欧州市場での戦い
この一年近く、欧州の金融政策を巡って、中央銀行と金利や為替市場参加者との間でバトルが起きているように見えます。
市場参加者の大勢は、欧州の金融市場の健全性も景気の実態も米国より良いとは言えず、遅かれ早かれ欧州中銀は大幅な利下げに踏み切らざるを得ない、という見方です。
一方で欧州中銀は、金融システム維持は米国に任せ、自らはインフレファイターに徹し、利下げよりむしろ利上げスタンスに近い位置をキープしています。
結果は、市場参加者の連敗中。ユーロを売ってはみるものの買戻し、欧州金利を買ってはみるものの、投げさせられる、の繰りかえしです。
こうした金融政策を巡る不協和音が具象化されてしまったのが、年初来米国や日本のマイナス13%に対し23%下げている欧州の株式市場なのかもしれません。
米国経済の今のリセッションより、英欧の将来のリセッションの方が余程怖い、と言う人は少なくありません。
(2008.07.31)
日本語はむずかしい
札幌にいます。涼しくて幸せ…
飛行機に乗っていて、CAの方が繰り返す「失礼いたしました」という言葉がとても気になります。
飲み物やサービスを勧めてくださり、「いえ、結構です」というと返ってくる言葉が「失礼いたしました」。何か謝られているようで、初めは私の言い方に棘でもあったのか?と心配してしまいましたが、これがマニュアルのようです。
意味もなく謝られると、こちらも悪いことをしたように感じてしまいます。
そして今朝、朝ごはんの場で、「おかわりはいかがですか?」と聞きにきた方が下がる時、「失礼いたします」とおっしゃりました。これには何も引っかかりを感じません。
「失礼したしました」と「失礼いたします」
語尾ひとつで、言葉の持つニュアンスというのは随分異なります。
言葉というのは本当にむずかしいものです。
(2008.07.30)
生きてます
申し訳ありませんが、どうしても時間がとれません。今日の「思いつき」はお休みです。
(2008.07.29)
暗すぎるのも、あかるすぎるのも…
ヘッジファンドは慎重だと書きました。
慎重な話ばかりを聞いていると、ではどこで儲けるの?と聞きたくなります。
だからといって、今の環境で、威勢の良い話を聞かされたところで、素直に信じる気にもなりません。
問題解決までの時間軸が見えなくなっている中、私の頭も混乱しています。
(2008.07.28)
ヘッジファンドの嗅覚、一年後…
ほぼ一年前の8月3日、このコラムでヘッジファンドの嗅覚は馬鹿にしないほうがいい、という話をしました。
伝統的資産運用者はサブプライムショックは一時的な現象だと言い、多くのヘッジファンド運用者は何か大きな転機が来た、と言いました。
そして今、ヘッジファンド運用者の多くは、一年前より更に保守的になっているように見えます。
株式にしろクレジットにしろ「割安」という言葉を多用するのは、ロングオンリーの伝統的運用者が中心です。
ヘッジファンドやヘッジファンドのゲートキーパーは、「安くなった」が、「ロングでリスクを取るのはまだ早い」というトーンの方が強いようです。
ヘッジファンドの嗅覚はまだ警戒を解いていないということをお知らせしておきたいと思います。
(2008.07.25)
モノ不足のメカニズム?
バターメーカーの方に、「最近家庭内在庫が増えていると思う」と言われました。
確かに私も週末スーパーに行って、「お一人様お一つ限り」という表示に誘われ、意味もなくバターを一つ買い、冷凍庫に放り込んであります。
バターの在庫不足はほぼ峠を越えたので、もう買いだめしなくていい、らしいです。
元々バターなど、一度買えば3ヶ月ぐらいなくならないので、買う必要など全くなかったはずが、どうして買ってしまったのが、自分でも不思議です。
こうして風説に乗って、モノ不足というのは伝播していくのだと少し反省しました。
(2008.07.24)
ありえない提携
昨日何気なく見たロイターのテロップに絶句しました。
「日本生命、米投資運用大手ラッセルと資本業務提携へ」
このコラムで個別の金融機関や運用機関についてコメントすることはこれまで控えてきました。
ただ今回の件は、ひとこと言わせてください。
年金投資家向けのファンドオブファンズで発生したトラブルについて、まだ最終処理が終わっていない今の段階で、何故資本提携なのでしょう。
日本生命グループとして今なすべきことは、ラッセルに対し投資金額の回収に対し、毅然と投資家の立場を代弁することです。
必要であれば責任の所在を明らかにさせるぐらいの、厳然たる態度で対峙しなければいけない相手に資本を出し、教えを請うて、どうするのですか。
どんな戦略的な理由があるにしろ、今この段階でのこの報道は、私は絶対に納得できません。投資家は怒るべきです。
(2008.07.23)
温泉
一日だけ夏休みです。
そして、また温泉♪
ゴルフと言われても100%尻尾を振るわけではないが、温泉と言われると100%尻尾を振る自分に最近気づきました。
一週間ぐらい湯治に行きたい今日この頃…
(2008.07.22)
富士登山
昨日の年金様向けセミナーに酷暑の中ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。
「怖い話ばかりで、どうしたらいいのかわからないじゃない」というご感想、ごもっとも!
トンネルが長すぎて、光まで話が届きませんでした。
申し訳ないです。
えっと。光はあります。お宝はあります。だたそこに辿り着くまでの過程がややスリリングなだけです。
これまでのように野原を散策しているような気分で宝探しをすると大怪我をします。公開中のインディージョーンズ、とまでは言いませんが、富士登山をするぐらいの覚悟と準備は必要かもしれません。
我々も山岳ガイドとして四方に目を凝らしていきます。一歩一歩慎重に前進していきましょう!
(2008.07.18)
遠~~くて、ち~~さい、光
本日は年金基金様向けの定期セミナーの日です。
一年前、「縮小するアルファ・高まるレバレッジ・潜るリスク」というお題で話をさせていただいた直後から始まった「大逆流相場」の中「ヘッジファンド業界の何が変わり、何が変わらなかったのか」についてお話しさせていただきます。
「トンネルの遠~~~くに見える、ち~~さな光」についても、ふれたいと思っています…
(2008.07.17)
空売り全盛?
海外からの変なメールに最近株式の空売り推奨メールのようなものが増えました。
「**金融機関が破綻した、かのような株式の下落」
「米国が**国に爆弾を投下した、かのようなクラッシュ」
「史上最大の下落を記録しそうな、金価格」
昨日は特にこの手のメールが多かったです。
どうやら米国の個人投資家向けに発信されているようです。
ついこの間までは、個別企業の決算を材料に買い推奨をする内容が多かったですし、その前は住宅ローンの斡旋メールが主流でした。
スパムメールまで参戦するようになったということは、空売り相場もそろそろ終焉が近いということかもしれません。
(2008.07.16)
風台風
この二・三日、世界のあちらこちらからパキポキと枝が折れる音が聞こえてくる気がします。
異常な乱高下があると、どこかのヘッジファンドが損失の許容限度を越え、資産の強制売却をはじめ、市場の変動を更に悪化させます。
問題の生じた資産だけが売却対象となるわけではなく、資産全体が幅広く売られます。
GSE債の多くは「現金」代替として、いわゆるキャッシュアカウントに多く使われています。先物取引戦略のように現金待機資金を多く抱えているファンドでは、別の心配も発生しそうです。
被害状況が確認できるのは数週間先になるでしょう。
(2008.07.15)
一か八か?
「ファニメイの資金ショート?」という悪夢にうなされ、週末の米国金融市場は「閻魔様の手の平」に乗った状態になりました。
事ここに至り、、、
米国政府が本格的な公的資金投入に踏み切るのではないか、という期待感が、株価を反発させています。
いわゆる「暗黙の政府保証」を拡大させるというという緊急支援だけで終わるのか、株式の国有化まで踏み込むのか。
失敗すれば米国金融市場は地獄絵図となり、一方公的管理という奥の手が出れば株式・クレジット・ドルの空売りポジションには巨大な損失がでるでしょう。
買うにしても売るにしても、「一か八か」に近いものを感じます。
手出しは無用です。
(2008.07.14)
地図を見る
昨今話題のドバイ。
地図を見ると、昨今話題のイランの海を挟んだ向かいにあります。
これだけ地政学リスクの高い地域に、超高級リゾートホテルとか、超高層ビル、とかを建設し、かつそれに投資しようという、発想が私にはよく理解できません。
まぁこれだけ地震の多い日本に高層ビルを建てる神経が理解できない、というのと、似たようなものかもしれませんが…
せっかく冷えかけた原油市場もミサイル騒ぎで元の木阿弥です。
(2008.07.11)
スケール拡大
来週のセミナーの準備で、昨年の2月からの金融市場環境を見直していて気付いたことがあります。
状況は、日々悪化している…
経済指標、というだけの意味ではなく、市場の価格変動を巡る様々な不確実性が昨年にくらべ収まるどころか、拡大しているように見えます。
世の中で起きていることをみると、災いのスケールが大きくなっています。
体力を消耗している中での、激震は、かなり辛い。
(2008.07.10)
そして淘汰へ
サミットより注目度の高かった、バーナンキ議長発言。
「投資銀行の監視強化」「取引所を通さない(OTC)デリバティブ取引の決済リスクの管理体制の強化」
といった発言から「淘汰の時代」へのカウントダウンの気配を感じます。
2007年2月の第一次サブプライムショックから既に1年半が経過し、不測の事態への衝撃度はかなり薄まってきています。
「不測」ではなく「予測された」衝撃へと、変化しているということです。
時間稼ぎのステージはそろそろ終り、淘汰という時代を迎えるための最終準備が始まったようです。
運用機関も我々も、準備は万全でしょうか?
(2008.07.09)
見せ方
基本的にはどうしようもないことで、当たり前のおもてなしであることは理解しているつもりですし、つまらない揚げ足を取るつもりも全くないのですが。
「美食が並ぶ、食料サミット」といった「見出し」を見ると、少し考えてしまいます。
見せ方の問題だと思うのです。
テーマが食料であり環境であり、ひいては最貧国の食糧危機である以上、こうした書かれ方をされることは充分予想が付くはずです。
サミットという世界に発信されるイベントにおいて、日本という国をどう見せたいのか、どう発信されたいのか、という視点が欠けているように思えるのです。
観光立国を目指す我が国として、日本食のおいしさをアピールする場としては、よかったのかもしれませんが…
(2008.07.08)
腹が立つのでもう一段
日本0.3%カナダ3.84%英国5.13%ノルウェイ4.85%デンマーク3.1%米国4.20%スイス1.58%
各国の年金利回り…ではなく、過去10年の3ヶ月短期金利の単純平均値です。
常識的には、資産運用の巧拙はその国の短期金利を基準にして判断します。短期金利が1%の国での4%と、短期金利が3.5%の国での4%では「4%」の持つ意味合いが全く異なります。
一国だけ小数点以下が続く日本において、過去10年の資産運用利回りが3.2%確保できたとすれば短期金利の平均を2.9%も上回ったということで、カナダであれば3.84%+2.9%=6.74%に相当します。
日本の年金利回りが他国より低いのは、短期金利が低いからで、運用の巧拙以前の問題です。短期金利が低いのは経済政策の結果です。利回りが低いと文句を言うまえに、日本の金利が未だに1%以下であるという現実に対し政治家は反省すべきです。
(2008.07.07)
何考えてるんだか…
150兆円の年金資金の内の10兆円の更に3.3兆円部分の話に、目くじらを立てる必要もないかと思ったのですが、出てきた政治家の発言があまりにも品がなかったので、一言。
10兆円のうち3分の2は国債、3分の1で自由に運用させ、全体で年率3.2%必達。かつ期限は5年。
当社の試算で今後5年の国債の期待リターンは約1%ですから、残りの3分の1で年率7.7%以上回さないと、3.2%にはなりません。
年率7.7%必達!かつ円ベース!
ドル建で考えると年率10%以上必達!という話をしているわけです。
それも5年有期で。
バッカじゃないの…
出来なければ解散?!タイミングが悪ければ高い運用報酬だけ払って、底値で売却?!
SWFが得意なプライベートエクイティ系のファンドはそもそも5年で解約などできません♪
年金の運用の効率化の議論は大切です。お願いですから、それを訳のわからないお試しSWFの議論と混ぜこぜにしないで欲しいと強-く思う次第です。
(2008.07.04)
アジアが心配
この半年、一番気になっているのがアジア市場です。
2006年後半から、ヘッジファンドでは、アジア市場を対象とした戦略への興味が高まっていたように見えます。
2005年に好調だった日本の小型株市場が2006年に急速に減速していく中、日本の小型株戦略からアジア全体の株式戦略へと方針転換を行ったファンドも少なくありません。(日本の小型株とアジア株は地域もボラティリティも流動性も似たようなものなのだそうです…)
昨年までの日本の小型株の惨状を見るまでもなく、一旦収益が上がらなくなった戦略や市場からのヘッジファンドの逃げ足は極めて「迅速かつ冷淡」です。
市場全体の環境が悪いなか、ヘッジファンドのリスク許容度もまた低下しています。
アジア市場がジャスダックの二の舞にならなければよいと思っているのですが…
(2008.07.03)
努力を引き出すための忍耐
資産運用を委託するのに必要な資質-6勝4敗の4敗に耐える忍耐
資産運用を受託するのに必要な資質-6勝4敗の4敗を反省する努力
金融機関の上司や年金スポンサーなど委託者側に4敗に耐える忍耐力が欠けると、ファンドマネージャーが4敗を反省する時間的余裕が失われます。
6勝4敗の4敗には耐えられないのに、1勝特大ホームラン後9敗、といったスタイルには期待してしまうというのも、委託者の陥りやすい失敗です。
失敗のない運用などこの世には存在しません。
運用は忍耐と努力です。
(2008.07.02)
住宅が新しくならないと家電は売れない?
家の冷蔵庫が壊れそうなので、最近時々家電量販店を観察します。
この週末、まず最初の違和感が、時期はずれの「バーゲン」旗。
次に、いつも入れない屋内駐車場がガラガラだったこと。
冷蔵庫の値段は、2ヶ月前に比べて、2割ぐらい下がったという印象です。
お店の人曰く、暇です…
住宅市場の落ち込みが個人消費に与える悪影響というのは、こういうところから出てくるのかもしれません。
デフレとインフレが両極端に混在しています。
(2008.07.01)