セグウェイな気分
『ついに時代来た?ガソリン高騰で米「セグウェイ」人気-産経新聞』
好きなんです。セグウェイ。もちろん乗ったことはないのですが。見た目は「立ち乗り電気バイク」。
近未来なんですヨ。
ドラえもんの竹コプターの感じ。
19世紀から基本的には変化のない、人間の乗っているスペースより、箱の方が大きい「自動車」という形状に、飽きているわけです。あの巨大な鉄の塊を見ると、人間って意外と進歩しないものだなぁと思ってしまうわけです。
セグウェイでなくてもいいのですが、第三次オイルショック勃発の今、世の中の仕組みを根底から帰るような起爆材はどこかにないものでしょうか?
(2008.06.30)
思うこと…
嫌な雰囲気です。
原油価格の先行きの不確実性は、世界の投資家のリスク許容度を益々低下させていきます。
「アメリカが嫌いだから原油を減産する」みたいなことを言う国まで出てきてしまっては、お手上げです。
市場は市場に任せるべきで規制すべきではない、という論調の根拠は、「市場参加者は究極的には理性的であり、時間の経過に伴い必ず非理論的な価格形成は修正される」ということが前提にあります。
人間が理性的な存在である、と信じることは、今の私にはとても難しい。
日本の消費者物価は15年ぶりの上昇率となりました。先は読めません。
(2008.06.27)
また来た…リスク管理はアートだ!
98年のヘッジファンド危機後、リスク管理関連の論文には「ART」という言葉が頻繁に登場しました。
VaRなどの定量モデルへの過度の依存は危険であり、シナリオテストなどを加えた鳥瞰図的なリスク管理が必要だということが、盛んに論じられていました。
そして今、格付けを巡る議論を中心として、ふたたびアート論が闊歩し始めています。
昨晩SECが行った格付けへ依存度を減らす方向での規制変更案において「格付けだけでなく他の主観的な基準も参考にして信用リスクを判断する」という文脈がありますが、これこそ10年前の「リスク管理はアートだ!」の繰り返しです。
金融革命だの、金融工学だの、色々言いますが、この業界本当に進歩しているのだろうか、とやや心配になっています。
(2008.06.26)
現金という命綱
日本だけではなく、世界的に通常の融資業務が停滞しているなかで、「現金は王様」という表現は決して資産運用の世界だけの言葉ではなくなってきているという認識が必要でしょう。
貸し手がどんどん引いていく中、外部からの資金調達が出来ない状態にあと何ヶ月耐えることができるか、が企業生き残りの最大のテーマになりつつあります。
昨年、資産価値が良い悪いに関わらず、貸し剥しで資産を強制売却させられたヘッジファンドと同じことが、今一般企業で起きようとしています。
不動産セクターや消費者金融セクターのように、外部からの資金調達なくしてはビジネスモデルが成り立たないような業界には、かなり厳しい環境が続くと考えられます。
とかく株主からは批判のあった日本の上場企業の現金比率の高さですが、今となってはまさに命綱です。
(2008.06.25)
サムライ
欧米の大手金融機関のサムライ債の大型発行が続いています。
CDSの実勢と比較すれば、さほど割高感のある発行条件ではなさそうですが、それでも欧米市場で1000億円単位の調達をするとなれば、実勢の倍のスプレッドが必要だと揶揄される状況からみると、やはり日本だからこその発行といえるかもしれません。
そもそも割高や割安という次元の話をする前に、購入者が大手金融機関の財務状況を今の段階で評価できるのか、という点に疑問を持ちます。
現地のクレジットの専門家ですら意見の分かれるCITIやUBSやRBSの財務状況を判断できる投資家が日本にそれほど沢山いるのでしょうか?
格付けだけで投資してはいけないということは、充分に学習したはずです。モノラインの格下げが行われ、金融各社の財務状況の不透明感が強まっているタイミングでもあります。発行する側にも購入する側にも、冷静な判断を強く求めます。
(2008.06.24)
人材という大きな悩み
投資先ファンドそのものではなく、顧客担当部署や日本担当窓口の対応に不満があるので解約したいと相談されるケースがあきらかに増えています。
ここで何度か喚起したような、市場環境の悪化に伴う対応が出来ていないという「精神論」だけではなく、やはり日本の資産運用業界における人材の層の薄さが露呈しているように感じます。
大手金融機関では、未だに資産運用部門での人事ローテーションが行われており、スペシャリストよりジェネラリストという風潮は変わりません。
一方で、運用会社では特定の人材が会社から会社へ転々としており、新しい血流が起きていません。
望ましいのは、サブプライムの余波でリストラの始まった外資系証券会社から資産運用業界への人的流入が起きることですが、報酬レベルが違いすぎるため、そう簡単ではなさそうです。
どうすれば、この業界に優秀な人材が育ち、定着してくれるのか。当社を含め日本の資産運用業界全体の大きな大きな悩みです。
(2008.06.23)
国家の挑戦
米国議会が年金資金がコモディティインデックスに投資することに何らかの規制をかけることを検討しているとロイターは伝えています。
シカゴの先物取引所は個別取引のモニタリングの強化を始めています。
サウジが増産に応じるなど、産油国側からも価格下落を求める声が上がりはじめました。
為替の協調介入以外ではあまり聞いたことのない、「市場価格に対する国家の介入」が始まりつつあります。
(2008.06.20)
アジアの暗雲
アジア株式市場の下落が、日本の経済に与える影響が気になります。
例えば、今年60%下げたベトナムでは売買代金の15%が海外投資家、残りは国内の個人と言われています。今年になってほぼ半値になっている上海A株は言うまでもなく国内投資家専用の市場です。
個人資産の痛みは消費に直結します。
昨年のデカップリング論の時、盛んに言われたように、日本の貿易黒字先は「アジア」が「米国」を抜いてトップになっています。
欧米の景気減速をアジアで補おうという日本の目論見にやや暗雲が漂いはじめたといえそうです。
(2008.06.19)
環境政策と無茶
今日の日経の一面にあった、「フランス全建物で太陽光発電等の設置義務付け」とう記事を見て、少し羨ましかったです。
ニューヨーク市で2012年までに全タクシーをハイブリッド化すると宣言してしまったブルームバーグ市長や、今回のサルコジ大統領のように、やや強引な政治家でないと難しいのかもしれませんが、環境問題というのはこれぐらいの無茶を言わないと進展しない、と思っています。
中東資金などあてにせず「石化燃料ゼロを目指す」と言ってしまう。
「ニューヨークが日本車だらけになっていいのか」という非難は聞き流す。
ある意味バランス感覚の欠如した一時的な人気取りとも見えなくもないのですが、日本の政治家のようにバランスと過去のしがらみにとらわれて、何も決断できないよりは、ましなのではないかと思ってしまいます。
せっかく省エネ技術では世界に冠たるものを持っているのに、それを利用するのは海外から、というのは悲しすぎませんか。
(2008.06.18)
ロックフェラーセンターとクライスラービル
金融システム危機を材料とした相場は6月末で一旦終了。その後は景気後退と物価上昇を織り込むに行く相場に変わります。
そういった意味では現在の比較的堅調な市場環境は一時的と思ったほうがよいのかもしれません。
一方で、マンハッタンのクライスラービルを丸ごと買取るような資源国の資金フローには変化はなく、悪い実体経済と良好な投資意欲との間での綱引きとなります。
と書いていて、80年代後半、世界に不況感が漂う中、日本がロックフェラーセンターを買取った後、日本経済は資金フローのコントロールに失敗して失速したということを思いだしました。
時代はどのように繰り返すのでしょうか?
(2008.06.17)
値幅制限
ベトナムの株式市場が25日連続下落という不名誉な記録を作っています。これは年初から40%を越える下落をした時点で市場に値幅制限を導入したため、毎日1-2%以内の下げを継続しているからです。値幅制限をしたところで結局はそれから更に20%下げているなら、よけいな規制など必要ないというのも一理ではありますが、だからといって5%も8%もといったフリーフォールをいつまでも容認できるほど体力のある市場ではなかったのも事実でしょう。
そもそも市場規模に応じた売買量や資金量というものは存在するわけで、それを越える資金フローを抑制する仕組みというのは一概に否定すべきものではないと思っています。これは相場の下落局面だけでなく、上昇局面でも同様です。
市場の流動性を無視した投資の結果痛い思いをするのは自業自得の投資家だけではありません。
資源価格の高騰により異常に膨れ上がっている投資資金の行方を考える時、それぞれの市場に応じた資金フローの制限というものを真剣に考えなくてはいけないのではないかと感じています。
(2008.06.16)
ヘッジファンド、キックターン
10日ぶりの東京です。
ヘッジファンド業界は、3月の大きな痛手から少しずつ回復しているように見えました。
環境が好転したわけではないのですが、「季節外れのハリケーンに直撃される」というよりは、「天気図を見ながら次のハリケーンに備える」時間的余裕ができた、という感じです。
自分の火の粉を振り払うのに必死だった1-3月に比べれば、銀行や証券会社のビジネスモデルの変化などサブプライム後のマーケットを探り始めるといった、前向きな話を聞けるようになりました。
未だ、損失処理に翻弄されている金融機関に比べれば、ヘッジファンドの方が規模が小さい分だけ、立ち直りも早いのかもしれません。
(2008.06.13)
NY覚書④
金融機関が自己売買部門を縮小したり、銀行が証券部門から撤退することで、大量の人間と運用資金がヘッジファンドを含めた資産運用ビジネスに流入すると見られているようです。
これからしばらくヘッジファンドは文字通り「雨後の筍」のように乱立するでしょう。
一方で、プライムブローカーのリスク管理がより厳しくなるなか、レバレッジコストやオペレーションコストは確実に上昇しているため、ヘッジファンドの生き残りはこれまで以上に厳しくなるという指摘もありました。
パフォーマンスの変動だけではなく、組織の変動も含め、ヘッジファンド業界のボラティリティは当面高水準を維持することになりそうです。
(2008.06.11)
NY覚書③-熱波!
熱波です。高温注意報が出たそうで、華氏100度越え・℃で36度ぐらいになりました。案の定?列車のクーラーは壊れ、一時間あまりのサウナ列車の移動となりました。
クラクラした頭で聞いていたので、どこまでホントか定かではありませんが…
あまりのガソリンの高騰で、NY郊外からのマイカー通勤は同乗者を募って乗り合い通勤となり、
航空会社は小さな町への路線を軒並み運休しているため主要都市以外への移動はとても不自由となり、
飛行機内の飲み物やポテトチップは2ドルの有料となり、
飛行機に預ける荷物は一つ25ドル、
そしてその内、飛行機内でトイレに入るときも一回1ドルかかるようになるとかならないとか。
さすがにアメリカ国内からも、投機資金を規制すべきだという声が出てきています。
明日も暑いらしい…お休みなさい
(2008.06.10)
NY覚書②
週末郊外まで少し遠出をしてきました。
ハイウェイを走る車に燃費のよい日本車が以前より目立つように見えます。
こちらに住んでいる方が、プリウスを買いに行ったら、2ヶ月待ちといわれたそうです。
今プリウスに乗っている人は先見の明のある賢い人、今頃買いに行く人は時代に乗り遅れた人、だそうです?????
これだけガソリンが上がると、(といっても日本の3分の2ぐらいですが)車に乗らなければいかれない郊外型のショッピングセンターの経営は非常に厳しくなっていると、いう話も別の方からうかがいました。
先週にはカードローンの延滞率の悪化懸念から、大手カード会社や金融機関の株式が急落しています。
サブプライムショックよりオイルショックの方がよほど怖い、というのが今の米国の実感かもしれません。
(2008.06.09)
NY覚書①
①米国の景気後退を予想していても、あまり深刻には捕らえていない人が多い。
②ヘッジファンドのレバレッジ解消は終わり。金融機関本体のレバレッジ解消はなかなか進まず、まだまだこれから。
③金融機関の自己運用が縮小する中で、人も資金もヘッジファンドへ流出する。
④レバレッジ戦略は当面沈黙。現金が王様。
⑤2008年3月の再来がないとはいえない。但し震度はやや小さくなるだろう。
(2008.06.06)
アメリカの揺らぎと決断
ニューヨークに着きました。
ラジオもテレビも、大統領選一色です。
マイノリティー対マイノリティーという究極の選挙戦が、オバマ氏でほぼ決着がついたことから、次はいよいよマケイン氏とオバマ氏による本選が始まります。
マイノリティ同志の戦いで少なからず遺恨を残した形となった民主党がオバマ氏でまとまりきれるか、が目下の注目点のようです。
野次馬的にみれば、これで70才代の超保守候補に政権を残してしまうようであれば、アメリカの活力もこれまでか、と思ったりもしますが、こうしたバランス感覚こそがアメリカという複雑な国を支えてきた人々の知恵なのかもしれないとも思います。
いずれにせよ、これからのアメリカの人々の揺らぎと決断は注目です。
(2008.06.05)
一週間の不在です
明日から一週間米国出張となります。
サブプライムショックを経て、ヘッジファンド業界の何かが変わったか、変わらないか。
何か反省したか、しないか。新たな進歩はあったか、後退したか。意気消沈か、血気盛んか。
数字だけでは判らない肌感覚の情報をできるだけ沢山持ち帰ってこようと思っています。
気付いたことはできるだけここでご報告します。
願わくは、留守の間市場が平穏でありますように…
(2008.06.03)
ファイティングポーズ
原油や商品価格の高騰が、実体経済に与える悪影響が深刻化している苛立ちからか、当局による犯人探しが始まったようです。
NYタイムズによれば、米国商品先物取引委員会(CFTC)は「インデックスファンドなど新しい投資家に関する措置」について今週なんらかの発表をする、らしく、
またSECは、原油先物市場で一部の先物トレーダーによる価格操作があったとの疑惑で本格調査を始めた、と報道されています。
市場至上主義の権化のように思われている米国ですが、2003の会計不信問題の処理でもわかるように、市場の阻害要因だと見做したものについては、徹底した処理を断行するという一面もあります。
コントロール不能な領域に入りつつある商品市況に対する米国当局のファイティングポーズは本気なのか、はたまた単なるポーズなのか。
強気一辺倒をこのまま続けることができるのか。
大きな節目に来ているのは間違いなさそうです。
(2008.06.02)