郵政限度枠の意図
郵貯簡保の限度額の増加の反対理由が、民業圧迫、という一言になっているのはどうしたのでしょう?
元々の郵政民営化の理由は何も民業圧迫が問題なのではなく、国債や財投債の買い手としての郵政をなくすことで、政府負債に財政規律を持たせることだったような気がするのですが。
そういう意味では今回の亀井提言というものが、郵政枠を増やし、国債の受け皿を強化し、国債を増発し、追加財政政策を打つための資金確保をする、という極めて素直なシナリオに見えます。
事の是非はともあれ、議論の的が意図的か無意識か判りませんが、ずれているのがとても気になります。
(2010.03.31)
ヘッジファンドの規模
ブルンバーグによれば、大手のヘッジファンドの中には資産残高が過去最高額を越えるものがでてきているそうです。
リーマン危機以降、ヘッジファンドの世界でも投資家の「安全志向」が高まり大手と中小との二極化が進行していると見られます。
この記事で指摘されている、大きくなりすぎたファンドは収益が上げにくくなるか?という命題とは別に、大きくなりすぎたファンドは本当に安全なのか?という命題があります。
もちろん小さすぎることにリスクがあるのは無論のことです。
ヘッジファンドの収益環境については当面心配はありませんが、むしろ環境が良すぎて自律コントロールができなくなるファンドがでてくることの方が気掛かりです。
(2010.03.30)
銀行新商品!?
不動産屋さんと話していて、突然閃いた銀行新商品!
住宅ローンに宝くじを付ける。一等は住宅ローン残高全額消滅、二等は半減!六等は一年間の利息半分とか…
住宅ローン残のある限り、毎年権利が発生するとすれば、いつか当たるという期待から早期返済が減り銀行の利鞘は増えます。
何十年間ローンを払い続けるプレッシャーから解放される夢を年に一度定期的見られるのは、ちょっとスリリングで楽しくありません?
お金をくれる宝くじではなく、借金を減らす宝くじって、現状あまり聞いたことがないのは法的な問題があるのでしょうか?
最近流行りの行動経済学的にもそれなりの説明力はありそうな商品なのですが、どこかの銀行さんで商品化しませんか!?
(2010.03.29)
とりあえずの回避
ドバイの債権リストラ案と、ギリシャの金融支援案、とユーロ圏の頭を悩ませてきた懸案事項が、同日解決した、はずなのですが、為替市場ではあまり評価されていないようです。
ドバイは明らかな時間稼ぎで、新規の資金源の提案は全くありませんでした。
ギリシャは、実質IMF主導の救済をEUが認めた、という合意で、こちらも具体案についてはこれからです。
いずれにしても、目先のデフォルトや格下げを一旦回避する、という効果以上のことは出てきていない、という評価になるように思われます。
といっても、3月危機が回避されたことは、我々にとっては本当にめでたいことです。
(2010.03.26)
木の葉のようなユーロ
昨日の夕方から夜にかけての為替市場の値動きを背筋が寒くなる思いでみていました。
ポルトガルの格下げに加え、ギリシャ支援に関わる各国やEU、IMFの関係者の有象無象(?)な発言に、ユーロや欧州株式市場は木の葉のように舞っていました。
通貨政策や金融政策についての政府高官の発言は、従来かなり慎重に扱われたものですが、今回に関しては誰も彼も言いたい放題です。
逆に言えば、問題解決への本質的な道筋が、当局者達の間でまだ描ききれていない、ということなのかもしれません。
システミックリスクにおいて、政府当局者間の不協和は致命傷になります。出口が見えてくるまで、あえて言えば日本のこの3月期末まで、もう少し発言を控えていただけると大変有難いのですが…
(2010.03.25)
書き手の気持ち
例えば私がこうしてネット上に文章を書く場合と、著作や雑誌に活字として書く場合と、どちらが神経を使うかといえば、明らかに紙上の活字の方に神経を使います。
文章を書くスピードそのものも10倍ぐらい違います。
もちろんネット上の文章であっても、その内容に対する責任は同じですし、一旦掲載してしまえばキャッシュという形でネット上には永遠に残ってしまって消すことができない、という意味では紙上の活字と変わることはありません。
それでも、私にとって活字の文章とネット上の文章とは、その重さが明らかに異なります。単に気持ちの問題なのかもしれません。
新聞や雑誌という紙媒体が、ネット媒体へ移行する流れが加速しています。ネット媒体の利便性を否定するつもりはありませんが、書き手の重みを感じられない文章ばかりが増殖し、マスコミの質の低下を加速するきっかけにならなければよいがと、懸念しています。
(2010.03.24)
リーダーシップの違い?
ほとんど不可能かと見られていた医療改革法案が通り、グーグルは中国からの撤退を決め、これまで停滞気味だったオバマ政権の動向がここにきて有言実行モードに切り替わってきた感触があります。
就任から一年が経ち、ハンドル捌きが自分のものになりつつあるというところでしょうか。
これでようやく金融規制関連と、雇用創出という、産業構造全体に関わる大仕事に取り掛かる体制が整ってきたかもしれません。
金融危機の張本人であり、一時期はドル崩壊説まで流れ、主要産業が見当たらない、と言われている米国のはずですが、結局のところの立ち直りは、先進国中一番手に位置するというこの地力の強さは、いったいどこから来るのか。
リーダーシップの違いといったら、元も子もないですが…
(2010.03.23)
期待のない失望
日本銀行が一昨日出した再度の金融緩和に為替市場はほとんど反応せず、株式市場は当日の上昇を昨日で帳消しにしました。
これらの動きをさし、市場が失望した、とか政策が期待外れだったとか解説されていますが、そもそも市場が日銀に何を期待しているのか、私にはよく判りません。
結局のところ、市場が全く想像していないようなサプライズを期待している、ということでしかなく、市場側にも具体的なビジョンがあるわけではないのです。
「期待はなくても失望はある」と、うちのアナリストが言っています。言い得て妙です。
(2010.03.19)
消費税と株価
日本とイギリスとどちらの財政がましか、という話をしていて、消費税の上げ余地の多さ分だけ、日本の方がましかもしれない、ということになりました。
イギリスは食品には課税されないようですが、他の欧州諸国は食品税率は日本並、そのほかは20%近い税率となります。
日本の消費税にはノリシロが充分にあるということです。
もちろん、食品など生活必需品の税率は抑えなければいけませんが、その他の部分についてはあと10%上げても、他の先進国並です。
米国のストラテジストが、「財政が苦しく将来的な法人税の上昇リスクがある国の企業価値は低い」と言っていました。
現在の日本の株式市場にとって、消費税引き上げ議論は一概にマイナス要因にはならないかもしれない、と思っています。
(2010.03.18)
不動産投資とリスク
不動産ファンドの方が、「不動産が価格変動の小さい資産だという市場の認識は改めた方がよい」という趣旨の話をしていました。
この一年で急激に反発している米国などのREITに比べ、日本のREITの戻りが遅いのは事実ですし、割安感もある中で、各信託銀行等が不動産ファンドの組成を検討し始めるのは当然のことであるかもしれません。
だからといって、「安定収益を獲得する資産」とか「国内債券代替の資産」という表現が復活していることに、非常に大きな違和感を感じます。
折りしもこの3月末決算から年金市場では不動産証券化商品の時価会計が始まります。先のファンド関係者の言葉ではありませんが、不動産の変動率は時に株式を超えることがあります。
ヘッジファンドを国内債券代替と言いまわったことと同じ失敗を、また不動産で繰り返すとするなら、愚の骨頂です。
(2010.03.17)
空気の質
ご無沙汰しております。イギリスから戻りました。
昨年の今頃は、とにかくロシア人をよく見かけましたが、今回はアラブ系と中国の人達ばかりが目に付きました。
ちなみに日本人はどこにいってしまったのかと思うほど、出会うことがありませんでした。
ロンドンはグローバルな景況感を実感できるという意味において有意義な街だといつも思います。
それにしても、空気の汚さには閉口しました。つくづくディーゼルは止めた方がよいと思います。エネルギー効率という意味ではエコかもしれませんが、地球にやさしいエコではありません。
日本に帰って、花粉の辛さを思い出しましたが、それでもまだディーゼルの空気よりは何倍も心地よいものです。
(2010.03.16)
1週間のリセット期間
ふと、勉強が足りないと思うことがあり、知識とか経験とかではなく、勉学が足りないと思う今日この頃です。
勘だけで生きていると言われて久しいわけですが、やっぱりそれでは限界があるということを、改めて気づいて愕然と、まではいきませんが、鬱々としています。
少し気持ちを入れ替えるために、というわけではありませんが、明日から1週間海外出張に行ってきます。思いきってこの思いつきも1週間お休みです。
来週の火曜日出社です。何事もなく平穏な市場環境であるよう心から祈りつつ…
(2010.03.08)
三寒四温
最近の日々の温度差は異常です。
前日比で10度もの上下を繰り返すのは、どうしたものでしょう。
まるで最近の株や為替みたいです。
意味不明の乱高下は、身体にも頭にもよくありません…
それにしても、日本は本当にまた利下げをするのでしょうか?
一方で、貸し出し需要がなく、銀行貸出金利が史上最低を更新した、という記事もあります。
金利を下げれば本当に経済は楽になるのでしょうか?
ゼロ金利の副作用について、議論をしなくなって随分経ちますが、金利がない世界の良し悪しについて、もう少し冷静な議論が必要なのではないかと思っています。
(2010.03.05)
津波のような円高
欧州方面で発生した地震波が、円高という津波となって日本を浸食しています。
震源地が遠く、かつ動きが緩やかなため、危機感が薄いですが、この水位が維持されると日本経済の体力は失われていきます。
悪いことに日本円は今回の為替変動の当事者ではなく、他通貨市場のとばっちりを受けているだけの結果論としての円高なので、このまま円高が進むのか、止まるのか、どうしたらとめられるのか、よく判らないのです。
財政赤字の金額だけなら、日本も通貨安競争に勝てる条件充分なのですが…
(2010.03.04)
公共投資18%減
理事会代議員会過密ラッシュシーズンがようやく終わります。
この1ヶ月での弊社ののべ移動距離を計算してみたい気分ですが、怖いので止めておきます…
それにしても、どこの業界団体にお邪魔しても経営者の方から聞こえてくるのは、政治への不満ばかり。
来年度公共投資予算18%減という数字を見れば、さもありなん、というところでしょうか。
公共投資頼みではない地域経済。理想は高く、現実は厳しく、です。
(2010.03.03)
死なばもろとも?
ブルームバーグによれば、
ギリシャの首相は「同国のドイツに対する第二次大戦における賠償問題が解決していない」、とした上で、「ギリシャとドイツそして欧州全体がEU加盟国として共通の目標と優先課題をもっている」と議会で指摘した、そうです。
「一蓮托生・死なばもろとも」作戦、とでも言うべきこの主張に、目くじらを立てない欧州国民はなんて大人なんだろう、と関心したり、ここまで開き直れるギリシャの脳天気さをうらやましく思ったりしています。
でも、ギリシャが万が一EU圏から外れたら、こんな国の国債、絶対に買う気が起きないような気がします…
(2010.03.02)
リスク予測
今週末の自然災害は、統計とかリスク管理ということの意味や難しさを改めて認識させてくれるものでした。
沖縄で建物の倒壊を伴う規模の地震が起きたのは80年ぶりとのこと。これを100年に一回の珍しい現象と見てよいかどうかですが、琉球大学理学部のHPによると、前回の震度5がたまたま1926年だっただけで、1880年以降の120年間でみると震度5以上の地震は4回も起きているそうです。これは日本全体の地震確率からみて平均並で、沖縄は地震が少ない地域だということは当たらない、と書いてあります。
これは人間のライフサイクルと、地球のライフサイクルの違いで、100年という期間の有意性が全くことなるということを意味しています。
また津波警報の妥当性についても、警報というものは、最悪ケースを想定して発動すべきもので、現実がそれ以内で収まるのは喜ぶべきことで精度の問題を非難すべきものではありません。
あえていうなら、到達時間の提示をピンポイントで行わず、数時間の幅をもって示したほうが、受けてとしての使いがってはよかったかもしれないとも思います。
色々考えさせられる週末でした。
(2010.03.01)