支出ではない、ということを従来以上に納得させなければいけないという、お財布事情もあったのかもしれません。
いずれにしても、現在の主要国にとって、財政問題と軍事増強を両立させることが困難であるのはいうまでもなく、わが身に直接的な被害が被らない範囲においての軍事行動は縮小傾向に向かうのでしょう。
その代わりが、内戦を抱える国々での代理戦争の激甚化に繋がらないことを祈るばかりです。
寺本名保美
(2013.09.13)
歪んだ馬鹿さわぎ
「学生が馬鹿をする」こと自体は、それほど珍しいことではないのですが、「バレナイように馬鹿をする」から「バラしたくて馬鹿をする」に変わってしまったのは何故なのでしょう?
ピンポンダッシュはダッシュするもので、「ピンポンダッシュしました~」とネットに公表するピンポンダッシュって、単なるおバカです。
一瞬馬鹿の振りをして、あとは涼しい顔をすることが面白いのであって、「私は馬鹿でーす!」と言いふらして何が面白いんだろう。
被害にあっている飲食店や学校関係者にとっては、とても笑いごとではないのでしょうが、最近の開き直ったような馬鹿騒ぎが、どこか歪んでいて気持ちが悪いのです。
寺本名保美
(2013.09.12)
大陳情合戦?
消費税の引き上げを巡り、永田町は陳情合戦になっているという噂が流れてきます。
消費税増税による、景気下ぶれリスクを回避するために必要な景気刺激策が、山のようにもちこまれているとか。
2008年の米国で、金融機関への公的資金注入を議会で通すために、金融システムとは縁も所縁もない政策が、何百ページ分も盛り込まれた、という話を思い出しました。
古今東西、政治家というのは、皆同じ。
せっかく上げた消費税、つまらない支出で、消費、されてしまわないよう、お願いしますね…
寺本名保美
(2013.09.11)
久々の人材募集
オリンピックも決まり、おめでたい!ということで、人材募集をいたします。(詳細は「企業情報⇒採用情報」からご確認ください。)
このHPをご覧いただいている方限定…
つまり、業界関係者中心…
だから、一次応募は匿名OK…
残念ながら会社の面する桜田通りは、今回のマラソンコースからは外れるらしいのですが、7年後東京タワーのイルミネーションの下で、一緒にオリンピックを迎えましょう♪
基本的には年齢・性別問いませんが、心身ともにあまり楽な仕事ではありませんのでご注意ください…
勇気のある方、ではなくて、やる気のある方のご応募を、心からお待ちしております。
寺本名保美
(2013.09.10)
祝 オリンピック招致の成功
東京にオリンピック招致成功!
今回「プレゼンテーション」という言葉が、日本国内で認知されたことの意味は大きいような気がします。
プレゼンテーションを聞くことを本業としている立場から言わせていただくと、プレゼンが上手だからといって黒が白になることはありません。
但し、プレゼンがあまりにも下手だと、黒か白かの判断をする前段階で、思考が止まってしまいます。
戦略や商品の質を理解し判断するためには、聞く側もそれなりに、神経を使うわけです。その神経と判断力がプレゼンテーションの核心の部分に到達する前に、疲弊してしまうケースが、現実には少なくありません。
間違ってはいけないのは、プレゼンはディベートではありません。口先とパフォーマンスで相手を論破したり、丸め込むこととは違います。
相手に何を伝えたいかということを明確に意識し、それを相手の心にきちんと届ける、ということがプレゼンテーションの本質です。
日本人のプレゼンが下手だと言われるのは、相手の心に届けるためのテクニックの問題以前に、伝えるべき事柄を自ら明確化するということができていないからなのではないかと感じています。
今回のオリンピック招致の成功が、プレゼン下手と言われてきた日本社会を少し変えるきっかけになればよいと思います。
寺本名保美
(2013.09.09)
がんこものはそんをする
米国の10年金利が3%に乗りました。
弊社のモデル配分においては長らく保有していなかった外国債券ですが、ようやく投資再開を検討できるレベルに「近づいてきた」かもしれません。
債券の専門家が、この数か月、口を揃えて言っていたことの一つに、『「量的緩和の停止」と「低金利政策の停止」は同義語ではない。市場は誤解している。』という文脈があります。
市場参加者、特に債券のプロフェッショナル以外の投資家の多くが、この二つの事象を混同したことで、本来のFRBの意図を一番よく理解していたはずの債券のプロである自分達が「不本意な損失を被った」と彼らは言っているわけです。
お金を預けている側から言わせていただければ、正しかろうが間違ってようが、損は損。年内につくはずがないと言い続けた3%がついてしまった事実を、謙虚に受けとめて、速やかに仕切り直しをしてください、というところでしょうか。
債券の運用者達はどうしてこうも頑固者揃いなのだろう、と債券市場にどっぶり浸かっていた自分の経歴を棚に上げて、頭を痛める昨今です。
寺本名保美
(2013.09.06)
「子」会社 という表現
外資系の金融機関と話していて、同資本下にある資産運用会社に対し、“運用「子」会社”という表現は、まずしません。
「グループの」資産運用会社、とか、「系列の」といった言い方をします。
資産運用会社に移動したり、転籍したりすることはありますが、「出向」というようなよくわからない表現もありません。
日本では「投資顧問」という業態に、あまり皆さん興味を持っていないよね、と金融業界に長く居る友人に言われました。
信託銀行は知っている、投信も知っている、ファンドというのも聞いたことがある。でも投資顧問って何?というのが日本の一般的な感覚でしょうか。
投資顧問会社のことを、親だの子だのと言っている限りにおいては、業種の名前さえ認知されない、寂しい存在から抜け出すことは難しそうな気がしています。
寺本名保美
(2013.09.05)
住宅ローン、あれこれ
国の住宅支援機構の行っている長期固定型の住宅ローンで、頭金なしの全額融資が可能になるようです。
住宅ローンの金利が低いことは悪いことではないですが、住宅ローンが必要以上に借りやすくなることが、人々の生活にとって本当に良いことなのかと、少し考えてしまいます。
住宅支援機構のローンは、最長80歳まで返済計画が立てられます。
それも、国民の生活を守るべき、国が行う施政として、本当に正しいのだろうか、とも思います。
米国において「年収3万ドルに持ち家を!」というスローガンの元で、発生した住宅バブルとサブプライム問題。
単純に証券化という金融スキームが悪かったのではなく、そもそもの政府のスローガンそのものに無理があったのではないか、という意見もあります。
住宅投資は経済全体への波及効果が高い産業であることは、全世界共通です。どうしても起爆剤にしたい政府の思惑が、将来の個人の生活設計を狂わす要因にならなければよいのですが。
寺本名保美
(2013.09.04)
次のテーマを探さないと…
国内外共、株式ファンドにおいて、新興国リスクをとった銘柄の苦戦が続いています。
新興国企業への直接投資ではなくても、新興国での事業展開を積極的に行っているとみられる企業は、業種を問わず売り込まれてしまいます。
外国株式のアクティブマネージャーを見ていると、この数か月で、新興国企業への直接投資比率は減少しているものの、新興国の内需に依存する企業群への投資比率は高いまま維持されていますし、国内株式においても似たような傾向にあります。
先進国経済全体が停滞していたこの数年、企業の成長の源泉を「イノベーション」や「技術革新」ではなく、「潜在的な市場規模の拡大」に求める傾向が株式市場で高まり、新興国の人口やインフラに成長ドライバーが過度に傾斜していたことが、ここにきて大きくマイナスに働き始めました。
長期的なトレンドとしての人口動態と、短中期的なリスクの高まりとのバランスを、どう取っていくかが、株式のアクティブファンドの当面の課題です。
「新興国の消費、アジアの成長」というメインシナリオが頓挫し、バリエーションの調整というステージも終わってしまった中で、アクティブファンドはやや苦しい展開を強いられることになりそうです。
寺本名保美
(2013.09.03)
同床異夢
シリア問題もさることながら、世界の株式時価総額のTOP20に入るペロトチャイナの持ち株会社を巡る粛清騒ぎが気になっています。
最近、あまり聞かなくなったイスラム金融の話も含めて、この10年、いや米ソ冷戦が収束した後から始まっている「資本主義の多様性」というものが、現在の金融システムの潜在的な時限爆弾となっているのではないかと、常々おもっています。
「表面的な細かい解釈には多少の相違はあるけれど、根幹の部分は同じ」という人達がマジョリティーだった時代の金融システムに対し、今の金融システムは「表面的には同じシステムを使っているけれど、根幹の部分は相容れない」人達の同床異夢なものとなっています。
金融システムが同床異夢を抱え込めるほど成熟したシステムになるのか、夢破れて分裂するのか、今すぐではないにせよ、どこかで突き当たる壁であるのは間違いありません。
まぁ、いつもの杞憂ではありますが。
寺本名保美
(2013.09.02)