2023年11月の思いつき


異業種参入や黒船襲来を如何に活用するか

日本生命が介護大手のニチイ学館を買収すると報じられています。

これが実現した場合、最も期待することは、ニチイ学館の従業員がニッセイグループの従業員として、福利厚生を含めた各種処遇やキャリアパスを享受できるようにすることで、介護ビジネス業全体のの雇用環境に大きな刺激を与えることです。

業界大手の一角が目に見える変化を遂げることは、業界の閉そく感を打破するには大きな一手となるでしょうし、介護保険行政に対する声の届き方も全く異なることが期待できます。

同様に、今外資系の高級ホテルチェーンの日本進出ラッシュも、日本のサービス産業の底上げに寄与できるのではないかと思っています。こうしたホテルチェーンに働く従業員の雇用環境が、日本の旅行産業従事者の一つのモデルケースとなることを期待しているからです。もちろん、働き手のリスキルニングは必要になりますが、いきなりプログラミング等のリスキルニングをしろと言われるよりは、日常業務の延長戦上にあるリスキルニングの方がよほど身が入ると思うのです。

大手からの買収や、黒船の襲来は、多くの中小企業に係る人々にとっては、抵抗もあるでしょう。
それでも、今の流れにどのように乗っていけるかで、日本のサービス産業の未来は変わると思っています。

寺本名保美

(2023.11.29)



ラーメンで日本のデフレを考える

コンビニで、有名ラーメン店監修のチルドラーメンを買いました。
5分チンして出来上がり。

美味しい。元の味をよく覚えていないので、再現性は不明ながら、普通に美味しい。

これが、ワンコインプラスの値段で食べられることを、NYで4000円出してラーメンを食べているアメリカの人に、自慢したい!と、日本の食に関わる技術力の高さに、驚嘆しつつ、この技術と創意工夫こそが日本のデフレの原因でもあるのだということを実感したりしています。

たかがラーメン。されどラーメン。です。

寺本名保美

(2023.11.27)



持続可能性のある食生活

株式市場では、既に織り込み済みですが、糖尿病薬の肥満解消薬としての認可が米国で正式におりたと報じられています。

正式認可の話が出始めた数ヶ月前、当該製薬メーカーの株が買われ、この効果で売り上げご減少が懸念された、スナック菓子や清涼飲料メーカーの株が売られるという、面白い現象も起きていたようです。と言っても、下落は一時的だったようで、株価は既に戻ってしまいました。

なんともアメリカらしいと思いつつ、ふと目にした別の記事に、中国男性の41%が過剰体重である、という中国国内の調査結果がありました。肥満人口が米国を抜いて世界第一位となったそうです。

スナック菓子の売り上げが、落ちるかどうかは別々として、肥満改善薬の潜在需要は、想像をはるかに超えたものになるのかもしれません。

寺本名保美

(2023.11.21)



地球は誰のモノ?

米中首脳会談が開催されました。

国内経済の行き詰まりを打開したい中国と、とりあえず当面はこれ以上の国際紛争に巻き込まれる余力のない米国との思惑が一致した、一時的なデタントです。

米中対立が顕在し始めた2018年頃に「米中冷戦」という言葉を使っていた人はいましたが、その時米中関係がここまで、本格的な、つまり「熱戦」を意識しながらの「冷戦」が勃発することをどこまで想定していたかはかなり疑問です。

米ソ冷戦は、軍拡競争をエスカレーションさせることで、米国がソ連を崩壊させることに成功したともいわれています。今回の相手である中国にこの戦略は通用しそうもありません。

それにしても、習近平氏が言ったと報じられている「地球は十分に大きく、米中が共に成功するのは可能だ」という一文を読んで、どうにも不愉快な気分になったのは私だけでしょうか。

寺本名保美

(2023.11.16)



慣れてる場合ではない

今週末にくる、米国暫定予算の期限を前に、Moody's社が米国国債格付けの見通しをネガティブに変更しました。

8月に格下げを行ったフィッチ社と同じ論調で、デフォルトを政治的駆け引きに使うことを止めない、議会への強い警告です。

ウクライナ支援の是非を問うなら、政策論争で問えばよい。無関係な一般予算を巻き込み、世界の金融市場の安定性を担保にとるような政策をとり、米国という国の信頼を盾にする米国政治というものが全く理解できません。

金融市場は、今のところ慣れてしまったのか反応は薄いですが、こんなことが来年11月の大統領選挙が終わるまで繰り返されるのかと思うとゾッとします。

今の世界経済の最大のリスクと言われている政治の劣化が何故起きてしまっているのか。これからの5年10年の投資環境を考える際の大きなテーマなのかもしれません。

寺本名保美

(2023.11.13)



ニョキニョキと

東京に住んでいて、東京の繁華街のどこを歩いても、観光旅行に来た気分になります。

東京駅周辺はさることながら、渋谷も新宿も銀座も虎ノ門も、再開発の規模が大きすぎて、殆ど自分の知らない街へと変貌しています。

昔流行った、都市開発のシミュレーションゲームで、こんなにニョキニョキと新しいビルを建てられたら楽しいだろうと思っていた世界が、正に目の前にあります。

天高く上にそびえ、地中深く穴を掘り、ビルとビルとを空中通路で繋いでいる光景を見ていると、この国が地震大国であったことを忘れてしまいそうになります。

もちろん最新技術を駆使しての建築であることは重々承知しているものの、この地球の重力と圧力に目一杯逆らっている構造物が、何時か自然の摂理の逆鱗に触れるのではないかと、思わずにいられません。

将来に向かってのエネルギー政策も大切ですが、今、目の前にある危機について、少し意識が薄れているような気がして怖いです。

寺本名保美

(2023.11.08)



何故変動?

日本の住宅ローンの8割が変動型、と聞く度に疑問しか浮かびません。

短期金利は過去最低、長短金利差も過去最低、従って長期金利も過去最低、という状況が10年近く続いていたにも拘らず、何故変動型なのか?

キャシュフローマネージメントというものは、個人であろうが法人であろうが、将来のキャッシュフローにおける不確実性を如何に最小化するか、コントロール可能な範囲に抑えるか、という命題を持って取り組むものです。

そもそも家賃ではなく、住宅ローンとして支出するメリットは、住居費に係る将来支出を期限を持って固定できるところにあるわけで、支出金額が経済環境によって上昇してしまうリスクをとること自体、ナンセンスです。

米国の長期金利を見ても分かるように、金利というものは、一旦動き始めると、アット言う間もなく水準が変わります。金利の上昇が始まれば変動から固定に切り替える、などという話はパンフレットに書かれているほど簡単なことではありません。

将来の金利がどうなるかを予想することは難しい。でも今の金利がまだ異常に低いことだけは事実として示すことができます。

何十年という長い借金。今のお得より将来リスクを如何に減らすかをもっと重視すべきだと私は思います。

寺本名保美

(2023.11.02)


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