失われた10年…
政府が「失われた10年」についての検証をすることにしたとの記事を見て思ったことがあります。
検証をしなければいけないのは本当に1990年を頂点とした10年(12年?)なのでしょうか?
日本の拡大期が既に終了してしまったことは、1990年代の非常に早い時期に、多くの人達が認識していたはずです。その頃、ある商社の方がしていた、「日本経済の危機は今始まったのではなく1980年代半ばから始まっていたにもかかわらず、金融バブルの到来が思考を停止させた」というお話が非常に印象に残っています。
1985年からの金融バブルがなく、その後の崩壊もなかったとしたら、日本経済はもしかするともっと閉塞感の強い袋小路に入っていたのかもしれません。
「失われた10年」の研究を意味のあるものにするためには、バブル崩壊に全ての罪を擦り付けるようなものにしないことが大切だと思うのです。
(2006.08.31)
あなたの街の郵便局
家の母曰く、最近郵便局の対応がひどく悪い、らしい。
保険の手続き知らない。
国債の問い合わせにはけんもほろろ。
確かに国債は黙っていても売れるので嬉しくもない、のでしょうが
、個人向け国債がどれほどの人気商品かを知らずに単に問い合わせた人にとっては、そんなことは関係なく、その応対の悪さに怒り心頭なわけです。
ついでに民間保険会社並に手続きが複雑化した(正常化した)保険商品については、職員の知識が追いついていないのでしょう。
投資信託のお勉強が大変で、一般業務にまで手が回らないというのであれば、本末転倒ですよ。
(2006.08.30)
モメンタム営業
最近、商品市場投資のプレゼンがピッタリ止りました。
為替ヘッジやオーバーレイの話も止りました。
当然、小型株の話も聞きません。
基本的に運用機関の方々のご提案は、順張りです。
市場環境のよい時は営業しますが、市場が反転すると営業も止ります。
顧客である年金スポンサーが順張りだからしかたがないのかもしれませんが、あまり感心できることではありません。
そもそも、市場環境が悪ければ勧められないようなものなら、商品化しなければいいのに、と思ったりもします。
商品も順張り、営業も順張り、スポンサーも順張り。
コンサルタントはどんどんアマノジャクにならざるを得ないということです。
(2006.08.29)
文章で残す
自民党の総裁選挙は始まる前に終わってしまい、政策論争が聞けずじまいというのは、やはりつまらないです。論争がなく総理になる安倍さんは、それはそれでやりにくいだろう、とかえって同情したくもなります。
ところで、安倍さんや民主党の小沢さんとかが、政策を自著で展開しています。時間制限のあるテレビや、聴衆が限定されている講演会などで、声で伝えられることの限界をよくご存知なのだと思います。
声での説明は、1対1の相手を説得するには適していますが、自分の考えを本当に理解させたいと思ったときには、あまり使い勝手のよい手段ではないように感じます。
また、聞く方にとっても、話術と真実との見極めを付けることが難しいという欠点もあります。
最近、私がお客様に出す資料に図表中心のパワーポイントをあまり使わなくなったのは、できるだけ文章で残したいという気持ちの表れなのかもしれません。
(2006.08.28)
点と線
ゴルフの上手な方に、貴方ののゴルフは点ばかりで線になっていないと言われました。ゴルフはところどころでよいショットがでても、それが繋がらなければ全く意味がない、と。
自分のスコアがいつまでたっても進歩しない理由が少し分かったような気がしました。
同じようなことを、ファンド、特に株式のファンドをみていて感じることが有ります。一つ一つの銘柄選択はそれほど間違っていないようにみえて、全体では負けている、というファンドには恐らくこの「線」という視点が欠けているのかもしれません。
「点」と「線」。しばらく頭に残りそうなフレーズです。
(2006.08.25)
素データ
たとえば、昨日書いた物価と石油の話は、日本銀行が毎月出している、金融経済統計月報から簡単に知ることができます。
自動車の販売台数については、日経新聞に毎週掲載されています。
少し視点を変えて、今話題の国民年金の未納率ですが、納付している人の数は10年前からほぼ横這いで実は未納者が増えているわけではないということが厚生労働省のホームページからわかります。未納者が増えていないのに未納率が増えている原因は、また別の機会にゆずるとして、公開情報から簡単に読み取れる事柄に対して、最近非常に無頓着になっているような気がしています。
マスコミなどのバイアスのかかった記事を読むだけでなく、たまには素データを眺めてみるというのは大変大切なことだと思っています。
(2006.08.24)
インフレ懸念?デフレ懸念?
国内企業物価の上昇率の8割が、石油や資源などの、国際市況関連価格の上昇によるものです。
国内消費者物価上昇率の9割が、石油製品価格の上昇によるものです。
どうやら物価が上昇していることと、景気がよいこととは関係がなさそうです。
ちなみに、石油商品の影響を除いた消費者物価はいまだにマイナスです。
ところで、今心配しなければいけないのは、インフレなのでしょうか?デフレなのでしょうか?
(2006.08.23)
今年後半
今年後半の市場環境を読む時にポイントとなるであろうこと。
日本銀行の再利上げ⇒環境としてはありうる。
石油価格が実態経済に与える影響⇒ないわけがない。
個人消費⇒デジタル家電以外で何が売れるか?自動車は底入れするか?
米国の再利上げ⇒原油価格次第。
総裁選挙と消費税の方向性⇒新総裁の公約にどこまで織り込まれるか。
中東の紛争⇒不明。アジアの紛争⇒北京オリンピックまではない?
米国経済のスローダウンや日本の設備投資の強さは折込済みと考えます。ユーロ高をドル安と結びつけるかどうかは微妙。
あるヘッジファンドとの会話。今年は収益をとり損ねていいから、慎重に対処したいと思っている。とのこと。
納得。
(2006.08.22)
地方債
京都にいます。あっついです!こんな陽射しの下で再試合をする高校野球というのもいかがなものか。という話はさておき。
株式の乱高下に目をうばわれて、あまり話題になりませんが、日本の債券市場も歴史的な転換期を迎えています。
夕張市の財政破綻もきっかけになり、これまで議論はありながらも実現してこなかった、地方債の債務不履を現実化する仕組みができるかもしれません。
地方債投資にも専門のアナリストが必要になるということです。
グローバル化している金融市場の中で、完全に3周遅れぐらいを走っている日本の債券市場がこれで少し進展することを期待します。
(2006.08.21)
近況
昨日、というか今朝がた、本の原稿をとりあえず書き終え、頭の中の「文字」が枯渇したので、思いつきはおやすみです。
頭の中の言葉というものは、インプットなしでアウトプットを続けると、なくなってしまうものらしい…
あぁ、本屋に行こう。
(2006.08.18)
免許と個人情報
米国の先物市場のことを調べているうちに、NFA(全米先物協会)のホームページで自分の名前を見つけ、驚いたのと同時に感心もしました。
もう20年近く昔にとった、米国の先物取扱者の登録履歴が残っていたのです。
これは、個人など一般投資家が、先物業者や投資顧問に自分の口座を作るとき、その会社や営業担当者が免許を持っているのかを、インターネット上で簡単に検索できるシステムになっているからです。
履歴には、私が免許を取得した日、登録された日、登録が抹消された日、などが全て残っています。
日本では特に個人情報保護法以来、こうしたサービスは望むべくもないという状態になっています。医師免許の取得者とか、証券外務員とか商品先物会社とか宅建とか、個人生活に密着した免許資格については、個人が気軽に検索できるシステムがあってもよいのではないでしょうか。
自己防衛、自己責任、と言っている割に、個人が身を守る手段があまりに少ないような気がしています。
(2006.08.17)
クジラと少年
夏休みらしい話題をひとつ。
ベトナムで漁船が転覆し、海を漂流していた少年が、クジラに助けられたとの記事がありました。
沈みかけた少年を、クジラがヒョイと背中に押し上げたそうで、背ビレにしがみついた少年は無地保護されたとか。
まぁ、真偽の話をとやかく言うような野暮な真似はやめて、ほのぼのとしましょうよ。
(2006.08.16)
意地
政治家が意地を張ると国が傾く。
経営者が意地を張ると会社が傾く。
ファンドマネージャーが意地を張るとファンドが傾く。
信念と意地とは違います。信念には目的があり、意地には目的がない。
靖国しかり。
TOBしかり。
勝てないアクティブファンドもしかり…
(2006.08.15)
ミニ・ブラックアウト
今朝、家を出たとたん街が停電になり、ご近所の皆さんが一斉に表に出てワイワイと。
電気に疎い我が家のことが気にはなったものの、そのまま出勤。
交差点の信号がとまり、何故かゴミ収集車が交差点のド真ん中で立ち往生。少し遅れてパトカー到着。
電車はかろうじて動き、でも駅の電気は非常灯。
正直、少し怖かったです。東京はありがたいことに比較的台風の被害などが少ない地域のため、停電を経験したことは子供の頃の記憶にさかのぼります。夜でなくて本当によかった。
あまりにも何事もなさすぎるということは、心の準備も含めて備えが足りない。
ところで我が家は大丈夫だろうか?
(2006.08.14)
自給率
食料の自給率があがらないそうです。
自給できているのは米とジャガイモぐらい、という話を聞くと本当に心配になります。
世界史を見ていると、自給率の高い国の国力は安定しています。
軍事より食料です。
明治以前の日本が、海外への門戸を閉ざしていられたのも、日々の糧を自国で賄えたからです。
天候不順の確率が年々高まっていくなかで、今後食料がエネルギーのような戦略商品になっていくことは自明のことのように思われます。
せめて多少高くてもスーパーで国産原料の商品を選ぶことぐらいで、自己主張をしたいと思っています。
(2006.08.11)
原油と経済
原油価格の上昇が続いています。
今の70$超えの水準がどうかというよりも、原油価格が3倍や4倍になって、それが定着してしまっても、経済活動へのインパクトが思いのほか出てこないことに、驚いています。
エネルギー価格が経済活動のコストにしめる比率が軽微なのか、原油価格がエネルギー価格全体に与える影響が軽微なのか、たまたま世界的な景気拡大期にあたったためコスト高が企業に吸収されたのか、実態のところはよくわかりません。
米国でも日本でも、個人のガソリンコストの増加は話題になりますが、景気への影響は本当にそれだけなのでしょうか?
利上げの影響が1年遅れに出てくるのと同じように、エネルギーの高止まりの影響もまた周回遅れで経済にインパクトを与えるような懸念を感じます。
(2006.08.10)
外は嵐、市場は?
突然直角に右折しいるはずのない関東上空に居座った台風7号に比べると、昨晩のFOMCは大変お行儀がよく、事前予想ど真ん中で無事通過したようです。
市場のベストシナリオは、今回0.25%引き上げて、これにて終了、という宣言をしてくれることだったようですが、国際情勢がこれだけきな臭く、原油が高値を更新している中、中央銀行が自分の手足を縛るような発言をするわけはなく、「インフレと景気の両にらみ」を継続するという優等生的コメントを繰り返すしかないのは自明のことです。
この程度の内容に失望して売られる市場なら、何もなくても売られるわけで、別にバーナンキンさんのせいではありません。
外は嵐。市場は当面夏休み、という感じでしょうか。
(2006.08.09)
夜間取引は必要か?
株式市場で夜間取引の是非についての議論が盛り上がっているようです。一部のネット証券ではすでに私設市場での取引が始まっています。
夜間取引というと私などはどうしても、米国の雇用統計や貿易収支を材料にロンドンやNY時間で円債を売ったり買ったりした記憶が甦ってしまいます。今更ながら思いますが、あれは無駄だった。
所詮限られた参加者での歪んだ需給の売買など、高く買って、安く売るだけのことだったように感じます。
「相場を動かす材料は24時間動いているのだから、売り買いのチャンスも24時間あるはずだ」と私も思い込んでいた時期もありましたが、本当に意味のある材料などというものは、一刻を争うことなく意味を持っているわけで、2・3日寝てから反応した方がよほどチャンスを生かせます。
昼間は仕事で売買できないサラリーマンのための市場、というのであれば少しは意味があるかもしれません。ゲーム感覚で株の売買をしたい人のためならば、仮想通貨でやってください。
(2006.08.08)
日本のサービス業
かなり以前中国旅行に行ったとき、サービス精神が皆無のウェイターやウェイトレスさんに唖然としました。
同じ頃、フランスのブランドショップに行って、高慢な店員さんの態度に腹を立てました。
最近東京で、サービス精神がないレストランや高慢なブランドショップに驚いていてはやっていけません。
一方で、やたら愛想のよいお店、個別サービスを売り物にするお店が増えています。
サービス業としての普通の感覚が失われ、作られたサービスが売り物になってしまうことは、大変さびしいことです。
(2006.08.07)
国境を越えた処分
英国金融サービス機構(FSA)が、英国のヘッジファンドが日本の市場でおこなったインサーダー取引について、英国の法令に基づき処分することを決定しました。
これはヘッジファンドを廻る金融行政においては、画期的な出来事だと、ヘッジファンド業界紙などでは指摘しています。
ヘッジファンドの投資活動が、国境を越える、さらには複数の国籍の市場で横断的に売買をおこなう場合、取引市場での監督責任がファンドの国籍の国になるのか、取引市場国になるのかがあいまいである状況が続いており、これがヘッジファンドのグレーな取引を増長させる温床になっていたと見られていたからです。
今回、英国と日本の金融行政が協同歩調をとって、国境を跨いだ処分を決定したことで、ファンド行政の割れ目が多少なりとも塞がるのではないかと思われます。
自国の人と企業の利益を守ることが最大の使命であると考えられてきた行政に、グローバルな市場の健全性を守るという新たな使命が付加されたということを、実感する出来事だったのかもしれません。
(2006.08.04)
お休み
本日のコラムはお休みいたします。
(2006.08.03)
強気のための強気・弱気のための弱気
運用会社の市場環境見通しには、様々なバイアスがかかります。
一昔前のように、全ての資産で期待収益率がプラスでなければならないとしている会社は減ってきましたが、それでも株式ファンドの受託が多い運用機関の市場見通しは何故かいつも株式に強気で、債券特化が多い運用機関は債券に強気だったりします。
株式の中でも、相場上昇局面で強い運用手法の会社はどうしても企業業績を高めに見易く、相場下落局面に強い運用手法では保守的になります。
などどいう話を書くと、なんて乱暴な表現だと、あちらこちらからの非難の声が聞こえてきそうです。
ただ考えてもみてください。所詮人間のやることです。物事、自分の都合の良いように解釈したいという潜在心理は絶対あるはずです。
強気のための強気、弱気のための弱気ではないのか、組織でも個人でも、自らいつも検証しておくべきだと思っているのです。
(2006.08.02)
中東がわからない
中東情勢が不穏です。
なんだか国連が慌ただしいです。
イランに制裁決議がでると、日本のエネルギー政策に影響がでそうです。
そのぐらいは判るのですが、それぐらいしか判らない。
中東関連の時事については、申し訳ないですが本当にややこしくて、理解不能です。
判らないからといって無視してしまえるほど小さな問題ではなさそうだ。
ということも判る…
困った困った。
(2006.08.01)