2010年11月の思いつき


どこもかしこも新興国

ロンドンから戻りました。
とにかく寒かった(凍)。にも関わらず、街の人出はクリスマスシーズンの始まりを感じさせてくれるものでした。

ヘッジファンド会社にも、株式の運用会社でも、新興国市場全般の過熱を感じているのは間違いなく、但し、正味期限についてはまちまちです。中長期は大丈夫でも目先は危ないという人がいれば、数年後の大崩壊を言う人もいます。

問題は、新興国の中での企業選択や、国別の選択が、何時か訪れる資金フローの逆回転において、意味をなすものとなるのか、全壊となるのか。
キャッシュアウト局面においてはアクティブの選択眼が全く機能しなかったこれまでの新興国市場から、どれほど「市場経済」が成熟し、個別企業の基礎力が充実したのかは、次の資金アウトが起きてみて初めて確認できることです。

まぁ、心配するのはもう少し先でもよいかもしれませんが。

(2010.11.30)



来週の火曜日再開です

パソコンのアクセスが悪いので、更新は来週の火曜日までお休みです。ごめんなさい…

(2010.11.26)



アジア株式市場

海外からの戻りも、東京の始まりも、思ったより冷静で一安心です。

懸念があるとすれば、これまで若干加熱気味だったアジア株の換金売りのきっかけになることです。

グローバルな投資家が、今回の半島有事をどう見るかを見極めるにも、今日のアジア株式市場動向は、とても大事です。

では、しばし空中散歩に出かけます…

(2010.11.24)



格言を信じたいのですが…

今日23日の夕方以降、「戦争に売りなし」という相場用語の意味を考えていました。

戦争特需が発生するから、という時代ではないとして、
あまりにインパクトの強い事象が起きた後の市場変動は急激なので、それに反応すると大底を叩く、ということなのかもしれません。

現代的に言えば、世情を揺るがすほどのネガティブインパクトには、政府や金融当局が速やかに流動性を供給するので、衝撃は吸収される可能性が高い、ともいえます。

今日東京市場が休場だったことは、幸だったのか不幸だったのか。明日の下落局面でリスクを落とそうとは思いませんが、格言を信じるほど楽観的にもなれません。

とりあえず、地理的に近い中国にリスクを感じたのか、商品市況が売られているのが、やや気にかかります。

こんな中申し訳ないのですが、24日から29日まで海外出張となります。時差はありますが市場のモニタリングは行いますので、お客様には必要に応じてご連絡をいたします。

思いつきも、随時更新する、つもりです…

(2010.11.23)



民主党 いったん退場の勧め

組織の健全性を評価する立場の人間として、今の民主党をみると、正直言って、いったん退場、という感じでしょうか。

組織としての目標がない。
組織内に尊敬がない。
従って組織としての統制がきかない。

こういう組織が転げ落ちるのはとても早い。

どれほど寄せ集めの人材でも、目先に明確な目標や明確な敵陣があれば、組織がまとまるのは比較的容易いものです。民主党の場合それが政権獲得で達成し、目標が消えました。

組織をまとめるためには、次の期近かな目標設定が必要になるのですが、これを作るクリエイティビティや、目標を組織に認識させる説得力が今の民主党幹部にはありません。

結果、当面の目標が「与党であり続けること」そのものになり、保守化していきます。
もっと悪いことに、この党の人達は政治家としてスレていない分だけ、こんなはずではなかったという思いに、目がうつろに泳ぎ、判断力がどんどん失われていく、という悪循環が始まっています。

かわいそうですが、ここは仕切り直して、もう一度出直すしかないようにみえます。次に政権をとった時は、きっと今より図太くしたたかに立ち舞えるようになるはずですから。

(2010.11.22)



鐘がなった

GM再上場の鐘。

自信と信頼を取り戻せない米国と株式市場への、励ましの鐘。


リーマンの悪夢からようやく覚めた、目覚めの鐘。


レバレッジに溺れた末路を忘れべからずという、戒めの鐘。


次の過剰流動性相場の始まりの鐘?

(2010.11.19)



自由で厳しい枠組み

農政に強い方からTPPのお話をうかがっている中で、農業の商業化が環境破壊に繋がる懸念についての話になりました。

私自身、農業ファンドのプレゼンを聞いた時、同じ感触を持ったことがあります。

収穫量の最大化という目的と、耕作環境の持続的維持とが、本当に共存できるものなのかという疑問です。
収穫量の最大化の為ひたすら遺伝子組み換え技術に邁進する米国や、広大な国土で耕作地を使い捨てにできる中国などに、日本の農業が巻き込まれていくことへの心配は拭えません。

市場解放は規制強化とパッケージ、というのは、金融も農業も同じです。「自由で厳しい」枠組み作りが必要不可欠なのだと思います。

(2010.11.18)



次の次

アイルランドの金融支援について、支援要請を勧めているのが欧州議会や欧州中銀の方で、支援を嫌がっているのが当のアイルランド、というねじれた現象が起きています。

欧州全体からみれば、支援スキームについてはギリシャ問題で確立されているので、時間を掛けず淡々と処理をしたいと思い、アイルランドからみれば、支援を受けた後のギリシャの不自由さを自ら負うのは避けたいとゴネルという構図でしょうか。

市場にとって、アイルランドがどうなるかを心配するよりも、欧州債務危機がギリシャ一国では済まない、という現実を突きつけられることの方が怖い。次のポルトガルまでは許容範囲として、その次には大国スペインが控えています。

急激に物事が動くということはないとは思いますが、年明け以降あたりに、神経戦が復活するかもしれません。

(2010.11.17)



金融業の踏み絵

日本のメガバンクがグローバル金融機関に課せられる資本規制の対象内か対象外かで、右往左往している金融株です。

日本のメガバンクのビジネスリスクが、グローバルに見ると圧倒的に国内リスクに偏在しているということは、サブプライムショックの時のダメージの低さで検証済みであって、いまさら日本の邦銀の国際的なステイタスを嘆くような材料ではありません。

今回規制がどうなるかまだ正式決定はしていませんが、今後グローバルプレイヤーを目指す金融機関は「過度な増資による株式の希薄化」という大きなコストを負った上で、それでも尚、国際ビジネスを拡大するという覚悟が求められることになります。

日本のメガバンクに本当にこの覚悟があるのか、またそれが既存のメガの株主に対し本当に適切なビジネスモデルであるのか、ここは冷静に判断をしていく必要があるのでしょう。

個人的にはこの踏み絵をあえて超えていくのは、多くて2行、もしかすると1行でも十分なのではないかと思ったりしています。

(2010.11.16)



下方バイアスの修正

APECで精彩を欠いた表情の菅総理とは対象的に、スポーツで活躍する若い世代の表情に癒される今日この頃です。

スポーツの強い国には勢いがあります。
体操やバレーボールのような、一時代前の日本を象徴するようなスポーツでの活躍が見えてくるようになってきたのは、日本が大底を打つ兆しなのかもしれません。

最近出張で新幹線や飛行機で、超元気な団体客に囲まれる機会が増えてきました。

渋い顔をしている政治家と下降線の内閣支持率ばかりを目にしていると、どうも下方バイアスが掛かっていけません。

そろそろ少しだけ、上を向いて歩きませんか。

(2010.11.15)



インフレが好き

米国の量的緩和第二段の目的が、意図的なドル安を目指したオペレーションのみという市場の評価に、やや違和感を持っています。

欧州危機以前、米国政府は明らかに「ドルの暴落」を恐れていた時期がありました。
それが欧州危機を経て、ユーロが自主的に切り下がってくれたお陰で、米国は「通貨暴落」を恐れることなく、景気動向に焦点を当てた「金融政策」の幅が広がったと、欧州危機を歓迎する声が多く聞こえてきました。

米国政府の思惑がどこにあるかはわかりませんが、少なくても米国金融当局の意識の中には、通貨切り下げを意図するものではなく、むしろ今市場がありえないと思っている「米国のデフレ化」への警戒である可能性は否定できないと思っています。

人々は潜在的にインフレを好み、デフレを敬遠する傾向があります。こうした市場参加者の潜在意識のバイアスが金融政策の評価を歪めているのでなければよいのですが。

(2010.11.12)



気概

ずーと前、私がいたころの野村證券には、日本の金融市場を担う気概のようなものが、まだ残っていました。

見ようよっては、まぁ実態も、不遜で傲慢ではあるものの、日本を背負う自負と覚悟は、やはり大したものだったと思っています。

今の日本の株式市場の色々な意味での混乱が、全て野村のせいとはいいません。

いいませんが、自分が生き残ることに窮窮としている姿がひどくもどかしく思えてならないのです。

(2010.11.11)



勘繰り過ぎ?

勘繰り過ぎだとは判っていても、、、、、、

少しユーロ高になると、すぐに欧州危機の再燃、というヘッドラインがでてくるような気がしてしかたありません。

米国はただ金融緩和をしているだけ。
欧州はただ危ない国を抱えているだけ。
新興国は外人が勝手に通貨を買うからその分を売っているだけ。

誰も彼も、自国通貨安を仕掛けているつもりは、全くない、と言い切り、皆が相手が悪いと言っています。

その中で、只一人、正攻法で挑む日本。
偉いのか馬鹿なのか。

こんな国、私は嫌いではないですけど…

(2010.11.10)



政党政治の正念場

TPP。

とりあえず内閣は参加を前提とした議論の開始を決定しました。

国民がことの是非を判断するのには、まだ材料不足として、各党については、党としての賛否を早々に明確にして欲しいと思っています。

各政党間での議論を受けて、国民が最終的にジャッジを行う、という本来の政党政治を行うには、格好の材料です。

民主党にも自民党にも賛成派もあれば反対派もあります。そうした個人の信条を超越して、党としての説明責任を果たしてもらわなければ、これほど大きな構造転換で国民の支持を得ることはできません。

郵政民営化のような、党を割る動きも出てくるでしょう。

TPPは日本の政党政治の本当の正念場となるかもしれません。

(2010.11.09)



不要不急の増資

最近の日本の株式市場。下落局面では日経225とTOPIXの変化率は連動し、上昇局面ではTOPIXが出遅れます。
小型大型という規模の問題もありますが、上昇過程でもれなく出てくる大型増資の影響は小さくありません。

日銀が5000億のETFを買い取る傍から、それを上回る増資が出てくる虚しさは如何ともし難いものがあります。

そもそも、増資理由が公的資金の返済?日銀が供給した株式資金がぐるりと国庫に戻るだけなら、ETFの買い取りなどせず、不要不急の増資を規制するだけで十分です。

株式を無駄に売り買いして喜ぶのは証券会社だけ。

大半の市場参加者には、ただただ迷惑としか思えない昨今の増資ラッシュ。そろそろ自制心が働かないものでしょうか…

(2010.11.08)



警察物小説が流行るので…

最近流行りの「警察物」小説、顔負けのビデオ流出。

政治家の怒った顔のどこまでが演技なのか…


前々から、政治家が役に立たなければ官僚が居るさ、と主張してきたものの、こういうことを期待していたわけでは決してなく。
とは言うものの、どこか溜飲が下がった感覚は消しようもありません。

困惑している政府首脳も、政府批判を繰り返す野党も、インパクトの強すぎる映像の前では、ただその無力さが際立つだけ…

事実は小説より奇なり、です。

(2010.11.05)



一難過ぎて…

米国の二大イベント。波乱なく終了です。

中間選挙もFOMCも市場予想のど真ん中。
それも、1ヶ月以上前から言われていたとおり、という波乱のなさ。
市場との対話のお手本のような結果となりました。

為替市場でのサプライズはむしろオーストラリアやインドの利上げです。通貨高は嫌でも、インフレは怖い、という周辺国のジレンマは、デフレ懸念に怯える日米より、むしろ性質が悪い、かもしれません。

次のターゲットは欧州の金融政策に移ります。
絶好調なドイツがどれだけ強行策を主張するかが、目下の最大の懸念です。

(2010.11.04)



円高の理由?

今の円高についての乱暴な考察。

新興国が自国通貨安を目指し、自国通貨の売り介入をする相手として、「先進国の一角」である円を買う。

先進国が投資対象を新興国通貨へ分散する中で、「アジア通貨の一角」である円を買う。

前者はわかるとして、後者については何故?と私も思うのですが、大真面目に「元」の代替として「円」を買う、というストラテジーを掲げる海外投資家は存在します。

円通貨圏に元が入っているのか、元通貨圏に円が入っているのか、は定かではありません。単に中国と日本と韓国の区別が未だつかない欧米人が多いことの現れかもしれません。

今の円買いが大きな誤解に基づくものであることだけは、多分間違いないのですが。

(2010.11.02)



オマケカルチャーと日本女子

日本社会で最も独創性が強く、先進的で、国際市場への発信力があったはずの、女の子カルチャーが、なんだか最近コモディティ化しているようで、気がかりです。

オマケで雑誌を100万部売る時代。裏を返せば、皆で堂々とオマケを持ち歩く時代。

海外ブランドのデザイン柄だけを使用した「見た目だけブランド」のおまけバッグが闊歩する街よりも、大人から多少眉をひそめられるガン黒少女のいる街の方が、少なくても活力は感じます。

日本の唯一の砦である「女子」からまでも勢いが失われているとするのであれば、これは由々しき問題であります…

(2010.11.01)


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