来年はいいとし、の気がする年の瀬です
おおきな溜息とともに、2011年が終わります。
溜息と一緒に、厄介なことは全部2011年に吹出して、清々とした2012年を迎えたいと思います。
年初しばらくは、まだ色々ありそうですが、来年は久しぶりにリスクを取ることを考える一年になりそうな気がしています。
本年も大変お世話になりました。
一年後、今年はよい年でしたね、とここに書くことができるように、また一年頑張りたいと思います。
どうぞよいお年をお迎えください。
株式会社エー・エム・シー 一同
(2011.12.28)
推理小説のすすめ?!
市場動向に強くなる早道は、推理小説を沢山読むことです。
かつ、できれば古い物から最新まで、色々な時代の推理小説を読むことです。
今の展開から、次の展開を予想すること。今の展開と過去の展開を繋げること。
更には、小説の流れを、過去に読んだパターンと一致させて、結末を予想すること。
自分の決して経験することのない、過去の世相や、危ない世界や、バブルな世界を垣間見ること。
これらは皆、「他人の思考に入り込んで先を読む」という市場取引におけるもっとも重要な資質の訓練になるのです。
いや、別に恋愛小説では意味がないと言っているわけではありません。単に私があまり読んだことがないだけです…
寺本名保美
(2011.12.27)
緩慢な崩壊から次のステージへ
「今年は本当にひどい一年だったですねぇ」という言葉が挨拶代りとなっている、年末です。
世界的に「天災」という意味においては、本当に酷い悲しい一年でした。
一方で、金融界だけを見た場合は、むしろ意外性も新規性もなく、緩慢な崩壊が進行した一年でした。
イメージとしては、地球温暖化で溶解を続ける氷河が、ところどころ崩落を始めた、という感じでしょうか。
欧州の財政問題も、欧州金融機関のリストラも、金融機関を巡る規制強化も、2008年の金融危機の延長線上にある問題にすぎず、危機の兆候は一年以上前から存在しています。
弊社で、市場で大きなイベントが発生した際、お客様向けに発信するリスクレポートも、今年は8月の頭以降、作成せずに終わりました。結局震災以降、リスクのとり方は「平時よりは小さく、危機時よりは大きく」という判断のままで今年は終了です。
さて、時間稼ぎに明け暮れた2011年が終わり、2012年はよくも悪くも動きがあるかもしれません。
流氷に激突したタイタニック号にはならないように、そろそろ操舵室に戻りましょうか。
寺本名保美
(2011.12.26)
日本の格下げ
R&Iが日本の格付けをAAAからAA+ にしましたが、想定通りというか想定以上に市場の反応はありませんでした。
格付けを気にする海外投資家は、もともとR&Iの格付けを使用しておらず、R&Iへの依存度の高い国内投資家は自国国債に対しての格付け基準を持っておらず、もっと言うなら、国内には最後の砦になる格付け機関がもう一つあり、市場的にはインパクトに欠ける格下げだったということになります。
もちろん、今並べた理由は、あくまでも債券投資家と格付けとの特殊な関係に基づいて起きている現象にすぎません。
今回市場が反応しないからといって、日本の財政問題に対し市場参加者が問題視していないというわけではありません。
何度も言うようですが、市場が反応し始めてからでは手遅れなのです。手を打てることはできるだけ早く処置しておくのが賢明です。
寺本名保美
(2011.12.22)
性別を越えて…
年金業界向けの営業で、女性の採用が増えている、らしいです。
雇用機会均等法の一年生として社会にでてからの数十年の経験で、担当が女性であることを好ましいと思う方が3分の1、女性を嫌がる方が3分の1、性別にこだわりのない方が3分の1、という感じです。
初対面の方がどの三分位に位置なさるのか判らないので、必然的に女性であることを強調も否定もしないスタンスが身に付くこととなりました。
選挙戦ではありませんが、敵味方拮抗するなか重要なのは中間浮動票の獲得です。
そこでの地盤固めができなかったら、移り気な好き嫌いで当落線上をさ迷う、「なんたらチルドレン」のような存在になってしまいます。
日本の資産運用業界、まだまだ女性比率は低いです。
せっかく増えつつあるのなら、中間浮動票を獲得できるような人材に育って欲しいと、心から願います。
寺本名保美
(2011.12.21)
何故か有事シフト
昨日の金総書記死亡のニュースに対する、アジア市場での反応の過激さに、少し驚きました。
もちろんクリスマス休暇前で、売買量が細くなっている影響もあったとみられますが、それにしても株式・債券・為替とも一瞬で「有事シフト」となったことの意味は小さくはないと感じました。
有事シフトの中には、全世界で防衛産業株が急騰する、という若干首を傾げたくなるような値動きも含まれています。
ここ1-2年、世界の投資資金は「アジア」市場への流入を続けていました。
実際の有事を心配してもしかたがないものの、今回の「有事シフト」が、これまでのアジア重視の投資姿勢に、何等かの変化をもたらさないか、やや心配ではあります。
寺本名保美
(2011.12.20)
取り急ぎ、、、アジアショック?
つくづく、今年は色々なことのある年です。
お昼から戻ってみると、北朝鮮報道で市場は大混乱です。
ウォン安、円安、韓国主導でアジア株安。
野田総理の社会保障と税の一体改革を目指した「ある意味歴史的な街頭演説」も、緊急安全保障会議で中止です。
欧米の株式マネージャーが以前、アジア株式投資の最大のイベントリスクは、北朝鮮総書記の死亡だと言っていたのを思い出しています。
国内外の微妙な均衡が壊れるリスクを、市場は警戒しているようです。
寺本名保美
(2011.12.19)
上から下まで若くなった
雇用年齢65歳義務化。
色々賛否はあるようですが、今の60歳台前半が、一時代前の50歳代後半ぐらいの活力があるのは、間違いのないことで、人口減少の日本においてその労働力を使わないという選択肢はありえません。
一方で、人々が若くなっている裏側で、20歳代前半もまた若くなり、成人式は25歳でいいのではないかと思うこともしばしばです。
高校授業料免除の基準でもめるぐらいなら、いっそうのこと高校を義務教育にして、さらに大学は全部6年制にして、最後の2年間は具体的な実務研修や就業実習にあてるというのはいかがでしょう。
大学6年間も親のスネをかじり続けることはありえないので、基本的な学費は自分でバイトをして稼ぐ。大学も企業も優秀な学生には積極的に奨学金を出す。
大学進学をしない人のためには、国が無料で職能訓練プログラムを提供する。
とか…
青年が社会に出る年齢を今の20歳前後から、全体に2-3年引き上げた方がよいのではないかと感じます。
いずれにしても、高齢者対策だけではなく、年齢を基準にした社会構成全体を、一回見直してみる時期がきているのではないでしょうか。
寺本名保美
(2011.12.16)
根は深い
我々はアジアに居るので、アジア地域にまだ「戦後」があり、同じような外見をしていても、それなりに歴史があり、それなりにわだかまりがあることを知っています。
同じように、欧州においても、きっと我々にはわからない「戦後」があり、歴史があり、わだかまりがあるということは、なんとなくは想像はつきます。
おそらく、欧州からみれば、日本と中国と韓国の区別があまりつかないように、我々からみればフランスとドイツとスペインの区別はあまりつきません。
実際に欧州で起きている議論は、報道等から我々が表面的に見えていることよりも、もっと根深く、深刻なものなのかもしれないと感じています。
この問題、想像以上に長引くかもしれません。
寺本名保美
(2011.12.15)
海外投資家が復活する前こそ
二日間ほど大阪に行っていました。
ホテルでは、毎年この時期に見られる、家族連れの外国人観光客を全く見かけなかった変わりに、中国系のビジネスマンが普段以上に目につきました。
思わず「日本の不動産か企業か、いったい何を買いに来たのだろう?」と身構えた心境になってしまうのは、単なるヒガミです…
震災と円高と欧州危機とで、外国人投資家の買いの手が緩んでいるいまこそ、日本の資産を割安に買うチャンスです。
いざ上昇する時のボラティリティは、みなさんの大好きな新興国並みにあり、バリエーションは金融危機の真っただ中にある欧州各国よりも安い、かもしれません。
こんな環境で、日本の証券会社も、もういい加減、よくわからない海外高配当投信を個人に売っている場合ではなく、国内の優良資産に国内資金が正常に還流するような商品設計を考えてみる時期がきているのではないでしょうか。
金融商品というものは「安い時に買って・高い時に売る」ものですよね?
寺本名保美
(2011.12.14)
諦めではなく…
今年の漢字は「絆」だそうです。
私にとっての今年の漢字は「天」でしょうか。
天災の天であり、治世の天です。
お世話になっている方の年賀状に書かれていた「今年は天と地が喧嘩をする年」という言葉が頭から離れない一年でした。
さて来年。
私の頭の中には「悟」という文字があります。
誰しもが漠然と感じている、世界的な大きな変化を、それぞれがそれぞれの立場で受け入れる一年になるのではないかと感じています。
日本においては社会保障や消費税が動きだすかもしれず、金融市場では絶対に破綻がないことを表す「AAA」という記号が幻想に過ぎないことを認めることになるのかもしれません。
だからといって世界が壊れてしまうわけではなく、ただ人々が既得権や過度な期待を諦めるのに多少の混乱が発生するだけです。
諦めるのではなく、賢く悟る。
過去にとらわれず、現実をみる。
年金運用も、日々そうありたいものです。
寺本名保美
(2011.12.13)
ロシア国内の「圧」
ロシアでソ連邦崩壊後最大規模のデモが起きているとのことです。
プーチン氏が大統領と首相の出来合いレースを公言したとき、こうなることを予想していなかったとしたら、この人達のリスク管理センスを疑います。
今年一年あまりにも色々なことがあって、2011年がチュニジアとエジプトの暴動から始まったことを、プーチンさん達はすっかり忘れてしまっていたのかもしれません。
でなければ、あえて締め付けを強化することで、国内のみならず周辺国の不満も抑え込めると思っていたのでしょうか。
今のグローバルな民衆運動は、一種のガス抜きという色彩の強いものです。抑え込めば抑え込むほど「圧」が増します。
ここまで、リスク管理に失敗してきたようにみえるロシア政治。しばらく要注意かもしれません。
寺本名保美
(2011.12.12)
欧州の利下げと、危機の後
欧州の利下げ。「ないよりはまし、時間稼ぎにもならない」程度の市場の反応です。
それにしても思うのは、欧州中銀の今年7月の利上げはいったい何だったのでしょう。( 過去の思いつき)
物価をトリガーにしているように見えて、結局今回も景気鈍化局面での利下げ余地を事前に作っておいただけだったということになりそうです。
ないよりはまし、という市場の反応は十分に承知した上での今回の利下げ。近々の危機回避はもう各国政府に任せて、中銀としてはより現実的な景気鈍化への対応に軸足を切り替えたことの証であるともいえます。
例え今回の金融危機が回避されたとしても、その後にもっと長い危機が待っているということを、昨日の利下げは主張しているのかもしれません。
寺本名保美
(2011.12.09)
今年は守りのヘッジファンド
今年のヘッジファンドのパフォーマンスが期待していたほどよくない、という声をあちらこちらから聞きます。
ただ、業界側の視点で言えば、これだけの悪環境の中で大損や破綻といったイベントが今のところほとんど聞こえてこないのは、ヘッジファンドとしてはよく立ち回っている方だと思っています。
2008年の金融危機とその後のリカバリーで、ヘッジファンドも投資家も共に学んだことは、「最悪時点で資産を投げ売る」ということさえ避けることができれば、ファンドの収益も残高も基本的には回復するということです。
だからこそ、この3年ヘッジファンド業界は、急激な損失や資金流出の発生を極力抑える工夫を、ある程度収益を犠牲にしながらでもおこなってきたのです。
今の金融市場が、環境に比べ比較的軽微な混乱で済んでいるのは、こうしたヘッジファンド業界のリスク意識の変化の恩恵であるともいえます。
寺本名保美
(2011.12.08)
クレジット市場は割安か?
海外のクレジット投資について、過去のパフォーマンスやリスク分析にほとんど意味がないことを、よく理解しておいた方がよいと思っています。
大きな要因は、株式市場が年金やファンドや個人といった、投資家主体の市場であるのに対し、クレジット市場はこれまで明らかに「金融機関」中心の市場であったことに起因します。
2008年の金融危機以降、金融機関は様々な規制により、既に主要な金融プレイヤーではありません。つまりクレジット市場においては現状主要プレイヤーが存在しない環境にあるということになります。
今後クレジット市場の参加者が金融機関のようなフローのプレイヤーから、年金などのストックのプレイヤーに替わっていくことによって、市場のリスクや流動性や価格特性は過去とは明らかに変わっていくでしょう。
またこうした投資家のアクティビティのみならず、格付け機関に対する信認、市場に対する政府の関与など、インフラ部分に対する変化も無視できません
現状のクレジットスプレッドが割安であるかどうかは、今後のクレジット市場の構造そのものの見通しを合わせて判断する必要があるのではないでしょうか。
寺本名保美
(2011.12.07)
舵はきりつつあるものの
ユーロ15か国一斉格下げの可能性。
これまでの格付け機関の言い分の延長線からみれば、当然の結果ではあるものの、市場的にはさすがにインパクトがあります。
東京やアジア市場が大きく反応していないのは、追い詰められた欧州各国が何らかのウルトラCを発動すると思っているからか、インパクトがありすぎてそんなことは現実的ではないと思っているからか、明日のことより数時間後のことすらすでに予測不可能である現状において欧州の問題は欧州時間になってから考えることにしたからか。
個人的には、こうしてドイツがどんどん欧州統一国債発行に向かって逃げ道をなくされているように見え、中長期的には解決の方向に舵が切られ始めているように感じています
とはいうものの舵を切った先の航路は、かなりの荒れ模様ではありますが。
寺本名保美
(2011.12.06)
癒しの象徴
今朝のNHKで、米国で「Ofuro」が人気と放映していました。
インターネットで「Ofuro」(furo ではなく何故かOfuro)と検索してみると、確かに海外の色々なコメントが拾えて面白いです。
この数年、ニューヨークのホテルがリフォームする度に、部屋からバスタブがなくなりシャワールームのみになっていく傾向がありました。
ビジネスホテルからバスタブがなくなることが、日本人が海外を闊歩していた時代がはるか遠くにいってしまったことの象徴のように思えて、寂しい思いをしていたのですが、今度は「癒し」ツールとして、お風呂が見直されているようです。
Workaholic(ワーキングホリック)と揶揄されていた日本が、今はスローカルチャーの象徴として認識され始めていることを、寂しさ半分、心地よさ半分で受け止めています。
癒しの象徴としての日本。世界の中の立ち位置として、それも一つなのではないかとも思っています。
寺本名保美
(2011.12.05)
なんだか地合いが悪い
この日本株の地合いの悪さは、いったいどこから来るのでしょう。
今日もまた一件大型の新規上場が延期になりました。
株式のファンドマネージャー達と話をすると、決して弱気ではなく、海外投資家も特別日本株を嫌がっているようにも見えず。
野田内閣の方向性は、我々の生活感覚にとって良いか悪いかは別として、少なくても株式投資家にとってはよい方向に進んでいるように見えます。
いわゆるファンダメンタルズ以外のところで、何かしらの軋みか歪みが存在するような肌感覚があります。
欧州危機とは全く関係ないところで、変な材料が出てこなければよいのですが。
寺本名保美
(2011.12.02)
皆、走る〜
欧州金融機関の年末資金繰りは綱渡り。
今日の私のスケジュールも綱渡り。
今日から師走。
私も転ばないように走るので、各国中銀も頑張れ!!
寺本名保美
(2011.12.01)