万年一日がごとく
日銀の再緩和。
次への期待感を残したことは、正解だったのではないかと思います。
それにしても、どうして相変わらず不動産なのでしょう?
90年代の日本や、今の米国のように、金融収縮の犯人が不動産で、かつ、経済収縮のの犯人が金融にあるのであれば、デフレ脱却の処方箋にもなるでしょうが、今の日本の置かれた環境は、全く異なるように見えます。
住宅が動かないのは値段のせいではなく人口動態や雇用不安のせいで、商業テナントが動かないのは賃料に見合う事業利益が見込めないからです。
今の日本にとって不動産は原因でもエンジンでもなく、単なる結果です。
せっかくお金をバラまくのなら、もう少し実効性のある使い道がありそうなものだと思います。
寺本名保美
(2012.10.31)
自由化の前提
東京都が太陽光発電の屋根貸し事業の促進策を発表しました。
借りた屋根に太陽光発電設備を設置して売電する事業者と、屋根を貸して賃料をとる建物の所有者とのマッチングを支援するそうです。
東京都のHPに登録されている35の事業所は東京都のHPによれば、登録申請をした事業者だそうで、その事業者の信頼性について東京都が検証した訳ではなく、HPに掲載された実績などを所有者が見て自分で判断することになっているようです。
太陽光発電事業を含めた代替エネルギー事業に関し、自由化が進むことは否定はしません。
但し、自由化が将来の事故や犯罪の温床にならないための事前の措置が必要であることは、過去数年の様々な事実が雄弁に物語っているはずです。
将来に禍根を残さない自由化であって欲しいと心から思います。
寺本名保美
(2012.10.30)
米国に波乱?
米国東海岸に季節外れの大型ハリケーンが接近し、ワシントンやニューヨークの機能が停止しているようです。
ニューヨークの取引所も本日の全面休場を発表し、場合によっては明日30日の取引も中止となる可能性があります。
大統領選を11月6日に控え、最後の遊説ラストスパートであったはずの両陣営も、戦略の変更を余儀無くされ、特に現職であるオバマ大統領にとっては、身動きのとりにくい状況になっているようです。
カナダの地震にハワイの津波。
米国大陸、波乱の兆し…ですか?
寺本名保美
(2012.10.29)
後始末もしましょうね
昨日家に帰ったら、いきなり母から「石原さんってどう思う?」ときかれ、さっきタクシーで国会前を通ったら初老の運転手さんに「石原さん出ますね~」と嬉しそうに言われ、今喫茶店でも「石原さんが総理になったら」という会話が聞こえてきます。
ふーん。良くも悪くも石原慎太郎ブランドは健在ということのようです…
私、一都民としては、都知事になってブチ上げた、新銀行東京も貸出債権流動化も築地市場の移転構想も、かなり悲惨な状況となりました。
思いつきや、信念は評価しますが、現実的に成功するか否かは現場の努力次第で、僕には責任ないから、みたいな言動が多かったような気がして、どうも信用しきれません。
有言実行というのはかっこいいですが、言ったことの招いた結果にも責任を持てることが、前提だと思うのです。
まぁ皆さんがこういう強い指導者を求め始めたのであれば、それはそういう時代であると、認めるしかないのかもしれせんが、この人が引っ掻き回した後の始末をさせられる人や国民は、きっともの凄く大変なのではないかと、思ったりしています。
寺本名保美
(2012.10.26)
家電化したアップル
株式の運用者の中でのアップルという会社は、すでにテクノロジー業種ではなく、家電などの消費財の範疇にいる企業になったようです。
これは、アップルの開発した商品コンセプトが一般生活において必需品化しているということだけでなく、家電のように「コモディティ化」しつつあることを意味しています。
パソコンと電話とテレビとカメラが全部一緒になってしまったということは、逆に言えばパソコンも電話もテレビもカメラも要らなくなったということになります。
タブレットという新しい家電は、従来の家電を駆逐します。
そして、これまで高付加価値と思われていたタブレットが今度はデジタル家電のように半年で半額となるような価格競争の時代に入ったということになるのでしょう。
アップルが家電の世界の中でどう優位性を維持していくのか、興味深いテーマではあります。
寺本名保美
(2012.10.25)
愛が足りない
今の日本の運用機関に最も不足しているのは、自らの製品に対する愛情なのではないかと思っています。
海外の長く続いている運用会社とみると、運用者自身が、その運用哲学を信奉しているのは当たり前のこととして、リスク管理やミドルや営業や、何よりも経営者そのものが、その運用哲学やカルチャーと同一化しています。
例えば、何か特定の運用手法や運用戦略に特化した運用機関であれば、その会社に入社することそのものが、その運用に自らをコミットすることになるわけですが、日本の運用機関のように、国内外の自薦他薦商品を大量にラインアップしている状況においては、こうした運用体としてのカルチャーを醸成すること自体が、無理な話なのでしょうか。
自分が投資商品の営業側に居た当時のことを振り返ってみても、今の運用機関の人達よりはもう少し、プロダクトへの愛情があったような気がします。
愛がないところに成果は生まれませんよ。
寺本名保美
(2012.10.24)
もう少しやりようはないものか…
前回の日銀政策決定会合に、内閣府特命担当大臣殿が乗り込んでいかれました。
ちょうど私は米国に居たのですが、FOMCへの政府の出席権が認められていない米国ではやや奇異な行動に見られたようです。(英国やECBでは出席権は認められています)
さて、一週間後の政策決定会合に向けて、今度は政府首脳が具体的な政策指示を出したと報道されています。
政府には議案提出権がありますので、違法ではありませんが、事前に議案内容を公表してしまうようなやり方は、非常に政治的で嫌な感じを受けます。
そもそも、決定権は日銀にしかないわけで、もし日銀が自らの独自性を強調したいがために、政府からの議案をあえて拒否するという歪んだ結論に到達した場合、市場の混乱には拍車がかかるでしょう。
何をするにしても、なんだか下手くそな内閣だなぁと思う昨今です。
寺本名保美
(2012.10.23)
他山の石
IPS細胞の臨床実験を巡る誤報問題。
傍からみれば、どうしてこんな話に天下の大マスコミが乗せられてしまったのかと見えるのですが、こういう罠は実際に当事者になってみないとわからないことが沢山あります。
少し質が異なりますが、年金業界にしても、どうしてAIJなどというものに簡単に騙されたのか、という話にも繋がります。
実際に、ある程度の専門知識があれば、見抜ける罠である場合が多いのでしょうが、この「ある程度」の知識が、却って中途半端に判断を迷わせることを、我々はよくよく認識しておかなければならないのでしょう。
生物科学分野のように、理論が高度で且つ急激に変化していく一方、その出口が医療や生命など身近な生活に密着してるものは、ある意味記者の方達にとっては、最も危険な分野であったのかもしれません。
貴重な他山の石ではあります。
寺本名保美
(2012.10.22)
AKBのセンター選挙みたいになりそうな…
米国の大統領選も終盤になってきました。
日本でも首相を国民の直接選挙で選べないものか、という声がよく聞かれます。
だた、日本のように政治に参加する国民のすそ野が狭い国での公選は、どうも弊害が強すぎるようにも思います。
直接選挙はどうしてもディベートのテレビ放映の結果などイメージ戦略が大きな影響を持ちます。
実際の政策は、大統領自身が決めるというよりは、強力で大量の政策スタッフやその予備軍が作成し、大統領はそれを国民に伝えるためのプレゼンテーターであり議会におけるネゴシエーターであればよい、という体制であればこそ、イメージ優先の直接選挙が成り立りますが、日本ではそこまでの政策スタッフの予備軍が育っていそうもありません。
政策バックが薄いなかでの直接選挙は、一歩間違えると、単に弁舌が達者でディベート慣れしたクチだけ候補を選ぶ結果になってしまいそうです。
いや別に、弁護士出身者がいけないといっているわけでは決してありませんが…
寺本名保美
(2012.10.19)
あっ!
今、政治家の悪口を書いていら、スマートフォンの電源が落ちて、文章が消えました…
流行りの遠隔操作による妨害か?!!?
というわけで、時間切れ、電池切れにつき、今日の思いつきはここまで(汗)
すみません。続きは明日…
寺本名保美
(2012.10.18)
善管注意義務
投資顧問業者および信託銀行が、年金の資産運用業における「善管注意義務」違反による処分を受けました。
この処分の本質は、いわゆる「箱貸し一任業」に対する厳罰化であるとみるべきだと思います。
国内外問わず、他社が運用しているファンド等を、事前に精査することなく、または自社で同種の戦略についての管理能力がないにも関わらず、年金基金に対し一任契約をもって提供することが金融商品取引法の善管注意義務に違反する、ということを、金融庁が「公」に認定した初めてのケースでしょう。
今回の問題は、日常の運用業務に関わる現場ではなく、むしろ投資一任会社の経営姿勢そのものが問われた問題です。
だからこそ今回の金融庁の指摘は、投資一任会社の全ての経営者達が、投資一任業務を行う企業の在り様を見つめなおす、大きな契機となるべきだと思っています。
金融庁の今回の判断は、投資一任業の今後のビジネスモデルの方向性を大きく変える可能性があるほどの大きな意味を持つものになるのかもしれないと思っています。
寺本名保美
(2012.10.17)
ユートピアには程遠い平和賞
EUがノーベル平和賞に値する理由を私なりに理解しようとするなら、それは、通貨を含む自由経済圏という巨大市場を共有する、という絶対的な経済利益が、時に暴力的にもなりうる国境や民族間の諍いの抑止力となり得る点にある、のだと思います。
本来的に敵対しやすい隣国が、それを乗り越えて平和な共同体を形成した、などという「ユートピア」に対する賞であるとは思えません。
であるのなら、EUは今後もEUであることの経済的利益を、加盟国全てが実感できる制度であり続けなければならないということになります。
EUが安定した経済圏として存続するためには、各々の国家や民族としての尊厳を維持しつつ、どの程度の深さまで統合を進めていくべきなのか。それが金融システムだけの問題で終わるのか、統治の部分にまで進むのか。ユートピアには程遠い、ドロドロとした議論はこれからが本番です。
EUが本当に平和賞に値するものなのかどうか、ここ1年が勝負かもしれません。
寺本名保美
(2012.10.16)
持続可能なのでしょうか?
ソフトバンク。
「資本市場との対話」という意味において、ここまで市場を裏切り続ける企業も珍しいのではないでしょうか。
どれほど不興を買おうと、綱渡りと言われようと、株が売られようと、債券が売られようと、結果として企業としての成長戦略が現実化しているのであれば、文句のつけようは、ある意味ありません。
ただ、今流れている「繋がらない」ことを逆手にとったCMを見る度に、CMそのものの好感度と反比例して上がる不快指数のように、この企業の基本的なモラル感にどうにも我慢できないと思う人間が、金融市場においてまた一段増加したことは間違いないでしょう。
「持続可能な成長」という言葉が、本当に似合わない企業ではあります。
寺本名保美
(2012.10.15)
やっぱり内向き?
ニューヨークで、近年になく沢山の日本人観光客に出会いました。
シニア層のご夫婦が多かったでしょうか。
中国観光が急減している分、その一部が米国に流れたのかもしれません。
私の泊まったホテルの朝食ビュッフェには、ご飯と納豆とお味噌汁が用意されています。日本人の団体が居た朝には、それにヒジキやお豆腐が追加され、ホテルの気配りが感じられました。
唯一つ、、、
若くて、元気そうな、日本の男子君達が、こぞって日本食に列をなすのは、少し寂しかったです。
せっかくの米国滞在。コテコテのオムレツに、ギトギトのベーコンと格闘するのも、経験なのに。
内向き男子、がんばらないと!
寺本名保美
(2012.10.12)
インフラ投資
お久しぶりです。
ニューヨーク・ボストンに行ってきました。
ニューヨークでは、橋や高速道路などの大規模なインフラ修繕工事が目につきます。
自動車の中小型化も進んでいて、米国っぽい?ガソリン大量喰い車の生産は、殆ど停止されているとのこと。
オバマ大統領が、脱石油・進公共投資、を掲げて4年。
ようやく、方向性が目に見えて確認できるようになってきたようです。
それにしても、ニューヨーク~ボストン間の高速鉄道。
新幹線、輸出しましょうよ(汗)
寺本名保美
(2012.10.11)
しばし、消えます…
気分転換に?少々海外に飛んできます。
景気の良い話を持ち帰れればよいのですが…
思いつきは、木曜日に再開します。
寺本名保美
(2012.10.04)
ふか~い地下に貯まるエネルギー
秋田県沖で、シェールオイルの試験採掘に成功したそうです。
マーケット的には、まだ海の物とも山の物とも、という感じですが、今後数年を見たときに、「潜在資源国としての日本」がグローバルなテーマになる時期が来るのではないかという予感がします。
元々日本は「黄金の国」です。
掘ればきっと何かは出てくる(苦笑)
市場価格が、長期間一定の幅で動かなくなることを、「持ち合う」と言います。
日本株のこの長~い持合い相場が転換するためのエネルギーは、実は地下深~いところに埋まっていて、誰も気づかないだけ、なのかもしれません?!
寺本名保美
(2012.10.03)
気分一新
それにしても、吐き気がするほど弱い国内株式。
そろそろ、政権交代を催促し始めているかもしれません。
偶然かもしれませんが、多分偶然でしょうが、民主党政権になってから、国内株式市場はぴったりと動きを止めました。
全てが政策のせいとは言いませんが、幾分かは影響がありそうな気がしてます。
相場、というものは、縁起ものです。
このあたりで、気分一新。
政党一新。
すみません。八つ当たり気味です…
寺本名保美
(2012.10.02)
何か変わりそうなのですが…
日銀短観がでました。
先週末の鉱工業生産と合わせて、あまりよくない数値に市場の失望感が強いようです。
とはいうものの、それほど悪い数字であるわけでもない、というのが最大の特徴で、大企業製造業の業況判断指数はこれで10四半期連続で「±ヒト桁」という結果となりました。
景気が良いか悪いかと聞かれ、良いという企業と悪いという企業がほぼ拮抗し、景況感全体としては良くも悪くもない、という状況が2年半も継続するという、過去の景気循環では説明のできない現象が起きています。
このところ、ひどく見劣りするように思える日本の株式市場ですが、ほぼ同様の期間において、日経平均で9250ぐらいを挟んだ狭い上下動を繰り返してだけとみれば、業況からみても整合性のとれる展開だともいえます。
これを成熟と呼ぶか老化と呼ぶか、安定と呼ぶか低迷と呼ぶか、上に弱いと呼ぶか下に強いと呼ぶか…
日本経済も日本株式も、何か根本的な大きな変化を迎えているような気がします。それが良いことなのか、悪いことなのか、正直まだわかりません。
寺本名保美
(2012.10.01)