2006年09月の思いつき


順バリ見出し

新聞の見出しにいちいち文句をつけてもしかたのないことですが、今日の日経新聞の株式関連の見出しには、首をひねるものが沢山あります。

「株式買い越し鮮明に」
「景気拡大9割に」
「参院選にらみ減税路線」「日本株に出遅れ感」

中身を読むと、見出しほど威勢のよい内容ではありません。

米国株式が過去最高値を更新したというお祭りに乗じて、軽く花火を2・3発打ち上げてみました、という感じでしょうか。

本当に日経新聞っで順バリ…

(2006.09.29)



ねらうは米国株?

石油価格は、今年の3月の水準にまで低下しています。
この1ヶ月半の下げ方は、目を覆うばかりです。
天然ガスだけでなく、原油先物取引でのファンド被害がなければよいが、と懸念しています。

今年もあと3ヶ月。ヘッジファンドの多くが1-3月の収益を吹き飛ばした苦しい環境の中で、年末までのカウントダウンが始まります。

あと一儲け、を狙う資金は、動きのよさそうな市場に集中します。

11月は米国の中間選挙です。目先のターゲットは米国株式となるのかもしれません。

(2006.09.28)



なんだかショボ…

新内閣の布陣についての評価は専門家にお任せするとして。

総理大臣の給与30%カット、というのはなんだがお粗末な気がしませんか?

いや別に、いらないと言うならそれでいいのですが、別に就任会見で言うほどのことでもないのではないかと。

国民としては、大臣でも議員でも官僚でも、仕事さえしてくれればいいので、優秀な人材がご機嫌よく働いてくれるためにはそれなりの報酬というのは必要だと思うわけです。

一国の首相の仕事初めが報酬カットというのは、なんともショボくて国民としても今ひとつ気合の入らないスタートでありました。

(2006.09.27)



ファンドオブファンズとアマランス問題

大手のゲートキーパーのFoFsにおいて、天然ガス取引で巨大損失を出したアマランスの組入れが続々と報告されてきます。

私が把握している範囲では、最大でも5%程度の組入れとなっていると見られ、例えアマランスの資産価値がゼロになったとしてもFoFs全体に与える影響は、マイナス5%程度です。
年間のボラティリティを5%内外と設定しているFoFsにとって、単月の5%というマイナスは決して小さくはありませんが、決定的なダメージとなるような損失でもありません。

むしろ今回の件で、我々が見極めなければならないことは、アマランスが「マルチストラテジー」という複合戦略を標榜しているファンドであったにもかかわらず、資産の半分以上が天然ガスなどのエネルギー取引に集中していたという事実とそのリスクを各ゲートキーパーがどれほど意識していたのか、ということだと思います。

一部のゲートキーパーからは、リスクの集中に気づき解約申し入れを行っていたものの、解約期日到来前に破綻してしまった、との報告もあります。
また、9月にエネルギー市場が急変し予想外のリスクが発生したというところもあります。
一方で、当初からエネルギー市場の価格変動性の高さと流動性の薄さから、アマランスのとっている戦略はリスク管理上問題が多いとして、投資対象外としていたゲートキーパーがあることも事実です。

今回の件を、FoFsが巨大化し個別ファンドの精査が甘くなっていることの証左だと指摘する声も少なくありません。
FoFs各社、そして顧客との窓口となっている各運用機関には、今回の件をアマランスやエネルギーセクター固有の問題として片付けることなく、FoFsの根本的な問題としてきちんとした検証をして欲しいと思っています。

(2006.09.26)



先進国の金利低下

米国の債券利回りが低下していることについて、
債券買いの株式売りの裁定が起きているとか、質への逃避だとか、年金会計の影響とか、色々言われています。

政策金利の引き上げが停止し、当面の政策金利に対する長期金利のあるべき姿として5%超えまでいったん上昇していた長期金利市場は、今度は政策金利を含めて5%を超える金利体系が、今の米国経済にとって適正であるのかどうかを、議論したがっているように見えます。

スピードの差こそあれ、長期的には老齢化が進み経済の成熟度が増している先進国経済において、名目5%という金利水準はいかにも高すぎるという印象はあります。
米国だけでなく、先進国の債券市場というものの均衡点は、過去の平均値から比べて、かなり下方に切り下がっていると見るべきなのかもしれません。

(2006.09.25)



戦略商品としてのエネルギー

ベネズエラの大統領の国連でのブッシュ批判は、あまりにも子供じみていて、国際問題にはならないようですが、ベネズエラが持つ良質な石油資源を考えると、笑ってばかりはいられない現実があります。

ロシアがサハリン2号だけでなく、エネルギー開発プロジェクトに対しても環境破壊などのクレームをつけ始めていることでも明らかなように、資源保有国の対外政策は明らかに強硬になってきています。

ベネズエラの主な原油輸出先は米国であり、最大貿易相手国であるにもかかわらず、ブッシュ批判を公言できるほど、現在の産油国のおかれた立場が強くなっているということです。

資源を持たない日本としては、省エネルギー経済を輸出していくしかなさそうです。

(2006.09.22)



天然ガスで▲数千億!

世の中は安倍新政権の話題一色かもしれませんが、ヘッジファンド業界はアマランス一色です。

昨日の嫌な予感がとりあえずヘッジファンドで来た、というわけではないのでしょうが、アマランス(AmaranthAdvisors)という米国のヘッジファンドが事実上破綻しました。

運用総額90億ドルといいますから、約1兆円の巨大ファンドです。
損をしたのは、天然ガスの裁定取引。少なくとも運用総額の約50%が損失として確定したと報道されています。

市場が天然ガスという非常に限定されたものであったため、LTCMの時のようなヘッジファンド全体を巻き込む混乱はとりあえずおきていないと、現地と話した人達は言っています。

それにしても、天然ガス先物の裁定取引で損失数千億円ですか…天然ガスの先物市場をよく知らないので、どれほどの流動性のある市場かどうか分りませんが、おそらくその数十?数百倍の取引規模のある株式や債券先物市場でも裁定でそれほどのロスを出すのはかなりめずらしい。
そういえば、一時期日本のテレビなどでも放映された二酸化炭素の排出権取引も、一日で半値になるような大暴落を数ヶ月前にしていました。

ヘッジファンドの、というよりも商品先物の怖さが身にしみた事件でもあります。

(2006.09.21)



ジワジワと「質への逃避」

世界を震撼させるような巨大なアクシデントが発生しているわけではないものの、断続的な衝撃が投資家心理を日々冷やしていきます。

この数日だけをとっても、バチカン発言・サハリン2号・北朝鮮制裁発動・そしてとうとう起きたタイのクーデターと、嫌な種は尽きません。

世界の緊張が明らかに高まっていく中で、投資家はジワジワと安全資産への逃避を続けています。

短期的な流動性を求めた資金は$への回帰を始めています。

なんとなく、居心地の悪い市場環境です。

(2006.09.20)



モノもいいよう

ある大手信販会社の電車内広告。
"**カードは、ATMやCDで、現金を引き出すことができます。”
「引き出す」のは自分の現金。カード会社のカードから出てくるお金は、他人の現金。ATMで「引き出す」のではなく「借入れ」をするのですね。
「引き出し」という言葉を使うことで、「借金」という言葉に付きまとう「後ろめたさ」を取り除こうとしているのでしょうが、借金は借金。
こういうレトリックこそ、金融庁はもっと厳重に見張った方がいいのではないかと思うのですが。

まぁ、「国債しか興味がないから」と言った家の母に、「では国債みたいなものですが」、と言って、エマージング込みの外国債券ファンドを勧める、郵便局員よりはましですが。

(2006.09.19)



面白い四半期報告

先日ある会合で、年金スポンサーの若手の方たちとお話していて、四半期報告というものは毎四半期全て聞かなければいけないものなのか、という話題になりました。

こういった話題がでることじたい、四半期報告がスポンサーにとって、あまり有意義な時間と認識されていないことの証左であるように思えます。

本来、運用の専門家と話をするのは面白い時間であるはずです。自分達の本来業務とは異なった視点や、世界の経済や政治の話題は年金運用業務以外でもきっと役に立つ話のはずです。毎日・毎月世の中は変動しており、四半期たてばそれなりに、新たな話題も出てくるものです。

四半期ミーティングが面白い運用機関の受託残高が不思議と伸びる傾向にあるのは、偶然ではないでしょう。

(2006.09.15)



目に見えない負担、目に見える負担

固定電話の全国維持網を固定・携帯の全利用者で、月額7円負担。

という記事を読んで、「1億人から1円もらったら1億円」という誰でも一度は考えたことのあるフレーズを思い出してしまいました。

これまでは、漠然と税金で賄われていた、全国・全国民一律サービスという概念が、公的セクターを見直す過程で、目に見える形での国民負担に変わっていくことの象徴的な事象です。

健康保険の問題も公的年金の問題も、基本的には同様に、全国・全国民一律サービスを維持するための負担を、誰がどのように負担をするのかということが本質的な焦点であることには変わりありません。

目に見えない国民負担から目に見える国民負担へ。
政府の目指す構造改革が国民の支持を得られるかどうか、真の山場はこれから始まります。

(2006.09.14)



デフレ脱却宣言の意味

最近「デフレ脱却宣言の持つ意味」について質問されることがよくあります。
デフレ傾向が止まることの重要性はわかるが、それを宣言することに何か特別な意味があるのか、また宣言をすると景気には影響がでるのか、というのが質問の趣旨です。

私の答えとしては、
「日本銀行の金融政策の自由度が変わり、もしかすると利上げのスピードが早まるかもしれません」
ということになるのですが、確かに若干言葉遊びのようにも思えます。

政府がデフレ脱却宣言をしたくない理由は、実は今後の景気に自信がないからなのでしょうか。それともデフレという異状事態を利用して金融政策の主導権を政府サイドに少しでも温存しておきたいからなのでしょうか。

いずれににせよ、デフレ脱却イコール正常化であって、インフレではないので、あまり神経質になる必要はないのかもしれません。

(2006.09.13)



やっぱり年金は欲しい

総裁選挙などを通して見えてくる年金などの社会保障に対する国民感情が、数年前とは明らかに変化してきたように思います。

年金問題が取り上げら始めた2-3年ぐらい前は、国の年金はあてにならないから、自助努力で頑張ろう、とう論調がほとんどでした。年金基金の代行返上もこうした「自助努力」という世論の流れの中で加速したものです。

一方、最近の論調は、年金をちゃんと払ってくれ、に変わってきています。年金が減るのは困る、今の年金では老後が暮らせない。自助努力という言葉はすっかりなりを潜めてしまいました。

社会保険庁への批判も、徴収漏れに対しての非難であり、制度への批判ではなくなっています。

株式市場の下落により個人投資家の株式投資意欲も減退をはじめています。
「自助努力」がこの国に定着するのにはまだまだ長い月日がかかりそうです。

(2006.09.12)



未だ進行形という現実

米国多発テロから5年。

もう5年、と思う反面、5年間という月日を経て何も解決していないという現実に人間の無力さを感じずにいられません。

あと5年経った時、10年前こんなこともあったと、過去形で話すことができるのでしょうか。

過去を追悼すると共に、未だ進行形という現実にしっかりと目を向けなければいけないのだと思います。

(2006.09.11)



睡眠休暇

今週1週間、時期遅れの夏休みをいただき、睡眠の補給をさせていただきます。

思いつきも、リフレッシュして、来週から再開いたします。
おやすみなさいzzzzz


(2006.09.04)



人事政策のつけ

今年の就職戦線は完全な売り手市場だと言われています。
学生の就職活動に対するイメージは、「楽」「迷」「動」、だそうで、
「楽に内定が沢山でるので、どこにいこうか迷ってしまい、まぁ嫌なら動けばいいから、とりあえず入社しよう」といった感じでしょうか?
使う側からすれば、ある意味で最悪な集団が大量に入社してくるわけで採用はできたものの4月以降を考えると頭が痛いというのが、経営や人事担当の方の本音ではないでしょうか。

それもこれも、過去数年ぎりぎりまで絞り込んでしまった人事政策のつけが回ってきただけのこと、と言ってしまえば、自業自得なのですが…

(2006.09.01)


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