2008年10月の思いつき


ためいき

急に寒くなりました。
身支度も冬物になり街の景色もモノトーン。
今年は洋服屋さんを覗いても黒系が多い。
こんな時だからこそ、ディスプレイぐらいカラフルなものが見たいのに…

何か楽しいことはないものか?

(2008.10.31)



何でもあり

日経の小さな記事。
「オーストラリア政府はファンド投資家の資産も保護。」
若干意味不明…

「必要な予算は50億円。」
少なすぎて益々意味不明…

各国何でもあり。
アイデア勝負?
やったもの勝ち…

(2008.10.30)



フリーズ!

今すぐに10000円まで戻らなくてもいいですから、一日で10%下げたり10%上げたり、という相場はそろそろ終りにして欲しいものです。

日本だけではなく世界の株式市場のボラティリティ(市場変動幅)が一ヶ月前の3倍になっています。

多くの金融機関やファンドや年金などの最終投資家は、一般的にポートフォリオのリスク許容度に上限を定めてあります。

自ら資産配分を変更しなくても、組入れている資産のボラティリティが上昇してしまえば、自動的に株式などのリスク資産を減少せざるを得なくなります。相場の上下動が激しさを増すほど、株式には潜在的な売り圧力となるのです。

極論をするなら、毎日100円ずつの下落でも構わないので、日々の値幅さえ縮小すれば、リスク制限で現金化された資金は株式市場に戻ってきます。

とりあえず、一旦フリーズです。

(2008.10.29)



無策

先週後半以降、日本の株式市場は世界とは無縁に勝手に下がっているようにみえます。そしてこの異常事態に対し、日本政府はあまりに無策です。

1990年代まで時価総額の15%程度を保有していた日本の都地銀は自己資本規制の強化やバブルの反省から、現在では市場規模の4.5%程度しか保有していません。金額ベースでは3月末基準で19兆円程度です。かつ現時点の株式は事業提携をベースとした政策投資の占める比率が高く、20年前のような運用目的の保有ではありません。

その都地銀を対象に株を買え、とか、要らない株式を買取る、とかいう政策が、今の株式市場に対するどういった趣旨のメッセージなのが全く判りません。

政府の無策への怒りが、26年ぶりの安値という形で、突きつけられているように思えてなりません。

(2008.10.28)



円は本当に強いのか?

米国で個人投資家による株式投信の解約売りが注目されています。

同様に、日本では個人投資家による海外投信の解約売りが気になります。

米国株式市場における真の最終投資家が米国個人であったように、日本の外貨資産の最終投資家もまた個人です。

定期分配型の外国債券や高配当株式ファンドから、徐々に資金が流出し始めています。円が買われているというよりは、円から逃避していた投資資金が円に戻ってきているだけともいえます。

今の円高を見て、円が国際的に評価されているなどという解説は大間違いかもしれません。

(2008.10.27)



お願いです

四半期報告が始まりました。

ヘッジファンド系の運用報告をする際にお願いがあります。

今の市場が異常であることは理解しています。
今の市場が正常に戻りさえすれば多くのファンドや戦略が大きなリターンを上げるだろう、ということも理解しています。
今の市場が何時正常化するかという時間軸について言明することは難しいということも理解しています。

だからこそ、市場が正常に戻るまで、御社のファンドがどうやって破綻することなく、運用を継続することができるのか。
市場の流動性もファンドの流動性も枯渇し続ける中で、顧客財産を維持するためにどのような手段をとっているのか。
を教えてください。

理屈ではなく、理想ではなく、生き延びるための現実的な努力の跡を見せてください。一緒に頑張ろうと思える材料を与えてください。

お願いです。

(2008.10.24)



次のステージへ

ドイツのランデスバンクへの公的資金投入が開始されそうです。

サブプライムショック勃発当初から、最大の火種といわれてきた業体です。

ある意味ではようやく本丸に到達したということで、金融機関を巡るショックは最終章に入りつつあるかもしれません。

一方で、アイスランドに始まった政府債務のデフォルト懸念は、拡大傾向にあります。アルゼンチン国債は23%となり、ハンガリーは政策金利を11.5%とし通貨防衛をはかっています。
ウォンの下落が止らない韓国が変に静かなのが気になります。

とにかく物事は動いています。動いている限り何時かは抜けます。
身を潜めて待つしかありません。

(2008.10.23)



企業規模の拡大

海外投資家からみると、日本の株式市場全体が小型株に見えるらしいです。

確かに金融以外で世界の株式時価総額のTOP100前後にいるのは、トヨタとNTTと任天堂ぐらいです。

大きな資金が株式市場に流入する局面では、どうしても規模の大きい銘柄が優先されます。日本のように世界的規模を持つ企業が少ない市場は、投資資金が集まりにくいのです。

フォードの時価総額は5000億円程度まで急落しています。トヨタの手元流動性だけで充分変える金額です。かつて日産がゴーンさんを受け入れたように、今ならフォードもトヨタを受け入れるかもしれません。

傾きかけた証券会社への1兆円より、傾きかけた実需への5000億円のほうがよほど価値がありそうです。

今の金融市場の暴落は、日本の企業規模を拡大するための最後のチャンスかもしれません。

(2008.10.22)



健康第一

バナンキさんやポールソンさん、日本では白川総裁。

金融問題担当の方々の顔がテレビや新聞で見るたびに、目に見えてやつれていきます。ポールソンさんなんて最近はドクロ系に見えてきました。

偉い方だけでなく、現場の担当の方々もさぞかし大変なことでしょう。そろそろ落ち着いてくれないと身が持たないという人達は沢山いそうです。

市場は壊れていても、健康だけは壊さないように…

(2008.10.21)



国家のモラルハザード

自分の国の税金を使って、自国の金融機関を守るのは自己責任です。金融システム維持という名目で納税者を納得させられるのであればそれで良い話です。

ところで昨日の日経で報道されていた「金融危機の新興国支援、IMFが無制限融資へ 日本提案受け入れ」というものの、意味が今一つよくわかりません。

通常のIMF融資の実施にはリカバリープランの作成がパッケージだったはずですが、今回はそのような条件付なしの無制限融資と書かれています。国内の公的資金導入に関して経営責任や株主責任を問うように、国の財政破綻についても一定のペナルティはあるべきです。

この数年の様々なバブルに踊ったのは、決してアメリカやイギリスの人々だけではないのです。今、多くの新興国が経済危機の瀬戸際にいるとするならば、それは「アメリカのせい」だけではなく、自前の税金でカバーすることができないほど、金融を膨張させバブルに酔ったその国自身の責任でもあるはずです。

「つい最近デフォルトをした」ロシアやアルゼンチンの「今の繁栄」は、世界の多くの投資家の損失の上に成り立っているということを忘れるべきではありません。

金融機関のモラルハザードよりも、国家のモラルハザードの方がよほど問題だと、私は思います。

(2008.10.20)



次の10年にむかって

10月7日の「思いつき」で回路がショートして以来10日間、市場に関する判断能力が完全に停止した状態を継続しています。

自分の過去の経験や情報から取得した頭の中の雑多なデータベースから、今に近い状況をパターン認識して判断する、という通常の私の思考経路が、全く役に立ちません。

昨日のような日本株の下落は今の私には全く理解不能です。

きっと後から振り返れば、2008年9月10月というのは市場関係者全員にとって、本当に貴重な経験を残した2ヶ月になるのでしょう。

今感じている「恐れ」や「不安」もまた、これからの投資活動においてきっと役に立つものだと前向きに考えていきたいと思っています。

(2008.10.17)



いい間違いではすみません

テレビで、「リーマンとAIGの破綻により…」と言ってしまったアナウンサーが、CM後に「AIGは破綻しておらず、日本のAIG関連生保は問題なく業務を継続しており…」と、訂正してみたり。

「やまとせいめい」というはずを、同じ漢字の証券会社名を言ってしまったり。

昭和の金融恐慌のきっかけとなった有名な言い間違いではないですが、今のような経済情勢において、不用意な一言が取り返しのつかない事態を招くということを、マスコミ各社、政治家の皆さん、よくよく自覚した方がよいでしょう。

今の時代、ネットというお化けが世の中の情報を握っています。
炎上がブログの世界を飛び越えて、実生活を燃やしてしまうリスクも含め、言葉の取扱いには細心の注意が必要です。

(2008.10.16)



油断大敵

わからない時は何もしないのが一番。

まだ相場のあやをとれるほど、市場は正常化していません。

大量の抗生物質を投与して人口呼吸器を取り付けての小康状態です。
油断大敵です。

(2008.10.15)



リスク管理

実際に買うかどうかは別として、今株式の比率を増やそうか、という議論ができるのは、ここまでリスクを押さえてきた人だけ。

今、株の比率を更に落とす議論をしなければいけない人はここまででリスクを落としきれていない人。

ピンチはチャンスといえるかどうかは、平時のリスク管理次第ということ。

リスク管理は本当に大事だと実感するこの1ヶ月です。

(2008.10.14)



Back to the 2003年

何もかもが、2003年に戻ってしまいました。

りそな銀行の国有化が2003年5月。
日本の株式の底値も、日本の10年国債が0.4%台をつけたのも、この時期です。

水準が大きく違うのは、原油と為替あたりでしょうか。

新井組や大和生命の破綻というニュースを聞いて、元に戻ってしまったのは株価や金利だけではないということを改めて認識させられます。

公的資金を投入し、債務を免除し、超低金利を継続させた日本の不良債権処理というのは、一体どのような意味があったのか。

週末のG7で日本ができることは、金融機関救済後の実体経済のメンテナンスがどれほど重要か、ということを、自らの反省を持って語ることです。

景気回復感のないまま景気拡大は終り、そして借金だけ残った、という日本の現実から、各国は何を学ぶのでしょう。

(2008.10.10)



ようやく第2版

『ヘッジファンド運用入門 第2版』ようやく出来上がりました。来週後半あたりから書店に出るとおもいます。

初版からの2年間の大激動で、ヘッジファンド業界というものが、完全に変質してしまったのではないかという思いと、基本は揺らいでいないという思いとの折り合いをつけるのに時間が掛かったというのが、予定よりも大幅に遅延した言い訳です。

結果として、基本内容は変えていません。
但し、証券化・レバレッジなどの項目を追加し、さらに2007年以降のサブプライム問題渦中におけるヘッジファンドについて、リスク管理に視点をおいた解説を試みています。

用語集の掲載項目は何故か倍増。どうぞ辞書代わりにお使いください。

ヘッジファンド業界、荒波どころか大津波の最中の刊行となってしまい、出版社の方にはやや申し訳ない気もしています。
細く長く、ご愛顧いただければ幸甚です。

(2008.10.09)



元本保証と格付け

これまで元本保証、または確保型の金融商品への投資についての解説する時、「金融機関の格付けほど将来あてにならないものなない」ということを繰り返し言ってきました。
ここに来て、保証をしたり、リンク債を発行してきた金融機関の格付けが急落し、元々の株価変動やファンド損失から以外の二次損失が現実化してきています。

1986年まで日本の大手都銀6行の格付けは全て最上位のAaaだったことを知っている人はもうあまりいないかもしれません。

米国金融の最後の貸し手となっているJPモルガンチェースの元会社であるチェースマンハッタンが1992年までBaa3(ジャンク債一歩手前)だったことを覚えている人はどれだけいるでしょう。

金融機関の経営は、経済環境の変化と無関係ではいられません。環境がよければ貸し倒れも少なく財務は健全であり、環境が悪化すれば財務状況も悪化します。今の格付けが10年間変わらないということは金融機関にとっては奇跡か、何もしていないかのいずれかです。

保証がなければ取れないようなリスクをとってはいけないし、保証が無ければ売れないような商品を作ってもいけない。本当に本当に原則です。

(2008.10.08)



怖い

見えなくなりました。
先週末の国内株式の下落あたりから、完全に視界不良です。

先週の法案成立まではそう言ってもある一定のシナリオに基づいた崩壊でした。しかしその後に関して言えば無秩序な崩壊に変わってしまったように感じます。

怖いです。

「理屈ではない投げが出てくるようになれば底は近いよ」と、誰かに言って欲しいと、心から思います。

(2008.10.07)



火種

火種を見つけるのは比較的簡単なのですが、それが炎となるまでの時間を読むのは本当に難しいです。

現在起きている欧州の金融システムの脆弱さを指摘する声は、サブプライム勃発時からあったわけで、米国よりも深刻度が増すという可能性については誰もが警戒していたことです。

それでもそれが表面化するのに1年かかり、警戒が緩んだ頃に炎上を始めました。

もちろん全ての火種が燃えるわけではないので、あらゆる可能性に備えていてはリスク資産での運用はできなくなります。
火種に備えているだけの時間帯は、逸失利益を拡大しているという焦燥感との戦いにもなります。

残った火種は、、、エマージング市場にあります。

(2008.10.06)



また破綻

救え、とは言いませんが、潰れるに任せるのにもそろそろ限界なのではないかとも思える不動産を中心とした企業破綻。

4月以降の上場企業の破綻は、今日のエルクリエイトを含め多分17件目。9月以降で8件目?

個別銘柄ではなく、インデックスでのバスケット投資をしている海外投資家から、日本の上場市場がどう映っているか考えると恐ろしくなります。

米国で証券会社がなくなり直接金融の終焉か、と取りざたされていますが、日本では一足先に直接金融が死滅してしまいそうです。

対岸の大火事よりも、足元の小火の方が余程怖いのは、言うまでもないことです。

(2008.10.03)



不幸感

景気が悪化しているといっても「良かったものが悪くなったのか」「悪かったものが更に悪くなったのか」によって、生活感に与えるインパクトはかなり違いそうです。

日本の場合は悪かったとまでは言わないものの、たいして良くもなかった景気が悪化した。
一方日本以外の大多数の国は戦後最大級の好景気から墜落した。

そういう意味では今の日本の不幸感は他国よりむしろ小さいかもしれないと思っています。

逆にデフレに慣れ過ぎた日本は物価変動から受ける不幸感は恐らく他国より強い。

世界景気の過熱感がピークアウトし生活必需品の値上げが一巡すれば、日本での不幸感はかなり薄らぐ可能性があります。

金融危機が世界の経済危機に伝播するリスクは考えなければいけませんが、ここから先の株式市場、悲観シナリオ一色というわけでもないでしょう。

(2008.10.02)



祝 観光庁

私一押しの「観光庁」地味~に船出です。機能して欲しいなぁ。

金融より観光!不動産より農業!

もちろん、観光立国が成り立つためには、世界経済の成長持続が前提となりますので、金融システム維持には協力しましょう。
でも、だからといって、ここで金融市場における日本のプレゼンスを上げようなどという、思い上がった考えを持つのは止めた方がいい。

金融サービスを国の基幹産業とした末路が、今のアメリカであり、銀行債務の全額保証に踏み切ったアイルランドです。

先進国経済がサービス産業化せざるを得ないのは避けられないこととしても、皆で金融サービスに群がる時代は一旦終了です。
金融ビジネスが宝の山だという夢から醒めて、日本は日本のサービス大国を目指しませんか?

(2008.10.01)


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