2013年04月の思いつき


ゴールデンウィークですし…

連休の谷間というわりには、通勤電車の混雑はいつも通りでがっかりです。

国内株式市場。上昇しはじめてからの変化率や、モメンタムの強さのわりには、まだ市場があまり混みあっている感じがしないのは、少し不思議です。

時価総額が1兆円越えとなったゲーム会社があるからといって、ゲームな関連ならなんでも買われる、ということでもなく、円安だからと言って外需だけが買われるわけでもなく。

海外からの委託残高が急伸し、募集を停止した運用会社があれば、大き
な変化はない、という会社もあり。

良く言えば過熱感がない。悪く言えば乗り遅れた人達がまだ沢山いる、という感じでしょうか。

実態経済がついていく時間的余裕も、投資家心理も やや置き忘れ気味の上昇気流。
このあたりで、少し一休みしてはいかがでしょう…

寺本名保美

(2013.04.30)



資産運用業者?

よくわからない、損失事件がおきているようです。

報道に、「資産運用業者である…」という文言と、「金融商品取引業違反」という文言がでてくるので、変な誤解を生みそうなので一言。

この事件をおこした会社が登録しているのは、「第二種金融商品取引業」と言い、これは、「信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)など、又は、ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)などを行うもの」の事を指します。

つまり、投資運用業者でも投資助言業者でもなく、有価証券を取り扱う金融業者ではありますが、日本における「資産運用業者」ではありません。

米国本体で資産運用のライセンスを保有しているかどうかは知りませんので、それを確認した上で「米国の資産運用会社」という枕言葉を付けているなら、よいですが、そうでないなら「資産運用会社」という言葉使いはとても迷惑です。

まぁまだ正式には何も報道されていないので、何とも言えませんが、少し気になったので…
寺本名保美

(2013.04.26)



今年は本当に大事

厚生年金基金にとって、今年一年は本当に本当に真剣に運用と向き合わせなければならない一年になります。

資産運用という、株式や債券等の動くモノを相手にした業務は、気持ちが引いてしまうと、決して上手く行きません。

川で泳いでください、とは言いませんが、川の流れに足を取られない程度の意志力を持たないと、今年のように流れが早い環境では、一瞬の内にヒックリ返されます。

尽きない心配ごと、やり場のない憤り、わかりますが、それでも今年はとにかく運用に身を入れて臨んでください。

我々も精一杯お手伝いします。
がんばりましょう…
寺本名保美

(2013.04.25)



ブランドの相乗効果

注目のアップルの決算。

減益ではあったものの、売上高が市場予想を上回ったそうで、業界全体としては、「やれやれ」という感じでしょうか。

アナリストのコメントの中に、タブレットではなくPCブランドであるMACの売り上げが前年比横ばいであったことは注目される(ロイター)というものがありました。

アップルの仕掛けたタブレット戦略によって、既存PCがボロボロになっているなか、当のアップルPCは堅調、というのは、確かに驚くべきことです。

プランドの相乗効果を認識する上では、恰好の題材であるかもしれません。

かつて日本の電機メーカーが保持していたプランド力。
完全消滅する前に、何か次の一手が掴めれば良いのですが。
寺本名保美

(2013.04.24)



大放出

市場環境が良いにもかかわらず、どうも日々戦っている感が強いのはどうしてかと…

割安だった株式や、一方的な金利低下局面で、ただ黙って資産を保有すればよかっただけの環境が終わってしまったこと。

運用環境は難しくなり、一方で年金基金制度の将来が見えにくくなっていくなか、如何に事務局や理事会のモチベーションを下げずに運用議論の土俵に乗ってもらうかということ。

信託や運用機関が浮足立ち、ともすれば、かつてないほど身勝手な提案をすること。

コンサルティング会社の責任が、どういうわけか、加速度的に重くなっているように感じること。

なんだかんだで、アドレナリン大放出。体力も大放出。
おかげ様で、いたって元気な日々を送らさせていただいております…
寺本名保美

(2013.04.23)



確率半々

無事G20も終わり、為替は100円をトライ。
株式市場も高値を更新。

財政規律の話や、出口戦略という課題は重いものの、目先のテーマではありません。

中国経済のスローダウンが、国際景気に暗い影を落としはじめた中において、日本には過剰流動性の供給以外にも、景気の牽引役となることも期待されそうです。

これまでお荷物だった日本経済が、どうしたらエンジンになりうるのか。
「世界第3位の経済大国」という枕言葉が意味のあるものにするにはどうしたらよいのか。

勢いだけで来られるのは、ここまでです。
これからしばらくは、世界が日本に期待したり、失望したりの繰り返しとなるでしょう。
日本発の高循環となるか、日本発の迷走となるか。
確率は半々です。
寺本名保美

(2013.04.22)



マフィア、デビュー

市場が注目しているG20が始まります。

「麻生財相-黒田総裁」の国際会議デビュー戦です。

政策の中身以前の問題として、この二人の組み合わせ、なかなか迫力があります。
「国際金融マフィア」という言葉にどれほどの意味があるかはわかりませんが、この二人「マフィア」の貫録だけは充分そうです。

さて、このマフィアコンビの説得力にもかかっていますが、今回のG20で日本の量的緩和政策が批判対象となることは、おそらくないのではないかと思います。

日本という世界有数の金融市場を持つ国が行うゼロ金利下の量的緩和は、世界中にゼロコストの余剰資金をばら撒き、結果的に世界中の資金調達コストを押し下げることになります。
各国とも、財政の資金繰りに汲々としている現在において、日銀のバズーカ―砲は歓迎こそされ、批難されることはないでしょう。

本当に怖いのは、数年後日銀が金融政策を正常化したいと思った時の方で、アンカーとなってしまっている日本が錨を上げることについては、国内経済だけではなく、今度は本当に国際金融に与える影響を見極めた上で各国に根回しをする必要がありそうです。

とりあえず、麻生大臣の失言なく、無事に会議が終わりますように。
寺本名保美

(2013.04.19)



インテル…じゃなくて、アップル

今の米国で怖いのは、テロではなくて、来週23日に予定されているアップルの決算発表かもしれません。

時価総額が史上最高を記録したのが2012年8月。
株価が高値を更新したのが翌9月。

9月の高値が700ドル。昨日の安値が398ドルで▲43%。

昨年のアップルの急落以降も、株式市場全体としては比較的堅調に推移してきていることから、アップル株の価格動向そのものに振らされることは少なくなってきたとは思いますが、アップルの売り上げが世界中の製造業全般に与える影響が決して小さくないことから、やや注意が必要かもしれません。

PC全盛期にインテルの決算発表に一喜一憂した時に近い感覚があります。
「アップルショック」とかいう単語が飛び交わないことを祈ります。
寺本名保美

(2013.04.18)



ゴングが鳴った?

日銀の打ち上げた花火大会がとりあえず終わり、実体経済を舞台とした宴へ席を移そうか、というタイミングになってきました。

こうなると、もう、大臣・政治家・首長・財界・官僚と、文字通りの「寄って・タカって」の次元に突入です。

東京都等の主要都市にアベノミックス特区をという人いれば、これ以上中央に資源を投入せず地方の活性化こそ、という人もいます。

お金が足りなそうになると、必ず出てくる「年金資産の有効活用」論。一歩間違うと悪名高き「財政投融資」の世界に逆戻りです。

直接金融の活性化のために、上場基準を緩和する?
一年前までの上場市場の健全化方針と矛盾しないようにお願いしますね…

できることなら、もう少し、国としての大局観がみえるような進め方をしていただけないものかと、無理を承知で思ってみたり。

まぁ10年ぶりにお金が動こうとしている中、ハシャグ気持ちもわからないではないのですけど。
寺本名保美

(2013.04.17)



巻き戻し

金の暴落が引き金となった、レバレッジポジションの一斉巻き戻し。

これにボストンマラソンでの爆発が心理的な追い打ちを掛け、日本市場も不安定な展開となっています。

中国の経済指標の弱さも、米国の住宅指標の減速も、きっかけの一つではあったでしょうが、それで昨晩の値動きを説明できるほどのものではありません。

キプロスでの「金」売却報道以降、財政問題を抱える各国中銀が保有している金を放出するのではないか、という観測から、金市場の下落が続いており、先週あたりから一部のCTAやグローバルマクロ系での損失も噂されてきていました。
また、日銀の発したバズーカ―砲により、日本の債券市場や円相場のボラティリティが急激に上がっていたことも、こうしたレバレッジ系戦略全般の基礎体力を低下させる一因となっています。

極東だけでなく、米国本土においても、テロという言葉が持ち出されるようになった現状もあり、当面はグローバルなレバレッジポジションが一旦解消に向かう
局面となりそうです。

日本株式についても、円売り株買いといった、先物ポジションの巻き戻し等で、冷やりとする場面もあるかもしれません。今のところ大きな災いにはならないと思っていますが、少し注意深く市場のニュースフローを追いかけていきたいと思っています。
寺本名保美

(2013.04.16)



バリュエーション調整は終了

弊社のモデルで計測する日本の株式市場の理論値と実積値との解離が、ほぼなくなりました。

これで日本株の割安さは、一旦終了ということになります。

後は、これからの名目GDPの伸び次第、まさにアベノミクスの実現性次第の領域となります。

G20ではそろそろ、日本の為替水準についてもクレームが出始めたようです。

不当に安かった株式も、不当に高かった通貨も、単純なバリュエーション調整は終わったということでしょう。

投資環境全体は、まだフォローの風が吹いています。
だたし、ここから先は風向きの変わりやすい展開に注意が必要となります。

浮かれ気分はそろそろ終了にしましょうか。
寺本名保美

(2013.04.15)



とりあえず…

米国から戻りました。

色々な意味において、意外感の少ない出張でした。

ヘッジファンドを含め、リスクはオン。
日本の大規模金融緩和については好意的。
欧州については中長期で悲観的。

そして米国国内については、意味もなく強気…
住宅価格が上昇していることを受け、個人向け住宅担保融資が復活し、消費や自動車が絶好調。
株価が高値を更新していることも、個人消費にはプラス寄与。

いつか、どこかで聞いたような循環。というかこの国、本当に進歩しない。

エネルギー革命の影響は、当面においては原油価格の安定化に繋がることが好感されている程度ですが、中長期でみれば世界経済の根底を覆す「ルールチェンジ」の可能性?!

最近ニューヨークを席巻していた中国系人達の姿を今回あまり見かけず、街の日本料理屋さんの「ご飯-白米」が格段に美味しくなっていました。

とりとめのない現場報告となりましたが、また詳細は別の機会に。
寺本名保美

(2013.04.12)



遠すぎて…

東京でお留守番をしてくれている弊社の娘から、「みさいる」…というメールが届きました(苦笑)

ごめんね…海を渡ってしまうと、その怖さが今一届かない…。

CNNも11時のニュースではTOPで扱っていますが、緊張感を持っての報道にはなっていません。

それにしても、アジアのニュースがいつまでもミサイルとインフルエンザでは、唯でさえ退き気味のアジア投資の先行きも真剣に心配になってきます。

日本のアベノミクスの神通力が効いている間に、この辺りの問題を決着させていかないと、アジア株が一旦ガタガタになってしまいそうで、怖いです。

寺本名保美

(2013.04.10)



株より金利

ヒヤリングに行ったはずのファンドマネージャー逹から案の定、開口一番、こんな金利の長期国債を一体誰が買うの?日銀以外では誰が持っているの?金利が急反発したら誰が大損するの?もしそうなったら日本の金融システムは大丈夫?と質問先行…

株式が上がってよかったね、というよりも、債券大丈夫?というトーンの方が強かったのは、まぁ当然と言えば当然。

米国と行っていることは同じなのですが、どうにもこうにも金利の絶対水準が低すぎることが、不安心理を誘うようです。

こうした海外投資家の懸念に対し説得力を持って答えていくのも、これからの黒田日銀の大切な役割です。

着いた日はゼロ度近く迄下がったニュヨークの気温、明日は夏日のようです…
寺本名保美

(2013.04.09)



旅先で、あれこれと…

ニュヨークにいます。

金曜日の夜のこちらのニュース番組では、かなり長い時間をかけて、北朝鮮問題を報じていました。

専門家のコメントは、日本でみられるものと同様で、国内向けのプロパガンダに過ぎないという論調だったようですが、キャスター逹は「本当にそんな呑気なことで大丈夫!?」と煽っていました。

さっぱり訳のわからない、どちらかというと縁もゆかりもない国から、いきなり直接攻撃の標的と名指しされた困惑が伝わってきて、興味深かったです。

ところで、日本の債券市場は久方ぶりに大荒れとなりました。
一日で3円の乱高下と聞くと、ディーリングルームにいた頃の感触が甦り、あぁ自分もその場に居たかったな…と少しだけ思ったりします。

もちろん、現場の人達はそれどころではない一日だったことしょう。
大きな怪我がなかったことを祈るばかりです。

いったん跳ねてしまったボラティリティは既成事実化します。
国内債券市場については、心地よい水準が見つかるまでしばらくの間、不安定な環境が続くことになりそうです。
寺本名保美

(2013.04.07)



お休み終わり、行ってきます!

ロケットスタート、バズーカー砲…
何とも勇ましい形容詞のついた黒田日銀のスタートです。

とりあえず、口先介入先行、という私の予想は見事に外れ、株式市場は完全復活!

お休みにお伊勢参りをした効果があったかも(笑)ということで、本日よりNYに行ってきます。

米国の妙なテンションの高さを検証しに行く予定が、日銀の妙なテンションの高さについて逆質問されそうな展開になりそうな…

海の向こうでの黒田日銀の評価も聞けるので、楽しみな出張です。

では、また…
寺本なおみ

(2013.04.05)



お休みと出張

本日より来週の11日まで、少し長めの不在となります。

ちょっと休暇、後、出張、です。

昨年来、米国の方々の妙なテンションの高さが、どうにも気になっており、原因を究明に行ってきます。

何かあれば、更新しますが、一応次の更新は12日のつもりです。

では、黒田新総裁に期待しつつ…

寺本名保美

(2013.04.03)



新総裁の船出を祝い、波高し…

新年早々荒っぽい市場環境となりました。

今年に入って、個人投資家さんの回転売買が目に余る、との声も聞こえていたなかにおいては、よい調整になったかもしれません。

黒田体制初の日銀政策決定会合を前にして、日銀がリートやETFなどのリスク資産の買取にまで踏み込むかどうかが、世界の投資家の注目の的となっています。

私個人としては、リスク資産の買取りオペレーションについては、将来の可能性を「匂わす」程度にしておいた方が「思慮深く」見えて、良いのではないかと思うのですが、スタートアップでのイメージ戦略としては、ここで市場の期待に沿ったアナウンスメントをし、アベノミックスへとの一体感を演出する、ということもないとは言えません。

どちらにしても、将来的には黒田日銀が、リスク資産まで踏み込んだ量的緩和に動くことは既定事実のようにも思われることから、あとはタイミングの問題です。

ジタバタせずに、様子見です。
寺本名保美

(2013.04.02)



強い意志

久々な高収益と、穏やかな日差しに恵まれた、新年度の始まりです。

環境や陽射しの暖かさに身をゆだねつつ、どこか緊張した自分が居ます。

今年は、資産運用業界、年金業界、を含め産業界全体に、再生と統合の機運が高まる一年になりそうな気がしています。

参加者全員が弱っている時には進まない淘汰が、環境が好転し勝ち負けがはっきりしてくる局面において、むしろ大きく展開する可能性があります。

自らが「生き残る」という強い意志をもった組織のみが存続し、時代に流されていく組織は消滅する、そんな時代がすぐそこに来ています。

世情に流されず、自身の未来をしっかりイメージし、足下をしっかり固めていく。

強い意志と決意を持った、年度のスタートとしたいと思います。

本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
寺本名保美

(2013.04.01)


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