少し不安
米国を中心にあまりにも大きく市場が動いているなか、ほとんど注目されていませんが、ベトナム金融市場の動向が怪しいです。
株式市場が今年になってから約30%下落しているだけでなく、銀行間取引レートが30%に跳ね上がったり、中央銀行がドンの緊急供給を行ったりと、金融不安を連想しかねない状況が聞こえてきます。
アジア危機から10年。同じことが繰り返されることは、ないと信じてはいますが…
(2008.02.29)
外資規制のナンセンス
空港の外資規制騒動の何がナンセンスかというと、外資か国内資本かの議論になっていることです。
安全より利益を優先する資本による支配が国の安全保障上本当に問題があるのなら、始めから完全民営化しなければ良いし、株式の上場などしなければ良いだけです。
日本人であろうが外国人であろうが株式投資は利益を追及するものです。ODA(政府開発援助)ではありません。
外資外資と目くじらをたてるまえに、民営化や上場の是非や、公共施設への国の関与の在り方について、もう一度議論をした方が良いのではないでしょうか。
(2008.02.28)
選挙の年の不幸
ブッシュ大統領が、「米国経済はリセッションではなくスローダウンだ。両者には違いがある」と言ったとか。
景気後退と景気軟化は違う、などというミクロな主張は経済学者やせめて金融当局がする種の発言で、米国大統領ともあろう人がしては興ざめです。
とはいうものの、大統領選挙の真っ只中の現職大統領としては、これが精一杯の表現なのかもしれないとも思います。
今回の米国のバブル崩壊の原因を、FRBの歴代議長らに押し付けるような発言がマスコミで増えてきているのも、この混乱の責任を政治から切り離したい、という政治的意図の裏返しなのかもしれません。
今年が政治の無作為を生み出しやすい大統領選挙の年だいう事実は、米国の金融経済の立ち直りのスピード感を明らかに減速させています。
(2008.02.27)
財テク命
産油国が、代替エネルギー開発リスクを冒してまで、原油価格の高止まりを維持させようとしているのを見るにつれ、いよいよ資源枯渇に向けてのカウントダウンが始まったのかと思ってしまいます。
産油国の100年後を産油国自身がどう描いているのかに、、大変興味があるのですが、あまりその手の話を聞いたことがありません。
限りある財産を、できるだけ高値で現金化し、財テクで増やして、将来に備える。
こういう国としての生き方を決してうらやましいとは思わないのは、資源のない国に生まれたひがみでしょうか。
(2008.02.26)
金融行政のリスク管理レベル
『[東京 24日 ロイター] 中国の政府系ファンド(SWF)である中国投資有限責任公司は、100億ドル規模の日本株式を取得する計画で、国際石油開発帝石ホールディングス<1605.T>株式の大量取得を検討する可能性がある。英紙タイムズ(電子版)が23日、渡辺喜美金融担当相に近い匿名の関係筋の話として伝えた。』
こういう記事、ありえません。
たとえ、金融担当相自身が何一つ言及していないとしても、一国の金融担当大臣の名前と、個別銘柄と、投資家の名前がセットでメディアに書かれるようなことは、あってはならないことです。
金融行政に対するリスク管理レベルの低さを露呈したような記事だと思うのは私だけではないでしょう。
(2008.02.25)
何故エマージング?
四半期報告が終わると、堰を切ったように始まるのが、運用機関からの新商品などのプレゼンです。
最近のプレゼン内容は、エマージング、ディストレストを含むクレジット、REITを含む不動産関連と、何故か濃い目のものが並びます。
株式市場が急落したので、伝統的資産のプレゼンをしても無駄だと思っているのかもしれませんが、今のように市場環境が急変した時こそ、資産配分も変わりファンドの入れ替えが起きるわけで、伝統的運用会社にとってはある意味チャンスなはずです。
こういうタイミングで、外部の提携商品しか持ち歩けない運用機関の営業はとてもかわいそうだと思います。そして外部の提携商品しか持ち歩いてもらえない内部のファンドマネージャーはもっとかわいそうです。
(2008.02.22)
素人が手を出すものではない
東京都の銀行「新銀行東京」が行き詰っている、らしい。
東京都の景気がよい時は、民間の銀行融資が伸びるので、新銀行の出る幕はなく業績は伸び悩み、景気が悪くなってくると不良債権が増えて業績が悪化する、というのがビジネスモデルなのであれば、この銀行は何時儲かるのでしょう?
更に、中小企業経営の厳しさが表面化して民間銀行が融資に慎重になりつつある時、それを補完するのが、都税を投入してまで作ったこの銀行、であるはずが、今更、このタイミングで敗戦処理をするのかと、やや怒りにも似た気持ちも。
という結末に本当に驚いているのは、実は石原都知事だけなのではないだろうか、と思ったりもします。
(2008.02.21)
プロ限定だから壊れた
最近のクレジット市場の壊れ方を見ていて、「参加者がプロに限定されていることの脆弱性」を目の当たりにしているような気がしています。
取引所取引が主体の株式市場においては、投資家の層に厚みがあります。専門家から一般投資家まで、また個別株の一本釣りからインデックス延縄漁法まで、投資期間も手法も目的も金額も考え方も様々です。
一方、クレジット市場のように金融機関同士が個別に取引内容を決めていくような店頭・相対取引では、参加者は特定されています。参加者の専門性は高く、ある意味均一で、資金量も多い。通常の範囲の下落や変動であれば、取引所取引より極めて理論的に効率よく機能する仕組みです。
だからこそ、「想定外」のイベントにはひどく弱い。
取引参加者の偏りというものは、本当に恐ろしいものです。
(2008.02.20)
電波は↑気分は↓
量販店に、家で使う無線LANルーターを買いに行った時のこと。
「ルーターを2階に置いて1階でパソコンを使いたい」
と言ったところ、
「電波は"上↑"にしか飛ばないので無理です」
と断言され、
何故か温泉マーク♨が頭に浮かび、すごすごと引き下がってしまった私。
会社の目の前の東京タワーを見るたびに、「そんなわけないだろう!」と、ムカつく日々↓。
(2008.02.19)
テーマから外れてます
ITバブル以降、外国株式での銘柄選択が全世界的に機能していないのは、株式市場が極めてテーマ的に物色される傾向が強いことが一因と考えられます。
企業個別のファクターより、業種や地域のファクターの方が強く出る局面が目立ちました。
実際、世界の上場株式の時価総額順位の上位100社には、この数年のトレンドを反映し、資源関連と電気ガス水道などのインフラ関連だけで、約30社を占めます。内3年前のランキングでTOP100に入っていた企業は8社だけです。当たり前かもしれませんが、この30社に日本企業は一社も入っていません。
小泉政権での株高は、リストラ構造改革という大変にわかりやすいテーマに支えられていたといえます。一方でその後の資源・インフラ相場で日本が蚊帳の外に置かれていることは、ある意味仕方のないことです。
次の株式市場のテーマがどこに行くのかはまだわかりません。日本株式にとっても、アクティブマネージャーにとっても、あまり特定のテーマに偏らずボトムアップが機能するような落ち着いた相場がそろそろ恋しくなってきました。
(2008.02.18)
10周年のご報告
昨日の当社の10周年記念セミナーには、お忙しい中多数の皆様にご出席いただき、社員一同心より御礼申し上げます。
記念講演をしていただいた、プリンストン大学のアランブラインダー教授のお話は、元FRBの副議長だった先生らしい冷静な現状分析と、経済学のスペシャリストとしての斬新な処方箋とがミックスされた、とても示唆に富んだ内容でした。
講演の中で、「ゼロをわずかに割込むマイナス成長が2四半期続くかどうか、つまりリセッションという言葉には大きな意味はない。問題はそれをどのぐらい早くどれほど力強く回復させることができるかだ。」という言葉がありました。
日本ではややもすると、一度沈没すると気持ちが萎えてしまうようなところがありますが、沈没するかどうかではなくその先に視線を集中させることができるアメリカ人の前向思考は見習うべきところでしょう。
当社もこの16日で満10歳となります。ブラインダー先生にあやかり、「分析は冷静に、処方箋はダイナミックに」を合言葉に、前向きに次の10年頑張りたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(2008.02.15)
第10回セミナー
雲ひとつない、抜けるような青空の下、今日は当社の10回目の定例セミナーを開催します。
10周年という記念の年でもありますが、この定例セミナーを10回も継続してきたことの方に自画自賛、という感じです。
とはいうものの、今回はゲストスピーカーをお呼びしており、私は司会業に徹します。いつも通り第一部を担当する隣の社長からは、ズルイと非難されていますが、資料作りには協力したのでご容赦ください。
久々に気持ちよく上がっている株式市場のように、すっきりと明るい話になるかどうか…
結果はまた明日ご報告します。
(2008.02.14)
前提が変わる
今年の国内市場は、大小取り混ぜた、企業破綻が増えるのではないかと危惧しています。
破綻のない市場から、破綻のある市場への転換は、株式や債券の銘柄選択における基準にも大きな転換が迫られることになるでしょう。
株価が下落する中、これまでの基準であれば、割安な株式や事業債が市場にはゴロゴロしているのでしょうが、そこに破綻可能性というフィルターをかけると、投資対象企業はかなり絞られることになるのではないかと思います。
潰れない・潰さない・国、ではないということを前提に、もう一度ポートフォリオを見直す必要があるのではないでしょうか。
(2008.02.13)
投資はファッションではない
3月に刊行される日経系の情報紙のキャッチコピーが何か引っかかります。「マネーは英語よりもグローバルな存在である。」
マネー・英語・グローバルという3つの単語を羅列したことで、マネー(この場合は投資という意味?)をどこかファッショナブルに見立てているように感じるからかもしれません。
中にいる人間が言うことではないかもしれませんが、投資という世界は、傍で見ているよりはるかに「泥臭く」「狡猾く」「閉鎖的」なものだと思います。
だからこそ、数字や理論で身を包み、より客観的で精錬された風体を装うのです。
ファッションで投資を考えることの危険を、このメディアがどこまで理解しているのか、かなり疑問ではあります。
(2008.02.12)
頑固者!
欧州利下げしません。
予想されたことではありますが、釈然としないのは、やはりソシエテジェネラルの件があるからでしょう。
1月22日の大暴落は、サブプライムのせいではなくて、欧州のフランスの銀行のせい、ですよね?
にもかかわらず、米国は0.75%もの緊急利下げを余儀なくされたわけです。新興国の株式市場を含め完全にトレンドが下を向いてしまったのも1月22日がきっかけです。
それでも、欧州は利下げをしない。ふーーん。
「利下げに踏み切らない姿勢は域内で今のところ支持されている」と日経新聞は書いていますが、昨日の欧州株の売られ方を見る限り、支持されているとは思えないのですが。
なんだか危険な匂いがします。
(2008.02.08)
いってこい
私は「いってこい」が嫌いです。投資して利益になって気がつくと元の木阿弥、というやつのことです。
だからREIT投資を勧めて、上がって下がるまで何の行動も起こさない運用機関も嫌い。超過収益が年間想定以上出てもリスクを落とそうとしないファンドマネージャーも嫌い。
ITバブルの時もそう。05年の新興株バブルの時もそう。この一年の資源・新興国関連バブルもそう。
そして過去3年の異常な高収益の中リスクを落とそうとしなかった信託生保のバランス型運用が一番嫌い…
(2008.02.07)
全ては繋がる
昨年の2月に始めてのショックが起きた時、問題は住宅ローンであって金融市場全体の問題ではないとされました。
7月に金融市場に広範にショックが起きた時、問題はクレジットとヘッジファンドであって、株式市場には波及しないとされました。
11月にクレジットとヘッジファンドと先進国株式にショックが起きた時、問題は先進国の株式であって、新興国の株式には関係ないとされました。
今年1月にクレジットと全世界の株式とヘッジファンドにショックが起きた時、問題は金融市場全般であって、実体経済ではないとされました。
そして2月。問題は実体経済に及んでいます。
関係のない市場など、存在しません。商品市場も含めてです。
うまく立ち回ろうなどと思うと怪我をします。
(2008.02.06)
ほのぼの
北海道に行ってきました。
雪まつり開催前夜の雪像を、ゆっくり見物することができました。役得です。
学生ボランティアの人達と思しき団体が、最後の追い込みをしている姿に「うらやましい」とか「懐かしい」とかいう感覚を覚えたのは、自分が年をとった証拠でしょうか?
(2008.02.05)
所詮性悪説
信用しなければ委託できないが、信用しすぎると事故が起きる。
歴史が浅く小さいところは委託しにくいが、大きければ大丈夫というわけではない。
どんなに長い付き合いでも管理は基本「性悪説」。
中国の食品工場のことではありません。ファンドのリスク管理のことです。念のため…
(2008.02.04)
真剣な運用報告
市場環境が混乱し、かつパフォーマンスの悪い、今回の四半期報告などで、オルタナティブなどの複雑な戦略を説明するには、かなりの事前準備が必要だと思います。
お客様がわかるように説明するのも大変ですが、まず自分で状況を理解するのも大変でしょう。
これまでパフォーマンスの良かった時期には説明する必要がなかった戦略の中身やリスクの仕組みについて、改めて調べ直す必要があるかもしれません。プロダクト担当者や現地担当者に直接話を聞く機会を増やさなければいけないかもしれません。
平時と同じに漫然と資料を読んでいるだけの報告会は、今の環境ではスポンサーの不安を増長させるだけです。
今の時期、真剣に運用報告をした会社や担当者の努力はきっと後で報われると思います。
(2008.02.01)