2013年01月の思いつき


債券戦略の曲がり角

米国の10年金利が2%台で推移を始めています。

金利のトレンドに変化が起き始めていることで、金利の影響を強く受ける通貨市場についても不安定な状況になっています。

昨日のFOMCではFRBによる債券買入オペレーションの継続が決定されましたが、市場では買入れ停止のタイミングが何時なのか、が議論の中心になりつつあります。
欧州からも、利下げについては当面検討する必要ななくなった、との発言も出始めました。

昨年末から今年に掛けて、最も市場のセンチメントが変化したのは、日本の株式市場ではなく、欧米の長期金利市場なのではないかと感じます。

トレンドが大きく変化する中で、昨年途中まで好調だった債券型のヘッジファンド戦略も、全般的に苦戦が伝わってきています。

資産間、戦略間の大きな資金フローの変化も含め、しばらく債券市場のリスクを注視したほうがよいでしょう。
寺本名保美

(2013.01.31)



セミナーお礼

昨日は大変お忙しい時期であるにも関わらず、とても沢山の年金スポンサーの皆様にご参加いただき、ありがとうございました。

今回は、
「とりあえず踊ってみようアベノミコシ」
「ALMとハサミは使いよう」
「レッドカードの切り方教えます」
の3部構成でお届けしました。

と、いうぐらい軽いノリで済まそうと思っていたのですが、弊社の人間、見た目と異なり根が真面目なので、それなりに重い話になってしまったかもしれません。

思いの外、弊社独自のALMに興味を示してくださった方が多かったのは、担当の数理人氏のキャラクターでしょうか?

次回は7月19日を予定しています。
皆様明るいお顔で再会できますように…
寺本名保美

(2013.01.30)



セミナーも20回目となりました

本日は弊社の20回目の年金スポンサー様向け定例セミナーです。

20回!を記念して、参加された方しか聞けないここだけの話?満載でいきたいと思います。

従って、今回の私の部の資料はとっても、薄い!
資料だけではな~んにもわからないほど、薄い!
準備が楽過ぎて癖になりそうなぐらい、薄い!

テーマは「運用機関の定性評価」なのですが、何をどこまでお話するかは、その時になってみるまで私にもわかりません(笑)

ご参加予定の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
寺本名保美

(2013.01.29)



花火しかないので来ないで

海外の投資家にとって、今年の最大の懸念材料の一つが、日本周辺での地政学的リスクの勃発だという話を耳にします。

平和ボケと言われようが、日本発でこういったメッセージが発信されることは、考えにくいので、おそらく日本以外のどこかが戦争シナリオを意図的に流しているような気がします。

とにかく、やむに已まれないわけでもないのに、武器を使いたくてしかたがない人達が世界の国々に少なからず存在することは否定できません。
そういう人達を周期的にガス抜きしないと、火の粉が国内に向けて発射される危険性が高まることも事実でしょう。

だからといって、ガスの元栓締りっぱなしで、導火線湿りっぱなしの日本を相手にスパーリングをしようなどということは、お願いだから考えないでください。

日本にある導火線は、せいぜい「た~まや~」の花火ぐらいですから…
寺本名保美

(2013.01.28)



たかがアップル、されどアップル

アップルの株価が昨日一日で12%下落し、時価総額で約5兆円が消えたそうです。

9月の高値からの下落幅は4か月で36%、消えた時価総額は20兆円に達します。

普通の国であれば、ちょっとしたパニックになりそうな金額ですが、それでも米国株式市場全体でみれば、昨日もまた5年ぶりの高値を更新し、たかがアップル、たかが20兆?という感じでしょうか。

とはいうものの、過去3年米国市場の牽引役であったアップルが普通の会社になり、普通の株価に戻りつつあるということが、米国株式市場の構造転換を誘因することは否定できません。

米国株式市場が、本当にたかがアップルと言えるかどうか、すこし注意深く見ていかなければいけないと思っています。
寺本名保美

(2013.01.25)



国語は大事ですよ

大学入試センター試験の平均点が公表されています。

国語が200点満点で98.8点。
英語が120.7点

問題の難易度にもし違いがあったとしても、これでいいのか日本、と思ってしまいます。

別に正しい日本語が使えるかどうか、とか、漢字力とか、ではなく、基本的な読解力であったり、説明力であったりというのは、社会に出てからの「基礎力」に、直接影響してきます。

とはいえ、国語力というものは、学校で先生が教えられることには限界があるのも事実です。

平均で半分以下、という結果が、そのまま今の日本社会の「基礎力」の縮図であるような気がして、ぞっとします。
寺本名保美

(2013.01.24)



第一ラウンド終了

昨日の日銀の政策決定会合で、為替も株式もとりあえず第一ラウンド終了という感じでしょうか。

総理大臣自らが夜の民放に生出演して効果を強調してしまうなど、若干政治パフォーマンスぽさが鼻につきますが、それも含めて政府日銀ともとりあえずは合格点なのではないかと思います。

今の日本の経済環境は、今回自民党が騒がなければ恐らく金融政策の中立化-つまり引締めを考える時期に入りつつあったと思われます。

市場が持っていた中立化への懸念をとりあえず12月の政策決定会合で打消し、今回は超緩和政策の継続に期限を持たない、いわゆる「時間軸」の延長を明確にしました。
これで、海外投資家は当面安心して「円」で資金調達を行う「円キャリートレード」をする素地ができつつあります。

さてこれから4月までの間で、政府の経済対策に有効性が見いだせず、再び円高・株安が進行するようであれば、次は本当に日銀がリスク資産を直接購入するか否かが問われる第二ラウンドが始まります。

そこまで踏み込む前に、状況が安定的に好転するのが一番良いのですが。
寺本名保美

(2013.01.23)



心意気

直木賞候補となった『空飛ぶ広報室』という小説の中に、

「心意気で仕事ができる自分かっこいいって悦に入ってる奴
らばっかりですから」
という、自衛隊員のセリフが、あります。

自衛隊だから、ということではなくて、社会全般にこうした感覚を取り戻すことが必要なのではないかと思ってしまいます。

公務員にしろ、教師にしろ、
質が悪いから尊敬されないのか、尊敬されないから質が悪くなるのか…

怠慢だから心意気がないのか、心意気を奪ってしまうから怠慢になるのか…

きっと物作りや研究開発の現場でも、同じような課題を抱えているような気がするのです。

「心意気」
よい言葉ではありませんか…
寺本名保美

(2013.01.22)



資源と紛争

資源のあるところには紛争がある。

この悲しい原則が、アフリカ大陸で拡散を始めています。

世界にとって重要な資源が、塩から始まり銅、鉄、石炭、石油と移り変わっていくなかで、紛争の震源もまた移り変わってきました。

今又、石油から天然ガス、そして非燃料資源へと、中心が変化していく中で、否応なくアフリカ大陸が紛争地帯になりつつあります。

過去何千年も繰り返してきたこんな当たり前の原則を、当たり前に繰り返すことしかできない我々人間とは、なんと浅はかな生き物なんだろうと思います。

犠牲となった全ての方々に哀悼の祈りを。
そしてこれからのアフリカ大陸の平穏を祈ります。
寺本名保美

(2013.01.21)



金融商品とマスメディア

和牛商法で破たんした安愚楽牧場の投資家が、経済評論家時代の海江田万里氏を提訴する意向であると、報道されています。

「利益は確定、リスクはゼロ」と書いていたとかいないとか…

海江田氏やこの事件に限ったことではないですが、個人向けのメディアにおけるこうした特定商品の推奨に、何の規制もないことがどうしても納得できないのです。

せめて、金商法の中核である「リスクがない」「絶対に~」という表現の禁止について、活字メディアに対し善管注意義務を課すぐらいのことはあってもよいのではないかとも思います。

経済評論家という肩書を持つ以上、この程度の常識を踏まえた発言はあたりまえ、ということでもあるのですが。

それにしても、海江田さん。一歩間違えば今の日本国首相。
本当にこの間の選挙はよい選挙でした…
寺本名保美

(2013.01.18)



破綻シナリオは嫌いです

私は、年金の仕事をする前、債券売買の仕事をしていた時から、「ディザスターdisasterシナリオ」、つまりは「壊滅シナリオ」が嫌いです。

例えば、財政破たん、国債暴落、ハイパーインフレ、のようなシナリオを前提に、資産運用のポジションを組むようなことは、基本的には考えません。

例えその場面で自分のポジションが利益になったとしても、そこで立っている足場が崩れていれば、その利益など蜃気楼の役にも立たないからです。

基本的に主権を保有する国家の根底が崩れた時はその上に存在している全ての制度も資産も崩れます。その時は資産運用の目的そのものも大きく変質しているでしょう。

自分や自分の働き場所が帰属する国家に崩壊の可能性があるのなら、各々が崩壊させない努力を精一杯するか、その国から出ていくかのどちらかです。

昨今また増えてきた、国家破綻論。
無責任なこと、この上なしです。
寺本名保美

(2013.01.17)



快適な空の旅を望みます

話題のというか問題のB787で札幌から戻りました。

搭乗後にB787だと思った瞬間から、飛行機嫌いのバロメーターが上がり、羽田に着いて携帯の電源を入れYahooニュースのテロップを見た瞬間に、体内血圧計が急降下しました。

高松行が緊急着陸をしたのが8時半。
私が新千歳を飛んだのが9時半。
ANAがB787全機の運行を停止したのが11時半。

じゃあ、欠航しても良かったのか?と言われると、当事者としては確かに微妙ではありますが、でも9時半のフライト飛んでも良かったのか?と客観的に問われれば、答えはNoでしょう。

本日も快適な空の旅を…って。
全然快適じゃないって。
寺本名保美

(2013.01.16)



青年よ、いや中年よ、

銀世界の東京から銀世界の札幌に到着です。

同じ銀世界でも、センチとメートル。役者が違います…

それにしても、昨日の大雪。

家の前で雪かきをしている面々は、若手!?の私を入れても平均年齢は70近く。

夜回りをしている消防団のおじさんも、それなりのお歳。

路上でごみ収集車が立ち往生しても、集まってくるのは、口は動けど身体は動かないおば(ぁ)ちゃまばかり。

青年などという贅沢は言いません。せめて中年男子よどこ行った?

街の防災というものを改めて考えてしまう雪景色です。
寺本名保美

(2013.01.15)



居心地が悪いので

日本がゼロ金利になって18年。

短期金利が殆ど変らない中、10年金利は3%台から0.4%台までありました。

当初10年の長期金利は、政策金利が上がる気配を見せるだけ、債券需給が少し緩む気配を見せただけでも、2%の方向に戻りたがってしかたがありませんでした。

マクロ経済について常に弱気に見がちな債券売買のプロ達であっても、「短期金利がない」ということ、そして「デフレーション」という言葉の意味を心身ともに受け入れるのに10年近い時間が必要だったのです。

さて、今はやりのヘッジ外債。
米国の債券市場や欧州の債券市場を見ていると、どうしても95年当初の日本の債券市場の居心地の悪さを思い出してしまいます。

既に諦めの境地に入っている日本の債券市場と、戦後初めて金利がない世界を体験している欧米の債券市場。

現在のヘッジ外債という市場が、軽い刺激にも過剰反応する可能性がある市場だということを、認識した上で上手に付き合っていくことが大切です。
寺本名保美

(2013.01.11)



究極の株価対策!♪

新政権での経済対策で相続税も話題になっています。

で、考えました♪ 究極の株価対策(笑)

現金での相続税は50%。
株式での相続なら25%。
不動産は20%で、壺は90%?
ついでに、外貨建てなら10%…

と、資産価格を動かしたい順に、軽減税率を設定します。

上がり過ぎたら、税率を変えて、リバランス。

ダメですか?ダメですよね…
寺本名保美

(2013.01.10)



よくもわるくも変化の年?

今年はイベントが少ない年になって欲しいとは思うものの、グローバルには何かが起きそうな気もしています。

中国から朝鮮半島に掛ける極東地域の地政学的リスクは高まるでしょうし、長引く中東地域の紛争は収まる気配はありません。

天候不順を含む天災については予断を許さず、それに伴い一次産品価格の動向も気になります。

一方で、米国を中心としたエネルギー革命が、この10年来続く世界経済の閉塞感を打破するきっかけになるかもしれない、という期待もあります。

ぐずりながらも、結果としては大きな変化がなかった過去2年に対し、今年は何かが終わり何かが始まる一年になりそうな予感がします。

今の内に体力を蓄えて、次の展開に臨みましょうか。
寺本名保美

(2013.01.09)



『聞く力』

昨年唯一のミリオンセラー『聞く力-阿川佐和子著』を読んでみました。
普段、ノウハウ本の類は殆ど手に取らないのですが、阿川さんが好きなので何となく…

インタビューをする際の心構えが沢山乗っています

質問事項を事前に決め打ちすると、相手の本音が聞けなくなる。
とか。
聞き手が楽しければ、話し手も楽しい。
とか。

聞き手によって話し手の内容が全く変わる可能性があるということを、改めて自戒させていただきました。

年間数百回のミーティングをしている割には、まだまだ修行が足りないと思う新年です。
寺本名保美

(2013.01.08)



今年の目標は毎日ストレッチ…

新年あけましておめでとうございます。

東京は三が日快晴が続き、心配されていた海外市場にも波乱がなく、とても穏やかなお正月を過ごすことができました。

ひたすら我慢と忍耐が必要だった昨年に対し、今年は良くも悪くも柔軟性と冷静さが大切になる一年となるかもしれません。

鈍くなりすぎず、かといって熱くなりすぎることもなく、蛇のようにくねくねと世の変化に身を合わせていく「処世術的運用?」が必要になりそうです。

我慢しすぎて固くなった身心を早めにストレッチで温めて、しなやかな一年にしたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
寺本名保美

(2013.01.07)


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